ユーロ2017 ペアFS

ユーロ2017 リザルト
ペアFSは、現地時間2017年1月26日(木)に行われた。
Jスポーツの放送で、全組の演技を見た。解説は杉田秀男さん、実況は小林千鶴さん。特に印象に残った組の演技について、滑走順に感想を書いている。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:何度でも見たい。
  • ○:よかった。好き。
  • △:悪くない。まずまず。
  • ×:イマイチ。
  • ?:何とも判断が付きかねる。
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●第2グループ
5 Zoe JONES / Christopher BOYADJI ゾーイ・ジョーンズ / クリストファー・ボヤジ(イギリス)

  • SP順位:12,得点:52.32
  • 楽曲:Danse Macabre by Camille Saint-Saens
  • プログラム:△

3T+3T+SEQはクリーンに着氷。2Aは跳ぶタイミングが少しズレたが、きちんと降りた。5ALiは途中で下ろしてしまい、ノーバリュー。スロー3Lzとスロー3Loはお手つき。FCCoSp4は回転が合っていた。
スロージャンプのミスのほかに、ペアならではのリフトやFiDs1でGOEマイナスをとられているが、ソロジャンプは現時点できっちり成功させてるし、スロー3Lzも跳べるし、ソロスピンの回転も合っている。あとはリフトやデススパイラル、ツイストを強化していけば、素敵なペアになりそう。
杉田さんは、SP同様、「休むところのないプログラム。ずっと動きながらの演技で、選手には負担が多い。女性は37歳でこんなに動けるなんてすごい。ミスは出たが、チャレンジしていること自体が素晴らしい」と大いにほめちぎっていた。
フリー91.10、総合143.42で、SP同様FSも自己ベスト更新。

6 Miriam ZIEGLER / Severin KIEFER ミリアム・ツィーグラー / セヴェリン・キーファー(オーストリア

  • SP順位:9,得点:57.14
  • 楽曲:Mika Medley
  • プログラム:△

3TwBはキャッチするところで女性が男性にもたれかかってしまった。3Lzの予定だったが、女性がシングル、男性がステップアウト。3T+2T+2Tの予定だったところは、2人ともファーストでバランスを崩し、ダブルとサードがシングルに。スロー3Fとスロー3Sはクリーンに着氷。FCCoSp2はビミョ〜に回転がズレたところがあったが、要所要所は合わせてきた。
ソロジャンプがなかなか決まらないな〜。3Lzとか3T+2T+2Tとか、ペアでは難しいジャンプに挑戦してるんだけど…。
つなぎのちょっとした所作や滑りは素敵だなぁと感じるのだが、今は要素をこなすのに精いっぱいで、余裕がない感じ。
フリー108.49、総合165.63で、総合得点は自己ベスト更新。

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●第3グループ
9 Anna DUSKOVA / Martin BIDAR アナ・ドゥシュコヴァー / マルティン・ビダージュ(チェコ

  • SP順位:7,得点:65.90
  • 楽曲:
    • La leyenda del beso by Raul di Blasio
    • Historia de un amor by Perez Prado
    • La leyenda del beso by Raul di Blasio
  • プログラム:△

冒頭の3Tはすっばらしかった。3S+2T+2Tの予定だったが、セカンドが2人ともシングルに。FCCoSp3は回転がズレてしまったが、ミスらしいミスはこの2つだけ。あとは全ての要素をクリーンに行った。
演技が終わり、感極まって抱き合う2人。場内も大喜び。
いや〜、よくやった! よく頑張ったよ! 終盤疲れたのか、「こういう振付なの? それともバランス崩してるの?」と判断に困るところもあったが、最後まで力を振り絞り、演じ切った。
JGPのころから「このプログラム変えてほしい…」と願い続けてきたが、今回の演技を見て、「トンデモ編曲だし、わたしの好みじゃないけど、悪くないんじゃないか」ぐらいまで評価が上がったよ(笑)。
杉田先生曰く、「流れのある、とても良い演技。若さのある、伸び伸びとした演技だった。非常にスタンダードな滑り」とのこと。
フリー123.19、総合189.09で、SP同様、FSも自己ベスト更新。でもレイトスタートで減点1とられてる〜。もったいない〜。

10 Nicole DELLA MONICA / Matteo GUARISE ニコル・デラ・モニカ / マッテオ・グアリゼ(イタリア)

  • SP順位:8,得点:63.97
  • 楽曲:Love Story (soundtrack) by Francis Lai, performed by Nana Mouskouri
  • プログラム:○

