ベストパフォーマンス10(2015〜16)

さて、今日はフィギュアスケート界において、今季最後の日。
6番さんのように、ベストプログラム10を挙げていこうかと思ったのだが、わたしの場合、ベストプログラムだと10個に絞れないので、ベストパフォーマンスにしてみた。
このベスト10は、わたしがその演技をどういう環境で見たかということが大きく影響している。つまり実際に会場で見たり、ライブで見たりした演技が選ばれがち。
ベスト10と言いつつ、順位は付けられず。だってみんな素敵なんだも〜ん(開き直り)。10個に絞るのでさえ、一苦労だった。
では、そのパフォーマンスが披露された順(時系列)に挙げていきます。

宇野昌磨 FS 「トゥーランドットジャパンオープン

ジャパンオープンGPファイナルかで迷ったが、わたしが初めて(しかも生観戦で)見て、しかも非常に衝撃を受けたので、この時のパフォーマンスを選んだ。
「今季、いよいよシニアデビューね☆ どんな演技を見せてくれるのかなー☆」と、ワクワクしていたら、予想をはるかに超える素晴らしさに、どっかんどっかんハートを連打されまくり、瀕死の体になったという(笑)。もちろん、演技が終わったとたん、周りの人たちと一緒に大興奮で会場でスタオベした。
わたしにとって、「トゥーランドット」と言えば、トリノ五輪荒川静香だったが、そこに宇野昌磨が加わった瞬間だった。現時点で「彼のベストプログラムは?」と聞かれたら、迷わずこのプログラムを挙げる。
見所は、まぁぶっちゃけ最初から最後まで全部なのだが、あえて言うなら、3Sの後、男性ボーカルが「ネッスンド〜ルマ〜」と始まったところから最後まで。ボーカルが少しずつ盛り上がっていき、最高潮のクライマックスで、クリムキン・イーグルが入るところが、もう最高に気持ちいい。
この若さですでに、プログラムの流れに全てのエレメンツが溶け込んでおり、ジャンプもステップの一部になっているのが、本当に素晴らしい、末恐ろしい。

本郷理華 FS 「リバーダンス」中国杯

ワールドの演技とどちらにしようか散々迷った末に、中国杯の演技を選んだ。決め手は衝撃度のデカさ。彼女のGP初戦だったのだが、昨季からの成長っぷりが、わたしの想像のはるか上に飛び越えてきて、マジでビビった。
それから、中国杯のカメラワークのほうが、わたし好みだったというのもある(笑)。
見所は、前半のステップシークエンスと後半のコリオシークエンス。どちらも彼女のエネルギッシュな魅力が弾けていて、甲乙つけがたく素晴らしい。
SPの「キダム」も素敵だったなー。今季は、両方ともわたしの好きなプログラムで、幸せだった。

村上大介 SP 「レ・ミゼラブル全日本

全日本の感想にも書いたが、これまで彼の演技を見てきた中で、もっとも心打たれたパフォーマンスだった。男性ボーカルの、切なく朗々と響く歌声を体現していた。特にステップシークエンスの素晴らしさときたら。見るたびにうっとりしてしまう。今のところわたしの中で、これが彼のベストプログラムである。

宮原知子 FS 「ため息」四大陸

今季の彼女の演技は、どの試合もほぼノーミスで素晴らしかったので、どの大会を選ぶか非常に迷ったのだが、自己ベストを出して優勝した四大陸の演技を選ぶことにした。
見所だらけのプログラムだが、エレメンツに含まれないところの振付が特に印象的。冒頭のボディームーブメントや投げキッスするところ、誰かに駆けよっていくみたいなところとか。あと、コリオシークエンスのスパイラルも、ゆったりした曲想によくマッチしていて好きだわ〜。
動き全体に自然と表情が出てるんだよなぁ。ああ素敵…ほんと素敵…☆☆☆
SPの「ファイヤー・ダンス」も、とても素晴らしいプログラムだったので、宮原ファンにとって、至福のシーズンであった。

パトリック・チャン FS 「ショパン・セレクション」四大陸

  • 振付:デヴィッド・ウィルソン
  • 動画:YouTube

昨季のジャパン・オープンで披露されたときから素敵なプログラムだと思っていたが、2本の4T、2本の3A入りで、完成形を目にすることができようとは。
四大陸の感想にも書いたが、まさに「フィギュアスケートの神、降臨」といった演技だった。前々から、彼は、音楽という名の川を自由自在に泳ぐ魚のようだなと感じていたが、まさにその卓越した滑りを心ゆくまで堪能できる演技。
見せてもらえたことを、パトちゃんとフィギュアスケートの神様に、心から感謝したい。

●ウェンジン・スイ/コン・ハン SP 「Spanish Romance」ワールド

四大陸かワールドかで迷ったのだが、見直してみたら、ワールドの方が動きにキレがあるように感じたので、こちらを選んだ。
冒頭からどしどし紡がれる男女の物語。いやー、彼らがこんな大人のプログラムを滑るようになるとは。ジュニアデビューのシーズンから見守ってきたので、ほんと、感慨無量である。
音楽との一体感といい、パートナーとのユニゾンの高さといい、もう何も言うことがない。あまりのかっこよさにひれ伏したくなるレベル。
FSの「サムソンとデリラ」も大好きだった。サムデリは、どのカテゴリでもよく使われる音楽だけど、全カテゴリの中で、彼らのプログラムが一番好きかもしれない。

