世界ジュニア2016 アイスダンスSD

世界ジュニア2016 リザルト
2016年の世界ジュニア選手権は、ハンガリーのデブレセン、フェニックス・アリーナで開催され、アイスダンスのショート・ダンスは、現地時間で3月17日(木)に行われた。

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今さらですが、ようやく録画を見ることができたので、感想を書いていきます。
ジュニアのアイスダンスは、世界ジュニアくらいしか見る機会がないので、選手のこともほとんど知らない状態です。
今大会には久々に日本のカップルが出場するので、めっちゃ楽しみにしてました☆ 滝野さんによると、5年ぶりとのこと。あー、長かった!
Jスポーツの解説は滝野薫さん、実況は小林千鶴さん。

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8 深瀬理香子 / 立野 在

  • 楽曲:
    • Waltz: Aquarellen by Josef Strauss
    • Polka: Feuerfest - Polka Francaise by Josef Strauss

ともに初出場の18歳。
女性のチュールのスカートがふんわりしてて、とっても素敵☆
今できることをきちんきちんとやり切った演技だったのではないか。
ニゾンもいいし、若々しさと品の良さが相まって、好感度の高いカップル。
滝野さんいわく、「2年前、立野くんが新しいパートナーを探していたとき、たまたま深瀬さんとの出会いがあって、トライアウトを兼ねてバッジテストを受験してみようという話になった。しばらく練習してみたら、お互いとても良い感覚だったようで、練習期間3か月で西日本に出場したのがスタートだった。昨年春の強化合宿やGP選考会の後、カナダに渡ってから、目覚ましい進歩を遂げた。初めて手にした国際派遣、ジュニアGPの大会で、ミニマムスコアをクリアし、組んでたった1年半で世界ジュニア出場を実現した」。
滝野さんは、彼らの成長が嬉しくって仕方ないらしく、言葉の端々から喜びがあふれていた。
練習先は、モントリオールのデュブレイル&ローゾンのところ。世界チャンピオンをはじめ、トップのカップルがぞろぞろいるリンクだもんなー。最高の練習環境だ。
二人についてさらに知りたい方は、下記の記事をどうぞ。

それにしても、このニュースウォーカーは、スポーツ専門じゃないのに、フィギュアスケートカップル競技や、テレビであまり取り上げられない、中堅どころの選手についても記事を書いてくれて、本当にありがたい。これからもよろしくお願いします。
42.63で自己ベスト更新! 初出場の大舞台でPB出すなんて素晴らしい!

10 Marjorie LAJOIE / Zachary LAGHA(カナダ)

  • 楽曲:
    • Waltz: Gramophone by Evgeni Doga
    • Polka: Furioso by Johann Strauss jr

今季、ジュニアの国内選手権2位、ユースオリンピック4位。世界ジュニア初出場の15歳と16歳のカップル。まだまだあどけない感じ。かわいい☆
でも、いったん滑り出したら、さすがカナダ代表だけあって、素人目にもうまいとうならされた。滝野さんも言ってたけど、ワルツからポルカへの音楽表現の変化が明確で、すばらしかった。
52.57で自己ベスト更新! 深瀬&立野より10点近く上のスコア。確かになー、滑りとスピードが違うって感じだったもんなー。
バイオを見たら、女性はプロの女優で、テレビのCMに出てるらしい。女優とスケートを両立してるなんてすごいなー。本田望結ちゃんみたい。

16 Mackenzie BENT / Dmitre RAZGULAJEVS(カナダ)

  • 楽曲:
    • Waltz: Time After Time
    • Foxtrot: La Grande Valse - Happy Ending

初出場の18歳と19歳。組み替えを行ったとのこと。女性は前のパートナーと世界ジュニアに3度出場しており、成績は5位、12位、5位。今季、ジュニアの国内選手権で優勝。
大人っぽい雰囲気の二人。組んで1年目とは思えないうまさ。前の2組とは明らかにエッジの傾きが違う。まさにディーーーープエッジ!! 滝野さんもほめちぎっていた。
56.76で自己ベスト更新!

