四大陸2017 アイスダンスFD

四大陸2017 リザルト
韓国の江陵にて開催。アイスダンスFDは、現地時間2017年2月17日(金)に行われた。

上記のフジのウェブページで、アイスダンスFDの出場全選手ノーカット無料配信中。

Jスポーツの放送で全組の演技を見た。解説は東野章子さん、実況は小林千鶴さん。特に印象に残った組の演技について、滑走順に感想を書いている。
四大陸のミニマムスコアは、SD 19.00、FD 29.00。ワールドのは、SD 29.00、FD 39.00。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。
◎:何度でも見たい。
○:よかった。好き。
△:悪くない。まずまず。
×:イマイチ。
?:何とも判断が付きかねる。

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●第1グループ
3 Hojung LEE / Richard Kang In KAM ホジョン・イ / リチャード・カンイン・カム(韓国)

STw4のファーストで回転が少しズレた。DiSt1で2人とも転倒。
スピードに乗ってよく滑っていた。2人の醸し出す雰囲気が何とも言えず素敵なんだよねぇ。
フリー67.85、総合112.42。

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●第2グループ
5 Linshu SONG / Zhuoming SUN リンシュー・ソン / ジュオミン・サン(中国)

  • SD順位:10,得点:51.60
  • 楽曲:
  • プログラム:△

男性のジャケットの丈がかなり短い。スパイ稼業の邪魔ってこと?(笑)
音楽も振付も分かりやすくジェームズ・ボンドだった(笑)。前半はプログラムの流れも良く、クリーンに滑っていたと思うのだが、CoSp3のちょっと前ぐらいから、疲れが出たようで、キャメルポジションで男性の足が上がったり下がったりしてしまった。後半のDiSt2もGOEマイナス。
フリー72.99、総合124.59。リフトの時間超過により、減点1。

6 村元 哉中 / クリス・リード(日本)

  • SD順位:9,得点:57.80
  • 楽曲:
    • Poeta en el Puerto by Vincente Amigo
    • Amor Dulce Muerte by Vincente Amigo
    • Nada Puede Dormir by Vincente Amigo
    • Poeta en el Viento by Vincente Amigo
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

冒頭のCoSp2は、とってもきれいだったんだけど、レベル4は取れず。STw1で男性がぐらついてレベルを取りこぼした上にGOEマイナス。ステップは両方レベル2。
超かっこよかった〜。中盤タップ音が入ってからどんどん曲想が盛り上がっていき、後半は息つく間もなく一気に滑り切ってしまう。この疾走感にほんと高揚させられる。
フリー82.58、総合140.38。…う〜ん、SBが91.18であることを考えると大分低い…(泣)。

7 Hong CHEN / Yan ZHAO ホン・チェン / ヤン・ジャオ(中国)

  • SD順位:11,得点:51.34
  • 楽曲:
    • Un peu plus haut performed by Lisa Angel
    • Thunder and Lightening performed by Ezio Bosso
    • Charms (W.E. soundtrack) by Abel Korzeniowski
  • プログラム:△

RoLi4は、悪くないと思ったのだが、GOEマイナス。
美しく切なくドラマティックな曲想をよく表現できていたと思う。愁いを帯びた美男美女カップルなので、またこういう音楽がハマるんだよな〜。
フリー77.21、総合128.55で、どちらも自己ベスト更新。

8 平井 絵己 / マリオン・デ・ラ・アソンション(日本)

  • SD順位:12,得点:49.35
  • 楽曲:
    • Kiss by Prince
    • Purple Rain by Prince
    • U Got the Look
  • プログラム:△

冒頭のCuLi1で失敗。逆立ちポジションの女性が氷に手をついてしまった。その影響が出たのか、ところどころ「あれ?」と感じる箇所があり、STw3やSeSt2、DiSt3がGOEマイナスに。
でも、序盤で思いがけないミスが出たにもかかわらず、即座に気持ちを切り替えて、よく立て直したと思う。
フリー72.36、総合121.71で、どちらもSB更新。

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●第3グループ
9 Yura MIN / Alexander GAMELIN ユラ・ミン / アレクサンダー・ガメリン(韓国)

  • SD順位:8,得点:59.01
  • 楽曲:
    • Cinema in Fiamme (from "Cinema Paradiso" soundtrack) by Ennio Morricone
    • Runaway, Search and Run (from "Cinema Paradiso" soundtrack) by Ennio Morricone
    • Love Theme for Nata (from "Cinema Paradiso" soundtrack) by Ennio Morricone
  • プログラム:△

ステップはレベル3とレベル2。他の要素は全てレベル4。ジャッジが誰一人マイナスを出していない。
後半、音楽がドラマティックに変化するところをよく表現できていた。
フリー85.68、総合144.69。

