GPスケートカナダ2016 アイスダンスFD

GPスケートカナダ2016 リザルト
GPシリーズ第2戦のフリーダンスFDは、現地時間2016年10月29日(土)に行われた。
今季から、GPシリーズの滑走順が、抽選で決められることになった。FDは、SDの順位が低かった順に3組ずつ抽選して滑走順が決まるらしい。
ライストは見られなかったので、後日、全組の演技を動画で見た。滑走順に感想を書いている。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 シーユエ・ワン&シンユー・リウ(中国)

  • SD順位:9,得点:57.86
  • 楽曲:New York, New York by Ralph Burns
  • プログラム:?
  • 動画:YouTube

う〜ん、悪くない演技、クリーンな演技なのだが、印象に残らないんだよなー。何か一つでも「すご〜い!」とか「美しい〜!」とか思えるエレメンツがあれば、印象も変わってくると思うのだが。滑りこんでいけば、素敵なプログラムになる可能性を感じるけど、今のところイマイチな感じ。
フリー86.30、総合144.16で、総合得点は自己ベスト更新!

2 セシリア・トルン&ユッシヴィレ・パルタネン(フィンランド

  • SD順位:10,得点:56.98
  • 楽曲:
    • Stonemilker by Björk
    • Golden Age by Woodkid
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

もう少し何かをどうかすれば「素敵! 美しい!」となりそうなエレメンツがいくつもあったんだけど、その一歩手前でとどまっているような印象を受けた。滑りこんでいけば素敵なプログラムになりそうなので、頑張ってほしい。何といっても、今季のワールドはフィンランド開催ですからな!
フリー82.16、総合139.14で、どちらもSB更新!

3 ロランス・フルニエ・ボードリー&ニコライ・ソレンセン(デンマーク

  • SD順位:7,得点:62.63
  • 楽曲:La vie en rose by Edith Piaf
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

女性の衣装が黒のスケスケスカートで、肩紐が片方ずり落ちてるのがセクシー!
冒頭のSlLi4のポジションが決まっていて美しかった。
二人の濃密な愛の物語が、二人の動きや表情、まなざしから雄弁に語られていて、見ているこちらが照れつつも満たされるような演技だった。
エレメンツの出と入りがもっとスムーズになると、さらにプログラムの世界に引き込んでくれるんじゃないかなー。今後が楽しみ☆
フリー94.08、総合156.71で、どちらも自己ベスト更新!

4 アレクサンドラ・ポール&ミッチェル・イスラム(カナダ)

楽曲名を見たときからいや〜な予感がしていたのだが、それが的中(泣)。「愛の夢」でロマンティック&ドラマティックに滑っていたところから、終盤、ChTw1が終わったところで唐突に別の曲に切り替わり、DiSt2が始まるという構成だった…。
それぞれの曲想をきちんと演じ分けられているので、競技的には問題ないのかもしれないが、わたしとしては、どうしても違和感を覚えてしまう。編曲の仕方をもそっと何とかできなかったのか…。
フリー86.02、総合144.85で、総合得点はSB更新!

5 ケイトリン・ホワイエク&ジャン=リュック・ベイカー(アメリカ)

  • SD順位:6,得点:65.01
  • 楽曲:Liebestraum
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

最初のポーズをとるとき、女性が男性の頭に触れてから肩にゆっくりと滑らせる手つきがエロ…いや情感たっぷりで、ドギマギした(///)。
このグループの中では、別格の滑りだと感じた。スケーティングがすいーっと伸びていくのが気持ちいい。
動画が2度ほど中断したせいで、どっぷり浸れなかったのだが、それが恨めしく思えるほど、「愛の物語」が美しく、時に激しく、時に切なく紡がれていた。デンマークのロランスたちとはまた違った愛の物語。ええな〜。やっぱアイスダンスは愛を語ってナンボですわ☆
ツイズルのファーストが大きくズレたり、SlLi4でミスしたり、ChLi1で、わたしが美しいと思えない、4の字リフトがあったりしたが(苦笑)、それを忘れさせるような素晴らしい演技だった。
フリー97.18、総合162.19で、総合得点は自己ベスト更新! ノーミスならFD100点いきそう。

第1グループが終わった時点で、総合1位は、ケイトリン・ホワイエク&ジャン=リュック・ベイカー(アメリカ)

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●第2グループ
6 アレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン(ロシア)

  • SD順位:5,得点:68.12
  • 楽曲:
    • Libertango by Astor Piazzolla, arranged by E. Runge, J. Ammon
    • Verano Porteno by Astor Piazzolla
    • Primavera Portena by Astor Piazzolla
    • Libertango by Astor Piazzolla
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

滑り出したら、スケーティングがめっちゃなめらかで驚かされた。
STw3で、ファーストのシットポジションの回転がめっちゃ速くて、度肝を抜かれる。
ダンススピンやリフトなど、各エレメンツが独創性に満ちていて、かつ、音楽にばっちりハマっていて、超クールだったのだが、後半ちょっと疲れてきたのか前半ほどの勢いがなくなってしまった。
これからこのプログラムが進化していく姿を見られるかと思うと、ワクワクする。
フリー99.98、総合168.10。現時点で総合1位。

7 アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ(イタリア)

