カナダ選手権2017 男子SP

カナダ選手権2017 リザルト
男子SPは、現地時間2017年1月20日(金)に行われた。

テレビで放送されなかったので、上記の動画等で選手の演技を見た。滑走順に感想を書いている。
これまで、プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けてきたが、大部分が○になるので、評価内容を変えることにした。まぁいずれにせよ、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:何度でも見たい。
  • ○:よかった。好き。
  • △:悪くない。まずまず。
  • ×:イマイチ。
  • ?:何とも判断が付きかねる。
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●第3グループ
11 Mitchell Gordon ミッチェル・ゴードン BC/YK

  • 楽曲:You Won't Be Mine
  • プログラム:△

3AはOK。3Lz+2Tは、多分3+3にしたかったんじゃないかな。セカンドの回転が抜けた感じだった。3Fはこらえた。!がついた。ジャンプを跳ぶ前の構えが長い。でも3Fはちゃんとステップを踏んですぐに跳んでいたと思う。
スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル4。
音楽の力強いところをもっとパワフルに表現できるようになるといいなぁ。きれいな滑りなんだけど、全体的に同じトーンで滑ってる感じなんだよね。
70.48。

12 Bennet Toman ベネット・トマン CO

  • 楽曲:I'd Rather Go Blind
  • プログラム:△

4T<は転倒。3Lz+3TはOK。後半の3Aは着氷が乱れた。スピンのレベルは3、4、3。ステップはレベル3。振付がよく曲想を表していて、体の動きにキレがあって素敵。
なかなか味のある滑りをする選手だなぁと感じた。
68.14。

13 Joseph Phan ジョセフ・ファン QC

  • 楽曲:The Best Is Yet to Come
  • プログラム:△

昨季、ジュニアの国内選手権優勝、今季、JGPリュブリャナ5位。
4T<は転倒。3Lz+3Tと2AはOK。スピンのレベルは2、4、3。ステップはレベル3。
おお〜、彼もクワドに挑戦してきたか〜。3Aより先にクワドを入れてきたところを見ると、アクセルは得意じゃないんだろうなぁ。
音楽表現は相変わらず素敵☆ 体のキレもあるので、調子は悪くなさそう。
66.51。

14 Roman Sadovsky ロマン・サドフスキー CO

  • 楽曲:Exogenesis Symphony Part 3: Redemption by Muse
  • プログラム:○

昨季、JGPファイナル6位、国内選手権9位。今季JGPタリン2位。
4Sはちょっと詰まった感じだったものの、きれいに着氷したように見えたが、直前のステップが足りないと見なされたのか、GOEマイナス。3Aは両手で完全に体重を支えてしまったので、転倒扱いに。3Lzも転倒。スピンのレベルは4、2、4。ステップはレベル3。
スケーティングはのびやかだし、ボディームーブメントはなめらかだし、スピンは美しいし、ステップはうっとり魅了されたが、いかんせん、SPでジャンプを2回転倒、しかも連続ジャンプが入らないとくれば、得点は伸びない。
わたしの気のせいかもしれないが、スケーティングがふわふわ浮いてるような感じがした。
72.38。

15 Elladj Baldé エラジ・バルデ QC

昨季、国内選手権7位。今季、GPロステレ6位。
3F<<は転倒。3Aと3Lz+3Tはよかった。スピンのレベルは4、2、4。ステップはレベル4。
人の心を揺さぶる、エモーショナルな演技だった。3Fの転倒があったにも関わらず、場内は大喝采で、スタオベしている人もいた。
77.45。

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●第4グループ
16 Keegan Messing キーガン・メッシング AB/NT/NU

  • 楽曲:Singin' in the Rain
  • プログラム:△

4Tは転倒。3Aはよかった。3Lz+3T<は転倒。スピンのレベルは4、3、3。ステップはレベル3。
演技が終わった後、見に来ていたカートがカメラに抜かれていた。「雨に唄えば」といえばカートの伝説的なパフォーマンスがあるが、それをちょっとオマージュしてるのかなと思わせる振付が入っていた。キーガンの明るさが、このプログラムによく合っている。
キスクラに、いつものロッカー風コーチ。お久しぶりです☆
72.09。

17 Nicolas Nadeau ニコラス・ナドゥー QC

昨季、JGPクロアチア2位、国内選手権5位、世界ジュニア2位。
3Aはすばらしい。4Tは着氷が乱れた。1Lo+1Tはノーバリュー。スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル4。
大きく口を開けて歌いながら滑っていた。昌磨くんもフリーで歌ってるよね。疲れないんだろうか。
昨季の世界ジュニアぶりに彼の演技を見て、わたしの、彼のスケートに対する愛を再確認した。こういう軽快で洒脱な音楽を滑らせたら、右に出る者はいないんじゃないかと思えるくらい素敵にハマっている。
連続ジャンプがノーバリューになってしまったのは残念だったが、久しぶりに彼の滑りが堪能出来て本当に幸せ〜☆☆☆
72.82。

18 Nam Nguyen ナム・ニューエン CO

  • 楽曲:Love Me or Leave Me by Sammy Davis Jr.
  • プログラム:△

4Sは転倒。3AはOK。スピン。3F+3Tはファーストがオーバーターン。スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル4。
昨季、国内選手権4位、ワールド27位。今季、GPスケアメ6位。
最初は軽快に楽しそうに滑っていたのだが、ステップ後半あたりから、少し動きが鈍くなってきて、「あれ、疲れてる?」という感じの演技になってしまった。まぁそれでもきっちり要素はこなしていたんだけど、PCSに影響しそう。
76.08。

19 Kevin Reynolds ケヴィン・レイノルズ BC/YK

昨季、国内選手権3位、四大陸11位。今季、GPスケカナ3位。
4S<は転倒。4T+3Tと3Aはよかった。CCSpが規定を満たしていなかったようで、ノーバリュー。他のスピンのレベルは両方4。ステップもレベル4。
このプログラムのステップ、好きだなぁ。途中で曲想が変わるのだが、その違いをきちんを演じ分けていて、とても見ごたえがある。
GPスケカナからさらにブラッシュアップさせ、本当に魅力的なプログラムに仕上げてきた。
81.76。

20 Liam Firus リアム・フィルス BC/YK

  • 楽曲:Happy Ending by Mika
  • プログラム:?

