JGPブラエオン・シュベルター杯2016 女子FS

JGPブラエオン・シュベルター杯2016 リザルト
ジュニアのGPシリーズ第7戦。女子FSは、現地時間2016年10月8日(土)に行われた。

にて、SPで特に印象に残った選手の演技を中心に見た。滑走順に感想を書いている。

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●第4グループ
17 Alana TOKTAROVA アラーナ・トクタロワ(カザフスタン

  • SP順位:19,得点:43.35
  • 楽曲:
    • Romeo and Juliette by Charles Gounod
    • Romeo and Juliette Waltz by Charles Gounod

グノーのオペラ「ロメオとジュリエット」より。
ジャンプで2回転倒あり。スピンのレベルは4、3、2。ステップはレベル3。
所作は洗練されてきているので、あとは跳べるトリプルの種類を増やしていければ。今はトゥループサルコウだけなんだよね。
ジャンプの失敗が続いても、素敵な笑顔のまま最後まで滑っていた姿に好印象を受けた。
フリー74.61、総合117.96。

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●第6グループ
28 Holly HARRIS ホリー・ハリス(オーストラリア)

  • SP順位:10,得点:48.18
  • 楽曲:Nero by Two Steps From Hell

コーチは、パトちゃんの元コーチ、Krall先生。練習拠点はコロラド・スプリングスとシドニー
ジャンプで2回転倒し、着氷が乱れたジャンプもあった。
スピンのレベルは4、4。最後のCCoSpは、バランスを崩し、転倒したため、ノーバリュー。でも、他の2つは回転が速く、質の良いスピンだった。
ステップはレベル3。
まだ13歳だが、容姿もボディームーブメントも美しいし、ユーロの選手みたいに雰囲気のある選手。SPのときも思ったが、腕の動かし方がしなやかで優雅。3Lzも跳べるし、将来が非常に楽しみだわ〜☆
フリー86.71、総合134.89。

29 Annika HOCKE アニカ・ホッケ(ドイツ)

  • SP順位:12,得点:47.37
  • 楽曲:Carmen by Georges Bizet and Rodion Shchedrin

モルドヴィア杯の演技は、動画の状態が非常に悪かったので、今回演技が見られるのをとても楽しみにしていた。
3Lzと2A+1Lo+2Sをクリーンに決め、場内が大盛り上がりになったのだが、そこから続けて2度の転倒があり、勢いがそがれてしまった。
スピンのレベルは4、4、3。軸がまっすぐで、回転も安定していた。
最後のエレメンツのステップはレベル3。力強い曲想を生き生きと表現していた。で、生命力あふれたままフィニッシュ。…やはりこれは死なないカルメンという解釈でいいのだろうか。
カルメンの有名どころを4曲つなぎ合わせているのだが、さすがに詰め込みすぎでは。アニカさんは、曲想の違いを頑張って表現しようとしていたが、どうしても忙しない印象を受けてしまう。
フリー84.00、総合131.37。

30 Yi Christy LEUNG イー・クリスティー・リャン(香港)

  • SP順位:8,得点:51.07
  • 楽曲:Romantic Revenge by Jelonek

ジャンプで2回転倒したり、アクセルでパンクしたり、コンボが1つしか入らなかったりして、得点が伸びず。
スピンのレベルは4、2、3V。最後のFCCoSp3Vは、よろめいたところがあったからなぁ。
一蹴りが伸びて、スピードが出るようになるといいのだが。
3Lzや3Fが跳べるし、成功したジャンプはなかなか質がいいので、将来有望そう!
フリー84.18、総合135.25。

31 Sarah TAMURA サラ・タムラ(カナダ)

  • SP順位:7,得点:52.71
  • 楽曲:The Firebird by Igor Stravinski

3Lzの転倒以外、大きなミスはなかったが、なぜかコンボを2つしか跳ばなかった。もったいないわ〜。
スピンのレベルは3、4、3。ステップはレベル2。
1戦目のリュブリャナ杯で、すごく気になっていた、ポーズの決まらなさは、少し改善され、音に動きが合うようになってきた。
フリー96.69、総合149.40で、SP同様、FSも自己ベスト更新!