ソロジャンプやスロージャンプにミスがいくつか出てしまったのだが、5RLi2で、女性を下ろすときに彼女のエッジが男性の顔に当たりそうになり、動きが一時中断するという、ショッキングなミスがあり、他のことは全て吹っ飛んでしまった。
このプログラム、GPで見たときから大好きなので、クリーンな演技が見られず、残念だったが、エッジで顔を切ったら大惨事になりかねないので、阻止できて本当によかった。
フリー117.02、総合180.99。

11 Valentina MARCHEI / Ondrej HOTAREK ヴァレンティナ・マルケイ / オンドレイ・ホタレク(イタリア)

3Tで女性がお手つき。3S+2T+2Tの予定だったが、女性がファーストで足をついてしまったので、3S+COMBOに。他の要素は全てクリーンに行った。
…どうしても編曲が気になっちゃうんだよな〜。他のトンデモ編曲に比べたら、マトモっちゃマトモなんだけど、前半の「スカイフォール」が終わるところでプログラムも終わった感が強くて、終盤の「ミッション・インポッシブル」のところが、何だか余分なオマケっぽく感じられて。それぞれの曲想はよく表現できているし、大人のペアって感じで素敵なんだけど…。
フリー125.40、総合191.93で、どちらも自己ベスト更新。

12 Natalia ZABIIAKO / Alexander ENBERT ナタリア・ザビアコ / アレクサンドル・エンベルト(ロシア)

  • SP順位:5,得点:72.38
  • 楽曲:Cry Me A River by Michael Buble
  • プログラム:△

3Sの予定だったが、女性がシングルに、男性は着氷で乱れた。このミス以外は、全ての要素でGOEプラス。
相変わらず安定感がすばらしい。スロー2Aは、ゆくゆくは3Aにグレードアップする予定なのかな?
フリー128.37、総合200.75で、フリーはSB、総合得点は自己ベスト更新。

第3グループが終わった時点で、総合1位は、ナタリア・ザビアコ / アレクサンドル・エンベルト(ロシア)。

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●第4グループ
13 Aliona SAVCHENKO / Bruno MASSOT アリョーナ・サフチェンコ / ブルーノ・マッソ(ドイツ)

  • SP順位:3,得点:73.76
  • 楽曲:Lightouse by Patrick Watson
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

3T+3T+SEQの予定だったが、セカンドで男性がダブルに。杉田さんが指摘していたように、女性と男性でジャンプの回転が違っているので、本来であれば当然減点されるが、流れがとてもよかったので、+2や+1を出しているジャッジがいるほど。すごい。
エレメンツがどうとか言うのがバカらしくなるくらい全てがすばらしかった。特に冒頭の3Tw3は、SP同様、ジャッジが全員+3を出している。
杉田さんが「男性が女性の一番いいところをうまく引き出すような滑りをしていた」と感心していた。それってカップル競技の男性に対して最高の賛辞だよね。
千鶴さんによると、女性の怪我のため、「2週間前にジャンプ抜きで練習を始め、1週間前にようやくスロージャンプの練習を始めることができた」とのこと。…マジで!!?? それでこんな芸術そのものみたいな演技ができるの!!??
フリー148.59、総合222.35で、どちらも自己ベスト更新。現時点で総合1位。

14 Ksenia STOLBOVA / Fedor KLIMOV クセニア・ストルボワ / フェドール・クリモフ(ロシア)

  • SP順位:4,得点:73.70
  • 楽曲:
    • Apres la pluie (Vertige) by Rene Aubry
    • Pomeriggio by Rene Aubry
    • Lied guitare by Rene Aubry
  • プログラム:△

スロー3Fで転倒した以外は、全ての要素がGOEプラス。
個性的で独創的なプログラムをよく表現していたと思うのだが、流れがちょっとスムーズじゃないところがあった。
フリー142.81、総合216.51。現時点で総合2位。

15 Evgenia TARASOVA / Vladimir MOROZOV エフゲーニャ・タラソワ / ウラジミール・モロゾフ(ロシア)

  • SP順位:1,得点:80.82
  • 楽曲:Music by John Miles
  • プログラム:△

終盤の3Li2で下ろすときに少し手間取ったように見えた。減点しているジャッジもいるが、総合ではプラス評価になっている。4回転ツイストは回避して、クリーンな演技を目指し、成功させた。
フリー146.76、総合227.58で、SP同様、FSも自己ベスト更新。現時点で総合1位。フリーの得点と順位(フリー2位)と出ていたときは、無表情だった2人が、総合得点と順位が出たとたん、パッと笑顔になり、ガッツポーズしてキス&ハグ☆