昨季、国内選手権2位、四大陸13位。今季、GPスケカナ9位。
シャツの色が白から紫がかったピンクに変更。よりハッピーっぽい感じが出て、いいんじゃなかろうか。
2Aはトリプルの予定だったのかな? 回転が抜けたけどクリーンな着氷だった。3Fはお手つき。次のCCoSp4を回っている最中に、な、なんとサスペンダーが外れた!! ギャー!!(ムンクの叫び) 急いで付け直してから、3Lz+3Tをきれいに降りて、持ち直すかなと思われた直後、StSq2に入りかけたところで転倒。ギャー!!(ムンクの叫び) 彼のもっとも強みであるところのステップでレベルもGOEも稼げないとは…(泣)。スピンのレベルは4、2、4。
クリーンに滑ったら、彼にすっごくハマるであろうプログラムなんだけど、今回は、サスペンダーが外れるやら、ステップで転倒するやらで、演じるどころじゃなくなってしまった…(ため息)。
72.41。

21 Patrick Chan パトリック・チャン CO

昨季、GPファイナル4位、国内選手権優勝、四大陸優勝、ワールド5位。今季、GPファイナル5位。
4Tはステップアウトしてお手つき。3Aと3Lz+3Tもステップアウト。ジャンプの着氷が全て乱れてしまったが、スピンとステップはさすがの出来栄えで、全てレベル4獲得。
動画の画質があまり良くないので、音楽表現がどうのとか言いづらいのだが、それでも鳥が空を舞うように、魚が川を泳ぐように、自由自在に滑っていたように見えた。
91.50。

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◆SP順位
SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、所属名、得点の順に記されている。

  1. Patrick Chan CO 91.50
  2. Kevin Reynolds BC/YK 81.76
  3. Elladj Baldé QC 77.45
  4. Nam Nguyen CO 76.08
  5. Nicolas Nadeau QC 72.82
  6. Liam Firus BC/YK 72.41
  7. Roman Sadovsky CO 72.38
  8. Keegan Messing AB/NT/NU 72.09
  9. Mitchell Gordon BC/YK 70.48
  10. Edrian Paul Celestino QC 69.41
  11. Bennet Toman CO 68.14
  12. Joseph Phan QC 66.51
  13. Jack Kermezian QC 61.78
  14. Laurent Guay QC 60.16
  15. Samuel Morais QC 59.78
  16. Shaquille Davis CO 58.31
  17. Antony Cheng BC/YK 58.21
  18. BC/YK Alexander Lawrence 58.05
  19. Olivier Bergeron QC 54.35
  20. Dustin Sherriff-Clayton AB/NT/NU 51.13
  21. Dominic Rondeau QC 46.87
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◆総評
後半グループのSP演技を見たのだが、クリーンな演技が一人もおらず、残念だった。
SP1位はパトちゃん。クリーンに滑れば100点いったと思うんだけど、ジャンプが3つともステップアウトしてしまった。他の選手なら、ジャンプの調子が悪いんだろうかと心配になるところだが、彼の場合、SPでジャンプをミスしたからって、FSもそうとは限らない(逆もまたしかり)からなぁ。
2位はケヴィン。4Sの転倒はあったが、素晴らしい演技だった。昨季、怪我から復帰後の彼の魅力にもうメロメロである(///)。
3位はバルデ。ジュニアのころ、「なんかこの子、ガサガサした動きだけど、おもしろいな!!」と思って見ていたのが遠い昔のようだ。あのころは、まさかこんな情感あふれる滑りを見せてくれるようになるとは想像できなかったわ〜。
4位はナムくん。3Aの跳び方がきれいじゃなくて気になる。前はそんなことなかったのに、今季に入ってから、姿勢とか構えとか、不自然な感じなんだよね。一応クリーンには着氷できてるけど、ヘンな癖とかついてほしくないなぁ。
5位はナドゥー。シーズン前半、JGPに出てなかったので、「シニアに上がったのかなぁ」と思ったが、GPにも出ておらず、「怪我なの? 病気なの?」と心配していた。どうやら原因は怪我らしい。国内選手権には間に合ってよかったわ〜。
6位はリアム。サスペンダーのトラブルが、かえすがえすも無念であった。美しいスケーティングは相変わらず素晴らしい。FSで巻き返せるといいのだが。
7位はサドくん。今季はジャンプがなかなかクリーンに決まらなくて、心配している。原因は成長期? それとも怪我?
8位はキーガン。久しぶりに彼の演技を見たのだが、スケーティングが上手くなって、動きや姿勢が、だいぶきれいになったなぁと感じた。
9位のミッチェルと11位のベネットは、初めて見る選手だったが、3Aが跳べるし、滑りもなかなか素敵だし、カナダ男子の層の厚さを感じた。
12位はファン。JGPのときから、「表現がタイプ☆」と目を付けていた(笑)。基本はしっかりしているイメージなので、3Aやクワドが安定して跳べるようになると、得点がぐんと伸びそう。