GPスケートアメリカ2016 男子SP

GPスケートアメリカ2016 リザルト
GPシリーズ第1戦の男子SPは、現地時間2016年10月22日(土)に行われた。
今季から、GPシリーズの滑走順が、抽選で決められることになった。

上記のライストで、全員の演技のを見た。滑走順に感想を書いている。
テレ朝の解説は織田信成さん、実況は角澤照治アナ。
それと、プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 ブレンダン・ケリー(オーストラリア)

  • 楽曲:Singin' in the Rain by Arthur Freed and Nacio Herb Brown
  • プログラム:○

昨季、国内選手権優勝、四大陸19位、ワールド17位。
今季「雨に唄えば」で滑る人、多いなぁ。この曲、大好きなので嬉しい。
4T転倒。3Lz+3Tはクリーンに着氷。3Aは着氷でバランスを崩した。
スピンのレベルは1、3、4。CCSp1は、最後、回転がゆっくりになってしまったせいか、GOEマイナス。ステップはレベル3。
この曲のキモである、幸福感や軽やかな感じは出せていたと思う。
71.62。

2 ボーヤン・ジン(中国)

  • 楽曲:Spiderman
  • プログラム:◎

昨季、GPファイナル5位、国内選手権優勝、四大陸2位、ワールド3位。
衣装がド直球の黒スパイダーマン(笑)。
4Lzで転倒。3Aで着氷が乱れた。4Tで転倒。連続ジャンプ入らず。
スピンのレベルは4、3、4。回転がめっちゃ速い。ステップはレベル3。
あちこちにスパイダーマンを思わせる振付が散りばめられた、ガチのスパイダーマンプロであった。手首から糸を飛ばす動きが入ってるし、最後のポーズもスパイダーマンの(多分)有名なポーズと思われる。振り付けたのは、ローリーなのね。彼女がどんな顔してどんなふうに振り付けたのか、見てみたかったわ〜(笑)。
スピードがすごく出てたんじゃないかなー。スケーティングが良くなった印象を受けた。スピードが増したために、ジャンプがうまく入れられなくなったのかも。
ネタプロとしてはもちろん(笑)、高難度ジャンプ構成と芸術性がハイレベルに組み込まれた勝負プロとしても、後世に名を残すプログラムになるのではないかと期待が高まる。
72.93。

3 ティモシー・ドレンスキー(アメリカ)

  • 楽曲:Awake My Soul by Mumford and Sons
  • プログラム:○

昨季、GPスケカナ7位、全米7位。
3Lzタノと3Aはクリーンに着氷。3F+3T<は両足着氷。
スピンは全てレベル4。どのスピンも回転が速く、質が高い。ステップはレベル3。
ジャンプを跳ぶ前に構えがなく、軽々と跳んでいる感じがする。男性ヴォーカルの曲で、同じトーンが続くのだが、抑揚をつけ、全身を大きく使って演じられているので、単調に見えないんだよね。激しさを内に秘めているような印象を受けた。
77.59で、自己ベスト更新!

4 セルゲイ・ヴォロノフ(ロシア)

  • 楽曲:The Skin I Live In (soundtrack) by Alberto Iglesias
  • プログラム:○

昨季、GP中国杯5位、国内選手権5位。
4Tは転倒。3Aはよかった。3Lo+3Tは、ちょっと詰まったように見えたが、GOEプラス。
スピンは全てレベル4。こんなにスピンうまかったっけ? 軸が安定しているし、回転も速いし、ポジションもぶれない。
ステップはレベル3。ヴァイオリンの音をよく表現していた。繊細な曲想を丁寧に演じていたと思う。
クワドの転倒はあったが、本人は納得した表情。新しい彼を見せてくれたのではなかろうか。
78.68。

5 ナム・ニューエン(カナダ)

  • 楽曲:Love Me or Leave Me by Sammy Davis Jr.
  • プログラム:○

昨季、スケカナ5位、国内選手権4位、ワールド27位。
髪型がおもしろい。頭頂部に髪をモリモリしている。
4S+3Tは、あんまり軽々跳ぶから、一瞬トリプルかと思った。3Aと3Lzもクリーンに着氷。
スピンのレベルは3、4。2番目のスピンはノーバリュー。
ステップはレベル3。曲想にマッチした軽快なステップだった。
スピードは控えめだったが、クリーンな演技だった。ジャンプの調子が戻ってきたようで何よりである。
79.62でSB更新!

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●第2グループ
6 マキシム・コフトゥン(ロシア)

  • 楽曲:Bahamut by Hazmat Modine
  • プログラム:○

昨季、国内選手権優勝、ユーロ3位、ワールド18位。
地味に奇抜な衣装だなぁ。その格好だからヒッチハイクしても、車が止まってくれないんじゃない?(笑)
4S+3Tは素晴らしかった(GOE 1.57)。でもその後、でっかい2Tとふんわり1Aがノーバリュー(泣)。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。音に動きがハマっていて、かっこいよかった。
ヒッチハイクから始まる個性的なプログラム。ドラマティックで力強い音楽が彼に似合っている。コーチが変わってもこういうおもろいプロを作ってくるところを見ると、これまでの変プロの数々も、コーチの趣味じゃなくて彼の趣味だったんだな(笑)。
67.43。

7 ヨリク・ヘンドリックス(ベルギー)

