全米2017 アイスダンスFD

全米2017 リザルト
アイスダンスFDは、現地時間2017年1月21日（土）に行われた。
Jスポーツの放送では、解説が滝野薫さん、実況は小林千鶴さん。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、？の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

• ◎：何度でも見たい。
• ○：よかった。好き。
• △：悪くない。まずまず。
• ×：イマイチ。
• ？：何とも判断が付きかねる。
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4 Karina Manta, Coyotes SC of Arizona / Joseph Johnson, Broadmoor SC カリーナ・マンタ / ジョセフ・ジョンソン

• SD順位：7，得点：57.96
• 楽曲：Dream On
• プログラム：△

流れがスムーズで勢いとスピードがあってよかった。ただ、滝野さんも指摘していたが、曲想がけっこう単一な印象で、リズムの変化がなかったのが気になった。
滝野さん曰く、「男性が女性に対して、『ぼくがしっかり支えてるから大丈夫』という気持ちがすごく伝わってくるような力強いリードが見えて、素敵だった。技術的に少々ぐらつくところはあっても、彼なら信頼して一緒に思い切り演技しても大丈夫という安心感が伝わってきて好印象をもった」とのこと。ああ、それはカップル競技において、とってもだいじなことよね。
フリー89.19、総合147.15。
 
5 Julia Biechler, SC of Wilmington / Damian Dodge, Peninsula SC ジュリア・ビークラー / ダミアン・ダッジ

• SD順位：6，得点：59.15
• 楽曲：Breath Me
• プログラム：△

曲想をよく表した振付を美しく演じていた。
杉田さん曰く、「後半少しスピードダウンしたのがもったいなかった。ホールドはとてもしっかりしていてエッジも安定感がある。2人のポジションが近く、演技の流れもとてもよかった。女性のレッグラインが、もっとつま先まできちっと伸びると、とてもきれいなボディーラインが強調されると思う」とのこと。
フリー93.04、総合152.19。 

6 Anastasia Cannuscio, University of Delaware FSC / Colin McManus, SC of Boston アナスタシア・カヌーシオ / コリン・マクマヌス

• SD順位：8，得点：56.94
• 楽曲：
  • Time by Billy Porter
  • Beyond The Sky by Karl Hugo
  • Time by Billy Porter
• プログラム：△

プログラムの流れがよどみなく、音楽に寄り添うかのような動きが美しかった。情感のこもった演技だった。
滝野さんは、彼らの良さを認めつつも、「難点を言うと、ランが多くて、トランジションの複雑さが少し不足している。それからハンドインハンドが多い。男性の姿勢や体の使い方に硬さがちょっと見られる。特に背中のラインが今一つ美しさに欠ける。女性のしなやかな動きときれいにシンクロしない部分がところどころ見られた」と話していた。 
フリー96.41、総合153.35。

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●第3グループ
7 Elliana Pogrebinsky, Peninsula SC / Alex Benoit, Skokie Valley SC エリアナ・ポグレビンスキー / アレックス・ブノワ

• SD順位：5，得点：67.17
• 楽曲：
  • Persian Legend - Layla's Temptation of Majnun
  • (Sadko by Nikolai Rimski-Korsakov, The Feeling Begins by Peter Gabriel)
• プログラム：○

滝野さん同様、「すばらしい。美しい」と思っているうちに、あっという間に終わってしまった。 
GPSのころは、「前半と後半の曲想の違いがいまいち…」と感じていたのだが、今回はしっかり演じ分けられていた。
男性188㎝、女性174㎝の大型カップルで、昨季まではその体の大きさを十分に生かし切れていない印象を受けていたが、今季はどんどん生かせるようになってきているのを感じる。大きな滑りなんだけど、リフトは女性の重さを感じさせないスムーズなポジションチェンジが見られ、とても美しい。
千鶴さんによると、女性は新体操の地区チャンピオンで、全米選手権にも出場したことがあるらしい。
フリー103.12、総合170.29。現時点で総合1位。
 
