GPフランス杯2016 男子SP

GPフランス杯2016 リザルト
シリーズ第3戦の男子SPは、現地時間2016年11月11日(金)に行われた。
今季から、GPシリーズの滑走順が、抽選で決められることになった。
全員の演技を動画で見ようとしたが、ヨリクの動画だけ音楽がミュートされていたので、彼の演技はBS朝日の放送で見た。滑走順に感想を書いている。
テレ朝の解説は八木沼純子さん、実況は進藤潤耶アナ。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 アダム・リッポンアメリカ)

  • 楽曲:Let Me Think About It (Ida Corr vs. Fedde Le Grand)
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、全米優勝、ワールド6位。今季、GPスケアメ3位。
衣装がスケスケじゃなくなってる。でも「肩は出すぜ!!」なタンクトップはそのまま(笑)。
ジャンプは全てクリーンに着氷したが、タケノコ3Lz以外のジャンプがちょっと低めなのが気になる。前はもそっと高さがあったような気がするのだが。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
演じているアダムが、すごく自由で楽しそう。
85.25。今回は衣装の違反が取られてない。よかった〜。

2 ブレンダン・ケリー(オーストラリア)

  • 楽曲:Singin' in the Rain by Arthur Freed and Nacio Herb Brown
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、国内選手権三連覇、四大陸19位、ワールド17位。今季、GPスケアメ10位。
4Tは転倒、3Lz+3Tの予定がセカンドジャンプが抜けて2Tに、3Aは着氷が乱れた。
スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル3。
彼はいつも背中がぴしっとまっすぐに伸びてて気持ちがいいな。腕のちょっとした動きがプログラムをよく引き立てている。彼の丁寧で上品な滑りが音楽にマッチしていて素敵☆
キスクラにキャロル先生が! コーチ欄に彼の名前は記載されてないけど、彼にも教わってるのかしら。
70.67。

3 シャフィク・ベセギエ(フランス)

  • 楽曲:It's a Man's World performed by Seal
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、国内選手権優勝、ワールド20位。今季、GPロステレ8位。二週連続お疲れ様です。
4T+2Tは、ファーストで手を付いたが、頑張って2Tを付けたものの着氷が乱れた。3Aと3LzはOK。
スピンは全てレベル4が取れているのだが、質はあまり良くない。ステップはレベル3。
体はよく動いていたし、キレもあっただけに、4T+2Tのミスが惜しまれる。
77.00。

4 無良 崇人(日本)

  • 楽曲:Zapateado (Flamenco)
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、NHK杯3位、全日本3位、四大陸5位。今季、GPスケアメ8位。
4Tで転倒。3Aはバッチリ☆ 3Lz+3Tは着氷が乱れた。
スピンは全てレベル3。ステップもレベル3。
GPスケアメで負った捻挫の影響か、本調子ではなさそう。スピンでレベル4が取れないのがなぁ…。最後の要素のCCoSp3では、トラベリング&回転ゆっくりになったせいか、GOEで減点されてしまった。タップ音の表現は、めっちゃかっこいいんだけどねぇ(ため息)。
78.38。

5 アルトゥール・ドミトリエフ(ロシア)

  • 楽曲:Adagio by Tomaso Albinoni
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、国内選手権10位。今季、GPロステレ10位。二週連続お疲れ様です。
4Tの着氷はクリーンだったが、直前のステップが足りないないからかGOEマイナス。3Lz+3Tの予定が2Lz+1Tになってしまった。3Aはお手つき。
スピンのレベルは4、4ときて、最後のFCoSp1でまさかのノーバリュー。どのスピンも回転が速く、質の高いスピンに見えたのだが。
ステップはレベル3。大きく動かしていてキレがあり、曲想をよく表現していた。
彼の足の長さとラインの美しさが引き立つ振付だなぁと思った。
64.48。

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●第2グループ
6 ハビエル・フェルナンデス(スペイン)

昨季、GPファイナル2位、国内選手権五連覇、ユーロ四連覇、ワールド二連覇。今季、GPロステレ優勝。二週連続お疲れ様です。
4Tで転倒したので、次の4Sに3Tを付けてきた。着氷でほんの少しバランスを崩しかけたけど、GOE 1.14も加点されてる。4Sの入り方が素晴らしかったからかな。3Aは軽々と。
スピンとステップは全てレベル4。どのスピンもよくコントロールされているのだが、わたしは特にFUSp4が好き☆ シンプルなんだけど、それだけに美しさが引き立つというか。
ジャンプもステップもスピンもぜんぶ超かっこいい…☆ 転倒からの起き上がり方までかっこいいんだよ…☆ 最高だ!!!
96.57でSB更新!

