全米2016 男子SP

昨日は「全米ライブ見られるぞー!!」とウキウキしていたら、女子SPにおける魔物の暴れっぷりに撃沈・・・(涙)。魔物退散! 今日は、選手の皆さんが練習してきたことを十分発揮できますように!
今年の全米は、ミネソタ州セントポールのエクセルエナジーセンターで、男子シングルSPは、現地の1月22日(金)、日本の23日(土)に行われた。
全米2016リザルト

女子同様、選手の年齢は、画面に出た情報をそのまま載せてます。Jスポのアナウンサーの情報より+1歳です。
解説は杉田秀男さん、実況は赤平 大さん。競技が始まる前に、前回大会を振り返ります。
昨年の1位はジェイソン、2位はアダム、3位はジョシュア、4位がマックス。
その中でブラウンとジョシュアが欠場。加えてリッキーとモーラーくんも(泣)。
実況陣が、今季の注目選手として名前を挙げたのは、ネイサンとグラント、マイナー、マックス、アダム。優勝候補はアーロンとリッポンという見立て。その2人が最終グループ、最終滑走の1つ前と最終滑走に固まっている。

●第1グループ
実況陣が、6分間練習の間、注目の選手、ネイサンについて語る。ここ数シーズン続いていた怪我や経歴について。全米の各年代で優勝してきた彼が、シニアのチャンピオンにもなれるかどうか。
ネイサンは、ジュニアのGPファイナルから衣装を変えてきた。なんで変えたのだ!? 前の白のほうがゴージャスでかっこよかったのに! この赤の衣装はチープで、似非マイケルぽくてヤダー。
1 Alexander Johnson アレクサンダー・ジョンソン

  • 使用曲:Trance
  • 3A 3F+3T 3Lz転倒

6年連続6度目の出場の25歳。
3Aを降りて、おお! と思ったんだけど、トゥが付いちゃったのがもったいなかった。エキゾチックな音楽をよく表現していて、ボディームーブメントが素敵だった。スピンも上手〜。
ミネソタが地元とのこと。トム・ディクソンがコーチなんだな。73.69。

2 Ben Jalovick ベン・ジャロヴィック

  • 使用曲:Absurdity
  • 2A 3F+2T 3Lz

初出場の22歳。ルッツが回転足りずに途中で開いた。コミカルでユーモラスな振付。足首が硬い印象を受ける。ステップの振りが大ざっぱな感じ。スピンの軸がまっすぐでうまい。
杉田先生いわく、「上体の使い方が不十分。あまりジャンプの得意なタイプの滑りじゃない」。
エイドコーチがキスクラに。昨日の女子SPでもたくさん見たなぁ。相変わらずチャーミングでお美しい。48.16。

3 Emmanuel Savary エマニュエル・セイヴァリー

  • 使用曲:Viejos Aires
  • 4S 2A 3F+3T

シニアでは初出場の18歳。全米男子ではめずらしいアフリカ系の選手。
ジャンプではいくつかミスが出た。キレとスピードがあって、長い手足を使って、音楽をよく表現していた。スピンの軸がまっすぐで、回転も速い。
杉田先生いわく、「思い切りのいい動き。先が楽しみ。のびしろがある」。わたしも同感。エマニュエル・サヴァリ、覚えておこう。62.96。

4 Nathan Chen ネイサン・チェン

まだ16歳かー。全米のEXとか世界ジュニアで何度も見てるから、もっと年上のような気がしてた。滑る前の彼を見て、杉田先生が、「かなり緊張している」とのこと。
4S着氷乱れ、4T+3Tクリーン、3Aお手付き。杉田先生いわく、「後半になってもスピードが落ちなかった」。極度の緊張の中、こんなに高難度プログラムなのに。末恐ろしい16歳だ。
マイケルっぽい振りでは、場内が沸いていた。ボストンのワールドで披露できたら、めっちゃ盛り上がるだろうなー。振付は、きっちりこなしてるんだろうけど、マイケルのメドレーだからさー、もっとはじけようぜ。86.33。

●第2グループ

実況陣は、ネイサンとジョウの怪我について。ジョウも怪我がちなのか。
怪我の原因として、技の難度が上がっていることと試合の増加が挙げられていた。競技会が増えているので、体を鍛えなおす時間がない。女子は特に体が変わるので、影響が出やすい。男子も成長期には怪我をしやすい。

5 Jimmy Ma ジミー・マ

昨年初出場で18位。2年連続2度目の出場の20歳。
使用曲の「Tsunami」って、津波のことよね? へえー、そんな曲があるんだな。
連続ジャンプは素晴らしかった。フリップ抜けちゃったー。ステップで転倒。ギャー、もったいない! バネがあってパワフルな滑りだった。51.95.

