NHK杯2016 男子FS
NHK杯2016 リザルト
GPシリーズ第6戦の男子FSは、現地時間2016年11月26日(土)に行われた。
現地で全員の演技を生観戦した。滑走順に感想を書いている。
NHKの放送では、解説が本田武史さん、実況が船岡久嗣アナ。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。
- ◎:好きだ! また見たい!
- ○:よかった。
- △:う〜ん、イマイチ。
- ×:できれば変えてほしい…。
- ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 グラント・ホックスタイン(アメリカ)
- SP順位:11,得点:68.31
- 楽曲:Pagliacci by Ruggero Leoncavallo
- プログラム:○
4Tで転倒したり、3Aがシングルになったり、他にも3Lzは2本ともeがとられ、<が刺さったジャンプも3つあり、ジャンプのミスが目立った。スピンのレベルは3、4、3。ステップはレベル3。
後半、疲れて動きが悪くなったので、怪我か病気か理由は分からないが、練習が十分に積めていないのかも。
このプログラムは、編曲といい、ヴォーカルの使い方といい、ジャンプを跳ぶ位置といい、ステップやコレオの振付といい、めっちゃわたし好みなので、クリーンな演技が見たい!! 全米ではぜひ!!
フリー123.09、総合191.40。
2 デニス・ヴァシリエフス(ラトビア)
- SP順位:10,得点:70.50
- 楽曲:The Four Seasons by Antonio Vivaldi, recomposed by Max Richter
- プログラム:○
- 動画:YouTube
船岡アナによると、「衣装は夏と冬を表現している」とのこと。…すいません、凡人のわたしには分かりません(汗)。
2本目の3Aで両足着氷した以外は、全ての要素でGOEプラス評価。スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル3。
音楽表現に関しては、ジュニア時代からスペシャルなものを感じていたが、さらに磨きがかかっている。
振り返り映像に、彼の演技に没頭している自分が映り、キスクラで恥ずかしそうに両手で顔を覆うステファンを見て、会場内が萌えまくっていた(///)。
フリー153.23で自己ベスト、総合223.73でSB更新!
3 ジェイソン・ブラウン(アメリカ)
- SP順位:8,得点:74.33
- 楽曲:The Scent of Love (from "The Piano") by Michael Nyman
- プログラム:◎
- 動画:YouTube
4T<で転倒したり、3Aで2本とも着氷が乱れたり、他のジャンプにもミスが出てしまった。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
ジャンプのミスが目立ったが、他のエレメンツや音楽表現はは素晴らしかった。心が洗われるような演技だった。
フリー144.14、総合218.47。
4 日野 龍樹(日本)
- SP順位:8,得点:75.04
- 楽曲:Quidam (from "Cirque du Soleil") by Benoit Jutras
- プログラム:○
- 動画:Ryuju Hino. NHK Trophy 2016, FS - YouTube
4T<<は転倒。3Lzの予定がダブルに、3Fにeがとられた。本田さん曰く、「三連続ジャンプの3つ目が2Sになってしまったので、最後2A+2Tの予定だったのを3S+2Tに変更した」とのこと。落ち着いてたなー。えらい。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル2。
ふしぎ系のプログラム。「日野くんて、こういうの似合うんだ!」と、新発見した気分。上半身の動きがきれいになっていた。
フリー134.65でSB、総合207.15で自己ベスト更新!
