GPスケートカナダ2016 女子FS

GPスケートカナダ2016 リザルト
GPシリーズ第2戦の女子FSは、現地時間2016年10月29日（土）に行われた。
今季から、GPシリーズの滑走順が、抽選で決められることになった。FSは、SPの順位が低かった順に3人ずつ抽選して滑走順が決まるらしい。
ライストは見られなかったので、後日、テレ朝の放送で全員の演技を見た。滑走順に感想を書いている。
テレ朝の解説は荒川静香さん、実況は加藤泰平アナ。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、？の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

• ◎：好きだ！ また見たい！
• ○：よかった。
• △：う〜ん、イマイチ。
• ×：できれば変えてほしい…。
• ？：まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 ヨシ・ヘルゲソン（スウェーデン）

• SP順位：10，得点：49.72
• 楽曲：
  • Endangered Species performed by Dianne Reeves
  • Composition of Rayshaun by RayShaun Thompson
• プログラム：○

赤に金の模様が入った衣装で、氷上にとても映える。
独創的な音楽を使ったふしぎプログラム。ヨシさんに合ってると思う。<や<<がいくつか刺さってしまったが、転倒や抜けはなかった。スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル3。
フリー100.05、総合149.77。

2 永井 優香（日本）

• SP順位：11，得点：40.39
• 楽曲：The Ludlows (from "Legends of the Fall" soundtrack) by James Horner
• プログラム：○

白の衣装にキラキラ〜☆ 首元は特にキラキラ〜☆ 頭には二重に巻かれたラリエット。清楚できれい☆
SPでジャンプが絶不調だったので、ハラハラしながら見守っていたのだが、永井さんは強かった。そして美しかった。
3Lo<と3S<+2T<+2Lo<でアンダーローテが取られたり、2A+3Tでオーバーターンしたり、StSq2でスタンブルしてGOEマイナスされたりしたけど、今できることを一つ一つ丁寧に行っていて、心打たれる演技だった。
スピンのレベルは4、3、2。ステップはレベル2。
フリー107.17、総合147.56。

3 ナヒュン・キム（韓国）

• SP順位：7，得点：60.46
• 楽曲：House of Flying Daggers (soundtrack)
• プログラム：○

3Lo+3Loは流れない着氷になり、3Lzにエラーが取られ、3Fの予定が抜けてシングルに、3S<でアンダーローテが取られたが、プログラムの流れを壊すようなミスはなかった。
スピンは全てレベル4、ステップはレベル3。
彼女の個性を生かした選曲と振付で、良いプログラムだと思う。
フリー104.02、総合164.48。

4 ダビン・チョイ（韓国）

• SP順位：8，得点：53.29
• 楽曲：Doctor Zhivago (soundtrack)
• プログラム：○

ジャンプでいくつかミスがあったが、転倒や抜けはなく、得点源の3Lz+3Tも栗0ンに着氷できた。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
プログラム中盤で、明るい曲想のところで笑顔が見られた。SPに引き続き、ダビンちゃんが笑顔！ 顔の表情だけでなく、ボディームーブメントも昨季と比べてはるかに表情豊かになっている。素敵☆
加藤アナによると、彼女は昨季、国内選手権2位で、その時優勝した選手はまだ年齢制限でオリンピックに出られないため、現時点で、平昌オリンピックの韓国代表に一番近い存在と見なされているらしい。
フリー112.49、総合165.78で、総合得点はSB更新！

5 ミライ・ナガス（アメリカ）

• SP順位：9，得点：53.19
• 楽曲：The Winner Takes It All performed by Sarah Dawn Finer
• プログラム：○

純白の衣装。永井さんも白だし、第2グループの理華ちゃんも宮原さんも白で、白の衣装率高し。11人中4人もいる。<が6つ、<<が1つ、そして2Tが3つ跳んでしまったので、3つ目の2Tがノーバリュー。それと3Lz<に!が付いた。
スピンのレベルは4、3、3。ステップはレベル3。
ジャンプの回転不足がたくさん出てしまった…嗚呼（泣）。ジャンプの調子が良くないのかなぁ？ それともどこか痛めちゃったとか？
女性ヴォーカルの美しい歌声が切々と歌い上げる曲で、彼女が滑りこなしたら、すごく素敵なプログラムになるんじゃなかろうか。期待したい。
フリー98.23、総合151.42。
第1グループが終わった時点で、総合1位はダビン・チョイ（韓国）。

