NHK杯2016 アイスダンスFD

NHK杯2016 リザルト
GPシリーズ第6戦のフリーダンスFDは、現地時間2016年11月26日(土)に行われた。
今季から、GPシリーズの滑走順が、抽選で決められることになった。FDは、SDの順位が低かった順に3組ずつ抽選して滑走順が決まるらしい。
現地で全組の演技を生観戦した。滑走順に感想を書いている。
NHKの放送では、解説が宮本賢二さん、実況が星野圭介アナ。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 アナスタシア・カヌーシオ / コリン・マクマヌス(アメリカ)

  • SD順位:8,得点:52.66
  • 楽曲:
    • Time by Billy Porter
    • Beyond The Sky by Karl Hugo
    • Time by Billy Porter
  • プログラム:○

美しい音楽に乗って、流れるように演じていた。フレーズや音に動きが合っている。RoLi4の後、くるくる回ったまま、CoSp4に入るのが素敵だった。女性が逆立ちのSlLi4は見ごたえがある。前のGP中国杯ではイマイチなプログラムに感じたが、今大会の演技を見て考えが変わった。なかなか素敵なプログラムだと思う。ただ、今のところパンチが足りない印象を受けるので、もう一つ何かがほしい。
宮本さんによると、「ホールドがハンドトゥハンド(手をつなぐだけ)が多かったかな」とのこと。でもそのおかげでスピードを出して滑れていてよかったとも指摘していた。
フリー86.81、総合139.47。

2 平井 絵己 / マリオン・デ・ラ・アソンション(日本)

  • SD順位:9,得点:49.37
  • 楽曲:
    • Kiss by Prince
    • Purple Rain by Prince
    • U Got the Look
  • プログラム:△

曲想をよく表現できていたが、ところどころユニゾンが合っていないように感じた。中盤のSlLi4のポジションチェンジがスムーズできれいだった。
個人的に音楽と振付にあまりおもしろみを感じなかった。
フリー70.98、総合120.35で、どちらもSB更新!

3 マリー=ジャード・ローリオ / ロマン・ルギャック(フランス)

  • SD順位:7,得点:58.21
  • 楽曲:
  • プログラム:○

現地で見ているときは、全く気づかなかったが、CuLi1で男性が片足で立つはずだったところが両足をついてしまい、レベルを落としたようだ。
スケーティングが上手く、一蹴りの伸びが気持ちいい。2つのステップで、曲想の違いをよく表現していた。
宮本さん曰く、「少し両足で滑るところが多かったが、いろいろなホールドを使っていて良かった」とのこと。
フリー91.78、総合149.99。カーブリフトでレベル4が取れてたら、自己ベスト出たんじゃないかなぁ。あー、もったいなかった!

4 ナタリア・カリシェク / マクシム・スポディレフ(ポーランド

  • SD順位:6,得点:59.92
  • 楽曲:New York, New York by Ralph Burns
  • プログラム:○

わたしの目には、最後まで元気よく楽しく踊っているように見えたが、宮本さんによると、後半少しスピードが落ちてしまったらしい。それと終盤のDiSt2でエッジがフラット気味になってしまったとのこと。
東アジアで2連戦して疲れちゃったのかもしれないなー。
フリー88.01、総合147.93。

第1グループが終わった時点で、総合1位は、マリー=ジャード・ローリオ / ロマン・ルギャック(フランス)。

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●第2グループ
6分間練習で、シニツィナたちとテッサたちがぶつかりかけて、ひやっとした。大事なくてよかったわ〜。

5 ヴィクトリア・シニツィナ / ニキータ・カツァラポフ(ロシア)

  • SD順位:4,得点:70.24
  • 楽曲:Tango Ballet by Astor Piazzolla
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

STw3、怖かった〜。ファーストは男性が持ちこたえ、セカンドは女性が持ちこたえた。
スピード感とキレが第1グループの組とは段違いであった。中国杯より二人の息が合っていて、よかったんじゃなかろうか。
フリー100.77、総合169.62。現時点で総合1位。

6 ケイトリン・ホワイエク / ジャン=リュック・ベイカー(アメリカ)

  • SD順位:,得点:
  • 楽曲:Liebestraum
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

夢のような4分間だった。音と動き、エレメンツとフレーズが深くつながり合っている。男性が女性に手を伸ばしかけてやめたりとか、細部にわたって振付が練られていて、とっても素敵☆
バンクーバー五輪シーズンのテッサたちのFDを思い出した。全編ロマンティックムーディーに彩られ、特にストーリーがあるわけでもなく、ただひたすら男女二人がラブラブにいちゃついているだけなのだが、例えようもなく素晴らしく美しく、見入ってしまうという、伝説のプログラム。
スケカナで初めてこのプログラムを見たとき、素敵だと思ったけど、ここまで化けるとは予想してなかったわ〜。
フリー104.34、総合169.75で、どちらも自己ベスト更新! 現時点で総合1位。

7 ガブリエラ・パパダキス / ギヨーム・シゼロン(フランス)

  • SD順位:2,得点:75.60
  • 楽曲:
    • Stillness by Nest
    • Oddudua by Aldo Lopez Gavilan
    • Happiness Does Not Wait by Olafur Arnalds
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

CuLi4の出で、ちょっとバランスを崩してしまった。わたしが気づいたミスはそれくらいだったが、宮本さんによると、その後のCoSP4やDiSt3などで、二人の距離のズレがあったり、ホールドに少しミスがあったりしたらしい。でも現地で見ていたときは、まったく気づかず、一つ一つのエレメンツのすごさに、ただただ感嘆していた。
中盤で、二人が抱き合うような振付が入っているのだが、あそこ好きだな〜。万感の思いが伝わってきて。
フリー111.06、総合186.66。現時点で総合1位。