6 Sebastien Payannet セバスチャン・ペヤネット
2A 3Lz転倒 3S+2T

スピンがうまい。ステップも素敵〜。長い手足を大きく使って、ロマンティックなメロディをよく表現していたと感じたのだが、杉田先生は「体をうまく使ってほしい。変化がほしい」と言っていた。56.10。

7 Grant Hochstein グラント・ホックスタイン

  • 使用曲:Due Tramonti
  • 4T転倒 3A 3Lz+2T

7年連続7度目の出場の25歳。最高順位は7位。この記録を超えてほしい。今季、NHK杯4位。NHK杯での演技には心打たれた。
他の選手との格の違いを感じる。スピンは芸術の域。ステップにもうっとりさせられた。
杉田先生いわく、「表現力はとても良くなり、進歩がみられるが、ジャンプの質が良いタイプじゃない。ジャンプを跳ぶときに上体に力が入る。肩が持ち上がって首が絞められるような感じの回転をするので、きれいな回転と見なされない」。
なるほどー。この年でジャンプの矯正は難しいだろうけど、空中姿勢に問題あるなりに、だいぶ安定してきたよね。3Aがコンスタントに決まるようになってきたもん。79.26。
お、転倒があった割に高い得点が出た。よかったー。

8 Vincent Zhou ヴィンセント・ジョウ

  • 使用曲:Crystallize
  • 3A 4S 3Lz+3T

シニアは初出場の15歳。全米ジュニアで優勝したこともある。赤平アナによると、「長く故障でシーズンを棒に振ってきた」。
ジュニアのGPファイナルのときは、さほど感じなかったけれど、やはりお兄さんたちの中で見ると、いろんなところがまだ少しジュニアっぽい。
杉田先生いわく、「体全体を使えるようになってほしい」。68.10。

9 Ross Miner ロス・マイナー

  • 使用曲:New York State of Mind
  • 3F 3A 3Lz+3T

ジュニアのころから見守っていたマイナーも、24歳になりました。
3Lzでひやっとしたけど、きちっと3Tを付けて降りた。根性を感じた。
全てのエレメンツがただクリーンというだけでなく、間の取り方や緩急の付け方まで神経が行き届いた演技だった。ローリー振付のおしゃれで小粋なプログラムを、みごとに表現していた。
「地元ボストンのワールドに絶対出る!!」という強い意志を感じた。泣けた。場内スタオベ。90.90。

●全米殿堂入り

サーシャ・コーエンとタニス&ベン、エヴァンさんが全米殿堂入りで、表彰されていた。
久々に見たベンが、さわやかになっていた(笑)。コーエンとタニスは相変わらずお美しい。コーエンはニックスコーチがエスコート。タニスはベンとチャーリーに。両手に花ですな(笑)。前髪ふわふわエヴァンさんは、フランクコーチと一緒に。
アイスリンクに大きなスクリーンがあって、そこに紹介VTRが流れたのだが、エヴァンさんの紹介で、ヘビ衣装が出てきて笑った。ヘビ衣装を着て、オリンピック表彰台のてっぺんに立つチャンピオン(笑)。

●第3グループ

赤平アナから、今回出場選手の中で、全米表彰台の経験者は、アーロンとマイナー、リッポンしかいないという情報あり。
カレン・オイは、大学進学を理由に一度、引退してるんだよね。またスケートを始めてたと知って、嬉しかった。