18 Marie-Jade LAURIAULT / Romain LE GAC(フランス)

  • 楽曲:
    • Waltz: And the Waltz Goes On performed by Andre Rieu
    • Polka: Susie (If You Knew Susie) performed by Andre Rieu
    • Waltz: And the Waltz Goes On performed by Andre Rieu

組んで2シーズン目、初出場の19歳と20歳。この二人、私生活でもカップルで、すでに結婚しているとのこと。すごいな。愛だ。女性はカナダ出身。今季ジュニアのGPファイナル5位。
うま…うまーーーー!!!! 終始、食い入るように見つめてしまった。なんだなんだなんなんだ!? 世界ジュニアっていつの間にこんなハイレベルな人たちの大会になってたの!? 出てくる組出てくる組、ジュニアとは思えないうまさで、もうもうビックリである。
実況陣からも称賛の嵐であった。
千鶴さんが、「シニアとジュニアの違いは、PCSに表れるが、最近はジュニアのトップは大分上がってきた」と言うのに対し、滝野さんが、「その要因は、元トップクラスの選手たちがコーチになり、どうすれば勝てるかがよく分かっているので、プログラムの内容が本当に緻密で濃くなってきていることにあるのではないか。また、基礎練習が大切なことも理解しているので、教え子たちにそういう練習をさせるので、スケーティングスキルもどんどん上がってきている」と答えていた。
59.65。これだけすばらしい出来なのにSBではないという恐ろしさよ。

23 Anastasia SHPILEVAYA / Grigory SMIRNOV(ロシア)

  • 楽曲:

初出場の16歳と18歳。今季、ジュニアの国内選手権3位、ユースオリンピック優勝。女性はウクライナ出身。組んで4シーズン目。
フォックストロットでは明るく軽快に、ワルツでは明るく優雅に、音楽を見事に演じ分けていた。滝野さんも何度もくり返しほめていたけども、ほんと、シャープでクリアーな動きで、見ていてすごく気持ちがいい。
こんなにうまくてまだ16歳と18歳とか信じられない…。もうシニアでも十分通用しそう。だけど、ロシアは群雄割拠でシニアに上がってもなかなか国際大会に派遣してもらえないからなー。年齢制限ギリギリまでジュニアでキャリアを積むのもアリだよなー。
59.15で自己ベスト更新!

25 Melinda MENG / Andrew MENG(カナダ)

  • 楽曲:
    • Waltz: Danse Macabre by Camille Saint-Saens
    • March: The Bolt by Dmitri Shostakovich

初出場の17歳と19歳。アジア系の兄妹カップル。ジュニアの国内選手権3位。最近、アイスダンスでもアジア系の組が増えてきて嬉しい。
滝野さんは技術の正確さをほめていたし、わたしのような素人にもそのうまさは伝わってきた。がしかし、これはもうわたしの勝手な好みの問題なのだが、「死の舞踏」を使った部分が、わたしにとって心地よく感じるテンポよりゆっくりで、間延びしているように感じてしまった。
52.60。

26 Elliana POGREBINSKY / Alex BENOIT(アメリカ)

  • 楽曲:Waltz: My Sweet and Tender Beast by Evgeni Doga

2度目の出場の17歳と20歳。去年は13位。今季ジュニアの国内選手権3位。組んで2シーズン目。
この組もすばらしかったのだが、滝野さんの解説を聞くと、多少ミスがあったらしい。わたしはまったくもって気づけなかったが。もちろん良かった面もたくさんあって、滝野さんも、ミスを指摘しつつ、基本的にはすごくほめていた。
ただ、実況陣も言っていたことだが、せっかく173㎝と188㎝の長身カップルで、長く美しい手足をもっているのだから、そこをもっと生かした振付にすればいいのになーと感じた。SDの振付がそこを生かしてないとは思わないが、もっともっと生かせるんじゃないかなー。ちょっともったいない気がした。
59.05。