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●第2グループ
6 本郷 理華（日本）

• SP順位：4，得点：65.75
• 楽曲：Lawrence of Arabia (soundtrack) by Maurice Jarre
• プログラム：○

白に肌襦袢多用で、額にはめるタイプのヘッドドレスを付けている。アラビアの姫君みたい。美しや〜☆
着氷後足がぐらつくジャンプが多いな〜と思っていたら、<<が2つ、<が4つ、3Lz<にエラーが取られた。…嗚呼（泣）。でも、最後に跳ぶジャンプのタノ3Sは、ここで決まれば大盛り上がり〜☆ というところでみとごクリーンに着氷し、かっこよかった。
スピンはレベルが3、4、4。ステップはレベル2。
ジャンプのミスが多発してしまったが、雄大な音楽は彼女にすごくハマってるし、ダイナミックかつパッションあふれる滑りは素敵だった。
フリー105.44、総合171.19で、総合得点はSB更新！ 現時点で総合1位。

7 宮原 知子（日本）

• SP順位：5，得点：65.24
• 楽曲：The Planets by Gustav Holst
• プログラム：○

レイア姫な白衣装の宮原さん。キラキラビーズのラリエットが髪に巻かれているのだが、それがまたレイア姫っぽい。
3Fに!が付き、<が3つのジャンプに刺さったが、スピード感と迫力のある、素晴らしい演技だった。曲想の違いを明確に表現していたと思う。
スピンは全てレベル4。ステップはまさかのノーバリュー。どうやら氷上を大きく使えてなかったのが原因らしい。曲想をよく表現した素敵なステップだっただけに、もったいないわ〜。
おそらく、「金星→火星→レイア姫のテーマ→木星」という順番かな。4曲も使っていると聞いて、数々のトンデモ編曲がトラウマになっている身としては、「だ、大丈夫なの？ おかしな編曲になってるんじゃないの？」と不安でいっぱいだったのだが、実際見たら、曲のつなぎが自然で、素敵なアレンジになっており、安心した。
フリー126.84、総合192.08。現時点で総合1位。

8 アレーヌ・シャルトラン（カナダ）

• SP順位：6，得点：62.15
• 楽曲：Rome (soundtrack) by Jeff Beal
• プログラム：○

安藤さんが、バンクーバー五輪のシーズンに、クレオパトラをテーマに滑った曲だ。アレーヌも、クレオパトラになりきりプロなのかしら。
3Fe<と2A+1Lo+3Sの着氷の乱れ、3Lz<でGOEの減点があったが、他のエレメンツはプラス。シャープさと力強さ、しなやかさを備えた演技で、誇り高く、最後まで戦い抜く女王クレオパトラという感じのプログラムだった。このクレオパトラなら、ローマに勝てそう。
荒川さんが彼女のエッジワークをほめていた。
フリー123.41、総合185.56。現時点で総合2位。

9 エリザヴェータ・トゥクタミシェワ（ロシア）

• SP順位：3，得点：66.79
• 楽曲：Cleopatra (soundtrack) by Alex North
• プログラム：？

音楽から衣装から髪型から、ガチでエリザベス・テーラー扮するクレオパトラなりきりプロ。
冒頭の3T+3Tの予定が、3Tのオーバーターンのような、変な着氷になったり、後半の2Aがシングルになったりしたが、GOEで減点されたのは、冒頭の3Tだけでで、他のエレメンツはマイナスなし。
彼女のジャンプは高さがあり、軸がまっすぐで、見ていてほんとに気持ちがいいなぁ。
スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル3。
見た目は完璧なんだけど、肝心のプログラムがなぁ…う〜ん…何と評価したものか。ハイライトが分かりにくいんだよね。でも、続けていったら、新しい彼女が見られるような気もするし…。
フリー121.20、総合187.99で、どちらもSB更新！ 現時点で総合2位。

