マイ・ベスト・パフォーマンス10 2016-17シーズン

フィギュアスケート界において、シーズン最後の日に、今季のベストパフォーマンス10を挙げていきたい。昨季は10個に絞るのが精いっぱいで、順位をつけられなかったのだが、今季は己の心と向き合い、何とか順位をつけることができた(苦笑)。でも、順位はその日その日でコロコロ変わりそう(汗)。とりあえず、「今は」ってことで。

10位 パイパー・ギルス / ポール・ポワリエ(カナダ) FD 2016年GPスケートカナダ

  • 楽曲:Con Buena Onda by Daniel Lomuto, Ernesto Baffa, Hector M. Arce
  • 動画:YouTube
  • 成績:SD 72.12(3位),FD 110.45(3位),総合 182.57(3位)
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他の試合でも、良い演技はいくつも見られたのだが、初見のスケカナがもっとも大きな衝撃を受けたので、ここでの演技を選んだ。
彼らは毎シーズン、個性的かつ独創的なプログラムを作り上げてくれるのだが、今季のFDは不穏かつ緊迫感あふれるタンゴで、とりわけ素晴らしかった。次に何が起こるか分からなくて目が離せない上に、二人がどんな関係なんだろうかと、どんどん妄想があふれ出てきてしまう(///)。
このカップルの物語を紡ぎだす力、世界を創造する力は、本当にずば抜けていると思う。このFDでも彼らが創り出す世界と物語にどっぷり浸らせてもらった。

9位 アリョーナ・サフチェンコ / ブルーノ・マッソ(ドイツ) FS 2017年世界選手権

  • 楽曲:Lighthouse by Patrick Watson
  • 動画:YouTube
  • 成績:SP 79.84(2位),FS 150.46(2位),総合 230.30(2位)
  • プロトコル

ユーロもワールドも、甲乙つけがたく素晴らしかったので、どちらにするか迷いに迷ったのだが、ライブで見ていて、大興奮させられたのがワールドの演技だったので、こちらを選んだ。
静かで同じトーンの旋律がすーっと続く難曲で、シーズン前半から素敵だなと思っていたものの、そこまでお気に入りではなかったのだが、ワールドの演技で一気に撃墜された。
最初と最後の振付がとても印象的。とりわけ、最後の方は、男性が女性を横向きに抱き上げ、女性が空中をゆっくりと駆け上がっていく、余韻を残すエンディングで、本当に素敵…☆(ため息)
スロー3Aとスロー3Sで両方足をついてしまっているのだが、「それが何か?」と言いたくなるほど、素晴らしい演技だった。こうまで二人のユニゾンと音楽との調和が卓越していると、エレメンツがどうこう言うのがバカらしくなってくる。
彼らは怪我が多く、ユーロもワールドも直前の二週間ほどしか練習できなかったそうなのだが、それでこの演技とは…すごすぎる…。来季こそは、怪我なく存分に練習できますように!!(祈念)

8位 ケイトリン・オズモンド(カナダ) SP 2017年カナダ選手権

今季、大躍進を遂げたオズモンドさんのSP。ここ数シーズン、怪我でなかなか演技が見られなかったり、ジャンプが安定しなかったりした彼女が、大いなる進化っぷりを見せつけてくれたプログラム。ジャンプの飛距離と高さ、そして安定感も申し分なかったが、何より音楽との一体感がすっっばらしかった。国内の得点とはいえ、80点台が出ている。すごい。
GPファイナルも、ワールドもクリーンで素晴らしい演技だったが、カメラワークが一番わたし好みだった、カナダ選手権の演技を選んだ。基本的にずーっと全身を映してくれているので、彼女が体ぜんぶで音楽を表現しているのがよく分かる。

7位 パトリック・チャン(カナダ) SP 2017年世界選手権

今季は、彼のSPで2回もクリーンな演技が見られるという僥倖にあずかることのできた、稀有なシーズンであった。パトちゃんとフィギュアスケートの神様、本当にどうもありがとう。
ノーミスだったGPファイナルとワールドとで、どちらにするか迷ったのだが、改めて見直してみると、カメラワークではファイナル、4T+3Tの出来栄えではワールドかなということで、ワールドの演技を選んだ。
彼の場合、どのプログラムでも、どの試合でも言えることだが、スケーティングが極めて美しい。特にステップシークエンスは、何度見ても飽きることがない。鳥が空を舞うように、魚が川を泳ぐように、氷上を自由自在に滑っている。ジャンプももちろんすばらしいが、スピン好きとしては、彼のスピンについて語らずにはいられない。どれも軸が全くぶれず、同じところで回転しているので、見ていてすご〜く気持ちがいい。そして忘れてならないのは、彼のキャメルポジションの美しさ…(ため息)。何度見ても魅了させられる。
振付で言うと、2番目のスピンと3番目のスピンの間のところが好き。ギターの音に合わせて軽快にステップを踏んでから、次のスピンに入るまでの動きが、本当に鳥みたい。