7 ミーシャ・ジーウズベキスタン

  • 楽曲:Paint It Black (remake) by Rolling Stones
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

昨季、ワールド15位。今季、GPスケカナ6位。
3Aの着氷でバランスを崩す。4T<は転倒。3Lz+3T<の着氷に流れはあったのだが。
スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル3。
ジャンプでミスはあったけど、プログラムの完成度は増してきてると思う。全ての動きが様になっててかっこいいんですよ!! あとは全体的にスピードがアップすれば、なおいいんだけどなー。特にジャンプのところは慎重に滑ってる感じがする。
それにしても、この「黒く塗れ」のアレンジ、かっこいいわ〜。こういうビートの入れ方だったら素敵なのに。
キスクラで、ミーシャとおそろいの衣装を着たピカチュウがいる…!! すごい。力作ですな。でもシュールだ(笑)。
72.49。

8 デニス・テンカザフスタン

  • 楽曲:Romeo and Juliet by Sergei Prokofiev (new arrangement)
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、ワールド11位。今季、GPスケアメに出場予定だったが、怪我のため欠場。
今季から、モロゾフにも教わることになったらしい。振付もモロゾフ
4Tは着氷がやや乱れた。3Lz+3Tと3Aは、クリーンに着氷。
スピンのレベルは4、4、2。FSSp2の最後のシットポジションで軸がぶれ、回転がゆっくりになってしまった。スピンの得意な彼にしては珍しいミス。
ステップはレベル4! ジャッジは一人が+2を出した以外は全て+3。うん、あのステップは凄かった。
ロミジュリの原曲とヒップホップバージョンの組み合わせはまぁいいとして、なぜそこに、くるみ割り人形の「金平糖の踊り」を挟む必要がある? ロミジュリだけでよくない? これそロシア名物、謎編曲(苦笑)。デニスがこんなネタプロを滑るとは。
ま、最近すっかりノーブルなイメージが定着した彼だけど、十代のころはEXでチュチュ着て滑ったりしてたしね(笑)。わたし個人としても、彼がヒップホップをやるのは大賛成。彼はどんなジャンルでも滑りこなせる人だから。ただ、こんなヘンなアレンジでなければ、なおよかったけど(苦笑)。
89.21。

9 イワン・リギーニ(イタリア)

  • 楽曲:You Raise Me Up by Josh Groban
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、国内選手権三連覇、ユーロ6位、ワールド12位。
昨季から続行のプログラム。
3A<<は両足着氷。タケノコ3FはOK。タケノコ3Lz+3Tはファーストとセカンドの間にオーバーターンが入ってしまった。
スピンは全てレベル4。でも2番目のCSSp4はGOEマイナス。減点されるほど悪いとは思わなかったのだが。ステップはレベル3。
生き生きと楽しそうに滑っていた。
68.42でSB更新!

10 ネイサン・チェン(アメリカ)

  • 楽曲:Le Corsaire by Adolphe Adam
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

昨季、JGP優勝、全米3位。今大会がGPデビュー。今季から、ズエワ先生にも教わることになった。
4Lz+3T、4F、2Aと、ジャンプは全てクリーンに着氷。2Aは最初からダブルのつもりで跳んだように見えた。
スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル3。
彼がすごいのは、男子シングル史上、最高難度のジャンプ構成に挑みながら、他のエレメンツの質も高いうえに、音楽表現も素晴らしいこと。
ジャンプを着氷した後のフリーレッグがすらっと伸びててきれい。ラインとポジションもきれい。随所にバレエらしさが出ていて、特にステップでは、とても軽そうに跳ねたり、軽快に踊ったりしていた。
92.85で、自己ベスト更新!

11 ヨリク・ヘンドリックス(ベルギー)

  • 楽曲:Broken Vow performed by Josh Groban
  • プログラム:○

昨季、国内選手権優勝、ユーロ9位、ワールド16位。今季、GPスケアメ9位。
3Aはオーバーターン。助走の長さが気になる。3Lz+3Tは、バランスを崩しかけたがこらえた。3Loはクリーンに着氷。
スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル3。
スピンの質の高さは本当に素晴らしい。なめらかで伸びやかな滑りが本当に気持ちいい。
80.34で、自己ベスト更新! ジャンプにミスがあったのに80点超えとは。評価されてるんだな〜。

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◆SP順位
SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、得点の順に記されている。

  1. Javier FERNANDEZ ESP 96.57
  2. Nathan CHEN USA 92.85
  3. Denis TEN KAZ 89.21
  4. Adam RIPPON USA 85.25
  5. Jorik HENDRICKX BEL 80.34
  6. Takahito MURA JPN 78.38
  7. Chafik BESSEGHIER FRA 77.00
  8. Misha GE UZB 72.49
  9. Brendan KERRY AUS 70.67
  10. Ivan RIGHINI ITA 68.42
  11. Artur DMITRIEV RUS 64.48
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◆総評
SP1位はハビ。TESはわずかにSP2位のネイサンが上だが、PCSでは頭一つ(二つかも)抜けている。ま、優勝も彼だろう。不透明なのは2位以下の勝負の行方である。
2位はネイサン。すごいすごいとは聞いていたが、本当にすごかった。4Lzと4Fを、まるでトリプルジャンプみたいに普通に跳んでいた。怪我明けなのにとんでもない化け物である(汗)。
3位はデニス。怪我でGPスケアメを欠場していたので心配していたのだが、SPの演技を見る限り、状態は良さそう。編曲はともかく(笑)、彼にヒップホップを踊らせるというのは、素晴らしい試みだと思う。
4位はアダム。SPが行われた11月11日は、彼の27歳の誕生日だったらしい。彼ももう27歳かー。十代のころから見守ってきたので感慨無量である。誕生日に良い演技ができてよかったね、アダム。
表彰台のてっぺんは、ハビで決まりとして、残り2つをネイサンとデニス、アダムの3人で競うことになりそう。TESのベースバリューで言えば、ネイサンが有利だけど、FSはPCSの影響が大きいから、3位のデニスと4位のアダムにも、十分勝機はある。はてさてどうなるか。
6位の無良くんは、万全のコンディションではなさそう。これ以上悪化しませんように。ぶじにFSを滑り終えられますように。