8 Kaitlin Hawayek, Detroit SC / Jean-Luc Baker, Seattle SC ケイトリン・ホワイエク / ジャン＝リュック・ベイカー

• SD順位：4，得点：72.60
• 楽曲：Liebestraum
• プログラム：○

演技が始まる前、女性が男性の髪をなでる所作がドキッとするほどエロ…じゃなくて艶っぽい（///）。
CiStSq4は、はわわわ〜ほわわわ〜んという夢心地の素晴らしさだったのだが、次のSTwで女性がまさかのお手つきで転倒扱い。しかもノーバリュー。CuLi4のポジションは非常に美しかったのだが、下ろすときに乱れた。でもなんとか持ちこたえて美しいダンスを見せてくれていたのだが、終盤のStaLiで男性が女性を持ち上げられず、2人とも転倒してノーバリュー…嗚呼！！（泣）
演技が終わった後、2人とも愕然としている…。すごく素敵なプログラムなのに…。うぐぐ…。
滝野さん曰く、「2人のタイミングがかみ合っていない印象。今季、とてもレベルアップして、良い成績を上げてきただけに、ここにきて力が入りすぎたのかな」とのこと。
フリー87.46、総合160.06。現時点で総合2位。男性は笑顔で明るく振舞おうとしていて、女性も頑張って応えようとはしてるんだけど、表情が凍りついてる…つらい…（泣）。
 
9 Maia Shibutani, SC of New York / Alex Shibutani, SC of New York マイア・シブタニ / アレックス・シブタニ

• SD順位：1，得点：82.42
• 楽曲：Evolution: Mirror In Mirror by Anne Akiko Meyers, Akira Eguchi
• プログラム：○

SeSt3で、フェンスに男性のフリーレッグがぶつかったんだけど、まったく乱れない。すごい。
ウルトラスーパーにクリーンな演技で、とてもよかったんだけど……う〜ん、なんか、それだけなんだよなぁ。こちらに訴えかけるものが薄いというか。昨季の名作「Fix You」は、後半じわじわ盛り上がっていって、最後どど〜んと波が押し寄せてくるような感動があったのだが。
滝野さん曰く、「一種のヒーリングミュージックのような、3拍子の淡々とした音楽を使っている。派手さはないが、かえって、この2人の音のしない不動の安定感を誇る、スケーティングスキルの素晴らしさが引き立つようにも感じる。少々残念なのは、男性の背中のラインがちょっと硬いこと。こういう曲想の音楽を使うとき、体のしなやかさ、柔軟さがとてもだいじ。そういうものがあれば個々の動作がもっと生きてくるんじゃないか」とのこと。
フリー117.63、総合200.05。リフトの時間オーバーにより、減点1。現時点で総合1位。
 
10 Madison Hubbell, Lansing SC / Zachary Donohue, Lansing SC マディソン・ハベル / ザカリー・ダナヒュー

• SD順位：3，得点：79.72
• 楽曲：
  • I Wanna Dance With Somebody by Bootstrap
  • Can't Help Falling In Love performed by Ingrid Michaelson
  • Earned It by Bootstrap
• プログラム：○

序盤のつなぎで突然女性が転倒。ヒィィィ（真っ青）。でも何事もなかったかのようにSlLi4へ。女性のラインが女神のごとく美しい。CoSp3で男性が足をついてしまった。
演技が終わって、女性が男性の胸に顔をうずめる。泣いてるのかなぁ。
滝野さん曰く、「演技開始から流れがとっても良かったので、流れが良すぎて思わぬところで足を取られたのかな」とのこと。
確かに転倒はとっても残念だったが、思わぬミスが出ても大崩れすることなく演技をまとめられたのは、実力のある証拠だと思う。
フリー111.70、総合191.42。現時点で総合2位。

