世界ジュニア2016 アイスダンスFD

世界ジュニア2016 リザルト
2016年の世界ジュニア選手権は、ハンガリーのデブレセン、フェニックス・アリーナで開催され、アイスダンスのショート・ダンスは、現地時間で3月19日(土)に行われた。

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今さらですが、ようやく録画を見ることができたので、感想を書いていきます。
日本のカップルが世界ジュニアに5年ぶりに出場し、みごとFDに進出することができました!
Jスポーツの解説は滝野薫さん、実況は小林千鶴さん。

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●第1グループ
4 深瀬理香子 / 立野 在

  • SD順位:19,得点:42.63
  • 楽曲:Dream a Little Dream, Puttin' on the Ritz

SDに引き続き、とても好感の持てる演技だったのだが、ツイズルで二人ともミス!(泣) でも、そこを除けば、今できることをきっちりやりきった演技だったように思う。
二人とも、顔の表情まできちんと演じられてるんだよな〜。特に深瀬さんは、終始素敵な笑顔で、ほんと、好感度大。日本に、こんな素敵なカップルが誕生していたとは! 嬉しい〜〜☆☆
フリー59.47、総合102.10。

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●第2グループ
8 Sara GHISLANDI / Giona Terzo ORTENZI(イタリア)

17歳と19歳。2度目の出場で、2年前の初出場のときは26位。今季、ジュニアの国内選手権優勝。
冒頭のムーブメントで場内を一気にエルヴィス・プレスリーの世界に引き込み、元気いっぱいに滑っていた。
滝野さんから、良いところはほめられつつも、いろいろダメ出しされていたのだが、演技からロックンロール魂がビンビン伝わってきて、好感が持てた。
フリー78.99、総合131.18。

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●第3グループ
11 Mackenzie BENT / Dmitre RAZGULAJEVS(カナダ)

  • SD順位:9,得点:56.76
  • 楽曲:Ben Hur (soundtrack) by Miklos Rozsa

ベン・ハーの壮大でドラマティックな音楽に負けない、大きくて力強い滑りだった。曲想をよく表現していたと思う。
滝野さんも彼らを高く評価していたのだが、プログラムの振付について、「ダンス用ではない映画音楽を選択するとありがちなのだが、トランジションでただのランが多くなってしまうのが気になった」と話していた。
フリー81.85、総合138.61で、どちらとも自己ベスト更新!

13 Alla LOBODA / Pavel DROZD(ロシア)

  • SD順位:6,得点:58.93
  • 楽曲:Lo ti penso amore performed by David Garrett and Nicole Scherzinger, Paganini 5 by Edvin Marton

二人の距離がすごく近い。二人の体が絡み合ってるみたいに見える。なんであんなに絡み合いながらあんなにスピード出して複雑なステップやリフトができるんだろう。わけわからん。
滝野さんもほめちぎっていた。
フリー92.26、総合151.19で、フリーは自己ベスト更新! SDの転倒で出遅れてしまったが、FDでみごと巻き返してきた!

14 Betina POPOVA / Yuri VLASENKO(ロシア)

  • SD順位:7,得点:58.56。
  • 楽曲:Crazy in Love by Beyonce

SDではあんなに美しくエレガントだったのに、FDでは別人のよう。ダークで気だるげでなまめかしい音楽を、よく体現していた。まぁはっきり言うと、エロい(///)。エロス全開のプログラムだった。実況陣も驚嘆してたけど、この年でこれを表現できるってすごいわ〜。
フリー87.65、総合146.21。

15 Angelique ABACHKINA / Louis THAURON(フランス)

  • SD順位:8,得点:58.34
  • 楽曲:Spartacus by Aram Khatchaturian

ぐっはー、美しい!!! 最初から最後までほんっっとうに美しかった。女性がマジ女神のような美しさ!! 自然と女性の方に目がいってしまう。
スパルタクスの、ダイナミックで激しい音楽を、みごとに表現していた。音楽の一番の盛り上がりに壮大なリフトをどど〜んと持ってきたときの高揚感と爽快感ときたら!! 素晴らしい〜〜!!
キスクラのブルザを見て、彼の個性的なファッションについて触れずにはいられない実況陣(苦笑)。
フリー86.91、総合145.25で、SDもFDも自己ベスト更新!!

