GPスケートアメリカ2016 女子FS

GPスケートアメリカ2016 リザルト
GPシリーズ第1戦の女子FSは、現地時間2016年10月22日(土)に行われた。
今季から、GPシリーズの滑走順が、抽選で決められることになった。FSは、SPの順位が低かった順に3人ずつ抽選して滑走順が決まるらしい。

上記のライストで、全員の演技を見た。滑走順に感想を書いている。
テレ朝の解説は織田信成さん、実況は森下佳吉アナ。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 村上 佳菜子(日本)

  • SP順位:10,得点:47.87
  • 楽曲:E lucevan le stelle (from "Turandot") by Giacomo Puccini
  • プログラム:△

楽曲名は、「トゥーランドット」じゃなくてトスカじゃないかな?
3Lo<、3F<、3F<<と、3つのジャンプで回転不足が取られた。他にも抜けがあったり両足着氷があったりと、ジャンプの不調が続いている。
スピンのレベルは4、3、4。回転が少しゆっくりだった。ステップはレベル3。
曲想に合った動きができていると思うのだが、新しい彼女が見られないというか。今までの知ってる範囲内って感じなんだよなー。まぁ今はジャンプの立て直しが急務で、それどころじゃないのかもしれないけれど。
フリー97.16、総合145.03で、FSはSB更新!

2 アンゲリーナ・クチヴァルスカ(ラトビア

  • SP順位:11,得点:47.80
  • 楽曲:
    • O Fortuna (from "Carmina Burana") by Carl Orff
    • Ameno Dorime by Enigma/Era
    • The Mass by Era
  • プログラム:△

3F<と3Lz<で転倒。2A+3T<<は着氷でバランスを崩す。3S+2T+2Loは、ファーストの後、オーバーターン。1Aは2Aの予定が抜けてしまった。ジャンプの不調は成長期による体形変化の影響だろうか。
スピンのレベルは3、4、4。
ステップはレベル2。スタンブルがあったせいかGOEマイナス。彼女にしては体が動いていなかったように感じる。織田くんがエッジの浅さを指摘していた。
曲のつなぎや終わりが不自然な気がする…。編曲もがんばってほしい。
フリー87.17、総合134.97で、どちらもSB更新!

3 セラフィマ・サハノヴィッチ(ロシア)

  • SP順位:8,得点:56.52
  • 楽曲:
    • The Man with the Harmonica by Apollo 440
    • Amelie Poulain (soundtrack) by Yann Tiersen
  • プログラム:?

自分のこめかみに手で形どった銃を突きつけたポーズから始まる。途中でまた手の銃をこめかみに突きつけたところで電話が鳴り、「アメリ」の音楽に切り替わった。
着氷が乱れたジャンプがいくつかあり、ジャンプの不調は続いているもよう。
スピンのレベルは4、3、4。回転が速く、軸がぶれない。コレオの、女性らしいやわらかな振付が素敵だった。ステップはレベル2。
どういうコンセプトのプログラムなんだろう。自殺しようとして思いとどまるという話? 正直、プログラムの良し悪しは、まだよくわからない。後半の「アメリ」はよかったと思うんだけど、単に私がこの曲が好きだからそう感じるだけかも。
それにしても、SPもFSも難解な音楽を選ぶなぁ。シニアデビューしたばかりで、ジャンプも不調なんだから、もっと分かりやすい、助けてくれる音楽で滑ればいいのに。でも、彼女にとってはこういう音楽が滑りやすいのかもしれない。
フリー107.32、総合163.84で、どちらもSB更新!

4 ロベルタ・ロデギエーロ(イタリア)

ロベルタさんは、いつもスカートの丈が短いような気がする。ミニが好きなんだろうか。
冒頭の3Lz+2Tのルッツは高さがあったが、!が付いてしまった。他に抜けがあったり転倒があったり着氷が乱れたりして、連続ジャンプが2つしか入らず。
スピンのレベルは3、3、4。ステップはレベル3。女性ヴォーカルの軽やかな歌声に乗ってステップを踏んでいたが、SP同様、体がまだ十分使いこなせていない印象を受ける。
女性ヴォーカル自体は素敵なのだが、4曲もつなげているので、やや散漫な印象。今のところ、ハイライトがないんだよなー。
フリー96.51、総合149.13。

5 ソヨン・パク(韓国)

  • SP順位:7,得点:58.16
  • 楽曲:Aranjuez Mon Amour performed by Nana Mouskouri
  • プログラム:○

