JGPリュブリャナ杯2016 男子SP

JGPリュブリャナ杯2016 リザルト
ジュニアのGPシリーズ第5戦。男子SPは、現地時間2016年9月22日(木)に行われた。

で、事前に注目していた選手の演技を中心に見た。
特に印象に残った選手の演技について、滑走順に感想を書いていきます。
日本語で名前を書かないと、選手の名前を覚えられないので、アナウンスの聞き取りを頑張っているのですが、日本語表記に自信がない名前には?を付けています。

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●第1グループ
2 ケヴィン・エイモズ(フランス)

  • 楽曲:Hallelujah by Leonard Cohen

昨季、世界ジュニア9位。今季、JGPサン・ジェルヴェ4位。
3Aは大変素晴らしかったのだが、3Lz+3Tのルッツで両足着氷してしまい、3Tを付けたものの連続ジャンプ扱いにならず、3Tはノーバリュー。3Lo<<も減点。……ジャンプ以外の部分は、本当に本当に素敵だったんだけどなあああああ(泣)。
スピンは全てレベル4。全身で音楽を奏でているかのような、エモーショナルな滑りだった。
キスクラで、ずっと片手で顔を覆い、うつむいているエイモズくん。見ているこちらも辛い(泣)。
61.49。

3 イジー・ベロフラドスキー(チェコ

  • 楽曲:
    • Everything by Safri Duo
    • Played-A-Live (The Bongo Song) by Safri Duo

シニアの国内選手権2位、ユーロ20位、世界ジュニア16位。今季、JGPチェコスケート8位。
3Lz+3Tと2A、そして全てのスピンで減点されてしまった。
JGPチェコスケート同様、打楽器の音の表現がやりきれてない感じ。キレと力強さがほしい。
今大会にはトマシュが帯同してないようだ。さみしい。
58.25で、SB更新!

5 ソンドレ・オドヴォル・ボー(ノルウェー

  • 楽曲:I See Fire by Ed Sheeran

昨季、ユーロ24位、世界ジュニア21位。今季、JGPサン・ジェルヴェ8位。
体つきがしっかりして、見た目はもうすっかりシニアスケーターですな。
3Loで着氷が乱れたのと、最後のFCSp3でエッジつかみ損ねそうになり、ぐらついたために減点されたが、ムーディーでしっとりした音楽が、しだいに盛り上がっていくところを、長い手足を大きく使って、よく表現していた。
素敵な雰囲気を醸し出せるスケーターに成長したなぁ! 嬉しい!
60.07で、SBおよび自己ベスト更新!

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●第2グループ
6 William HUBBART ウィリアム・ハバート?(アメリカ)

  • 楽曲:Mr. Cellophan by John Kander, Fred Ebb

今大会がJGPデビュー。
アメリカの選手らしく、ポジションがきっちり決まっている。スケーティングが上手い。
クリーンな演技に見えたのだが、FCSp3とステップ、3Loで減点されていた上に、最後のCSSpがノーバリューになってしまった。
ミュージカル「シカゴ」の曲で、セリフが多用されているプログラム。楽しく明るい音楽をキュートに演じていた。まぁこの歌詞の自虐的な内容を思うと、正直、「ジュニアの選手にこれを滑らせるのか〜」と、複雑な気持ちになるけど(汗)。
54.22。

9 マッテオ・リッツォ(イタリア)

昨季、シニアの国内選手権2位、ユーロ13位、世界ジュニア13位。
昨季から続行のプログラム。昨季のユーロでハートをつかまれたリッツォくん☆ 演技を見られるのをとっても楽しみにしていた。
3Aの転倒や、トリプルの予定がダブルになってしまうなど、ジャンプのミスが目立ってしまったが、曲想を表すチャキチャキ感だったりシャープさ、力強さを表現できていたと思う。あと、スケーティングが上手くなったように感じた。
55.91。

10 ドミトリ・アリエフ(ロシア)