10 Eric Stinehart エリック・スタインハート

  • 使用曲:Homecoming
  • 3Lz+3T 3F 2A

初出場の17歳。モーラー欠場により出場。またジュニアっぽい。音楽を表現するところまでいけてない感じ。スピンがうまい。アメリカの選手って、軸がまっすぐで回転早くて氷に穴をあけられそう。ジャンプの質はイマイチっぽいけど、今できることをきっちりやれた演技だったんじゃなかろうか。
パトちゃんの前コーチがキスクラに。久々に見た。お元気そうで何より。49.11。

11 Sean Rabbitt ショーン・ラビット

5年連続5度目の出場の25歳。
ダイナミックな滑り。音をよくとらえたボディームーブメント。特に最後のスピンで、ポジションチェンジが音にピタッと合ってて気持ちよかった。66.71。

12 Timothy Dolensky ティモシー・ドレンスキー

  • 使用曲:Cinema Paridiso
  • 3A 3F+3T 3Lz

3年連続3度目の出場の23歳。杉田先生によると、自分で作曲もするそうです。
ジャンプはすべて着氷が乱れたが、根性で手は付かず。最後のスピンの回転速度の速さはステファンを思い出させた。
男性ヴォーカルの朗々とした歌声にマッチした、なめらかな滑り。体を大きく使って、情感たっぷりに演じていた。
杉田先生が、「スケートがよく滑っている。とても良いスピンをしている」とほめていた。80.01。

13 Curran Oi カレン・オイ

  • 使用曲:Csardas
  • 2A 3F+2T 3Lo

初出場の25歳。うっわー、あんま変わってないな。若い。
杉田先生が話していたように、エレメンツをこなすのに一所懸命で、音楽表現をする余裕はなさそう。音楽がチャールダッシュだからもっと緩急をつけないと。これは選曲ミスじゃないかなー。
赤平アナによると、彼、マサチューセッツ工科大学イエール大学の博士号保有だそうですよ! 今は、フィギュアスケートの採点システムを効率化する会社を経営しているそう。まだ25歳なのにすごいな〜〜。しかもコーチは弁護士(もちろん元選手だけど)。
杉田先生によると、アメリカのスケート連盟の役員は、ハーバード大卒とか、高学歴の面々が多いらしい。48.66。

14 Daniel Kulenkamp ダニエル・クーレンカンプ

  • 使用曲:Jason Mraz メドレー
  • 3A転倒 2Lz 3F

初出場の20歳。もともとミネソタ出身だそうで、場内から大きな拍手を受けていた。
3Aは、回転足らずに転倒し、コンボが入らなかった。ジャンプに大きなミスが出たけど、男性ボーカルの曲を、体全体を大きく使って表現していた。スピンとステップはよかったわ〜。特にスピンは見ごたえがあった。
杉田先生いわく、「これだけ滑れる選手なのに、フリーレッグのトゥのおさえがきちんとしてないのが気になる」。
赤平アナによると、全米の常連だった、ダグラス・ラザノが振付しているらしい。おお、ではそのうち全米のキスクラでも姿が見られるかしら。56.97。

●第4グループ

6分間練習の間、実況陣が、アダムの髪色について言及(笑)。黒くなってた。杉田先生は、シーズン初めに彼の髪が紫っぽい色になっているのを見て、ビックリしたらしい(笑)。
マックスが、クリーンな4S降りてたー。

15 Scott Dyer スコット・ダイアー

  • 使用曲:アディオス・ノニーノ/La Cumparsita
  • 3A 3Lz+2T 3F

2014年の全米で18位だった24歳。キャロルコーチに送り出されてた。キャロルコーチは、今日もダンディーで素敵☆ 帽子似合ってます☆
お尻が突き出た姿勢に見えて気になったけど、お尻の筋肉がすごいだけかも。前半はゆったりした美しい曲に合わせて滑り、後半はタンゴの曲に合わせてキビキビ動けていた。ジャンプの回転がギリギリな感じだけど、スピンとステップは良かった。59.67。

16 Shotaro Omori 大森勝太朗

  • 使用曲:Your Song
  • 3A 3F+3T 3Lz

両親ともに日本人の20歳。コーチに背中ポンポンされてた。振付はアボちゃん。
ジャンプの着氷がちょっと危ないところがあった。スピンのキャメルポジションで、もっと膝がぴしっと伸ばせると、もっとかっこよく見えるのになー。ステップの時も同じように感じた。
印象的な振付がいくつも入っていて素敵だったのだが、何か物足りないように感じてたら、杉田先生いわく、「全体的にキレのある動きがない」。ああ、なるほど。63.82。