SP同様、FSも黒の衣装。<が3つのジャンプについている。3Fの転倒があったり、回転の抜けがあったり、着氷が乱れたりと、ジャンプのミスがいくつか出てしまった。
スピンのレベルは3、4、3。前の2つはよかったが、最後のスピンを、回転が十分でないうちに終えてしまった。そのためレベルは取りこぼしたが、GOEはプラス。
後半のコレオは、曲想をよく表していて素敵だった。
フリー103.20、総合161.36。
第1グループが終わった時点で、トップは、セラフィマ・サハノヴィッチ(ロシア)。

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●第2グループ
6 ガブリエル・デールマン(カナダ)

最初のポーズとるとき雰囲気ある。
3T+3Tは、高さ、流れ、幅ともにすばらしい。タケノコ3Lzで転倒。3Fは!がついたけど、高さがすごい。2Loは回転が抜けてしまった。でも、成功したジャンプは、どれも高くてキレがある。
スピンのレベルは4、3、4。どのスピンもよくコントロールされている。
ステップはレベル3。しなやかで大きな動きがダイナミックでかっこいい。
スピードが出てる中、ぐいんぐい〜んと伸びるスケーティングと、シャープでクリアーな動きが見られて、非常に気持ちのよい演技だった。終始、表情豊かに演じていた。
演技が終わった後、ギャビーはちょっとがっかりしてたけど、めっちゃよかったよ! 素敵だったよ!
フリー122.14、総合186.63で、どちらもSB更新! 現時点で総合1位。

7 浅田 真央(日本)

  • SP順位:5,得点:64.47
  • 楽曲:
    • En la cueva - La noche (from "El amor brujo") by M. de Falla
    • Pantomime (from "El amor brujo") by M. de Falla
    • El aparecido (from "El amor brujo") by M. de Falla
  • プログラム:◎

前半は、高く流れのある2Aなど、安定してジャンプを降りていたのだが、後半、アクセルがシングルになって着氷が乱れたり、フリップに回転の抜けたりと、ミスが出てしまった。連続ジャンプが1つしか入らなかったのは痛いなー。でも、3Lz<に、eも!もつかなかったのは嬉しい。
スピンは全てレベル4。GOEの加点も出ているが、もそっと回転が速くなるといいなぁと思う。最近の若い選手は、みんなスピンが上手になって、回転も速いから。
コレオのゆったりしたスパイラルが美しい。彼女の秀麗なスケーティングを堪能できて、眼福である。
ステップはレベル3。軽やかでキレがある。最後のじゃ、じゃ、じゃんに合わせたサイドへの動きが好き☆
SP同様、慎重な印象を受けた。後半、ちょっと疲れちゃったかな。
フリー112.31、総合176.78。現時点で総合2位。

8 マライア・ベル(アメリカ)

  • SP順位:6,得点:60.92
  • 楽曲:East of Eden by Lee Holdridge
  • プログラム:◎

白にスパンコールキラキラで美しい。背中が開いてるのいいね☆
3Lz+3Tをクリーンに着氷。3F+1Lo<+2Sは、多分3Sの予定だったんだろう。あと、3Lzに!が付いたが、3連続ジャンプにGOEマイナスが付いたほかは、全てのエレメンツがプラス評価。
スピンのレベルは4、3、2。レベルは取りこぼしているが、回転がく、軸がぶれない、質の高いスピンだった。
ステップはレベル3。曲想に合った、ゆったりと美しいステップ。コレオものびやかで素敵。
見た目ほぼノーミスの演技!! ガッツポーズ出たよ!!
真央ちゃんの次だからか、足首の硬さがちょっと気になったが、こんなに早い時期にこんなに良い演技してて大丈夫なのか、心配になるくらい完成された演技だった。
キスクラで、ベルさん、すっごく嬉しそう。よかったね〜☆
フリー130.67、総合191.59で、SP同様、FSも自己ベスト更新! 現時点で総合1位。

9 三原 舞依(日本)

  • SP順位:2,得点:65.75
  • 楽曲:Cinderella by Patrick Doyle
  • プログラム:○

2A+3Tの予定だったのに、セカンドが2Tになったので、後半の3Lzに3Tをつけたものの、セカンドの3T<<が両足着氷。それ以外は、全てのエレメンツがGOEプラス。トリプルの予定が2Sになってしまったが、減点はされなかった。
スピンは全てレベル4。最初のCCoSp4で、そっと回転する感じが、曲想に合っていて素敵。
ステップはレベル3。明るく軽快でかわいらしい。コレオの、なが〜いスパイラルが印象的だった。
清涼感のある滑りが魅力的なのだが、贅沢を承知で言うと、もっと乙女チックララバイ☆な感じがほしい。だって、シンデレラって言ったら、やっぱ乙女の夢の世界じゃないですか。キラキラ感とかときめきが必要不可欠ですよ。
123.53、総合189.28で、総合得点は自己ベスト更新! 現時点で総合2位。