11 Madison Chock, All Year FSC / Evan Bates, Ann Arbor FSC マディソン・チョック / エヴァン・ベイツ

• SD順位：2，得点：79.96
• 楽曲：Under Pressure by David Bowie, Freddie Mercury
• プログラム：○

衣装が黒から紫に。うん、こっちのほうが明るくて軽い曲想にマッチしていて良いんじゃないかな。
演技終了後、2人が向かい合って万歳していたが、まさにそれがこの演技のすばらしさを物語っていた。
GPで初めて見たとき、「音楽にハマった妙なる動きを堪能するプログラム」という印象を受けたが、それが今、ものすごく高いレベルで行われているのを感じる。
フリー119.08、総合199.04。総合2位に決定。

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◆総合順位
アイスダンスの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、所属名、得点、SD順位、FD順位の順に記されている。

1. Maia Shibutani, SC of New York / Alex Shibutani, SC of New York 82.42
2. Madison Chock, All Year FSC / Evan Bates, Ann Arbor FSC 79.96
3. Madison Hubbell, Lansing SC / Zachary Donohue, Lansing SC 79.72
4. Kaitlin Hawayek, Detroit SC / Jean-Luc Baker, Seattle SC 72.60
5. Elliana Pogrebinsky, Peninsula SC / Alex Benoit, Skokie Valley SC 67.17
6. Julia Biechler, SC of Wilmington / Damian Dodge, Peninsula SC 59.15
7. Karina Manta, Coyotes SC of Arizona / Joseph Johnson, Broadmoor SC 57.96
8. Anastasia Cannuscio, University of Delaware FSC / Colin McManus, SC of Boston 56.94
9. Charlotte Maxwell, Arctic FSC / Ryan Devereaux, Pittsburgh FSC 56.88
10. Elicia Reynolds, SC of Wilmington / Stephen Reynolds, SC of Wilmington 40.83
11. Kseniya Ponomaryova, Skokie Valley SC / Oleg Altukhov, North County FSC 38.89
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◆総評
優勝はシブタニ兄妹。二連覇おめでとう☆ FDがもう一息って感じだけど、たぶんこれからさらにブラッシュアップされていくんだろう。
総合2位は、チョック＆ベイツ。FDは1位！ 滝野さんはSDに引き続き、彼らが一番良かったと話していた。GPファイナル6位の悔しさをばねに、しっかり準備してきたことがうかがえた。
3位はハベル＆ダナヒュー。返す返すもFDの転倒が悔やまれる。彼らのFDはわたしの心の琴線をじゃんらじゃんらかき鳴らすのだが、今回は転倒のショックが大きくて、そこまでいけなかった（泣）。
4位はポグレビンスキー＆ブノワ。彼らにとっては最高のシニアデビューシーズンになったのではなかろうか。SDもすばらしかったが、FDはさらにその上をいくすばらしさだった。
5位のホワイエク＆ベイカーは、まさかの転倒3回。今季は最高のFDを用意していただけに、一番大事な全米で大きなミスが重なってしまい、無念でならない。本人たちも大ショックだろうが、また来季も素敵なダンスを見せてほしい。モリモリ上達中なのは確かなんだから。

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◆出場者
usfigureskatingのお知らせによると、下記の通り派遣されるらしい。
◇四大陸＆ワールド

• マディソン・チョック / エヴァン・ベイツ
• マディソン・ハベル / ザカリー・ダナヒュー
• マイア・シブタニ / アレックス・シブタニ（アメリカ）

上位3組が順当に選ばれた。…見れば見るほど最強の布陣である。これとガチでやり合えるのはカナダぐらいじゃなかろうか。

◇世界ジュニア

• クリスティーナ・カレイラ / アンソニー・ポノマレンコ
• ロレイン・マクナマラ / クイン・カーペンター
• レイチェル・パーソンズ / マイケル・パーソンズ

ジュニアの方も最強の布陣。ジュニアにおいては今、アメリカが一番強いんじゃなかろうか。
全米の結果は、総合1位がパーソンズ兄妹、2位がカレイラ＆ポノマレンコ、3位がマクマナラ＆カーペンター。マクマナラ＆カーペンターは、FDで転倒して3位になってしまったらしい。JGPからずっと不調が続いてるんだよね。ほんと、どうしちゃったんだろう。心配だ。