  • 楽曲:Broken Vow performed by Josh Groban
  • プログラム:○

昨季、国内選手権優勝、ユーロ9位、ワールド16位。
構えが長いが3AはOK。3Lz+3Tはステップアウト。3Loも着氷がちょい乱れた。
スピンのレベルは4、4、3。トラベリングしたスピンもあったが、どれも回転が速く、軸がぶれない。
ステップはレベル3。男性ヴォーカルの歌声の伸びに寄り添うように、伸びやかに演じていた。
なめらかでシームレスなスケーティングが、素敵だわ〜。ポジションとラインがきれい。
76.62。

8 ジェイソン・ブラウン(アメリカ)

  • 楽曲:Writing's on the Wall (James Bond - Spectre) by Sam Smith
  • プログラム:○

2014〜15、全米優勝、四大陸6位、ワールド4位。昨季、GPスケアメ3位。
白ワイシャツに黒パンツのシンプル衣装。
4Tは転倒。3Aは軽々と(GOE 2.00!!)。3Lz+3Tもクリーンに着氷。セカンドがちょっと高さ足りないかなと思ったけど、きちんと流れる着氷にできるんだよね。すごいわ〜。
スピンは4、4。2番目のCCSpが条件を満たさず、ノーバリューに。スピンの質自体は良かっただけにもったいなかった。
ステップはレベル4。自由自在な動きで、力強くなめらか。うっとりしちゃう。
モリモリのつなぎが、自然に盛り込まれているのがいい。すっごく難しいことをやってるはずのに、まったく簡単そうに行っている。
つなぎのバレエジャンプの足の高さに観客がどよめく。180度以上は開いてた。I字スパイラルとか、エレメンツ以外の部分で歓声が上がるあたり、さすがである。
キスクラで、コリ先生とロヒーンに挟まれてニコニコしてるジェイソン見ると、癒されるわ〜。昨季は、怪我でほとんど休んでて見られなかったからさ〜。
85.75でSB更新!

9 宇野 昌磨(日本)

  • 楽曲:Fantasy for Violin and Orchestra ("Ladies in Lavender" soundtrack) by Nigel Hess
  • プログラム:○

昨季、GPファイナル3位、全日本2位、四大陸4位、ワールド7位。
いつもと違う顔。演技直前の選手って、たいがいみんなきりっと引き締まった顔してるもんだけど、ぼーっとしてるように見える。誤解を恐れず言えば、眠そう(笑)。
4Fは着氷がきれいに流れなかった。4T+3T<は転倒。イーグルからの3Aは、着氷がちょっと乱れた。3Tと3Aの着氷が同じような失敗で、アウトサイドエッジに体重が傾いてぐりんとしてるんだよね。
スピンは全てレベル4。ポジションチェンジしても軸が全くぶれない。
ステップはレベル3。風のように駆け抜けていった。
89.15でSB更新!

10 アダム・リッポンアメリカ)

  • 楽曲:Let Me Think About It (Ida Corr vs. Fedde Le Grand)
  • プログラム:○

昨季、全米優勝、ワールド6位。
衣装はノースリーブ! 背中はスケスケ! 肩がピカピカ光ってるくらい肌が美しい☆
3F+3Tと3A、タケノコ3Lz、全てクリーンに着氷。
スピンのレベルは4、4、3。コントロールされた、質の高いスピン。
ステップはレベル3。曲想によく合っていて、エアロビっぽい振付も入っている。
クールで個性的なプログラム。「力強く美しい」を体現したかのような演技であった。
87.32。

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◆SP順位
SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、得点の順に記されている。

  1. Shoma UNO JPN 89.15
  2. Adam RIPPON USA 87.32
  3. Jason BROWN USA 85.75
  4. Nam NGUYEN CAN 79.62
  5. Sergei VORONOV RUS 78.68
  6. Timothy DOLENSKY USA 77.59
  7. Jorik HENDRICKX BEL 76.62
  8. Boyang JIN CHN 72.93
  9. Brendan KERRY AUS 71.62
  10. Maxim KOVTUN RUS 67.43
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◆総評
今大会の男子SPでは、4Sは着氷した選手がいたけど、4Tはことごとくミス。誰もクリーンに降りられなかった。FSでは、みんな決められますように。
SP1位は昌磨くん。ジャンプ3つ全てでミスしたのに、TES1位ってところに、地力の違いを感じる。PCSは、ジェイソンに次いで僅差の2位なので、ジャッジの評価も上々ですな。
2位はアダム。「やりたいことをやりたいようにやるぜ!」という意思を感じる。四回転なしでこの得点は立派。
3位のジェイソンは、4Tで転倒したけど、ナイストライ☆ 試合で挑戦しなきゃ成功するようにならないもんね。
SPの演技を見ると、上位3人が抜けてる感じ。3人とも、SPの点差はあまりないんだよね。PCSは、昌磨くんとジェイソンが少し上だけど、FSでは違う評価が下される可能性も十分あるしなぁ。誰が優勝するか、さっぱり予想がつかない。
4位のナムくんは、ジャンプが復調したようで安心した。
8位のボーヤンは、ジャンプに大きなミスが出て、得点が伸びなかったが、プログラム自体はめっちゃ気に入ったので、次はクリーンな演技が見たい。ぜひとも見たい。
10位のコフトゥンは、先日ローカルの大会でジャンプをクリーンに着氷している姿を見たので、できないわけじゃないんだよね…。精神的な問題なのかなぁ…(ため息)。