第3グループが終わって、トップはAlla LOBODA / Pavel DROZD(ロシア)。

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●第4グループ
16 Marie-Jade LAURIAULT / Romain LE GAC(フランス)

ツイズルで女性がバランスを崩して、大きくズレてしまったーーあああーー(泣)。
滝野さんによると、素晴らしい部分と、ちょい物足りなかった部分があったみたい。彼女から、「ステップで、サイドバイサイドのホールドが多く、対面ポジションが少ない」との指摘があった。あー、確かになー。今はジュニアでもみんな多種多様なホールドを入れてくるので、少し単調に感じられたかも。
フリー84.61、総合144.26。現時点で総合4位。SDより順位を落としてしまったー(泣)。

17 Elliana POGREBINSKY / Alex BENOIT(アメリカ)

千鶴さんによると、女性の両親はウクライナからの移民で、彼女自身は新体操の選手でもあったらしい。
長い手足を使って、大きくダイナミックに滑っていた。が、滝野先生いわく、「女性のつま先のターンマークがいつも不十分で、つま先が下を向いていることが多い。つま先のラインが決まらないと、ポーズが小さく見えてしまう。もったいない」とのこと。確かにSDでも感じたことだが、これだけ長身のカップルなら、もっと大きく見えていいはずだもんなー。せっかくの強みなんだから、頑張って改善してほしい。
フリー87.78、総合146.83で、どちらとも自己ベスト更新! 現時点で総合2位。

18 Rachel PARSONS / Michael PARSONS(アメリカ)

  • SD順位:2,得点:67.88
  • 楽曲:La Malamada by Medialuna Tango Project, Palabras y Viento by Medialuna Tango Project

か・ん・ぺ・き!! 終始ぼへ〜〜と見入ってしまった。この年で、兄妹カップルで、ここまでタンゴの世界を表現できるって、すごいなー。
滝野さんいわく、「このような演技構成だと、ジャッジも『うん、よかった!』という満足感があるので、迷うことなく採点しやすい」。
フリー94.86、総合162.74で、SDもFDも自己ベスト更新!! 現時点でもちろんトップ!!

19 Anastasia SHPILEVAYA / Grigory SMIRNOV(ロシア)

ハラショーーーー!!!! この二人が「シェルブールの雨傘」を滑ると知って、見る前から素晴らしいんだろうなーと期待が高まったが、その期待に十分応えてくれた。
滝野さんも言ってたけど、このはかなさ、みずみずしさは、十代の今だからこそできる演技という気がする。わたしの中でアイスダンスの「シェルブールの雨傘」と言えば、テッサ&スコットだったが、そこに彼らが加わったよ!! 滝野さんも似たようなことを話していた。そういう人、多いんじゃないかなぁ。
フリー87.40、総合で146.55で、SDもFDも自己ベスト更新!! 現時点で総合4位。

20 Lorraine MCNAMARA / Quinn CARPENTER(アメリカ)

SD2位だけど、最終滑走でラスボス登場感ハンパない。そしてまさにパーフェクト!!な演技で締めくくってくれた。
もうなんなのなんなの!? 17歳と20歳でカルメンの世界をここまでみごとに表現するってどういうことなの!? 将来が末恐ろしすぎる…そして楽しみすぎる…。
SDに引き続き、滝野さん大絶賛。「二人とも以前から独特の表現力を持っていたが、年々抜きん出たカップルに成長し、特に今季は大きくパワーアップした。難しいステップを、優れた音楽表現を伴いながら、楽々とこなしていた。また、体の成長とともに演技のスケールもどんどん大きくなっているように感じる」。
フリー97.40、総合163.65で、どちらとも自己ベスト更新! FDで100点近く出てる。すげー。そして当然のことながら総合1位。優勝おめでとう!!

