四大陸2017 女子SP

四大陸2017 リザルト
韓国の江陵にて開催。女子SPは、現地時間2017年2月16日(木)に行われた。
日本のエース、宮原知子は、残念ながら、左足股関節の疲労骨折を理由に、四大陸選手権とその翌週の冬季アジア大会を欠場することになった。全治4週間ということで、世界選手権には出場予定とのこと。一日も早く良くなりますように。

上記のフジのウェブページで、女子SPの出場全選手ノーカット無料配信中。

前半グループは、上記のライストで、後半グループは、フジの放送で見た。今回、フジはなんと、後半2グループを生放送してくれたのである。ありがとう☆ フジの解説は荒川静香さん、実況は中村光宏アナ。
Jスポーツは、後日、全選手の演技を放送。Jスポーツの解説は中庭健介さん、実況は赤平大さん。
特に印象に残った選手の演技について、滑走順に感想を書いている。
四大陸のミニマムスコアは、SP 20.00、FS 36.00。ワールドのは、SP 27.00、FS 47.00。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:何度でも見たい。
  • ○:よかった。好き。
  • △:悪くない。まずまず。
  • ×:イマイチ。
  • ?:何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 Amy LIN エイミー・リン(台湾)

  • 楽曲:Skyliner (from "I'll Be Seeing You: A Tribute to Carmen McRae") by Charlie Barnet, Robert Allen
  • プログラム:△

昨季、国内選手権優勝、四大陸15位、世界ジュニア14位、ワールド21位。
3T+2Tはまずまず。3Lo<は着氷が乱れた。2Aはまずまず。スピンのレベルは3、3、4。スピンの質があまり良くなく、2つ目のCCoSp3は、エッジチェンジで少し乱れ、GOEマイナス。ステップはレベル2。軽快なリズムに合わせて生き生きと踊っていた。
表情の見せ方や身のこなしが素敵☆ 音をよくとらえて演じていたと思う。
45.40。レイトスタートにより、減点1。もったいない〜。

3 Maisy Hiu Ching MA メイシー・ヒューチン・マ(香港)

  • 楽曲:Ambush from Ten Sides
  • プログラム:△

昨季、国内選手権優勝、四大陸20位、世界ジュニア15位。今季、JGPジェルヴェ18位。
3Loの着氷が乱れた。3Tも着氷が乱れ、連続ジャンプに見なされず。2Aはまずまず。スピンは全てレベル4。ステップはレベル2。
弦楽器の細かい、流れるような音の特徴をよく表現していた。
43.55。

4 Kailani CRAINE ケイラニ・クレイン(オーストラリア)

  • 楽曲:Dream a Little Dream performed by Ella Fitzgerald
  • プログラム:△

昨季、国内選手権優勝、四大陸13位、ワールド27位。今季、国内選手権優勝。
3F+2Tのファーストでこらえた。3Loと2AタノはOK。スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル3。はつらつとした曲想をよく表現していた。
小芝居入りの明るいプログラムを小気味よく演じており、女優っぷりが板についていた。ケイラニさん、大人っぽくなったなぁ。
54.70で、自己ベスト更新。

5 Brooklee HAN ブルックリー・ハン(オーストラリア)

  • 楽曲:Dans la maison (soundtrack) by Philippe Rombi
  • プログラム:△

昨季、国内選手権2位、四大陸17位。今季、国内選手権2位。生まれも練習拠点もアメリカ。コーチはペアのケイン選手の両親。
3Lz<は転倒。!がついた。3S+2Tのファーストでバランスを崩した。2Aはまずまず。スピンは全てレベル4。相変わらず軸がまっすぐで、ポジションが美しく回転が速い。ステップはレベル3。体を大きく動かして表現していた。
ここ数シーズン、ジャンプに苦しんでいる印象を受けるが、滑りや表現は素敵に進化していると思う。
48.44。

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●第2グループ
6 Xiangning LI シャンニン・リー(中国)

  • 楽曲:Waltz from "Coppelia" by Leo Delibes
  • プログラム:△

昨季、ユース五輪12位、世界ジュニア20位。今季、GP中国杯10位。
3F+3Tはセカンドでこらえた。3Lzは転倒。2Aはまずまず。スピンは全てレベル4。回転が速く質が良い。ステップはレベル3。ワルツの弾むような曲想をよく表現していた。
3Lzの転倒はあったが、フレッシュで好感の持てる演技だった。スピンが上手!
中庭さん曰く、「背筋がピンと伸びていて、丁寧に滑っている印象を受けた」とのこと。
55.73でSB更新。

