JGPサン・ジェルヴェ2016 女子SP

JGPサン・ジェルヴェ2016 リザルト
ジュニアのGPシリーズ第1戦。女子SPは、現地時間2016年8月25日(木)に行われた。
結果だけは追っていたものの、演技はまだ見てなかったので、第2戦終了後、

にて、SP上位6人の演技を見た。滑走順に感想を書いていきます。第3戦が始まるまでに、全カテゴリの感想を書けるといいのだが。

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●第1グループ
2 Alina ZAGITOVA アリナ・ザギトワ(ロシア)

  • 楽曲:Sheherazade by Nikolai Rimski-Korsakov

バイオの真っ白ぐあいからいって、今季がジュニアデビュー、今大会がJGP初戦ですな。
額にティアラ代わりのぴかぴかシールと思しきものを貼ってるのだが、これ、普通にティアラをかぶるんじゃ、ダメだったのか…。ぶっちゃけ安っぽくて残念な感じなのだが(汗)。
冒頭、スピンから始まるのだが、このドーナツポジションが美しくてねぇ(ため息)。
ジャンプは3つとも後半に。3Lz+3Tと3Loは手を挙げて。2Aも含め、どのジャンプも加点がもりもりもらえそう。特に3Loは、跳ぶ前に何やらいろいろ複雑な動きを入れていた。よくそれでタノにできるなぁ!
またまたロシアからスーパージュニアな美少女スケーターが出てきたよ!
68.07。ジュニアデビューのJGP初戦で、70点近い高得点!! おそろしあ!!

●第2グループ
7 坂本花織(日本)

  • 楽曲:The Artist (soundtrack) by Ludovic Bource

昨季、JGP Riga Cup 2位、全日本ジュニア5位、全日本13位、ユースオリンピック6位。
DOIでお披露目したプログラム。DOIのときは、「姿勢がよくなったなぁ!」と感心したのだが、試合になるとどうだろうと見ていた。
猫背は完全に直った感じだけど、ザギトワさんの次に見ると、やはり上半身の動きがなめらかでないというか背中が硬い。肩の可動域が狭い印象を受ける。や、もちろん昨季と比べたら、すごく良くなっているのだが。
スケーティングが伸びやかで、スピードも出ていたように感じた。
冒頭の3Loは、本当になめらかな入りで、と〜っても美しかった。GOEの加点が1.50。ジャッジが2と3しか付けていない。プログラム後半の3F+3Tは、フリップを跳んだあと、ちょっと間が開いてしまったので、ひやっとしたけど、ちゃんと3Tを付けて下りた。2Aも大丈夫。
最後の音ともに動きもバシッと終わるのがかっこよかった〜。
64.12で自己ベスト更新!

●第4グループ
17 Emmi PELTONEN エミ・ペルトネン(フィンランド

  • 楽曲:Libertango by Astor Piazzolla

昨季、JGP Cup of Austria 2015 16位、Finlandia Trophy 10位。
雰囲気のある選手。3T+3Tをみごとに決めて、GOEの加点(1.20)がもらえる出来だったのだが、3Loの予定がシングルに…。嗚呼(泣)。後半の2AはOK。
体の動かし方に、タメがあるというか、情感を感じさせる。でもなぁ、もっとやれると思うんですよ。ザン、ザンと強い音が何度も入るのだが、そこを表現しきれてない感じ。音の一つ一つをきちんと表現できるようになったら、さらに素敵なプログラムになるんじゃないかな。
53.41で、自己ベスト更新! ジャンプが1つ、ノーバリューになった割に良い得点が出た。

20 新田谷凜(日本)

  • 楽曲:Red Violin

昨季、JGP Copernicus Stars 2015 3位、全日本ジュニア4位、全日本8位。
プログラムは昨季から持ち越しかな? 今季、ジュニア最後のシーズン。
衣装が素敵〜☆☆ 黒の生地に、胸からスカートにかけて、色とりどりのスパンコールが散りばめられている様子が天の川みたい。
冒頭の3Lz+3Tをクリーンに着氷。後半の2AとOK。
ジュニアの中で見ると、やはり「大人の演技」という感じ。ソフトでムーディーな滑りが素敵だった。
60.94で、自己ベスト更新!

●第5グループ
24 Ye Lim KIM イェリム・キム(韓国)

  • 楽曲:Donde Voy by Tish Hinojosa

2014〜15シーズン、シニアの国内選手権2位。今13歳なので、今季がJGPデビュー。
重ね着してるみたいな衣装で、フィギュアスケートでは見ないタイプ。あったかそう。
リンクの壁に手を置いたところから演技が始まるなんて、新鮮! 最後のスピンも、ガタンゴトンという列車が走っているような音で終わるんですよ。どういうコンセプトのプログラムなんだろう?
見た目は13歳の年相応にあどけない容貌なのだが、11歳かそこらで、シニアの国内選手権で2位になるだけあって上手い。後半にジャンプを3つ持ってきたのだが、3Lz+3T<<で着氷が乱れてしまった。3Loは両手上げでクリーンに着氷したかに見えたのだが、プロトコルを見ると、GOEで減点されている。なぜだ。2AはOK。
55.11。

25 Alexia PAGANINI アレクサ・パガニーニアメリカ)

  • 楽曲:不明(バイオに記述がない! コーチや振付師、出身地、練習拠点、趣味等も不明! 早くISUに提出して〜!)

