GPスケートアメリカ2016 女子SP

GPスケートアメリカ2016 リザルト
いよいよシニアのGPシリーズが始まった。GPシリーズ第1戦の女子SPは、現地時間2016年10月21日(金)に行われた。
今季から、SPの滑走順が、抽選で決められることになった。

上記のライストで、全員の演技を見た。滑走順に感想を書いている。
テレ朝の解説は織田信成さん、実況は森下佳吉アナ。
それと、プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 アンゲリーナ・クチヴァルスカ(ラトビア

  • 楽曲:
    • If You Go Away by Shirley Bassey
    • Duendo by Bozzio Levin Steven
  • プログラム:○

昨季、国内選手権優勝、ユーロ4位、世界ジュニア7位、ワールド15位。
3Tで転倒。3Sはクリーンに見えたがGOEマイナス。2AはOK。連続ジャンプが入らず。
スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル2。
ジャンプにミスはあったが、ボディームーブメントは、曲想を表現していて素敵だった。
昨季のSPがあまりにもトンデモ編曲だったので、「またヘンなアレンジだったりして…」と警戒していたが(苦笑)、今季のSPはまともな編曲でほっとした。
47.80でSB更新!

2 セラフィマ・サハノヴィッチ(ロシア)

  • 楽曲:Goodbye by Jan A.P. Kaczmarek
  • プログラム:△

2014〜15、世界ジュニア2位。昨季、国内選手権10位。今季シニアデビューで、今大会がGPデビュー。
3Fでステップアウト。3Lz+2Tタノで、ちょいバランス崩す。2AはOK。
スピンは全てレベル4。どのスピンも回転が非常に速かった。ステップはレベル2。
特に感じるところのない演技だった。よく動けているのだが、素敵だと思う動きがなかった。
56.52で、SB更新!

3 浅田 真央(日本)

  • 楽曲:Danza Ritual del fuego (from "El amor brujo") by M. de Falla
  • プログラム:◎

昨季、GPファイナル6位、全日本3位、ワールド7位。
2Aなめらか。3F<+2Loはクリーンに見えたのだが。3LoはOK。
スピンは全てレベル4。セラフィマの後だと回転がゆっくりに感じられたが、レベルはちゃんと取れていた。
ステップはレベル3。+3を出したジャッジが二人。これぞ大人の滑りといった、風格を感じるステップだった。ステップの終わりに、足踏みするところの振付が大好き。めっちゃかっこいい☆
ジャンプを慎重に跳んでいる印象を受けた。左膝の痛みがあるそうだし、無理せず、今できることを着実に積み重ねていこうという演技だったように思う。
64.47。3Aも3+3もなしで65点近い得点を出すなんて、さすが。

4 マライア・ベル(アメリカ)

  • 楽曲:
    • Roxy Heart (Chicago soundtrack) performed by Renee Zellweger
    • All That Jazz (Chicago soundtrack)
  • プログラム:○

昨季、GPスケアメ8位、全米11位。
顔つきが大人っぽくなった印象を受ける。
3Lz+3T<は、着氷はクリーン。3Fは、着氷で少し膝が深く沈んでGOEマイナス。2AはOK。
スピンのレベルは4、3、2。回転が速く、質がいいだけに、レベルの取りこぼしがもったいない。ステップはレベル2。
スピード感とキレがあり、全身を大きく使って、楽しく生き生きと踊っていた。ちょっと粗いかなーと感じる動きもあったが、勢いがあったし、曲想にも合っていた。
キスクラにアルトゥニアン先生が。コーリ先生のところから移ったんだ。
60.92で自己ベスト更新!

5 ソヨン・パク(韓国)

  • 楽曲:Man with the Golden Arm (soundtrack)
  • プログラム:○

昨季、国内選手権5位、四大陸4位、ワールド18位。
黒に金のキラキラ衣装がゴージャス!
3S+3Tは、ファーストの幅がすごかったが、セカンドの着氷がシェイキーで、ジャッジの評価も分かれていた。2AはOK。
スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル3。
これまで、やわらかで女性らしい動きが持ち味の選手だったが、このSPでは、パワフルな曲想に合った、力強い動きが出せていた。新しい挑戦のプログラムなんじゃないかな。
58.16でSB更新!

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●第2グループ
6 グレイシー・ゴールド(アメリカ)

  • 楽曲:Assassin's Tango (from "Mr. and Mrs. Smith" soundtrack) by John Powell
  • プログラム:○

昨季、GPファイナル5位、全米優勝、四大陸5位、ワールド4位。
キャロル先生が相変わらずダンディーで素敵! その帽子姿、最高です☆
黒衣装の、複雑に絡み合った紐がかっこいい。
3Lz+3Tは軸がまっすぐで高さがあり、気持ちがいいジャンプだった。GOE 1.40。3F<で転倒。2AはOK。
スピンのレベルは3、4、3。ステップはレベル3。
アサシンズ・タンゴの音楽は、彼女の硬質な雰囲気にぴったりなので、見る前から似合ってるだろうなーと思ってたが、予想通り似合ってた。でも、正直ちょっと物足りない。彼女のようなトップスケーターには、わたしの予想なんぞ軽く飛び越えてほしいという、贅沢な願いを抱いてしまうのである。
64.87。転倒してこの高得点はすごい。

7 ロベルタ・ロデギエーロ(イタリア)

  • 楽曲:
    • A levare by Astor Piazzolla
    • Yo Soy Maria by Astor Piazzolla
  • プログラム:○