7 Ziquan ZHAO ジークワン・ジャオ(中国)

昨季、国内選手権優勝、四大陸16位、ワールド23位。今季、GP中国杯11位、国内選手権優勝。
薄水色の衣装が優雅で素敵☆ お化粧もすっかり上手になったなぁ☆
3T+3T<はちょっと足首がぐりんとなった。3Lo<は転倒。2AはOK。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
ボディームーブメントは美しいんだけど、ちょっと淡白なんだよねぇ。
49.97。

9 三原 舞依(日本)

  • 楽曲:Rondo Capriccioso by Camille Saint-Saens
  • プログラム:○

昨季、JGPファイナル6位、全日本ジュニア8位。今季、GPスケアメ3位、GP中国杯4位。
3Lz+3T、2A、3Fと、ジャンプは全てクリーンに着氷。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
のびやかなスケーティングとクリアーな動きが爽快。ただ、上半身の動きがもそっとやわらかく動かせるといいかも。少し緊張してたかなぁ。慎重というかちょっと硬いように感じた。
中庭さん曰く、「高い位置から自分の体が低くなるときの滑りがすごく上手い。それでジャンプの準備動作の加速がすごいので、彼女は効率よく回りながら上がることができる」とのこと。そっか〜。三原さんのジャンプ着氷後の流れの良さは、そこからきてるのか〜。
66.51。

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●第3グループ
12 樋口 新葉(日本)

  • 楽曲:La Califfa by Ennio Morricone
  • プログラム:△

昨季、全日本ジュニア優勝、世界ジュニア3位。今季、GPフランス2位、NHK杯4位、全日本2位。
2Aの着氷が乱れた。3Lz+3Tは転倒。3Fは!がついたが、着氷はクリーンに見えたが、GOEマイナス。スピンは全てレベル4。ステップはレベル2。音の緩急のつけ方がうまくなったな〜。
調子よくないのかなぁ。ジャンプで2つもミスがあったし、なんというか、いつもの彼女の覇気が薄めだったというか。ちょっと元気がなかった。
中庭さん曰く、「地に足がついていないような演技だった。演技前、すごく不安そうな顔をしていた」とのこと。
わかばちゃんが、キスクラで涙ぐんでいる…。
58.83。

13 Mariah BELL マライア・ベル(アメリカ)

  • 楽曲:
    • Roxy Heart (Chicago soundtrack) performed by Renee Zellweger
    • All That Jazz (Chicago soundtrack)
  • プログラム:○

昨季、GPスケアメ8位、全米11位。今季、GPスケアメ2位、全米3位。
3Lz+2TはOK。3Fはステップアウト。2Aはまずまず。スピンのレベルは4、3、3。ステップはレベル4。
コケティッシュでチャーミングなプログラムを小気味よく演じていた。「ジャンプがちょっと調子よくないのかも?」という感じだったが、体の動き自体はよかったと思う。
61.21でSB更新。

14 Dabin CHOI ダビン・チェ(韓国)

  • 楽曲:La La Land (soundtrack) by Justin Hurwitz
  • プログラム:△

昨季、国内選手権2位、四大陸8位、ワールド14位。今季、国内選手権4位。GPスケカナ7位、NHK杯9位。
今大会からプログラムを変更。
3Lz+3T、3F、2Aと全てのジャンプをクリーンに着氷。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
カメラのシャッター音が2回入っている。最後は自撮りで終わる、個性的な振付。
後半の明るくリズミカルな曲想をまだ十分には表現しきれてないかな〜という感じ。でも、滑りこめれば素敵なプログラムになりそう。
61.62で自己ベスト更新。

16 Zijun LI ジジュン・リー(中国)

  • 楽曲:Le Diable Matou by Dompierre
  • プログラム:△

中村アナによると、ジャンプの難度を上げたそう。おお、調子が上がってきたか。
3F+3T<のセカンドで少しバランスを崩しかけた。3Loと2AはOK。スピンは全てレベル4。ステップはレベル2。
音の緩急をよく表現していた。力強さも出せていたと思う。
赤平アナによると、今はミーシン先生の教えを受けていて、ロシアで練習しているらしい。
60.37。