10 ケイトリン・オズモンド（カナダ）

• SP順位：2，得点：74.33
• 楽曲：
  • Mimi Tells Her Story (from "La Boheme - The Ballet") by G. Puccini, arranged by K. Hocking
  • Sono Andati (from "La Boheme") by Giacomo Puccini
• プログラム：○

3Lo<で転倒したり、3Lzに!が付いたり、こらえるようなジャンプもいくつかあったが、音楽表現がたいそう素敵で、所作がキラキラ輝いて見えた。曲想の変化をみごとに表現することによって、ラ・ボエームの物語を時系列に演じていることが分かりやすく伝わってくる。
スピンとステップは全てレベル4獲得。
フリー132.12、総合206.45で、SP同様、FSも自己ベスト更新！ 現時点で総合1位。

11 エフゲーニャ・メドベージェワ（ロシア）

• SP順位：1，得点：76.24
• 楽曲：
  • Extremely Loud and Incredibly Close by Alexandre Desplat
  • Piano Lesson with Grandma by Alexandre Desplat
• プログラム：○

3Lzに!が付いたが、ジャンプの質がいいからかGOEの減点はなし。2A<以外の全要素がプラス評価。スピンとステップは全てレベル4獲得。
ジャンプだけでなく、スピン、ステップを高い質で行いつつ、卓越した表現力で、プログラムの物語をみごとに演じていた。
フリー144.41、総合220.65。総合1位に決定。

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◆総合順位
女子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

1. Evgenia MEDVEDEVA RUS 220.65 1 1
2. Kaetlyn OSMOND CAN 206.45 2 2
3. Satoko MIYAHARA JPN 192.08 5 3
4. Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 187.99 3 5
5. Alaine CHARTRAND CAN 185.56 6 4
6. Rika HONGO JPN 171.19 4 8
7. Dabin CHOI KOR 165.78 8 6
8. Nahyun KIM KOR 164.48 7 9
9. Mirai NAGASU USA 151.42 9 11
10. Joshi HELGESSON SWE 149.77 10 10
11. Yuka NAGAI JPN 147.56 11 7
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◆総評
メドさんは、ぶっちぎりで優勝。昨季に引き続き、ジャンプの安定感が半端ない。強い。
ただ、これはわたしのわがままでしかないのだが、SPもFSも、昨季と同じような選曲なのにがっかりしている。たぶん、こういう音楽が得意なんだろうけど、まだ若いんだし、世界チャンピオンになったんだし、SPかFSかどちらかは冒険してほしかった。メドさんならノリのいい曲でもコミカルなプログラムでも滑りこなせると思うんだけどなー。
2位のオズモンドさんは、地元カナダで華麗なるふっか〜つ！！ 本当におめでとう☆
3位は日本のエース、宮原さん。表彰台に乗れてよかったわ〜。ジャンプのミスやステップのノーバリューなど、課題がいろいろ出たけれど、彼女なら次戦まできっちり修正してきてくれるだろう。
4位は、トゥクタミちゃん。残念ながらプログラムはイマイチわたし好みではないが、ジャンプが順調に良くなっているもよう。次戦の中国杯からは3Aを入れたいと考えているらしい。
5位のアレーヌは、ジャンプさえクリーンに決まれば、GP表彰台常連になれそうなんだけどなぁ。年々スケーティングと音楽表現が素敵になっており、演技を見るのが楽しみな選手の一人。
6位の理華ちゃんは、SPもFSも素敵な演技だったと思うのだが、PCSを見るに、ジャッジの評価はイマイチっぽい。何でだろう。
非常に残念ながら、ファイナル進出は厳しくなってしまったが、全日本に向けてプログラムをブラッシュアップさせていってほしい。
9位のミライちゃんは…ジャンプの悪い癖が出ちゃったなぁ（ため息）。今回たまたまジャンプの調子が悪かったとかならいいんだけど。
11位の永井さんは、ジャンプを一から作り直している最中ということで、その影響がジャンプだけでなく、スピンやステップにも表れているのを感じる部分があった。でも、彼女ならではのエレガントさは健在で、嬉しかった。ジャンプの修正、がんばってほしい。