16 Vanessa JAMES / Morgan CIPRES ヴァネッサ・ジェイムズ / モーガン・シプレ(フランス)

  • SP順位:2,得点:74.18
  • 楽曲:Sound of Silence by Disturbed and Maxime Rodriguez
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

スロー4Sは両足着氷だったほかは、全てのエレメンツがGOEプラス。FCCoSp4は、少し回転がズレたところがあったが、修正してきた。
演技終了後、場内スタオベと地鳴りのような歓声が起こった。
全然サイレンスじゃない「サウンド・オブ・サイレンス」なのだが(苦笑)、今回は、音楽のうるささが全く気にならなかった。演技がにぎやかなサウンドに負けてなかった。すばらしかった。
フリー145.84、総合220.02。総合3位に決定!!

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◆総合順位
FSが終わって、総合順位は下記のとおり。左から総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Evgenia TARASOVA / Vladimir MOROZOV RUS 227.58 1 2
  2. Aliona SAVCHENKO / Bruno MASSOT GER 222.35 3 1
  3. Vanessa JAMES / Morgan CIPRES FRA 220.02 2 3
  4. Ksenia STOLBOVA / Fedor KLIMOV RUS 216.51 4 4
  5. Natalia ZABIIAKO / Alexander ENBERT RUS 200.75 5 5
  6. Valentina MARCHEI / Ondrej HOTAREK ITA 191.93 6 6
  7. Anna DUSKOVA / Martin BIDAR CZE 189.09 7 7
  8. Nicole DELLA MONICA / Matteo GUARISE ITA 180.99 8 8
  9. Miriam ZIEGLER / Severin KIEFER AUT 165.63 9 9
  10. Tatiana DANILOVA / Mikalai KAMIANCHUK BLR 151.55 10 10
  11. Rebecca GHILARDI / Filippo AMBROSINI ITA 148.48 14 11
  12. Minerva Fabienne HASE / Nolan SEEGERT GER 147.40 13 12
  13. Lola ESBRAT / Andrei NOVOSELOV FRA 145.72 11 13
  14. Zoe JONES / Christopher BOYADJI GBR 143.42 12 14
  15. Lana PETRANOVIC / Antonio SOUZA-KORDEIRU CRO 140.09 15 15
  16. Arina CHERNIAVSKAIA / Evgeni KRASNOPOLSKI ISR 133.32 16 16

Ioulia CHTCHETININA / Noah SCHERER SUI (SP 17位)
Goda BUTKUTE / Nikita ERMOLAEV LTU (SP 18位)

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◆総評
タラソワ&モロゾフが初優勝☆ SPは完璧、FSはほぼノーミスの演技だった。競技後のプレス・カンファレンスで4回転ツイストをやらなかった理由を聞かれ、「やるつもりだったが、練習で不安があったので、楽しく滑ることを選んだ」とのこと。確かに、4回転ツイストが入ると、どうしても要素をこなすのにいっぱいいっぱい感が出ちゃうもんね。
2位は、サフチェンコ&マッソ。杉田さんに、「これからが、たいへん楽しみなペア。別次元の演技を見せてくれるんじゃないか」とまで言われていた。まったくもって同感である。FSでは、コンポジションで10点を出したジャッジが3人もいた。
3位は、ジェイムズ&シプレ。初表彰台、おめでとう!! 彼らがSPでもFSでも自分たちの実力を十分に発揮できて、本当に嬉しい。しかもどちらも最終滑走で。…偉業である。ペアとして一つ階段を上ったんだな〜。アメリカに練習拠点を移して正解だったんだね〜。
4位は、ストルボワ&クリモフ。ミスはあったものの、今できる演技をきっちり見せてくれたんじゃないかと思う。本人たちはがっかりしていたが、怪我明けだしドンマイドンマイ。SPもFSも素敵なプログラムなので、焦らずじっくり磨き上げていってほしい。
7位のドゥシュコヴァー&ビダージュは、母国開催のユーロで、SP同様、FSでも良い演技ができて本当によかった。杉田先生から「これから試合のたびに強くなっていくだろう」とのお墨付きをいただきましたよ! 嬉しい☆ どうかこの先、できるだけ怪我なく病気なく、競技を続けていけますように。