17 Alaine CHARTRAND アレーヌ・シャルトラン(カナダ)

  • 楽曲:Pina (soundtrack)
  • プログラム:△

昨季、国内選手権優勝、四大陸11位、ワールド17位。今季、GPスケカナ5位、NHK杯10位、国内選手権3位。
3Lzはオーバーターン。3Loで転倒。2Aはまずまず。スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル4。
表現とスケーティングはすばらしいんだけど、SPで連続ジャンプが入らないと、得点がなぁ…(ため息)。
中庭さん曰く、「トランジションに独創的で難しいものが散りばめられていて、素晴らしいプログラム」とのこと。
53.64。

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●第4グループ
18 本郷 理華(日本)

  • 楽曲:O Fortuna (from "Carmina Burana") by Carl Orff
  • プログラム:◎

宮原さんの代わりに急遽出場が決まった。
昨季、GP中国杯2位、全日本4位、四大陸2位、ワールド8位。今季、GPスケカナ6位、GP中国杯5位、全日本5位。
2F+3T<はセカンドで少しこらえた。3Lzは!がついたが、着氷はクリーン。2Aはまずまず。スピンとステップはレベル4。理華ちゃんはいつもきっちりレベルをとるよね。
最後の要素、CCoSp4の回転が速かった。他のスピンもこれぐらい速く回れるといいのだが。
ステップが超絶かっこいい。優雅さとダイナミックさを兼ね備えている。まったく背中が丸まって見えない。惚れる。
59.16。

19 Karen CHEN カレン・チェン(アメリカ)

  • 楽曲:On Golden Pond by Dave Grusin
  • プログラム:○

昨季、全米8位、四大陸12位。今季、GP中国杯7位、NHK杯6位、全米優勝。
3Lz+2Tはセカンドが途中で開いて両足着氷。3Lo<<で転倒。2AはOK。スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル2。
スピンとスパイラルはめっちゃよかったんだけどなぁ…(泣)。緊張しちゃったのかなぁ。
中庭さん曰く、「加速するのが非常に上手だが、ジャンプにムラがある。少し焦ったような演技に見えた」とのこと。
55.60.

20 Mirai NAGASU ミライ・ナガスアメリカ)

昨季、全米4位、四大陸2位、ワールド10位。今季、GPスケカナ9位、NHK杯5位、全米4位。
3F+3Tはよかった。3Lo<は両足着氷。2Aはよかった。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
弦の音の緩急の表現が素晴らしい。彼女の動きにシャープさが戻ってきて、本当に嬉しい。
62.91。

21 Kaetlyn OSMOND ケイトリン・オズモンド(カナダ)

  • 楽曲:
    • Sous le ciel de Paris performed by Edith Piaf
    • Milord performed by Edith Piaf
  • プログラム:○

昨季、国内選手権3位、四大陸6位。今季、GPファイナル4位、国内選手権優勝。
3F+3Tはすばらしい。3Lzはいつもほど伸びがなかったかも。!がついた。2Aで転倒。スピンとステップは全てレベル4。
今季、SPの安定感は抜群だったので、2Aの転倒にはビックリした。3Lzも彼女にしてはイマイチだったが、他の要素は全てすばらしかった。でも、GPファイナルやカナダ選手権ほどののびやかさはなかったかな〜。
中庭さん曰く、「動きの質に張り感があり、鋭くて、ポーズの一つ一つが美しい」とのこと。
68.21。

22 Gabrielle DALEMAN ガブリエル・デールマン(カナダ)

  • 楽曲:
    • Acte IV Prelude from "Herodiade" by Jules Massenet
    • Scene XIV Ballet Finale from "Herodiade" by Jules Massenet
  • プログラム:○

昨季、国内選手権2位、ワールド9位。今季、GPスケアメ及びGPフランス4位、国内選手権2位。
3T+3Tは、高さと幅、そして助走のスピードが凄い。3Lzはこらえた。2AはOK。スピンとステップは全てレベル4。
動きにキレがあり、スピードがよく出ていたが、後半ちょっと音楽に追われているように感じる部分があった。
中庭さん曰く、「ステップシークエンスで難しいターンをやっているのだが、ブレーキがかからず、スイスイ滑っているところに、スケート技術の高さが表れている。スピードをつけるだけでなく、つけたスピードを落とさない技術も持っている」とのこと。
68.25。