6位 ボーヤン・ジン(中国) SP 2017年世界選手権

(参考動画:YouTube

  • 成績:SP 98.64(4位),FS 204.94(3位),総合 303.58(3位)
  • プロトコル

あちこちにスパイダーマンらしい振付が散りばめられた、ガチでスパイダーマンなりきりプログラム(笑)。手首から糸を飛ばす動きが入っているし、最後のポーズもスパイダーマンの有名なポーズと思われる。遊び心満載で、本当に大好き〜☆ 振り付けで一番のお気に入りは、FCSpと3Aの間のつなぎで、左右に首をぐねぐねっと動かすところ。いかにもスパイダーマンっぽい動きだし、音楽にもバッチリはまっててかっこいいんだよねぇ〜☆
初見のGPスケアメは、ジャンプで転倒2回含め、全てのジャンプでミスが出てしまったのだが、それでも一目で夢中にさせられた。昨季までどちらかというと淡々と滑っていた彼が、観客をこんなに沸かせる演技をするようになるとは。彼がスケーターとして、表現者として、一皮むけたことを強く感じさせられた。
ベストパフォーマンスは、クリーンでキレッキレだったワールドの演技だと思うのだが、いかんせんカメラワークが酷くて…(泣)。中国杯のカメラワークが一番好きなので、参考としてその動画も貼っておく。

5位 ジンソ・キム(韓国) FS 2017年

昨季から続行のプログラムで、昨季から大好きだった。映画「雨に唄えば」で、雨の中、ジーン・ケリーが歌い踊るあのシーンが好きで、カートの「雨に唄えば」が好きな人にはぜひともおススメしたい。
わたしが見た中で、このユニバの演技が、彼のベストパフォーマンスだと思う。
冒頭の4Tでステップアウトしたり、2つ目の3Aで手をついたりと、ミスはあったが、全身を使って、「雨に唄えば」の世界をみごとに表現していた。見る者をハッピーな気持ちにしてくれる。最後、観客に向かって手を振るところなんて、胸ずっきゅーん☆だよ!! 最高!!

4位 リュボーフ・イリュシェチキナ / ディラン・モスコビッチ(カナダ) FS 2017年カナダ選手権

大人かわいいタンゴ。リュボさんが凛々しい上に可憐。演技を見ていると、自然と彼女に目がいってしまう。フリフリのスカートがとっても素敵☆
カナダ選手権かワールドかで散々迷ったが、完全にこのプログラムにオトされたナショナルを選んだ。純粋に演技の出来栄えで言ったら、ワールドがちょっぴり上かなと思うのだが、ワールドはとにもかくにもカメラワークが最悪で…(泣)。プログラムで最高に盛り上がるステップシークエンスを、天井カメラで撮るという暴挙をしでかしているんですよ!! 許すまじ!!(怒)
…とまぁそれはさておき、カナダ選手権では、3Tで女性がシングルになったほかは、申し分のない演技を見せてくれた。スピードとキレが素晴らしい。
デススパイラルの後、どしどし紡がれる男女の物語がこのプログラムのキモだと思う。わたしはここでハートをわしづかみにされた。女性が男性に絡みつくものの、男性がすげなく女性を突き放す。苦悩する女性。でもすぐに、背後から男性にぎゅっと抱きつくところがめっちゃときめきポイント☆ 何度見ても胸キュンだわ〜(///)。
そして、前にも述べたが、このプログラム最大の見せ場である、終盤のステップシークエンス。「いろいろあったけど、今はわたしたち、とっても幸せなの☆」と語っているかのよう。前半の葛藤があるからこそ、ここで解放されたように生き生きとした笑顔で滑る姿が、ぐっと引き立つんですよ。晴れ渡る青空のように二人が輝いている。