昨季、ジュニアのGPファイナル2位、ジュニアの国内選手権優勝、世界ジュニア6位。
今季、JGPチェコスケート優勝。
冒頭の3Aに入る前の滑りだけで、これまでの選手とは別格だと分かる。情感あふれる美しいスケーティング。うっとり〜☆☆☆
78.03でSB更新! でも、思ったより低いな。今回はスピンのミスもなかったし、80点いくかと思ってたんだけど。
で、プロトコルを見てみたら、3Aは非常に素晴らしかったのだが(GOE 1.57)、3Lz+3Tと3Loであまり加点が取れず。スピンのレベルも3、3、4で取りこぼしてるんだよね。
彼のジャンプは高さがなく、回転不足が心配な時がある。このSPでは大丈夫だったけど、コンボや3Loで加点が少なかったのは、高さがなかったからかなーと思う。常にジャンプが3Aくらい高く飛べるようになったら、鬼に金棒なのだが。

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●第3グループ
12 イリヤ・スキルダ(ロシア)

昨季、ジュニアの国内選手権4位。今季、JGPサン・ジェルヴェ2位。
クリーンな演技に見えたのだが、最後のCSSp4で減点されていた。減点の理由がわからない。ポジションも回転も減点されるほど悪くは見えなかったのだが。
スピンのレベルは全てレベル4。全てのエレメンツがプログラムの流れの中で行えている。
口笛が入っているような、明るく軽快な曲なので、もそっと表情豊かに演じたらいいんじゃないかな〜。今はずっと真顔で滑ってるんだよね。
69.32で、SB更新!

15 アレクセイ・クラスノジョン(アメリカ)

  • 楽曲:Etude Op. 10, No. 3 in E by Frederick Chopin

昨季、JGP Riga Cup 3位、全米ジュニア3位。2013年までロシア所属だった。
今季、JGPチェコスケート2位。
ショパンピアノ曲の繊細さ、優雅さ、激しさを、みごとに表現していた。
71.98。あれ、低いな。もそっと出ても良くない?
で、プロトコルを確認してみると、全体的にGOE加点が控えめで、最後のスピンで減点されてるんだよね。見直してみたけど、減点の理由がわからない…。クリーンな出来だと思うんだけどなぁ…。

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●第4グループ
18 友野一希(日本)

昨季、全日本ジュニア2位、全日本16位、世界ジュニア15位。今季、JGP横浜4位。
3F+2Tは3+3にならず。3Loはクリーンに見えたのだが、ジャッジの評価が分かれていて、結局ちょっとだけ加点。そして、後半の3Aは、ドキドキしながら見ていたのだが、目の覚めるような素晴らしいジャンプ!(GOE 1.57)
スピンのレベルが3、4、3。FCSp3の回転がゆっくりヨロヨロ〜になるの、何とか改善できんものか(GOE -0.13)。そこでいったんプログラムの流れが途切れちゃうんだよな〜。
ステップはレベル3が取れててよかった。もそっと加点がもらえるようになると、なお良いのだが。
68.96で、SBおよび自己ベスト更新!

19 ジョセフ・ファン(カナダ)

  • 楽曲:The Best Is Yet to Come by Michael Buble

昨季、ジュニアの国内選手権優勝。今季、JGPチェコスケート6位。
全てのジャンプを余裕をもって下りていた。どのジャンプも構えることなく、流れの中で跳べている。スピンも上手。クリーンな演技で、ジャッジが誰一人マイナスを付けていない。
スケートがよく滑るなぁ。ジェフ振付のおしゃれプロを小粋に軽快に演じていた。
70.33でSBおよび自己ベスト更新!