  • SD順位:4,得点:71.08
  • 楽曲:
    • Limelight by Charlie Chaplin
    • Chaplin Medley
    • City Lights: Ouverture by Charlie Chaplin
  • プログラム:
  • 動画:YouTube

彼らのFDがチャップリンと聞いて、世界中のアイスダンスファンが、「この二人がチャップリンをやって、ハマらないわけない!!」と考えたと思う。もちろんわたしもその中の一人だったのだが、実際見てみたら、思ってたのとちょっと違ってた。
小芝居を織り交ぜつつ楽しくコミカルなプログラムになるんだろうと予想していたし、実際その通りではあったのだが、これほど彼らの技術の高さを思い知らされるとは思ってなかった。
ものすごーくスピードを出して滑りながら、ふんわりさらっと、高難度のエレメンツを次々行っていた。最後のChLi1なんて、曲想に合わせて、ゆっくり女性を回転させるんだけど、あれはかえって、速く回転させた方が簡単なんじゃないかと思う。なのにゆ〜っくり、エフォートレスに、女性の体重をまったく感じさせないスムーズさで、男性が回すんだよ。すげー。
フリー109.27、総合180.35で、FDはSB更新! 現時点で総合1位。

8 テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイヤー(カナダ)

…えー、そのー、冒頭のStaLi4は何ですか。人間、あんなことができるんですか。
STw3で、女性がバランスを崩したが、他のエレメンツは隙なく、素晴らしい出来栄えだった。
ただ、これはわたしの感受性の問題かもしれないが、このプログラムで何を伝えたいのか、何を表現したいのかは、よく分からなかった。これから先、何度か見ていけば、分かるようになるだろうか。
フリー111.83、総合189.06で、FDはSB更新! 現時点で総合1位。

9 パイパー・ギルス&ポール・ポワリエ(カナダ)

  • SD順位:3,得点:72.12
  • 楽曲:Con Buena Onda by Daniel Lomuto, Ernesto Baffa, Hector M. Arce
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

……SDで楽しくアホアホと(←褒めてます☆)ダンスしてた人たちと同一人物とは、とても信じられない。
ぐっはー!! 何だこの緊迫感あふれる二人!! 次に何が起こるか分からなくて目が離せない二人!! 独創的でありつつ、これぞタンゴ!!な感じがたまらん!!
演技が終わって、お辞儀をしているときも役になり切っていたのだが、リンクの外に出るところで、ようやく素の自分に戻り、笑顔を浮かべる二人。リンク外でぴょんぴょん跳ねて喜んでるパイパーが、めっちゃキュート☆
フリー110.45、総合182.57で、SD同様、FDも自己ベスト更新! 現時点で総合2位。

10 マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ(アメリカ)

  • SD順位:2,得点:76.21
  • 楽曲:Under Pressure by David Bowie, Freddie Mercury
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

二人とも、すごく楽しそうに生き生きと滑っていたのが印象的だった。トップの組になると、難解なプログラムを、深刻そうな顔で滑っていることが多いのだが、彼らはずっと笑顔でのびのびと演じていて、新鮮に感じた。
フリー112.03、総合188.24で、FDはSB、総合得点は自己ベスト更新!

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◆総合順位
アイスダンスの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SD順位、FD順位の順に記されている。

  1. Tessa VIRTUE / Scott MOIR CAN 189.06 1 2
  2. Madison CHOCK / Evan BATES USA 188.24 2 1
  3. Piper GILLES / Paul POIRIER CAN 182.57 3 3
  4. Anna CAPPELLINI / Luca LANOTTE ITA 180.35 4 4
  5. Alexandra STEPANOVA / Ivan BUKIN RUS 168.10 5 5
  6. Kaitlin HAWAYEK / Jean-Luc BAKER USA 162.19 6 6
  7. Laurence FOURNIER BEAUDRY / Nikolaj SORENSEN DEN 156.71 7 7
  8. Alexandra PAUL / Mitchell ISLAM CAN 144.85 8 9
  9. Shiyue WANG / Xinyu LIU CHN 144.16 9 8
  10. Cecilia TÖRN / Jussiville PARTANEN FIN 139.14 10 10
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◆総評
優勝したヴァーチュー&モイヤーは、年月を経て、深みのある演技を見せてくれた。
ただ、これはわたしのわがままでしかないのだが、SDもFDも、わたし好みのプログラムじゃなくて、意気消沈している(泣)。
2位は、チョック&ベイツ。GPスケアメを見て、「全米優勝に向け、シブタニ兄妹が、一歩リードか?」と思ったが、今大会の演技を見たら、チョックたちの成長も目覚ましく、まだまだどうなるか分からない。
3位はギルス&ポワリエ。これまでも、彼らにしかできない、ユニークなプログラムで我々を楽しませてきてくれたが、今季は満を持して「これぞタンゴ!!」なプログラムを作り上げてくれた。これは後世に語り継がれる傑作プロになりそうな予感。幸せ!!
4位のカッペリーニ&ラノッテも、素晴らしい演技だったのだが、表彰台に届かず。SDもFDも、とっても素敵なプログラムなので、次に演技を見られるのが楽しみだ☆
5位は、ステパノワ&ブキン。FDは、パイパーたちのタンゴとは違う、彼らの良さを生かしたタンゴで、素敵だった。今季は、彼らにとって飛躍のシーズンになるんじゃなかろうか。