5 アレクセイ・ビチェンコ(イスラエル)
- SP順位:7,得点:75.13
- 楽曲:Pagliacci by Ruggero Leoncavallo
- プログラム:○
冒頭の4Tの予定がトリプルに抜けてしまった。それと、2本目の3Aがステップアウトし、2Tを付けたがカウントされず。他のジャンプはクリーンに着氷していた。
スピンのレベルは3、2、3。ステップはレベル2。う〜ん、取りこぼしておるな。でも、ステップとコレオは曲想をよく表現していて素敵だった。
船岡アナによると、ビチェンコさんは、このプログラムで「人間の二面性を表現したい」と話しているそうだ。…ああ、なんか分かる気がする。
フリー154.74、総合229.87。
第1グループが終わった時点で、総合1位はアレクセイ・ビチェンコ(イスラエル)。
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●第2グループ
6分間練習の前に、リンクサイドでバルデとナムがハグ、終わりには手をパチンと合わせていた。仲が良いんだな。
6 ミハイル・コリヤダ(ロシア)
- SP順位:4,得点:78.18
- 楽曲:
- La reve de la fiancee (from "La fiancee aux yeux de bois") by Jean Marc Zelwer
- A la lune (from "La Nouba" - Cirque du Soleil)
- プログラム:○
冒頭の4Lz<と4Tで転倒。2本目の3Aがシングルになってしまい、連続ジャンプが2つしか入らなかった。スピンとステップは全てレベル4。
シャープでクリアーな動きと一蹴りが伸びるスケーティングは見ていて気持ちよかった。
このプログラム、コミカルで独創的な音楽と振付で、彼にもよく合っていると思うのだが、分かりやすいハイライトがないので、今回みたいにジャンプのミスが続いてしまうと、「何だかよくわからないうちにプログラムが終わってしまった」という感じになっちゃうんだよなぁ…。
う〜ん、SPに引き続き、ノー笑顔なキスクラ…(泣)。
フリー147.51、総合225.69。現時点で総合2位。
7 エラッジ・バルデ(カナダ)
- SP順位:5,得点:76.29
- 楽曲:Blood Diamond (soundtrack) by James Newton Howard
- プログラム:○
全てのジャンプでミス…嗚呼(泣)。スピンは全てレベル3。ステップはレベル2。でも、本田さんが言っていたように、間合いの取り方が素敵なのよね。ステップやコレオは、滑りで魅せられた。
フリー119.03、総合195.32。現時点で総合6位。
8 ナム・ニューエン(カナダ)
- SP順位:6,得点:75.33
- 楽曲:An American in Paris by George Gershwin
- プログラム:○
1本目の3A<で転倒、2本目の3Aがシングルになってしまったのだが、その後3Lzの予定を変更して3A+3T<を跳んできた。スピンのレベルは3、3、2。ステップはレベル2。の明るくて軽快な曲想をよく表現していた。
ジャンプのミスが転倒を含め、いくつかあった。ジャンプを跳ぶ前にスピードが落ちるときがあるんだよね。力んでるのかなー。フォームが不自然というか。
トップと比べると、スケーティングに差を感じるので、スケーティングスキルを磨いてほしい。それに、スケーティングが良くなれば、ジャンプも良くなるんじゃなかろうか。
フリー137.10、総合212.43。現時点で総合5位。
9 田中 刑事(日本)
- SP順位:3,得点:80.49
- 楽曲:Federico Fellini Movies Soundtrack Medley by Nino Rota
- プログラム:○
- 動画:YouTube
船岡アナによると、「お金のないイタリア人が素敵な女性に出会い、アプローチする」というプログラムらしい。
冒頭の4Sで手を付いたが、次の4S+2Tは何とかクリーンに。3Aでフリーレッグがタッチしてしまったが、見た目ほぼノーミスの演技だった。スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル2。
DOIでこのプログラムを初めて見たときから、「音楽がいまいち好みじゃないのよねー。ハイライトも分かりにくいし」などと思っていたのだが、これだけすばらしいパフォーマンスを見せられると、わたしの狭量な好みなんて完全に凌駕され、すっかり魅了されてしまった。
刑事くんは「去年の自分を超えたい」と話していたそうだが、自信をもって「超えたよ!!」と伝えたい。
フリー167.95、総合248.44で、SP同様、FSも自己ベスト更新!! 現時点で総合1位!! ぃやったー!! これで初のGP表彰台確定!!