3位 マディソン・ハベル / ザカリー・ダナヒュー(アメリカ) FD 2016年GPフランス杯

  • 楽曲:
    • I Wanna Dance With Somebody by Bootstrap
    • Can't Help Falling In Love performed by Ingrid Michaelson
    • Earned It by Bootstrap
  • 動画:YouTube
  • 成績:SD 66.77(3位),FD 107.81(2位),総合 174.58(2位)
  • プロトコル

「どこが好きってもちろん全部!!」なのだが、特にSlLi4が終わった後、曲が変わり、女性ヴォーカルが始まってからはもうずっと心の琴線がじゃらんじゃらんとかき鳴らされっぱなしである。二人の一体感と音楽との一体感がみごとで、全てのムーブメントが心地よい。
GP初戦のスケアメでも、「あら素敵☆」と思っていたが、第2戦のフランス杯での演技で、完全にフォーリンラブ☆☆☆ 二人の滑りから、お互いを労わり合い、信頼し合っていることが伝わってくる。単に美しいだけでなく、温かさや優しさが、二人のホールドからあふれているような。感動のあまり胸が震えた。
この後の試合では、非常に残念ながらミスが出てしまい、クリーンな演技が見られなかったのだが、それでも今季、アイスダンスの中で、もっとも感動させられたプログラムだった。

2位 ウェンジン・スイ / コン・ハン(中国) FS 2017年世界選手権
SP順位:1,得点:
楽曲:Bridge Over Troubled Water by Paul Simon

  • 動画:YouTube
  • 成績:SP 81.23(1位),FS 150.83(1位),総合 232.06(1位)
  • プロトコル

2016年の春に女性が足の手術をしたため、今季の初戦が四大陸だった。そこでの演技も素晴らしかったが、ワールドの演技はさらに流れがよくなっていた。
3Sで、女性が転倒してしまったが、その転倒さえ、振り付けの一部のようだった。ユニゾンがすばらしく、つなぎで滑ってるときのフリーレッグや腕の角度がぴったりそろっている。
このプログラムのすべてに心の琴線がかき鳴らされまくりだが、マイ胸きゅんポイントは、序盤、4Tw3の後、つなぎで男性が女性を後ろからハグしてイーグルするところと、終盤、3Li4の前に、女性が男性のスケート靴に足をのせ、男性がイーグルするところ。大好き☆
演技中の二人の表情が、切なさと情感があふれてて、とっても素敵なのだが、演技後はさらに感動的。特にハンくんの表情にぐっときた。万感の思いを込めてハグする二人の姿に、涙涙である。
昨季同様、今季も彼らの演技にハートをわしづかみにされ、もうすっかり大ファンである。来季こそは、じかに演技が見たいなぁ…(ため息)。

1位 本郷 理華(日本) SP 2016年全日本選手権

美しい……(深々とため息)。今季、彼女の美しさは、マジでひれ伏すレベルだと思うが、特にこのSPでの演技はもうもうもう……!!!! 最初から最後まですべての動きとポジション、ラインが美しくてうっとりと見入るばかりである。今季はジャンプが不安定でなかなか思うような結果は出なかったが、このSPに関しては、いくらジャンプが失敗しようと魅了されっぱなしだった。
ベストパフォーマンスは、全日本の演技を挙げたい。今回改めて見直したが、口ぽか〜んと見とれるしかなかった。女性らしい優美な曲線の動きに、彼女ならではのダイナミックさが加わって、本当にすばらしい。表情がねぇ、またいいんですよ。妖艶でありながら慈悲深さまで感じる。まるで女神のごとく神々しい。

◆総評
昨季は、自分のベスト10を見てみて、あまりにも男子シングルに偏っていた(ベスト10中、7つ)上に、ペアは1つだけ、アイスダンスは1つも入っておらず、「来季はカップル競技について、もっと理解を深めたい」と思ったのだった…(汗)。
まぁその反省が生かされたのか、偏りは減ったよね。今季はJGPやGPシリーズのカップル競技の演技も見るようになったので、自然とお気に入りも増えたのだと思う。
ベスト9は、すんなり決まったのだが、10位の候補が6、7つあって、1つに絞るのにたいへん苦労した。どれも同じくらい好きだったもので(汗)。ただまぁ何度も見ているうちに、おのずと絞られてくるものなんだな〜ということも分かった。
選手の皆さん、今季も素敵な演技をたくさん見せてくれて、本当にどうもありがとう☆ 来季はいよいよオリンピックシーズン!! すべての選手が健康でいられますように!!(祈念)