27 Lorraine MCNAMARA / Quinn CARPENTER(アメリカ)

  • 楽曲:
    • Waltz: Anitra's Dance (from "Peer Gynt") by Edvard Grieg
    • March: In the Hall of the Mountain King (from "Peer Gynt") by Edvard Grieg

17歳と20歳。4度目の出場で、去年は2位。今季負け知らずで、ジュニアのGPファイナルも国内選手権も優勝。
さすがに覚えの悪いわたしでも、彼らのことは覚えていた。二人ともファニーフェイスでキュートなんだよねー。
野性味あふれる個性的な衣装で、一目見た瞬間、何を滑るんだろうとワクワクさせられる。音楽はペールギュント
パターンダンスのジャンプエントリーが超クール!!
これまで見た組も相当うまかったのだが、この組はその上をいってすごかった。滝野さんも、「他の組とは段違いの滑り。堪能した。指定されたリズムやテーマに対して、想定以上の意外性がある作品を作り上げている」と大絶賛。
66.25で、自己ベスト&SBと同じ得点!

28 Angelique ABACHKINA / Louis THAURON(フランス)

  • 楽曲:
    • Waltz: Don Quixote by Leon Minkus
    • Polka: Don Quixote by Leon Minkus

16歳と20歳。3年連続出場で、去年は8位。女性はロシア出身。
ドン・キホーテの音楽をみごとに表現していた。が、ツイズルで、女性がちょこっとミス。もうこのレベルになるとツイズルのミスくらいしか分からない(苦笑)。
滝野さんが、「美しいカップル。女性の所作がほんと丁寧で美しくてエレガント」と称賛していた。
コーチがブルザ☆
58.34で自己ベスト更新!

29 Betina POPOVA / Yuri VLASENKO(ロシア)

  • 楽曲:
    • Waltz: At Voland's Ball (from "The Master and Margarita") by Igor Korneliuk
    • March: Voland (from "The Master and Margarita") by Igor Korneliuk

19歳と21歳。3年連続出場で、去年は11位。今季、ジュニアのGPファイナル4位、国内選手権2位。男性はウクライナ出身。2009年から組んでいて、お互い初めてのパートナーとのこと。おお、組み替えの多いロシアにおいて、貴重なカップルですな。
千鶴さんによると、ジュニアの国内選手権からプログラムを変えてきたとのこと。滝野さんいわく、シーズン前半は大変ダークで凄みのある曲を使っていて、万人受けしにくいプログラムだったらしい。それで変えてきたのかな? 新しいプログラムはエレガントで美しい曲。それをよく表現していた。
滝野さんは基本ほめつつも、ちょこちょこダメ出ししていたのだが、わたしにはどこがどう駄目なのか、ほとんどわからず(汗)。だって全部素敵に見えるんだも〜ん。
58.56。

30 Rachel PARSONS / Michael PARSONS(アメリカ)

  • 楽曲:Waltz: Cinderella's Departure for the Ball by Sergei Prokofiev

18歳と20歳の兄妹カップル。4度目の出場で、去年は4位。今季、ジュニアのGPファイナル3位、国内選手権2位。
さすがに覚えの悪いわたしでも、彼らのことは覚えていた(その2)。もうすっかり大人のカップルだなぁ。
滝野さんが「彼らの持ち味はパワフルでスピーディーな滑り」と言っていたが、まさにその通りのダイナミックな滑りを見せてくれた。滝野さんに、「全ての要素が完璧」と言わしめる出来栄え。
67.88で自己ベスト更新!

31 Alla LOBODA / Pavel DROZD(ロシア)

  • 楽曲:
    • Waltz Nr. 10 in H minor, op. 69.2 by Frederic Chopin
    • March: Russian Battle March

初出場の17歳と20歳。今季、ジュニアのGPファイナル2位、国内選手権優勝。
冒頭からロマンティックな物語がどしどし紡ぎ出され、「素晴らしい〜〜」とうっとり眺めていたのだが、最後の要素のステップで、女性がまさかの転倒!! ギャーー!!(ムンクの叫び)
58.93。

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SDが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、クオリファイ、名前、国名、TSS、TES、PCSの順に記されている。

