GP中国杯2016 女子SP

GP中国杯2016 リザルト
GPシリーズ第5戦の女子SPは、現地時間2016年11月18日(金)に行われた。

上記のライストで、全員の演技を見た。滑走順に感想を書いている。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 コートニー・ヒックス(アメリカ)

  • 楽曲:Maleficent (soundtrack) by James Newton Howard
  • プログラム:○

昨季、NHK杯2位、全米9位。今季、GPロステレ3位。
3F+3T<のセカンドでバランスを崩した。3Loはステップアウト。直前にかなりくるくる回っていたので、クリーンに着氷できれば加点がもらえたと思う。2AはOK。
スピンは全てレベル4。どのスピンも回転が速く、軸がぶれない。ステップはレベル4。体を大きく使って曲想をよく表現していた。
正直、使用曲は苦手なのだが、彼女の演技は素晴らしかった。ジャンプのミスはあったけど、プログラム自体はどんどん素敵になっていると思う。
59.86。

2 ケイトリン・オズモンド(カナダ)

  • 楽曲:
    • Sous le ciel de Paris performed by Edith Piaf
    • Milord performed by Edith Piaf
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

昨季、国内選手権3位、四大陸6位。今季、GPスケカナ2位。
すっごいスピードから3F+3T。3Lzも素晴らしい。2Aはオーバーターン。スピンとステップは全てレベル4!
エレメンツの質の高さはもちろん、何より音楽表現がすばらしい。特にステップの素晴らしさときたら!! キラキラ輝いて見える。
ピアフの歌曲は人気があり、今季、他の選手も何人か使っているが、現時点では彼女がもっともよく表現できているように感じる。
72.20。

3 ジジュン・リー(中国)

  • 楽曲:Le Diable Matou by Dompierre
  • プログラム:○

昨季、四大陸10位、ワールド11位。今季、GPロステレ4位。
3T+3T<は、着氷の流れはあった。3Fと2AはOK。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。ステップに力強さやシャープさが感じられるようになってきた。
ジャンプの着氷やスケーティングで時々シャリシャリ音がするのが気になる。なめらかさに欠けるというか。これが「膝がうまく使えてない」からなのかなぁ。足首の問題ではない気がするんだよね。
61.32。

4 アシュリー・ワグナーアメリカ)

  • 楽曲:Sweet Dreams (Are Made of These) by Annie Lennox
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

3Fに3Tを付けられず。3Lo+2Tと2AはOK。
スピンは全てレベル4。GPスケアメでは全部レベル3だったのを、きちんと修正してきた。
ステップはレベル3。ステップにキレッキレで入っていったのだが、ちょっとバランスを崩しかけてからはちょっと慎重になってしまったかな。それでも十分かっこよかった。
ジャンプの調子は、GPスケアメと比べると落ち気味かなーと思うが、全米にピークを持っていけるように、故意にそう調整しているのかも。
64.36。

5 カレン・チェン(アメリカ)

昨季、全米8位、四大陸12位。
衣装が青の濃淡のグラデーションに、ストーンがたくさんついている。キラキラで美しい〜☆
3Lz+3T<で少しバランスを崩したが、ファーストの高さと幅がすごい。3Lo<は転倒。2AはOK。
スピンのレベルは3、3、4。これまでの選手より回転速度が明らかに増しているだけに、レベルの取りこぼしがもったいない。ステップはレベル3。
2Aの前の、スパイラル180度開脚は高揚感マックス!! 彼女は自分の強みをよく分かってるな〜。ジャンプのミスは残念だったが、スピードがあり、素敵な演技だった。
58.28でSB更新!

6 本郷 理華(日本)

  • 楽曲:O Fortuna (from "Carmina Burana") by Carl Orff
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

昨季、GP中国杯2位、全米4位、四大陸3位、ワールド8位。
3Fは流れのある良いジャンプだったが、ステップからただちに跳べていなかったので、+2から-3まで、ジャッジの評価が分かれた。3T+3T<は、着氷の流れはあった。2AはOK。
スピンは全てレベル4だが、他の選手と比べ、ちょっと回転がゆっくりに感じる特に、LSp4の最後のビールマンで加速できたらいいのになーと感じた。そしたらさらにかっこよくなるはず。
ステップはレベル4! ダイナミックで美しく、迫力がすごい。魔女っぷりが存分に発揮されていた。
はぁ…美しい。でもどこか恐ろしい感じも出せていて、プログラムの世界に惹きこまれてしまう。
63.63。

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●第2グループ
7 エリザヴェータ・トゥクタミシェワ(ロシア)