23 Elizabet TURSYNBAEVA エリザベート・トゥルシンバエワ(カザフスタン

  • 楽曲:I Got Rhythm by Nikki Yanofski
  • プログラム:○

昨季、国内選手権優勝、世界ジュニア5位、ワールド12位。今季、GPロステレ5位、NHK杯8位。
3Lzタノ+3Tタノは、2つとも両手上げだが、流れはあまり良くなかった。3Loと2Aタノは良かった。スピンとステップは全てレベル4。
かなりアップテンポの曲なのだが、遅れることなくリズミカルに演じていた。荒川さんが話していたように、力強さが出せるようになったなぁ。
66.87で自己ベスト更新。

                                                                                                                                        • -

◆SP順位
SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、クオリファイ、名前、国名、得点の順に記されている。

  1. Gabrielle DALEMAN CAN 68.25
  2. Kaetlyn OSMOND CAN 68.21
  3. Elizabet TURSYNBAEVA KAZ 66.87
  4. Mai MIHARA JPN 66.51
  5. Mirai NAGASU USA 62.91
  6. Dabin CHOI KOR 61.62
  7. Mariah BELL USA 61.21
  8. Zijun LI CHN 60.37
  9. Rika HONGO JPN 59.16
  10. Wakaba HIGUCHI JPN 58.83
  11. Xiangning LI CHN 55.73
  12. Karen CHEN USA 55.60
  13. Kailani CRAINE AUS 54.70
  14. Alaine CHARTRAND CAN 53.64
  15. Ziquan ZHAO CHN 49.97
  16. Brooklee HAN AUS 48.44
  17. Nahyun KIM KOR 45.95
  18. Amy LIN TPE 45.40
  19. Maisy Hiu Ching MA HKG 43.55
  20. Shuran YU SGP 43.26
  21. Chloe ING SGP 41.61
  22. Suh Hyun SON KOR 38.61
  23. Michaela DU TOIT RSA 33.39
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◆総評
まもの大活躍☆☆☆の女子SPであった(泣)。クリーンに滑れたの、SP3位のトゥルちゃんと4位の三原さん、6位のダビンちゃんだけじゃない?(ため息)
さて、SP1位はギャビー☆ 3Lzの着氷が「回りすぎ?」みたいになっちゃったけど、演技自体はキレッキレで素晴らしかった。
2位はオズモンドさん。いつもよりちょっと硬かったような。優勝候補筆頭に目されてるし、プレッシャー感じてるのかもなぁ。
3位はトゥルちゃん。いつの間にタケノコジャンプをマスターしたのか。プログラムの進化もみごとであった。
4位は三原さん。今季のSPの安定感はほんと素晴らしいですな。でも、PCS30点に乗らなかったんだよね〜(29.20)。プロトコルを見ると、ジャッジの評価が割れていて、8点台を出したジャッジもいれば、6点台のジャッジもいる。
7位のベルと12位のカレンは、全米で素晴らしい結果を残したけど、国際大会ではまだあまり実績を残せていないから、この四大陸で良い演技をして、ワールドの励みにしてほしかったんだけど、2人ともジャンプでミスがあり、出遅れてしまった。
9位の理華ちゃんと12位のわかば様もミスが出てしまった。理華ちゃんは急遽出場が決まった中、「できることをやる」という姿勢で臨んでいるのが伝わってくるので、さほど心配はしていないのだが、わかば様がなぁ…ミス云々の前に、すごく不安そうなのが気がかりである。
17位のナヒョンちゃんは、韓国選手権で3位になり、ワールド代表に選ばれたと聞いていたので(おそらく1、2位の選手は年齢が足りなくてワールドに出られないと思われる)、演技を見るのを楽しみにしていたのだが、明らかに本調子とは程遠い状態だった。中村アナによると、体調不良だそうだが、右足の太ももを押さえているところをみると、怪我もしているのかも。せっかく母国開催の四大陸に出られたのになぁ…。でも、健康第一なので、無理はしないでほしい。