世界ジュニア2016 ペアSP

世界ジュニア2016 リザルト
2016年の世界ジュニア選手権は、ハンガリーデブレツェン、フェニックス・アリーナで開催された。
ペアのショート・プログラムは、現地時間で3月16日(木)に行われた。

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アイスダンス同様、今さらですが、ようやく録画を見ることができたので、感想を書いていきます。
ジュニアのペアは、世界ジュニアくらいしか見る機会がないので、選手のこともほとんど知らない状態です。
日本のペアは残念ながら出場なし。来年は出場できるといいなー。

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Jスポーツの解説は岡部由起子さん、実況は小林千鶴さん。
千鶴さんによると、今年の特徴は、初出場の組が多いことで、15組参加している中、11組が初出場とのこと。

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●第1グループ
3 Hope MCLEAN / Trennt MICHAUD(カナダ)

初出場の16歳と19歳。ジュニアの国内選手権優勝。
2A<で女性が転倒。スロー3Sで女性がステップアウト。
音楽に少し遅れて終了。時間、大丈夫だったかなぁ?と心配になったが、タイム・バイオレーションは取られてなかった。
バイオを見ると、少なくとも2シーズンは組んでいると思うのだが、おっかなびっくり滑っているというか、ユニゾンがしっくりきてない感じで、「あれれ? カナダのジュニア・チャンピオンなのに変だなー。怪我か病気かな?」と思っていたら、岡部さんによると、練習中にリフトで女性が落ちてしまい、男性が首を怪我してしまったらしい。あー、やっぱりそうか。明らかに動きが不自然だったもんな。
44.05。

●第2グループ
4 Justine BRASSEUR / Mathieu OSTIGUY(カナダ)

  • 楽曲:Bernie's Tune by Al Caiola, Peter Gunn Mambo

初出場の14歳と19歳。ジュニアの国内選手権4位、ユースオリンピック4位。
各要素はきちんきちんと成功させていたのだが、明るく軽快な音楽を表現するところまではいってないように感じた。
でも、今できることをきちんとやり切れたんだろうな。選手たちはとても満足げ。
48.08。

5 Chloe CURTIN / Steven ADCOCK(イギリス)

初出場の14歳と20歳。今季組んだばかり。千鶴さんによると、女性にとっては2人目、男性にとっては4人目のパートナーらしい。今の相手とは長く続けられるといいね。
衣装がおそろいでボーダー。
要素じゃないところで女性が転倒してしまったが、ロックンロールな音楽に乗って、元気よく生き生きと滑っていた。
44.74で自己ベスト更新!

6 Joy WEINBERG / Maximiliano FERNANDEZ(アメリカ)

  • 楽曲:Hernando's Hideaway by Jerry Ross, La Cumparsita by Geraldo Rodriguez

初出場の19歳と20歳。今季組んだばかり。全米ジュニア優勝。
なかなか印象的な振付が入ったプログラム。小さなミスがいくつかあったが、キレのある動きが音楽に合っていてかっこよかった。
47.54。

7 Anastasia MISHINA / Vladislav MIRZOEV(ロシア)

初出場の14歳と19歳。ジュニアの国内選手権優勝。
おお、ジュニアでボレロに挑戦とは。「ロシアの組だから、またトンデモ編曲か?」と構えていたのだが、意外とまともなアレンジだった。とはいえ、原曲からかなり変えてるけども。
大きなミスなく、力強く滑っていた。これまでの組とは各要素の質が別格だなぁという感じ。スロージャンプに高さがあって、おお〜となった。
59.50で自己ベスト更新! 二人とも嬉しそう☆ 千鶴さんによると、これまでのPBは44点だったらしい。うっわー、めっちゃ上達したんだなー。

●第3グループ
8 Renata OGANESIAN / Mark BARDEI(ウクライナ

  • 楽曲:The Race II by Yello

初出場の15歳と19歳。ジュニアのGPファイナル5位。
ステップでちょっとつまづくミスもあったが、トリプルツイストがふわっと高くて気持ちよかった。
車の走る効果音が入っている、個性的な音楽だったが、工夫した振付を頑張ってこなしていたと思う。
59.30で自己ベスト更新!

9 Ekaterina BORISOVA / Dmitry SOPOT(ロシア)

  • 楽曲:Ninija by Maxime Rodriguez

初出場の16歳と17歳。ジュニアのGPファイナル優勝、国内選手権3位、ユースオリンピック優勝。
楽曲名を見て、一瞬固まった。に、忍者だと!? だから男性がそんなにヘンテコな衣装なの!? どう見ても中国風だよ! しかも胸にでかでかと「忍耐勝」って書いてある!!(爆)
それはさておき(苦笑)、女性が2Aで転倒してしまったが、ペアのエレメンツはダイナミックで見ごたえがあった。
58.56。

10 Bryn HOFFMAN / Bryce CHUDAK(カナダ)

  • 楽曲:Roxy, Hot Honey Rag

初出場の18歳と20歳。ジュニアの国内選手権2位。
思わず踊り出したくなるような、明るく軽快な音楽を、よく表現できていたんじゃなかろうか。ジュニアだと、エレメンツをこなすのに必死で、「演じる」ことにはあまり気が回ってない演技が多いのだが、彼らはそこにも気を配れているように感じた。
52.20で自己ベスト更新!