10 Piper GILLES / Paul POIRIER パイパー・ギルス / ポール・ポワリエ(カナダ)

  • SD順位:7,得点:61.21
  • 楽曲:Con Buena Onda by Daniel Lomuto, Ernesto Baffa, Hector M. Arce
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

ステップは両方レベル3。他の要素は全てレベル4。ジャッジが誰も0を出していない。
2人の創り出す世界にどっぷり惹き込まれた。すごかった。
東野さんも、「コメントできないくらい、非常に素晴らしかった」とほめていた。
フリー108.93、総合170.14。得点が出るまで不安そうだったが、得点を見て、ほっとしたような笑顔に。

11 Shiyue WANG / Xinyu LIU シーユエ・ワン / シンユー・リウ(中国)

  • SD順位:6,得点:61.45
  • 楽曲:New York, New York by Ralph Burns
  • プログラム:△

ステップは両方レベル3。他の要素は全てレベル4。おみごと。
プログラムの流れが良く、大きく、キレよく動けていた。ディープエッジで滑れてたんじゃないかな〜。
フリー92.78、総合154.23で、SD同様、FDも自己ベスト更新。今季は飛躍のシーズンですな。

12 Kaitlyn WEAVER / Andrew POJE ケイトリン・ウィーバー / アンドリュー・ポジェ(カナダ)

  • SD順位:5,得点:71.15
  • 楽曲:Concierto de Aranjuez by Joaquin Rodrigo
  • プログラム:○

STw3で、2人の足をつくタイミングが少しズレたような。ステップは両方レベル3。ツイズルはレベル3。他は全てレベル4。
雄大な滑りだった。スピードもよく出ていて、けして悪くないんだけど、いやむしろとってもいいんだけど、今はトップの組の戦いがどえらいハイレベルなことになっているので、それを考えると、プログラムがちょい物足りないんだよな〜。どこがどう足りないのか具体的には言えないんだけど。
フリー108.94でSB更新、総合180.09。

ギルス組とユラ組の4人とも、グリーンルームでふざけすぎです(笑)。
第3グループが終わった時点で、総合1位はケイトリン・ウィーバー / アンドリュー・ポジェ(カナダ)。

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●第4グループ
13 Madison CHOCK / Evan BATES マディソン・チョック / エヴァン・ベイツ(アメリカ)

  • SD順位:3,得点:74.67
  • 楽曲:Under Pressure by David Bowie, Freddie Mercury
  • プログラム:○

ステップは両方レベル3。他の要素は全てレベル4。GOEで+1が5つだけ。あとは+2と+3のみ。
2人のユニゾンがさらに凄まじいことになってる。エレメンツが完全にプログラムの流れに融合している。全くよどみない。いとも簡単にやすやすとやっているように見える。演技後もなんか余裕ある感じだもんな〜。
東野さん曰く、「彼らはいつも難しい曲に挑戦してきて、曲の解釈とか、表現に卓越している。いろんな曲に挑戦して深みが増して、さすがだなと感じる」とのこと。
フリー110.91、総合185.58。現時点で総合1位。

14 Madison HUBBELL / Zachary DONOHUE マディソン・ハベル / ザカリー・ダナヒュー(アメリカ)

  • SD順位:4,得点:73.79
  • 楽曲:
    • I Wanna Dance With Somebody by Bootstrap
    • Can't Help Falling In Love performed by Ingrid Michaelson
    • Earned It by Bootstrap
  • プログラム:○

STw4で、男性の回転が「あれ? あれれ?」という感じだったのだが、やはり-1を出しているジャッジがいる。CiSt3のたゆたうような感じが本当に好き。ステップは両方レベル3。他の要素は全てレベル4。
何とも言えない余韻というか余白というか、その空気感が本当に素敵☆ こちらもよどみなく、素晴らしかったのだが、GPのときの涙が自然とこみあげてくる状態まではいかなかった。なぜだろう。
フリー107.03、総合180.82で、総合得点は自己ベスト更新。現時点で総合2位。

15 Maia SHIBUTANI / Alex SHIBUTANI マイア・シブタニ / アレックス・シブタニアメリカ)

  • SD順位:2,得点:76.59
  • 楽曲:Evolution: Mirror In Mirror by Anne Akiko Meyers, Akira Eguchi
  • プログラム:○

SeSt3以外、全ての要素がレベル4。GOEは+1が4つで、他は+2と+3のみ。
終始安心して見ていられる。SD同様、「安心と信頼の高品質」な演技だった。
東野さんも、「今季最高のFDだったと思う。彼らは数年、自分たちのキャラクターに苦しんだ時期があったが、昨季あたりから自分たちのスタイルを見出したようだ。感情の内なるものを表現できている」と称賛していた。
フリー115.26、総合191.85で、どちらも自己ベスト更新。現時点で総合1位。