32 Elizaveta UKOLOVA エリザベータ・ウコロワ(チェコ

  • SP順位:9,得点:50.50
  • 楽曲:The Master and Margarita (soundtrack) by Igor Korniliuk

3Lz<の転倒と、2Tと1Aの抜け以外は、クリーンな演技だったが、コンボが2つまでしか入らなかった。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
体を大きく動かして、丁寧に演技していたが、抑揚がなく、一本調子な感じなんだよなぁ。もそっとメリハリのある動きができるようになるといいのだが。
フリー82.38、総合132.88で、SB更新!
第6グループが終わった時点で、トップは、サラ・タムラ(カナダ)。

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●第7グループ
33 Lutricia BOCK ルトリシア・ボック(ドイツ)

  • SP順位:4,得点:58.70
  • 楽曲:The Artist (soundtrack) by Ludovic Bource

ジャンプで転倒が1回、回転不足や着氷の乱れが複数あり、コンボは2回しか入らず。
スピンのレベルは4、4、3。StSq3では、軽快な曲想を軽やかな動きで、よく表現していた。
フリー86.85、総合145.55。現時点で総合2位。

34 白岩 優奈(日本)

  • SP順位:6,得点:54.60
  • 楽曲:
    • Le Temps des Cathedrales (Notre Dame de Paris soundtrack) by Richard Cocciante
    • Les Sans-Papiers (Notre Dame de Paris soundtrack) by Richard Cocciante
    • Vivre (Notre Dame de Paris soundtrack) by Richard Cocciante

あ、腕のビラビラが取れてる。確かにあれ、動きにくそうだったもんなー。こっちのほうが、腕がすっきり見えて、いいと思う。
ジャンプを全てクリーンに着氷! 全要素にジャッジが一人もマイナスをつけていない。
スピンは全てレベル4。最初のLSp4は、音楽が徐々に盛り上がっていくのと同時に、ポジションも上がっていくのがピッタリ合っていて、本当に素敵だった。
ステップはレベル3。正直、物足りない。もっともっとぐぐぐ〜っと、迫ってくるものがほしい。
でも、こんなふうに感じるのって、このプログラムが彼女の成長を促しているからだと思う。そういう意味で、すごく良いプログラムなんじゃないかな。
フリー122.06、総合176.66で、SB更新! 現時点で総合1位。

35 青木 祐奈(日本)

  • SP順位:5,得点:56.47
  • 楽曲:On My Own by Claude-Michel Schoenberg

ジャンプは3Lz+3Loで転倒。他のエレメンツは全てGOEプラス。
ただし、連続ジャンプを2つまでしか入れられなかった。おそらく1度目の2Aの後に3Tをつける予定だったと思うのだが、なぜかつけなかった。その後のジャンプもクリーンな着氷だったので、2Tでもいいからつければよかったと思うのだが。
スピンとステップは全てレベル4。
曲想にふさわしい動きができており、プログラムの完成度はどんどん増している。SP同様、あとはジャンプ! ジャンプさえクリーンに決まれば!
それと、タイムバイオレーションで減点1。ぐっはー、もったいない!
フリー113.13、総合169.60で、どちらも自己ベスト更新!

36 Anastasiia GUBANOVA アナスタシア・グバノワ(ロシア)

  • SP順位:1,得点:65.43
  • 楽曲:Romeo and Juliet by Abel Korzeniowski

クリーンな演技だった。全てのエレメンツに、ジャッジが誰一人マイナスをつけていないだけでなく、0も3つしかない。
スピンとステップは全てレベル4。
スケーティングがすーっと伸びていく感じ。音楽に対する感性が本当に素晴らしい。悲劇へとひた走っていくジュリエットの疾走感と美しさをよく表していた。
終わった後、元気よくガッツポーズ!
フリー129.14、総合194.57で、SP同様、FSも自己ベスト更新!

37 Eunsoo LIM ウンス・イム(韓国)

  • SP順位:2,得点:63.83
  • 楽曲:Miss Saigon by Claude-Michel Schoenberg

ジャンプの抜けや転倒が出たが、成功したジャンプは、流れと幅、高さがあり、すばらしかった。
スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル3。
ベトナムを思い起こさせる、エキゾチックな振付が良いアクセントになっていると思う。彼女の良さを引き立たせるプログラム。
フリー109.38、総合173.21で、総合得点は自己ベスト更新! 現時点で総合3位。
キスクラで落ちこんでいるリムさんを、ミンジョンさんが背中なでて、なぐさめている。

38 Stanislava KONSTANTINOVA スタニスラワ・コンスタンティノワ(ロシア)

ジャンプで転倒2回あり、着氷が乱れたミスあり。最初に跳んだ3Lz+3Tと3Lzは、非常に質が高かったのだが。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
1戦目のモルドヴィア杯で見たとき、「うっわ、難しそうなプログラム!」と感じたが、曲想の違いを演じ分けられるようになってきたんじゃないかな。
このプログラム、つなぎがモリモリ入っているようで、転倒が2回あったからか、最後、時間が足りなくなり、音楽が終わった後も、スピンを回っていた。それでタイムバイオレーションが取られ、減点1。
フリー113.06、総合172.06で、FSは自己ベスト更新! 総合4位に確定。