17 Robert Przepioski ロバート・プルゼピオスキー

  • 使用曲:サタデーナイト
  • 2A 3Lz+2T 3F

3年連続3度目の出場の25歳。過去2大会とも19位。
ダブルアクセルの入るまでの流れがかっこよかった。音楽に合わせて動けてるんだけど、腕の使い方がぶんぶん振り回してるように見える。体全部を使えてない感じ。
杉田先生は「全米に出てくるレベルじゃない。エレメンツで点が取れない」とバッサリ。でも、実況陣が言うように、選手本人が楽しんでいるのが伝わってくる。49.38。

18 Max Aaron マックス・アーロン

4S+3T 3A 3Lz
2013年の全米チャンピオン、23歳。
リンクに出てきた彼を見て、杉田先生が「かなり緊張しているみたいですね」。うん、緊張するよね、優勝候補だもんね。
クリーンな4S+3Tで、杉田先生の「よくコントロールされてます」キター!! 冒頭のスピードがすごくて、マックス号爆走!! 杉田先生も表現がとても良くなったと称賛。わたしも同感だけど、パバロッティの歌声が盛り上がってるところの表現は、少々物足りなく感じた。もっとパッションを感じさせてほしい。91.83。
おお、クワドなしのマイナーと、そう変わらないスコア。マイナーにもチャンスあるそ。

19 Adam Rippon アダム・リッポン

  • 使用曲:リブ・フォーエバ
  • 3Lz+3T 3A 3F

2012年と2015年の全米銀メダリスト、26歳。
よかった。よかったんだけど、彼の本来の滑りではない感じ。気合が空回りしちゃったか。でも、最後の2本のスピンは素晴らしかった。凄みさえ感じた。
クワド入らなかったし、どうかなーと心配してたんだけど、思ってたより高いスコアが出た。88.01。
優勝争いに踏みとどまれたー。よかったー。まだチャンスあるよ! がんばれ〜。

全米男子ショートプログラム終わって、順位は下記のとおり。

  1. Max Aaron, Broadmoor SC 91.83
  2. Ross Miner, SC of Boston 90.90
  3. Adam Rippon, SC of New York 88.01
  4. Nathan Chen, Salt Lake Figure Skating 86.33
  5. Timothy Dolensky, Atlanta FSC 80.01
  6. Grant Hochstein, SC of New York 79.26
  7. Alexander Johnson, Broadmoor SC 73.69
  8. Vincent Zhou, Broadmoor SC 68.10
  9. Sean Rabbitt, Glacier Falls FSC 66.71
  10. Shotaro Omori, Los Angeles FSC 63.82
  11. Emmanuel Savary, University of Delaware FSC 62.96
  12. Scott Dyer, All Year FSC 59.67
  13. Daniel Kulenkamp, Coyotes SC of Arizona 56.97
  14. Sebastien Payannet, Rocky Mountain FSC 56.10
  15. Jimmy Ma, Ice House Of New Jersey FSC 51.95
  16. Robert Przepioski, Rochester FSC 49.38
  17. Eric Stinehart, Skokie Valley SC 49.11
  18. Curran Oi, Yale FSC 48.66
  19. Ben Jalovick, University of Delaware FSC 48.16

女子SPとは対照的に、男子SPは、注目選手がほぼ予想通りに自分の力を発揮できたのではなかろうか。トップ6の中で、特に心に残ったのはマイナーの演技。少々危なっかしい部分もあったんだけど、本当にエモーショナルかつクリーンな演技だった。
でも、ティモシーも自己ベストを10点も更新した演技をやってのけたし、マックスも素晴らしい4Sを跳んだ上にノーミスだったし、ネイサンだって、クワド2種類組み込んだ、攻めに攻めたジャンプ構成のプログラムを破綻なく滑り切った。アダムは4Lz入れられなかったし、グラントは、4Tで転倒しちゃったけど、それぞれの持ち味を発揮して、素敵な演技を見せてくれた。
フリーも、こうだといいな。