10 アシュリー・ワグナーアメリカ)

  • SP順位:1,得点:69.50
  • 楽曲:Exogenesis Symphony Part 3 by Muse
  • プログラム:◎

髪を下ろしてる! 競技では珍しい!
アンダーローテが2つ、ジャンプの抜けが1つ。3Lzにeがついてしまった。
スピンのレベルは4、3、3と、取りこぼしている。回転がちょっとゆっくりなせいかな。
ステップはレベル3。ステップもコレオも情感あふれる滑りで魅了された。
連続ジャンプがなかなか入らないからドキドキしてしまった。最後の2つがコンボなのか。もともとそういう構成なんだろうか。
彼女がこの曲をやると聞いたときから、期待が増すばかりだったので、今のところはまぁこんなもんかという感じ。でも、滑りこんでいったら名作になるんじゃなかろうか。ぜひそうなってほしい。
126.94、総合196.44。現時点で総合1位。

11 グレイシー・ゴールド(アメリカ)

  • SP順位:3,得点:64.87
  • 楽曲:Daphnis and Chloe by Maurice Ravel
  • プログラム:◎

ベージュにゴールドのキラキラ衣装。髪飾りがゴージャス!
得点源の3Lz+3Tが、壁ドンしそうになったため、セカンドがダブルに。3Loと3Sで転倒。2Fにeが。連続ジャンプが2つしか入らなかった。
スピンのレベルは3、4、4。ポジションとラインが美しい。ステップはレベル3。
冒頭のコレオでは、彼女の美しさと優雅さをこれでもかと見せつける構成。ゆったりしたスパイラルとか、うっとりだわ〜☆
ジャンプのミスはあれど、女性らしいやわらかい振付を丁寧に演じていて素敵だったが、ちょーっと元気がなかったような。彼女にしては、発散されるエネルギーが控えめな印象を受けた。
フリー119.35、総合184.22。総合5位に決定。

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◆総合順位
女子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Ashley WAGNER USA 196.44 1 2
  2. Mariah BELL USA 191.59 6 1
  3. Mai MIHARA JPN 189.28 2 3
  4. Gabrielle DALEMAN CAN 186.63 4 4
  5. Gracie GOLD USA 184.22 3 5
  6. Mao ASADA JPN 176.78 5 6
  7. Serafima SAKHANOVICH RUS 163.84 8 7
  8. So Youn PARK KOR 161.36 7 8
  9. Roberta RODEGHIERO ITA 149.13 9 10
  10. Kanako MURAKAMI JPN 145.03 10 9
  11. Angelina KUCHVALSKA LAT 134.97 11 11
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◆総評
優勝したアシュリーは、氷の上でも外でも自然体でありながら貫禄を感じさせる。昨季のワールドで銀メダリストになったのが、大きな自信になっているのだろう。フリーは2位だったが、PCSは、一人だけ70点台に乗せ、トップ。
総合2位のベルさんは、FSでは1位! ライストで見てたときは「完成度高っ!」と驚いたけど、プロトコルを見ると、スピンのレベルを取りこぼしてるし、少しマイナスがとられたジャンプもあるし、まだまだ伸びしろがあるんだよね。
今回は、アンジェラ・ワンの辞退により、急遽出場が決まったそうなのだが、みごとその機会を生かして、GP初表彰台に乗った。おめでとう!
3位の三原さんも、初表彰台おめでとう☆ GPデビューの試合で銅メダル獲得なんて、すごいわ〜。
彼女について、まとまった記事を見つけたので紹介したい。

4位のギャビーは、SPもFSも素敵な演技だったのだが、表彰台に上がれず残念であった。着実にうまくなっているので、次の演技を見られるのが楽しみである。
5位はグレイシー。最終滑走の彼女の前に、アメリカ選手がトップ2を占めていたので、アメリカ選手の表彰台独占もあるかと思ったんだけどなぁ。プログラム自体はすばらしいので、今後の進化に期待したい。
6位の真央ちゃんは、ジャンプの調整が遅れているようだが、スケーティングは至高レベルに達しつつある。焦らず無理せず自分のペースで仕上げていってほしい。全日本までに間に合いますように。
グレイシーと真央ちゃんのファイナル進出が難しくなったので、今季はフレッシュな顔ぶれになりそう。ベルさんはGP一試合だけの派遣なので、ファイナルには行けないんだよね。アシュリーはもちろん、三原さんにもファイナル進出のチャンスがあるので、ワクワクするわ〜☆