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◆総合順位
女子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Anastasiia GUBANOVA RUS 194.57 1 1
  2. Yuna SHIRAIWA JPN 176.66 6 2
  3. Eunsoo LIM KOR 173.21 2 5
  4. Stanislava KONSTANTINOVA RUS 172.06 3 4
  5. Yuna AOKI JPN 169.60 5 3
  6. Sarah TAMURA CAN 149.40 7 7
  7. Lutricia BOCK GER 145.55 4 9
  8. Lea Johanna DASTICH GER 144.98 14 6
  9. Nina OUELLETTE USA 141.50 13 8
  10. Yi Christy LEUNG HKG 135.25 8 13
  11. Holly HARRIS AUS 134.89 10 10
  12. Elizaveta UKOLOVA CZE 132.88 9 15
  13. Annika HOCKE GER 131.37 12 14
  14. Chiara CALDERONE ITA 130.80 15 11
  15. Shuran YU SGP 130.12 16 12
  16. Hyang Mi RO PRK 125.22 20 16
  17. Valentina MATOS ESP 120.76 21 19
  18. Amanda STAN ROU 120.11 24 17
  19. Sophia SCHALLER AUT 118.57 17 22
  20. Charlotte VANDERSARREN BEL 118.08 25 18
  21. Alana TOKTAROVA KAZ 117.96 19 21
  22. Anastasia GOZHVA UKR 117.92 22 20
  23. Julia BATORI HUN 110.31 23 24
  24. Lu ZHENG CHN 109.38 26 23
  25. Kristina SHKULETA-GROMOVA EST 108.84 18 28
  26. Silvia HUGEC SVK 106.69 28 25
  27. Sofia DEL RIO MEX 103.67 30 26
  28. Federica MAGNIFICO SUI 100.59 29 29
  29. Juni Marie BENJAMINSEN NOR 99.16 31 27
  30. Haley YAO TPE 98.84 27 30
  31. Agnieszka REJMENT POL 91.10 32 31
  32. Tania MARGARIDO AND 86.61 34 32
  33. Linden VAN BEMMEL NED 86.35 33 33
  34. Mara WAGNER LUX 78.47 36 34
  35. Abigail SAMUELS RSA 75.10 37 35
  36. Veronika SHEVELEVA KAZ 68.99 35 36
  37. Aina Sorfina MOHD AMINUDIN MAS 66.25 38 37

WD Diana NIKITINA LAT(SP順位:11)

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◆総評
グバノワさんは、完全優勝JGP二連勝! ファイナル進出を確定させた。
今季もまた、ジュニアデビューのおそろしあたちがモリモリ登場したけれど、彼女はその中で、もっとも驚嘆させられた選手。ジャンプはもちろん、スピンも+3を出すジャッジがいるくらい質が高いし、何よりスケーティングとボディームーブメント、そして音楽表現がすばらしい。
2位は、SP6位から逆転した白岩さん。SPの点差があったし、ジャンプがまだ本調子じゃないように思われたので、正直表彰台は難しいんじゃないかと思っていた。信じる心の弱いファンでごめんなさい(汗)。
3位はリムさんは、初表彰台おめでとう! みごと、JGP表彰台の日露独占を阻みましたな!(笑) すごいポテンシャルの持ち主なので、これからの成長が楽しみでならない。
4位はコンさんは、他のおそろしあたちに引けを取らない実力と個性をもっている。SPもFSも、印象的なプログラムなので、さらに磨き上げていってほしい。
5位の青木さんは、もう何度も言うようだが、課題はジャンプ! ジャンプさえ決まれば結果はついてくるはず! 1戦目のチェコスケートよりは調子が良くなっていると思うので、全日本ジュニアでクリーンな演技ができますように!
下記で、青木さんの記事が掲載されていたので紹介したい。

ドイツの女子選手3人は、三者三様の個性があって素敵だったし、今大会で初めて出会ったホリー・ハリス(オーストラリア)と、イー・クリスティー・リユン(香港)にも、心惹かれるものを感じた。今後の成長を見守っていきたい。

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JGPファイナル進出者

  • アナスタシア・グバノワ(ロシア):1位&1位
  • ポリーナ・ツルスカヤ(ロシア):1位&1位
  • 紀平梨花(日本):2位&1位
  • 坂本花織(日本):2位&1位
  • アリーナ・ザギトワ(ロシア):1位&3位
  • 本田真凜(日本):2位&2位