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アイスダンスの総合順位は下記のとおり。ここでは20位まで。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Lorraine MCNAMARA / Quinn CARPENTER USA 163.65 2 1
  2. Rachel PARSONS / Michael PARSONS USA 162.74 1 2
  3. Alla LOBODA / Pavel DROZD RUS 151.19 6 3
  4. Elliana POGREBINSKY / Alex BENOIT USA 146.83 5 4
  5. Anastasia SHPILEVAYA / Grigory SMIRNOV RUS 146.55 4 6
  6. Betina POPOVA / Yuri VLASENKO RUS 146.21 7 5
  7. Angelique ABACHKINA / Louis THAURON FRA 145.25 8 7
  8. Marie-Jade LAURIAULT / Romain LE GAC FRA 144.26 3 8
  9. Mackenzie BENT / Dmitre RAZGULAJEVS CAN 138.61 9 9
  10. Sara GHISLANDI / Giona Terzo ORTENZI ITA 131.18 12 11
  11. Nicole KUZMICH / Alexandr SINICYN CZE 128.91 14 10
  12. Melinda MENG / Andrew MENG CAN 128.83 10 12
  13. Marjorie LAJOIE / Zachary LAGHA CAN 128.06 11 13
  14. Ho Jung LEE / Richard Kang In KAM KOR 119.13 13 14
  15. Anzhelika YURCHENKO / Volodymyr BYELIKOV UKR 112.65 15 16
  16. Ria SCHWENDINGER / Valentin WUNDERLICH GER 109.00 17 15
  17. Maria OLEYNIK / Yuri HULITSKI BLR 106.31 16 18
  18. Maria GOLUBTSOVA / Kirill BELOBROV UKR 105.90 20 17
  19. Rikako FUKASE / Aru TATENO JPN 102.10 19 19
  20. Alexandra BORISOVA / Cezary ZAWADZKI POL 100.31 18 20
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◆来季の枠

  • 3枠:アメリカ、ロシア
  • 2枠:フランス、カナダ、イタリア

カナダは枠を1つ減らし、イタリアは1つ増やした。

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◆総評
SDの総評でも書いたが、ジュニアのアイスダンスのハイレベルさに恐れ入った大会だった。どの組も素晴らしくて、これからの成長が楽しみでならない。
優勝のマクナマラ&カーペンターと2位のパーソンズ兄妹は同門なんだよね。滝野さんによると、ロシア出身のコーチがスタッフにたくさんいるところで練習しているらしい。「欧州と北米の演技スタイルが絶妙に融合した雰囲気を感じる」とのこと。

アメリカとカナダの世界&五輪チャンピオンを育てたズエワもシュピルバンドもロシア出身だし、近年、アイスダンスにおいて、北米が目覚ましい躍進を遂げている背景には、ロシア出身のコーチの存在が欠かせないんだろうな。ロシアのスケート関係者は複雑な気持ちかもしれないが、アイスダンス全体の発展を考えたら、すばらしい影響をもたらしていると思う。

にしても、アメリカは今大会1位、2位、4位と、アイスダンス大国ぶりを見せつける結果であった。シニアの充実ぶりもすごいし、ロシア並みに群雄割拠だよなー。見る方は幸せだけど、選手は大変だろうなー。

もう一つのアイスダンス大国、ロシアも、3位、5位、6位と立派な結果を残した。特に5位のシュピレワヤ&スミルノフには、ばきゅんとハートを撃ち抜かれたよ。もうすっかりファンです! ロシア国内では非常に過酷な競争が繰り広げられているが、どうかこれからも、素敵な演技をたくさん見せてほしい。

7位と8位のフランスは、両カップルとも個性的で素敵で上手でビックリした。やっぱ、パパダキス&シゼロンの世界チャンピオン効果なのかなー。
とりわけ、7位のアバチキナ&トロンの美しさには、ほんと度肝を抜かれたわー。とりわけ女性は美の化身のごとく美しかった。

さて、われらが日本代表、19位の深瀬&立野は来季もジュニア続行とのこと。インタビューで、「ジュニアのGPにもっと出て、来年は世界ジュニアでもっと上の順位を目指したい」と話していた。うん、ぜひぜひがんばって〜!
滝野さんによると、立野くんが、「どうしてもロマン・アグノエル先生に習いたい」ということで、モントリオールで練習しているらしい。ウォーカープラスの記事にも、そう書いてあったなー。彼はショーンヘルダーを目指しているそうだが、わたし、デロベル&ショーンヘルダーが、大大大好きだったので、あんなふうに成長してくれたら嬉しすぎてどうにかなってしまうと思う。日本でカップル競技を続けるのはいろいろ大変だろうけど、どうか長く続けられますように。