パトリック・チャン SP 「マック・ザ・ナイフワールド

  • 振付:デヴィッド・ウィルソン

一人1つのパフォーマンスにしようと思っていたのだが、パフォーマンスとしてはフリーが一番好き、プログラムとしては、ショートが一番好きで、どうしても1つに絞れなかった。
ワールドのSPでは、3Aの転倒があったのだが、それを差し引いてもやはりこの時の演技が一番よかったように思う。このプログラムのどこが好きって、まぁぶっちゃけ「ぜんぶ!!!」なのだが、あえて「一番好き☆」な箇所を挙げるとすると、冒頭の4T+3Tと3Aの間のつなぎの振付で、ベースのボンボンボンボンという音に合わせて両肩を上下に動かすところ。「えっ、そこ!?」と驚かれるかもしれないけど、自分でもなぜ好きか説明できない。でも初めて見たときからずっと好き。
ワールドの感想にも書いたが、脳から気持ちよくなる何とかっていう物質がドパドパ出てくるんじゃないかと思うくらい、気持ちよくしてくれるプログラム。今季、ノーミスの演技は一度も見られなかったんで、来季も継続してもらえないかなー。

●グラント・ホクスタイン FS 「レ・ミゼラブルワールド

NHK杯も全米も、とても良い演技だったが、やはりベストはワールドだろう。改めて見直すと、音楽の編集も素晴らしいなーと思う。初めはボーカル入りだが、途中は音楽だけになり、後半、また盛り上がるところでボーカルが入るので、メリハリがあって、飽きない。
ワールドでは、後半のジャンプがクリーンに決まるたびに場内のボルテージが上がっていき、一番のクライマックスでコリオシークエンスに入ったあたりでは、あまりの歓声と拍手で、音楽がよく聴こえないほどだった。
彼はジュニアのころからスピンが上手で、スピン好きのわたしは、ずっと目を付けていた(笑)。シニアの壁にぶつかって、しばらく苦労しているのを見てきたかから、今季、3Aと4Tが安定して降りられるようになり、母国開催のワールドで、素晴らしい演技を披露できて、本当に嬉しかった。

アダム・リッポン FS 「ビートルズ メドレー」ワールド

全米の演技も非常に素晴らしい演技だったので、正直、甲乙つけがたいのだが、全米の演技を経た上に母国開催のワールドであのパフォーマンスを披露したということを鑑みて、ワールドの演技を選んだ。
ビートルズの音楽は、どんなカテゴリでもよく使われる音楽だが、これまで一番好きなプログラムは、郄橋大輔のビートルズ・メドレーだった。そこにアダムのこのプログラムを加えたい。
このプログラムを滑るアダムは、とても自由で幸せそうで、見ているほうもやさしい気持ちになれる。すごく稀有なプログラム、そしてパフォーマンスだと思う。

ハビエル・フェルナンデス FS 「映画『野郎どもと女たち』より」ワールド

  • 振付:デヴィッド・ウィルソン
  • 動画:YouTube

このプログラム、シーズン前半は、正直、そんなにいいなと思ってなかったんですよ。ジャパンオープンでじかに見たけど、そのときもピンとこなかったし。ユーロの演技で、だいぶ好きになったが、それでも、SPの「マラゲーニャ」のほうが明らかに好きだった。…でもねえ、ワールドで、あ〜んなパーフェクトな演技を見せられたら、そりゃ序列も覆ります。
4Tが1本、4Sが2本、3Aが2本という鬼構成を、楽しく小芝居しながらクリーンに滑るって、凄すぎる。
このベストパフォーマンス10では順位を付けられなかったけど、この彼のFSと、四大陸のパトちゃんのFSが1位というのだけは決められる。

◆総評
自分のベスト10を見てみて思うことは、「めっちゃ偏ってる…」ということ(汗)。男子シングル、多すぎだよね…。もともと男子シングルが好きなんで、それが正直に表れた結果なんだろうけど…にしてもさ…7/10が男子シングルって、いくらなんでも偏りすぎだよ。
「ちょっとなんでアイスダンスが入ってないわけ!?」と、アイスダンス・ファンの皆様に叱られそうだが、もちろん、今季のアイスダンスで感動するパフォーマンスはいくつもあった。あったのだが、同じくらい好きなものが多くて、1つ選ぶと、同時に5、6個選ばなくてはなくなるので、入れられなかったんですぅぅ…うう(涙)。
来季は、カップル競技の演技をもっとたくさん見るようにしたい。そしたらもっと理解が深まって、好きなプログラムも増えるし、好きなパフォーマンスも増えると思うんですよ…。
それにしてもベスト10を選ぶのって、ほんと大変だなぁ。泣く泣く諦めたのがいくつもあるよ。別の日にやったら、このベスト10とはまた違うものになりそう。