10 羽生 結弦(日本)
- SP順位:1,得点:103.89
- 楽曲:Hope and Legacy by Joe Hisaishi
- プログラム:○
- 動画:YouTube
今回彼が跳んだジャンプは下記の通り。
4Lo 4S 3F 4S 4T 3A+3T 3A+1Lo+2S 3Lz
4Loはかなり軸が曲がっていたのに瞬時に修正してプラスがもらえるジャンプに。なんでそんなことができるんだ。2本目の4Sで転倒したが、それ以外はGOEプラス評価がどしどしと。スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル3。
2本目の4Sを連続ジャンプにできなかったので、連続ジャンプが2つしか入らなかった。それと三連続ジャンプの最後は3Sの予定だったと思うが、抜けてダブルに。
水や風のような自然を表していながら、優しさを感じさせるプログラム。心が洗われるような、癒されるような思いがした。
フリー197.58、総合301.47でどちらもSB更新! 300点超えキターー!! 現時点で総合1位。
11 ネイサン・チェン(アメリカ)
- SP順位:2,得点:87.94
- 楽曲:
- プログラム:
- 動画:YouTube
テレビで見ると、ゴージャスなステキ衣装なのだが、観客席から見ると、「孫悟空みたい…」と思った(笑)。
今回彼が跳んだジャンプは下記の通り。
4Lz 4F+3T 4T 4T+2T 3A 3Lo 3F+3T+2T 3Lz
冒頭の4Lzは転倒したが、次の4F+3Tはクリーンに着氷。今大会ではクワド4回にして、3Aを入れてきた。ジャンプにいくつか着氷の乱れがあった。スピンのレベルは3、4、3。ステップはレベル3。
前のGPフランスでは、最初にジャンプを4回跳んでからコレオを挟み、また4回続けてジャンプを跳ぶ構成に偏りを覚えたのだが、今回はそうでもなかった。
でもお気に入りの曲だけに編曲が気になる…。終盤の大盛り上がりで2番目のスピンに入るのだが、そこで終わるのかと思わせておいて、再びフレーズを繰り返し、最後の要素の3番目のスピンが始まるんだよね。不自然に引き延ばされたようで、違和感を覚える。3番目のスピンが蛇足な感じがしちゃうんだよな。
…とまぁプログラム構成や編曲に不満はあれど、彼の演技自体はすばらしかった。これだけクワド跳んで、転倒もしてるのに、最後までスピードが落ちず、動きも悪くならないなんて。シニアに上がりたてとは、とても思えない(汗)。
フリー180.97、総合268.91で、どちらも自己ベスト更新! 総合2位に決定。
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◆総合順位
男子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。
- Yuzuru HANYU JPN 301.47 1 1
- Nathan CHEN USA 268.91 2 2
- Keiji TANAKA JPN 248.44 3 3
- Alexei BYCHENKO ISR 229.87 7 4
- Mikhail KOLYADA RUS 225.69 4 6
- Deniss VASILJEVS LAT 223.73 10 5
- Jason BROWN USA 218.47 8 7
- Nam NGUYEN CAN 212.43 6 8
- Ryuju HINO JPN 207.15 9 9
- Elladj BALDE CAN 195.32 5 11
- Grant HOCHSTEIN USA 191.40 11 10
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◆総評
事前の予想通り、結弦くんが優勝! 連続ジャンプが2つしか入らなかったのに、総合得点が300点超えって。さすがです。プログラムの完成度も高まってきて、何よりだ。2位&1位でファイナル進出確定、おめでとう☆
2位のネイサンは、ジャンプはもちろんすごいのだが、彼のスケーティングや音楽表現に心惹かれる。4位&2位で初めてのGP表彰台及びファイナル進出確定! おめでとう☆
3位は刑事くん!! GP初表彰台おめでとう!! わたしにとって、男子FSは「田中刑事の日」であった。彼がスケーターとしてさらにレベルアップした瞬間、その場に居合わせることができて、この上ない喜びである。
4位はビチェンコさん。今季はシーズン前半からジャンプが安定していて素晴らしい。サモヒンくんもGPデビューして頑張ってるし、イスラエルのワールド代表権をかけて、ユーロは熾烈な争いになりそうですな。
5位はコリヤダくん。彼って4Lzも跳べるんだと驚いた。今回は惜しくも転倒してしまったが、ここで挑戦できたことは、きっと今後に生きてくるはず。
日野くんは9位。今自分にできることを十分発揮できた演技だったのでは。昨季と比べて見違えるほど上手になっていて驚いた。全日本も頑張って☆
今季、彼と刑事くん、結弦くんの同学年トリオがNHK杯にそろって出場するとわかった時点で感激もひとしおだったのだが、明子の部屋で、3人一緒に並んで座っている姿を見たら、胸がいっぱいになってしまった(感涙)。
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◆GPファイナル確定者
今大会の結果を受けて、ファイナル進出が確定した選手は、下記の通り。
- 羽生 結弦(日本)
- GPスケカナ 2位
- NHK杯 優勝
ファイナルには6年連続6回目の出場となり、三連覇している。
初出場。昨季、JGPファイナル優勝。
GPに出場するようになって9シーズン目にして初出場。