21 イワン・パブロフ(ウクライナ

  • 楽曲:Bad Boys (soundtrack) by Mark Mancina

昨季、国内選手権優勝、ユーロ15位、ワールド23位。今季、JGPチェコスケート4位。
ジャンプはまぁまぁだったのだが、最後のCCoSp2にVが付いてしまった上に、GOEで減点されている。
う〜ん、JGPチェコスケートのときより、踊れてなかったかも。曲名が「バッドボーイズ」なんだから、もっとはっちゃけようぜ☆
61.71。PCSが29.47!? ひっくいな〜。30点いかなかったか。

23 Nurullah SAHAKA ヌルラ・サハカ?(スイス)

  • 楽曲:Indigene (Tarzan) by Maxime Rodriguez

昨季、シニアの国内選手権5位。
3T+3Tはファーストがオーバーターン、3Aは転倒、3Loは手をついた上に流れが止まってしまった。
FCSp3は、キャメルポジションで、ゆ〜っくりな回転になってしまい、GOEマイナス。でも他の2つのスピンは良かったと思う。特に最後のCCoSp4は、雄たけびするような振付が入っていて、とってもユニーク☆
ターザンの音楽らしく、ジャングルやアフリカを思わせる振付が入っており、個性的なプログラム。それを力強く演じていた。
今はまだ粗削りだけど、光るものを感じる。ジュニアで力強さを出せる選手は貴重なので、これからの成長が楽しみだ。
54.64で、自己ベスト更新!

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◆SP順位
SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、TSS、TES、PCSの順に記されている。

  1. Dmitri ALIEV RUS 78.03 41.51 36.52
  2. Alexei KRASNOZHON USA 71.98 38.52 33.46
  3. Joseph PHAN CAN 70.33 36.44 33.89
  4. Ilia SKIRDA RUS 69.32 36.89 32.43
  5. Kazuki TOMONO JPN 68.96 36.50 32.46
  6. Ivan PAVLOV UKR 61.71 32.24 29.47
  7. Kevin AYMOZ FRA 61.49 28.10 33.39
  8. Sondre ODDVOLL BOE NOR 60.07 31.65 28.42
  9. Jiri BELOHRADSKY CZE 58.25 31.43 26.82
  10. Matteo RIZZO ITA 55.91 27.77 29.14
  11. Nurullah SAHAKA SUI 54.64 28.68 26.96
  12. William HUBBART USA 54.22 27.33 26.89
  13. Nika EGADZE GEO 52.82 28.01 24.81
  14. Thomas STOLL GER 49.95 24.77 25.18
  15. Se Jong BYUN KOR 48.87 21.70 27.17
  16. Harrison Jon-Yen WONG HKG 47.46 24.24 24.22
  17. Mate BOROCZ HUN 43.45 25.27 19.18
  18. Josh BROWN GBR 42.08 17.15 24.93
  19. Micah TANG TPE 41.99 20.48 21.51
  20. Jakub KRSNAK SVK 41.57 20.54 22.03
  21. Luc MAIERHOFER AUT 41.20 21.20 22.00
  22. Davide LEWTON BRAIN MON 35.94 16.19 20.75

WD Roman GALAY FIN

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◆総評
今大会に出場する男子は、お気に入りの選手や知ってる選手が多くて、楽しみにしていた。
アリエフが2位以下に差をつけて、SP1位。FSでぶっちぎって優勝かなと予想していたのだが、SPで6点も差が開くとは思っていなかった。PCSでも抜きんでた評価を受けているので、優勝は堅いだろう。
2位のクラスノジョンは、見た目ノーミスだったのだが、あまり得点が伸びず。個人的にはすごく素敵だったと思う。FSでは、4Loの成功を祈ってます☆
3位のファンは、3Aなしのプログラムを超クリーンに滑り切って、僅差ながらPCSは2位。スケーティングがいいんだよねぇ。スケートが滑るって素晴らしい☆
4位のスキルダも3Aなしのジャンプ構成だが、オールマイティーな技術力がすごい。ジャンプの安定感やスピンの上手さは、同国のスーパージュニアな女子選手に相通ずるものがある。
5位の友野くんは、3F+2Tになってしまい、悔しそうだった。でも、JGP横浜のときよりプログラムの精度は増していると思うので、このままコツコツ磨き上げていってほしい。
アリエフは頭一つ抜けた感があるので、表彰台の残り2枠はSP2〜5位による戦いになりそう。6位のパブロフや7位のエイモズにも、表彰台を目指して頑張ってほしいのだが、SPを見る限り、本調子じゃなさそうなんだよねぇ…。点差も開いてるし…。