  1. Q Rachel PARSONS / Michael PARSONS USA 67.88 36.66 31.22
  2. Q Lorraine MCNAMARA / Quinn CARPENTER USA 66.25 34.34 31.91
  3. Q Marie-Jade LAURIAULT / Romain LE GAC FRA 59.65 31.20 28.45
  4. Q Anastasia SHPILEVAYA / Grigory SMIRNOV RUS 59.15 31.70 27.45
  5. Q Elliana POGREBINSKY / Alex BENOIT USA 59.05 30.62 28.43
  6. Q Alla LOBODA / Pavel DROZD RUS 58.93 29.24 30.69
  7. Q Betina POPOVA / Yuri VLASENKO RUS 58.56 29.76 28.80
  8. Q Angelique ABACHKINA / Louis THAURON FRA 58.34 30.74 28.60
  9. Q Mackenzie BENT / Dmitre RAZGULAJEVS CAN 56.76 29.43 27.33
  10. Q Melinda MENG / Andrew MENG CAN 52.60 28.46 25.14
  11. Q Marjorie LAJOIE / Zachary LAGHA CAN 52.57 28.40 24.17
  12. Q Sara GHISLANDI / Giona Terzo ORTENZI ITA 52.19 24.67 27.52
  13. Q Ho Jung LEE / Richard Kang In KAM KOR 50.10 26.30 23.80
  14. Q Nicole KUZMICH / Alexandr SINICYN CZE 49.08 23.94 25.14
  15. Q Anzhelika YURCHENKO / Volodymyr BYELIKOV UKR 47.66 24.71 22.95
  16. Q Maria OLEYNIK / Yuri HULITSKI BLR 45.02 22.85 22.17
  17. Q Ria SCHWENDINGER / Valentin WUNDERLICH GER 43.87 23.42 20.45
  18. Q Alexandra BORISOVA / Cezary ZAWADZKI POL 42.80 23.49 19.31
  19. Q Rikako FUKASE / Aru TATENO JPN 42.63 23.29 19.34
  20. Q Maria GOLUBTSOVA / Kirill BELOBROV UKR 42.49 22.81 20.68
  21. Xibei LI / Guangyao XIANG CHN 41.16 22.19 18.97
  22. Guoste DAMULEVICIUTE / Deividas KIZALA LTU 39.98 20.07 20.91
  23. Villö MARTON / Danyil SEMKO HUN 38.63 20.95 17.68
  24. Ekaterina FEDYUSHCHENKO / Lucas KITTERIDGE GBR 38.12 20.43 18.69
  25. Viktoria SEMENJUK / Artur GRUZDEV EST 37.68 21.20 16.48
  26. Jenna HERTENSTEIN / Damian BINKOWSKI POL 37.68 20.85 16.83
  27. Hannah Grace COOK / Temirlan YERZHANOV KAZ 37.60 21.26 16.34
  28. Kimberly WEI / Illias FOURATI HUN 34.48 17.99 16.49
  29. Elizaveta ORLOVA / Stephano Valentino SCHUSTER AUT 32.53 18.22 15.31
  30. Matilda FRIEND / William BADAOUI AUS 31.98 16.84 15.14
  31. Yana BOZHILOVA / Kaloyan GEORGIEV BUL 28.27 15.27 14.00
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◆総評
深瀬&立野が、31組中19位でフリーに進めたーー!! ぃやったーーー!!!
さて、男女シングルでも感じたことだが、アイスダンスのレベルアップぶりにビビった。いつの間にこんなにうまくなってたんだろう。昔は、ほんの一握りの選手を除けば、「ああ、まだやっぱりジュニアだなぁ」という感じだったのに、今では、Jスポーツで放送されるレベルの選手みんなが上手で個性的で、シニアと比べても遜色ない。すごい。
わたしに語彙力と見る目がないために、どの組も「うまい」とか「ユニゾンがばっちり」、「流れが途切れない」、「音楽にぴったり合ってる」、「ムーブメントが素敵」等々、同じようなほめ言葉しか出てこなくて困る。