8 テッサ・ヴァーチュー / スコット・モイヤー(カナダ)

冒頭のStaLi4は、スケカナで見たときも衝撃的だったが、現地でじかに見るとさらに衝撃的だった。人間にこんなことができるのか。
二人の距離の近さと絡み合いがすごい。GOEは、+1が1つだけで、あとは+2と+3だけ。
フリー116.37、総合195.84で、SD同様、FDも自己ベスト更新! 現時点で総合1位。

9 アンナ・カッペリーニ / ルカ・ラノッテ(イタリア)

  • SD順位:3,得点:
  • 楽曲:
    • Limelight by Charlie Chaplin
    • Chaplin Medley
    • City Lights: Ouverture by Charlie Chaplin
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

最初から最後まで一切流れが途切れない。上質な映画を見ているような気持ちにしてくれる。
アイスダンス組は一人がアップで映るときは大抵女性の方なのだが、このプログラムに関しては、男性がアップで映されていた。チャップリンがテーマなだけあって、主人公は男性の方なんだな。女性の美しさや魅力を存分に引き立てつつも、男性が主人公というプログラムなんだと思う。
重力を感じさせない最後のコレオリフトは何度見てもすごい。派手さはないけど、これ、ものすごい技術が必要だと思う。音楽に合わせてゆっくり回転して上がっていく。力が入っているはずなのに、まったくそう感じさせない。
前の2組が息をつめて見入らずにはいられないプログラムだったので、彼らの多幸感あふれる演技にめっちゃ満たされた。
フリー108.42、総合180.42。総合3位に決定。

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◆総合順位
アイスダンスの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SD順位、FD順位の順に記されている。

  1. Tessa VIRTUE / Scott MOIR CAN 195.84 1 1
  2. Gabriella PAPADAKIS / Guillaume CIZERON FRA 186.66 2 2
  3. Anna CAPPELLINI / Luca LANOTTE ITA 180.42 3 3
  4. Kaitlin HAWAYEK / Jean-Luc BAKER USA 169.75 5 4
  5. Victoria SINITSINA / Nikita KATSALAPOV RUS 169.62 4 5
  6. Marie-Jade LAURIAULT / Romain LE GAC FRA 149.99 7 6
  7. Natalia KALISZEK / Maksym SPODYRIEV POL 147.93 6 7
  8. Anastasia CANNUSCIO / Colin MCMANUS USA 139.47 8 8
  9. Emi HIRAI / Marien DE LA ASUNCION JPN 120.35 9 9

WD Kana MURAMOTO / Chris REED JPN

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◆総評
三日目の席も南側だった。アイスダンスはどの組も「すごいなぁ。きれいだなぁ。上手だなぁ」と感心するばかりなのだが、特にFDの第2グループは、素晴らしい演技が続出で、とても幸せなひと時だった。
優勝はヴァーチュー&モイヤー。世界チャンピオン対決をみごと制した。スケカナより断然プログラムがブラッシュアップされていて、喜ばしい限りである。1位&1位でファイナル進出確定、おめでとう☆
総合2位はパパダキス&シゼロン。めずらしくミスがちょこちょこ見られた。それでも十分素晴らしい演技だったけどね。1位&2位でこちらもファイナル進出確定。おめでとう〜☆
3位はカッペリーニ&ラノッテ。上のトップ2組との得点差はついたものの、わたしにとっては、トップ2組に引けを取らない演技だった。SDもFDも、見ている者を幸せにしてくれるプログラム。ファイナルに行けず、残念だ。
4位はホワイエク&ベイカー。FDの「愛の夢」の化けっぷりにたまげた。スケカナから短期間でここまで進化しようとは。今、アメリカはトップ3組の実力が抜けているが、このハマりプロで、全米で彼らにどこまで迫れるか。
5位はシニツィナ&カツァラポフ。カップルとしてバランスやユニゾンがよくなってきたし、プログラムも素敵なのだが、GPではまだ実力を発揮しきれなかった印象を受ける。年末の国内選手権で出し切れるといいのだが。
さて、今季のGPで、トップ組のPCSがどういう格付けになっているか確認してみよう。
◇GPスケアメ

◇GPスケカナ

テッサたちを除く3組のFDのPCSは、ほとんど差がない。
◇GPロステレ

◇GPフランス

  • パパダキスたち>イリニフたち≧ハベルたち≧ギルスたち

GPスケアメでは、イリニフよりハベルたちのPCSが上だったのだが、GPフランスでは逆転していた。
◇GP中国杯

SDでは、ウィーバーたちがシブタニ兄妹をわずかに上回ったが、FDでは1点近く差をつけて、シブタニ兄妹が上回った。
NHK杯

  • テッサたち≧パパダキスたち>カッペリーニたち>シニツィナたち

SDではテッサたちとパパダキスたちの差はほとんどなかった。

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GPファイナル確定者
今大会の結果を受けて、ファイナル進出が確定した組は、下記の通り。

  • テッサ・ヴァーチュー / スコット・モイヤー(カナダ)
    • GPスケカナ 優勝
    • NHK杯 優勝

これまで5度出場しているが、2位が最高順位。初優勝なるか。

  • ガブリエラ・パパダキス / ギヨーム・シゼロン(フランス)
    • GPフランス 優勝
    • NHK杯 2位

2014-15シーズン、初出場し、3位。初優勝なるか。