11 Lindsay WEINSTEIN / Jacob SIMON(アメリカ)

  • 楽曲:Eleonore by Maxime Rodriguez

初出場の16歳と19歳。全米ジュニア2位。
女性がスロー3Sで足を付いてしまったが、しっとりした音楽を雰囲気よく丁寧に滑っていた。
岡部さんが「ペアスピンのポジションが美しく、回転のスピードも落ちなかった」とほめていた。
48.75で自己ベスト更新!

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●第4グループ
12 Anastasia GUBANOVA / Alexei SINTSOV(ロシア)

  • 楽曲:Tango Volver by Maxime Rodriguez

15歳と20歳。2年連続出場で、去年は4位。ジュニアのGPファイナル4位、国内選手権4位。
トリプルツイストでキャッチをミス。女性が2F<、スロー3Sで女性がお手つき等々、ミスが続いてるなーと思って見ていたら、最後のステップシークエンスで男性が転倒(泣)。
なーんかかみ合ってないというか本調子じゃなさそう。千鶴さんによると、怪我で棄権した組に代わって出場することになったらしいので、調整がうまくいかなかったのかもしれない。
45.07。SBが54.88だもんなぁ。こりゃキスクラがお通夜にもなるわ(泣)。

13 Anna DUSKOVA / Martin BIDAR(チェコ

16歳と17歳。3年連続出場で、去年は8位。ジュニアのGPファイナル2位、ユースオリンピック2位。チェコで初めてジュニアGPのメダルを獲得したペア。
シルクドソレイユの独特な音楽を上手に表現していて、ユニゾンも他の組より抜きん出ているなぁと感じた。
岡部さんいわく、「二人とも、特に男性のエッジワーク、滑りが非常に良い。トランジションに工夫した動きがあって、演技が最初から最後まで一つの作品となって見えていた」。
チェコから将来有望なペアが出てきたね! フリーの演技が楽しみ〜☆
64.71で自己ベスト更新!

14 Bianca MANACORDA / Niccolo MACII(イタリア)

  • 楽曲:Wild Side by Roberto Cacciapaglia

18歳と20歳。3度目の出場で、去年は12位。シニアの国内選手権3位、ユーロ12位。組んで5シーズン目。千鶴さんによると、シーズン前半はジュニアのGPではなく、シニアのチャレンジャーシリーズに出場していたらしい。
トリプルツイストのキャッチがうまくいかなかったが、美しい音楽に合わせて、流れるように滑っていた。
岡部さんいわく、「男性が演技をしている」。彼女は常々「ペアのポイントは男性が演技できているかどうか」と話しているので、この組のことを評価しているんだろうな。
千鶴さんによると、彼らは「トップ10入りして2枠にしたい」と話しているそうだ。
49.80で自己ベスト更新!

15 Chelsea LIU / Brian JOHNSON(アメリカ)

  • 楽曲:Tango de los Exilados by Walter Taieb and Vanessa Mae

16歳と20歳。2年連続出場で、去年は7位。組んで2シーズン目。
2Aで女性が転倒してしまったのは、まぁ仕方ないかと思うのだが、ステップでユニゾンがズレてたのが残念だった。やっぱカップル競技は、息の合ったところを見るのが醍醐味だからさ〜。
54.12で自己ベスト更新!

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SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、TSS、TES、PCSの順に記されている。

  1. Anna DUSKOVA / Martin BIDAR CZE 64.71 36.87 27.84
  2. Anastasia MISHINA / Vladislav MIRZOEV RUS 59.50 34.11 25.39
  3. Renata OGANESIAN / Mark BARDEI UKR 59.30 33.21 26.09
  4. Ekaterina BORISOVA / Dmitry SOPOT RUS 58.56 32.80 26.76
  5. Chelsea LIU / Brian JOHNSON USA 54.12 31.34 23.78
  6. Bryn HOFFMAN / Bryce CHUDAK CAN 52.20 28.55 23.65
  7. Bianca MANACORDA / Niccolo MACII ITA 49.80 27.77 22.03
  8. Lindsay WEINSTEIN / Jacob SIMON USA 48.75 25.81 22.94
  9. Justine BRASSEUR / Mathieu OSTIGUY CAN 48.08 27.54 20.54
  10. Joy WEINBERG / Maximiliano FERNANDEZ USA 47.54 25.23 22.31
  11. Anastasia GUBANOVA / Alexei SINTSOV RUS 45.07 23.30 22.77
  12. Chloe CURTIN / Steven ADCOCK GBR 44.74 25.82 19.92
  13. Hope MCLEAN / Trennt MICHAUD CAN 44.05 24.08 20.97
  14. Yumeng GAO / Bowen LI CHN 42.24 24.25 17.99
  15. Ekaterina KHOKHLOVA / Abish BAYTKANOV KAZ 32.36 16.44 15.92
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◆総評
いつだかのWFS(雑誌)で、「シニアとジュニアでもっとも差を感じる種目がペア」と書かれているのを読んだが、今大会でわたしもそう感じた。
今大会の男女シングル及びアイスダンスでは、わたしの想定をはるかに凌駕する選手が何人も何組もいて、心底驚かされたのだが、ペアは想定内で、ちょっと安心した(苦笑)。や、物足りないとかそういうことではなく、わたしが「ジュニアってこれくらいだよね」と思っている範囲内だったという話である。
それはさておき、ペア大国ロシアやカナダ以外の国、チェコウクライナがSPのトップ3に入ってきたのが嬉しい驚きだった。ペアの世界もどんどん多様化が進んでいていいなーと思う。