16 Tessa VIRTUE / Scott MOIR テッサ・ヴァーチュー / スコット・モイヤー(カナダ)

  • SD順位:1,得点:79.75
  • 楽曲:
    • Pilgrims on a Long Journey by Coeur de Pirate
    • Shadows by Karl Hugo
    • Latch (Acoustic) by Sam Smith
  • プログラム:◎

Stw4で男性がちょっと危なかったように見えたけど、+3を出したジャッジがいる。CiSt3以外、全ての要素がレベル4。GOEで+1は3つ、あとは+2と+3のみ。
今日も今日とて非常に気持ちよさそうに滑っていた。自由自在な滑り。パトちゃんの演技を見てるときみたいな気持ちになった。脳内から気持ち良くなる物質がバシャバシャ出る感じ。
フリー117.20は自己ベスト更新、総合196.95。総合1位に決定。

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◆総合順位
アイスダンスの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SD順位、FD順位の順に記されている。

  1. Tessa VIRTUE / Scott MOIR CAN 196.95 1 1
  2. Maia SHIBUTANI / Alex SHIBUTANI USA 191.85 2 2
  3. Madison CHOCK / Evan BATES USA 185.58 3 3
  4. Madison HUBBELL / Zachary DONOHUE USA 180.82 4 6
  5. Kaitlyn WEAVER / Andrew POJE CAN 180.09 5 4
  6. Piper GILLES / Paul POIRIER CAN 170.14 7 5
  7. Shiyue WANG / Xinyu LIU CHN 154.23 6 7
  8. Yura MIN / Alexander GAMELIN KOR 144.69 8 8
  9. Kana MURAMOTO / Chris REED JPN 140.38 9 9
  10. Hong CHEN / Yan ZHAO CHN 128.55 11 10
  11. Linshu SONG / Zhuoming SUN CHN 124.59 10 11
  12. Emi HIRAI / Marien DE LA ASUNCION JPN 121.71 12 12
  13. Hojung LEE / Richard Kang In KAM KOR 112.42 13 13
  14. Adele MORRISON / Demid ROKACHEV AUS 96.35 14 14
  15. Matilda FRIEND / William BADAOUI AUS 89.29 16 15
  16. Kimberley HEW-LOW / Timothy MCKERNAN AUS 84.97 15 16
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◆総評
優勝はヴァーチュー&モイヤー。めずらしくスコットに小さなミスが出たが、それでもFDで自己ベストを出すあたり、彼らの地力のすさまじさを感じる。ワールドではやはりパパダキス&シゼロンとの一騎打ちになるのか。それとも他のカップルが食いこんでくるのか。楽しみでならない。
総合2位はシブタニ兄妹。GPのころは、このFDどうなんだろうと思っていたが、今では表現が深まって、素晴らしいプログラムに仕上がってきた。ヴァーチュー組とパパダキス組の二強に割って入れるとしたら、彼らが最有力候補だと思うが、はてさて、ワールドではどうなるか。
3位はチョック&ベイツ。シブタニ兄妹同様、二強を猛追中。
4位はハベル&ダナヒュー。FDは6位だったんだよねぇ。わたしは彼らのFDが大好きなのだが、全米、四大陸と、わたしの心の琴線をじゃんじゃら鳴らす演技が見られず、残念だ。ワールドで、再び泣かせてほしい。
5位はウィーバー&ポジェ。何かがもうちょっとどうにかなれば、彼らの魅力がどっか〜んと炸裂しそうという気配は漂っているのだが、今のところ不発が続いている。ワールドで大爆発してほしい。
6位はギルス&ポワリエ。今季のFDは激ハマりプロなのに、GPスケカナを超える演技がまだ見られていない。ワールドでは是が非でも見たい。
9位の哉中&クリスは今、中国のワン&リウ(7位)、韓国のミン&ガメリン(8位)と競っている状況だが、SD同様、FDでもレベルの取りこぼしがあったため、彼らの後塵を拝してしまった。ユーロの解説で、滝野さんが「判定が厳しい時は、それなりの理由が必ずあるので、それを聞いて、次に生かすことが大事」と話していたので、ぜひともワールドで生かしてほしい。
12位の絵巳&マリオンは、得意のリフトでミスしてしまい、残念だった。今大会が今季最後の試合になるのかな? 2人のユニゾンや関係性は年々素晴らしくなっているので、来季もまた素敵なプログラムを見せてほしい。