バイオがみごとに真っ白なので、おそらく今季がJGPデビューと思われる。
3Lz+3TはOK。2Lo(多分トリプルの予定だったと思う)は、GOEで減点されちゃったんだけど、ジャンプ自体はキレイだったので、直前のステップをやっていないという評価なのかな。確かジュニアは単独ジャンプ、2回転でも大丈夫よね? 2AはOK。
ボディームーブメントが優雅で美しく、滑りもソフトで素敵だったんだけど、ところどころ淡々と滑っている感じがしたので、そこが改善されてくると、プログラムの良さがもっと生きてくるんじゃないかな。
52.92。

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◆SP順位
SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、TSS、TES、PCSの順に記されている。

  1. Alina ZAGITOVA RUS 68.07 40.80 27.27
  2. Kaori SAKAMOTO JPN 64.12 37.60 26.52
  3. Rin NITAYA JPN 60.94 36.17 24.77
  4. Ye Lim KIM KOR 55.11 31.27 23.84
  5. Emmi PELTONEN FIN 53.41 28.30 25.11
  6. Alexia PAGANINI USA 52.92 29.79 23.13
  7. Alizee CROZET FRA 47.99 27.01 20.98
  8. Cassandra JOHANSSON SWE 46.15 27.30 18.85
  9. Julie FROETSCHER FRA 44.91 26.23 19.68
  10. Aiza MAMBEKOVA KAZ 44.19 23.25 20.94
  11. Pauline WANNER FRA 43.78 24.09 19.69
  12. Kristina ISAEV GER 40.58 22.90 18.68
  13. Olivia GRAN CAN 39.95 21.13 18.82
  14. Charlotte VANDERSARREN BEL 38.12 20.89 18.23
  15. Maisy Hiu Ching MA HKG 37.69 19.49 18.20
  16. Kristen SPOURS GBR 36.01 17.95 18.06
  17. Thita LAMSAM THA 35.14 19.66 15.48
  18. Federica MAGNIFICO SUI 33.57 18.86 15.71
  19. Alina SUPONENKO BLR 29.67 15.08 14.59
  20. Tania MARGARIDO AND 29.39 16.25 13.14
  21. Ellen YU NOR 26.12 13.43 14.69
  22. Veronika SHEVELEVA KAZ 26.10 13.51 13.59
  23. Zeynep Dilruba SANOGLU TUR 25.45 14.48 12.97
  24. Elisa TSUJI INA 23.34 10.84 12.50

WD Anzelika KLUJEVA LAT
WD Anna TARUSINA RUS
バス事故で棄権になってしまった、クルジェワさんとタルシナさんは、本当にお気の毒でした。一日も早い回復を祈っています。

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◆総評
SP1位のザギトワさんは、まだ14歳に関わらず、技術とプログラムの完成度の高さにビビる。現時点で改善すべき箇所は、額のぴかぴかシール(笑)ぐらいしか思い浮かばない。
2位の花織ちゃんは、おっきなジャンプはそのままに、他の部分はどんどん良くなってるなぁ。素晴らしいよ〜。
3位の新田谷さんも、ノーミスの演技で素晴らしかった。昨季、「来季はシニアに上がる」と話していたのだが、考えが変わったらしく、今季もジュニア続行。彼女ならシニアでも立派にやっていけると思うが、よくよく考えての決断なんだろう。ジュニアのラストシーズン、悔いなく過ごせますように。
4位のイェリムさんは、なかなか斬新なプログラムを滑っていて、印象深かった。韓国女子は、ヨナちゃん効果と平昌効果が相まって、素晴らしい選手がどしどし輩出されてますな。
5位のペルトネンさん。またフィンランドから素敵な選手が出てきましたね。若いのに、プログラムの世界観というか、雰囲気を醸し出せるところが素晴らしい。
6位のパガニーニさんは、アメリカの選手なんだけど、ちょっとユーロ的な香りがする。品があって、どこか哀愁を帯びているというか。
これまで、JGPを2試合見て、出場選手の国籍が、ほんとバラエティーに富んでいるなぁと驚いた。シニアでもそうなってきているけど、ジュニアではそれが顕著に表れていて、今大会だけでも、タイやインドネシアなど、東南アジアからの選手がいるし、カザフスタンからは2人も出場している。ヨーロッパからも、アンドラ公国(AND)の選手が出場していたりと、今まで耳にしたことのなかった国出身の選手もいる。素晴らしいことだ。