昨季、GPスケカナ2位、国内選手権8位。今季、GPスケカナ4位。
3T+3Tはオーバーターン。3Lzとタノ2AはOK。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
体調が良くない中、よく演技をまとめたと思う。しっとりと美しく演じていた。
ステップで曲想が変わるのだが(多分タンゴだよね?)、モーツァルトのピアコン1本じゃダメだったのか。つなぎは自然だし、プログラムの流れや雰囲気を壊してはいないので、トンデモ編曲とまでは思わないけど、「モーツァルトとタンゴの組み合わせってどうなの?」という疑問は拭えない。
64.88。

8 ヨシ・ヘルゲソン(スウェーデン

昨季、国内選手権優勝、ユーロ9位、ワールド30位。今季、GPスケカナ10位。
白の衣装かっこいい。特に背中側のデザインがいい。
音楽トラブルで、演技を中断して最初からやり直すことに。
3F<で着氷が乱れた。2Lz+2Loは、ファーストで足をついてしまった。スピン。スパイラルからの2AはOK。スピンとステップは全てレベル4!
彼女にお似合いの、オシャレで小粋なプログラム。あとはジャンプさえ決まればなぁ(ため息)。
49.25。

9 エレーナ・ラジオノワ(ロシア)

昨季、GPファイナル3位、国内選手権2位、ユーロ2位、ワールド6位。
3Lz+3T<は、着氷の流れがあった。3Loと2Aはクリーンに着氷。スピンとステップは全てレベル4!
ジャンプやスピンを見るに、成長した体のコントロールに苦しんでいるんだろうな〜と感じるが、それでもGOEで減点されないどころか、むしろ加点されるような出来栄えに仕上げるのが、彼女のすごさ。
ステップは女優ラジオノワの本領発揮であった。うわ〜んと音が伸びるところの表現が秀逸かつ独創的で印象に残る。
70.75。

10 シャンニン・リー(中国)

  • 楽曲:Waltz from "Coppelia" by Leo Delibes
  • プログラム:○

昨季、ユース五輪12位、世界ジュニア20位。
3F+3T<<は両足着氷。3Lzの着氷はクリーンだったのだが、eがついた。2AはOK。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
明るくはつらつとした演技だった。
54.55。

11 三原 舞依(日本)

昨季、JGPファイナル6位、全日本ジュニア8位。今季、GPスケアメ3位。
トップスピードから3Lz+3Tはクリーンに着氷。2Aと3FもOK。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
はぁ…彼女の滑りから感じるこの清冽さは何なんだろう。見ている者の心まで洗い清められるようだ。
68.48で、自己ベスト更新! GPスケアメで更新したばっかりなのに! すごい!

12 ジークァン・ジャオ(中国)

昨季、国内選手権優勝、四大陸16位、ワールド23位。
3T+3T<は、ファーストの高さがあり、着氷後の流れもあった。3Lo<も見た目は悪くなかったのだが。2AはOK。ジャンプは高いのに、回転不足をとられがちなんだよね。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
昨季まで、感情の表出が感じられなかったのだが、この演技からは情感が感じられた。エレガントさも出てきたように感じる。
58.20で、自己ベスト更新!

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◆SP順位
SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、TSSの順に記されている。

  1. Kaetlyn OSMOND CAN 72.20
  2. Elena RADIONOVA RUS 70.75
  3. Mai MIHARA JPN 68.48
  4. Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 64.88
  5. Ashley WAGNER USA 64.36
  6. Rika HONGO JPN 63.63
  7. Zijun LI CHN 61.32
  8. Courtney HICKS USA 59.86
  9. Karen CHEN USA 58.28
  10. Ziquan ZHAO CHN 58.20
  11. Xiangning LI CHN 54.55
  12. Joshi HELGESSON SWE 49.25
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◆総評
天井カメラをフィギュアスケート界から永久に追放したい…。スピンを真上から撮って何が楽しいの…? 全然美しさを堪能できないでしょ…?(泣)
SP1位はオズモンドさん。たいへん素晴らしい演技だったが、やっぱりジャンプの安定感は紙一重な感じ。スピードをコントロールしきれなかったり、軸が曲がったりしてたもんなぁ。それでもクリーンに着氷できるときはできるから、すごいんだけど。
2位はラジオノワさん。SPでは彼女の女優魂が炸裂☆ PCSはトップ!
3位は三原さん。GPスケアメに引き続き、クリーンな演技だった。オズモンドさんやアシュリー、ラジオノワさんと比べると、上半身の使い方が直線的で、可動域が小さいように感じるが、それはこれからどんどん成長していくところだもんね。ノープロブレム!
4位はトゥクタミちゃん。熱が下がったばかりなのに、よく頑張った。FSもぶじに最後まで滑り切れますように。これ以上体調が悪化しませんように。
5位はアシュリー。動きのキレは良かったと思うので、FSでの巻き返しを期待したい。
6位は理華ちゃん。わたしは彼女の滑りにすごく魅了されているんだけどなぁ…。