昨季、GPエリボン杯3位、国内選手権2位、ユーロ5位、ワールド16位。
3T+2Tは、3+3の予定だったと思われる。3FはOK。2Aは着氷で少しバランスを崩した。
スピンのレベルは4、3、4。わたしは特に問題があるようには見えなかったが、FSSp3でGOEマイナス。最後、回転がゆっくりになっちゃったからかな…? ステップはレベル2。
まだ、全身をフルに使いこなせていない印象を受けた。音楽は彼女に合っていると感じたので、滑りこんでいけば、素敵なプログラムになりそう。
52.62。

8 村上 佳菜子(日本)

昨季、全日本6位、四大陸7位。
3F<<は両足着氷。3T<+3T<<、2AはOK。
スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル3。ステップでどんどんテンポが速くなっていくのだが、音楽に遅れずについていけていた。
前半のタップ音を多用したところが、まだ表現しきれてないように感じる。正直、タップ音がやかましくて聴いていて辛かった。後半の女性ヴォーカルはよく表現できていたと思う。
カルメンであまり使われない部分を使用していて、意欲作なのは認めるが、今のところ何とも言えない感じ。
47.87。うわ低っ。ジャンプで3つも回転不足とられちゃったからなぁ(泣)。

9 三原 舞依(日本)

  • 楽曲:Rondo Capriccioso by Camille Saint-Saens
  • プログラム:◎

昨季、JGPファイナル6位、全日本ジュニア8位。今季シニアデビューで、今大会がGPデビュー。
3Lz+3Tはキレがあった。2AはOK。3Fは着氷でよろけた。最後のエレメンツが3Fとは。
スピンは全てレベル4。回転が速く、軸も安定していた。ステップはレベル3。
昨季とは別人のように上手くなっている。ポジションがきれいで、動きがクリアーなので、見ていてとても気持ちがいい。スピード感があり、瑞々しい、はつらつとした演技だった。
65.75で自己ベスト更新! 三原さんも中野先生もめっちゃ嬉しそう。

10 ガブリエル・デールマン(カナダ)

  • 楽曲:
    • Acte IV Prelude from "Herodiade" by Jules Massenet
    • Scene XIV Ballet Finale from "Herodiade" by Jules Massenet
  • プログラム:〇

昨季、国内選手権2位、ワールド9位。
3Lz+3T<<は、ファーストで軸が曲がったのに、3Tつけられる体の強さよ。3Fと2Aはすばらしい。
スピンは全てレベル4。スピンの回転が速い。ステップはレベル4で、+3を出したジャッジが一人いる。
スピードがすごく出ていたんじゃないかな。音に動きがハマってて気持ちいい。シャープで力強くキレがありつつ、重厚感のある演技だった。
キスクラでギャビーが真剣な顔で話し続けるのを、穏やかな表情で聞いているバーケル先生。癒されるわ〜☆
64.49でSB更新!

11 アシュリー・ワグナーアメリカ)

  • 楽曲:Sweet Dreams (Are Made of These) by Annie Lennox
  • プログラム:◎

昨季、全米3位、ワールド2位。
大人ポニテ! 素敵☆
3F+3T<の着氷はクリーンだった。3Loと2Aはすばらしい。
スピンは全てレベル3。質はよかったので、取りこぼしがもったいない。ステップはレベル3。+3を出したジャッジが4人もいる!
"Her Body can talk!!"な演技であった。いや〜GP初戦からかっ飛ばしてきたね〜!! 超かっこよかった!! 肩を前後にくいくいっと動かすとことか、首をぐるっと回すとことか、めっちゃ素敵☆ スタイリッシュでクールな音楽を、強く美しく表現していた。
すでに素晴らしい演技だが、彼女ならもっとやれる。滑りこんでいったら、ものすごいことになりそうだー!! 最高だー!!
彼女がこんなラスボス感あふれる佇まいを見せるようになるとは……感慨無量である(感涙)。
69.50。70点を超えると思ったが、アンダーローテやレベルの取りこぼしがあったため、届かず。

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◆SP順位
SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、得点の順に記されている。

  1. Ashley WAGNER USA 69.50
  2. Mai MIHARA JPN 65.75
  3. Gracie GOLD USA 64.87
  4. Gabrielle DALEMAN CAN 64.49
  5. Mao ASADA JPN 64.47
  6. Mariah BELL USA 60.92
  7. So Youn PARK KOR 58.16
  8. Serafima SAKHANOVICH RUS 56.52
  9. Roberta RODEGHIERO ITA 52.62
  10. Kanako MURAKAMI JPN 47.87
  11. Angelina KUCHVALSKA LAT 47.80
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◆総評
スケート・アメリカの女子SPは、多くの選手がSBもしくは自己ベストを更新する、ハイレベルな試合となった。上位6人が60点以上だもんなー。
SP1位のアシュリーは、PCSで真央ちゃんより上にきてトップ! すっっばらしいパフォーマンスだったもんなー。カメラに抜かれたどの顔も、ハリウッド女優のように決まっていた。文句なしの1位スタート!!
2位の三原さんは、TESではトップ! PCSも30点以上出てるし、GPデビューの選手とは思えない、堂々とした滑りだった。病気になった後、さらに強くなって戻ってくるなんて、少年マンガの主人公みたい。FSもこのままのびのび滑ってもらえれば。
3位のグレイシーは、3F<の転倒さえなければ、SPトップの可能性も十分あり得たのだが。体の動き自体はよさそうなので、FSに期待したい。
4位のギャビーは、年々洗練されて、本当に素敵なスケーターに成長していると思う。嬉しい☆
5位の真央ちゃんは、まだ左膝の状態が万全じゃなさそう。安全運転といった印象を受けた。
10位の佳菜子ちゃんは、試練の時が続いているが、ファンは信じて待つのみである。