四大陸2017 ペアFS

四大陸2017 リザルト
韓国の江陵にて開催。ペアFSは、現地時間2017年2月18日(土)に行われた。

上記のフジのウェブページで、ペアFSの出場全選手ノーカット無料配信中。
Jスポーツの放送で、全組の演技を見た。解説は杉田秀男さん、実況は小林千鶴さん。特に印象に残った組の演技について、滑走順に感想を書いている。
四大陸のミニマムスコアは、SP 20.00、FS 36.00。ワールドのは、SP 25.00、FS 43.00。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:何度でも見たい。
  • ○:よかった。好き。
  • △:悪くない。まずまず。
  • ×:イマイチ。
  • ?:何とも判断が付きかねる。
                                                                                                                                        • -

●第2グループ
4 Ekaterina ALEXANDROVSKAYA / Harley WINDSOR エカテリーナ・アレクサンドロフスカヤ / ハーリー・ウィンザー(オーストラリア)

  • SP順位:11,得点:56.10
  • 楽曲:W.E. (soundtrack) by Abel Korzeniowski
  • プログラム:△

3Tw3の着氷がスムーズではなかった。2S<<は2人とも回転が抜け、着氷が乱れた。スロー3Fはステップアウト…等々、ほとんどの要素で、細かいミスがぽろぽろ出てしまった。
杉田さん曰く、「ペアの大事なユニゾン、調和という面から言うと、調和に欠けた部分が多かった」とのこと。
フリー98.00、総合154.10。

5 須崎 海羽 / 木原 龍一(日本)

  • SP順位:12,得点:50.48
  • 楽曲:Star Wars (soundtrack) by John Williams
  • プログラム:△

3T+2Tの予定だったが、女性がファーストでダブルになり、足をついてしまったため、コンボ扱いに。スロー3Sで転倒。3Sの予定だったが、女性がシングルに。スロー3Loがダブルに。
2人のジャンプのタイミングが合ってない感じだった。あと、スローの投げ方にちょっと問題あるような感じがした。たぶん男性が左手首を痛めてるから、しっかり力を込めて投げられないんじゃないかな?
杉田さん曰く、「最初のジャンプのミスを引きずってしまった印象を受けた。女性が失敗した後、体が縮こまってしまった。伸び伸びした動きがほとんどなかった」とのこと。
たぶん、海羽ちゃん本人が一番それが分かってて、悲しそう。お辞儀が終わってコーチのところに戻る最中に、泣き出してしまっていた。かわいい…(←は?)。
フリー80.37、総合130.85。

6 Ashley CAIN / Timothy LEDUC アシュリー・ケイン / ティモシー・ルデュク(アメリカ)

  • SP順位:9,得点:62.58
  • 楽曲:The Prayer performed by Andrea Boccelli, Celine Dion
  • プログラム:○

3Lo<は男性がこらえた。2A+1Lo+3S<<は、女性がサードで回転が足りなかったか。スロー3Lzは手をついた。スロー3Sで転倒。BoDs2は悪くないと思ったが、GOEマイナス。
音楽が少し足りなくなってしまったが、終始、女性が素敵な笑顔で滑っていた。
男女ヴォーカルののびやかな歌声を、彼らの伸びやかなスケーティングでよく表現できていた。全米のときより明らかに動きが良かった。やっぱあの時は、SP1位で折り返した緊張があって、硬くなってたんだなぁ。
ニゾンがちょいズレるところがあるのだが、そこがピタッと合ってくると、さらに素敵なペアになりそう☆
杉田さん曰く、「フリーレッグの線がきれいで、ポジションが良い」とのこと。千鶴さんによると、本人たちもそれが分かっていて、「自分たちの背の高さ、ラインの美しさを強調したくて、スパイラルをたくさん入れているのでそれを見てほしい」と話しているそうだ。
フリー106.29、総合168.87。

7 須藤 澄玲 / フランシス・ブードロー=オデ(日本)

  • SP順位:10,得点:58.14
  • 楽曲:Les parapluies de Cherbourg by Michel Legrand
  • プログラム:○

冒頭、かなりスピードを出しながら3Tw2へ。着氷がちょいスムーズじゃなかったか。3Sはクリーンに着氷。スロー3Loは両足着氷。FCCoSp4の回転が速くて、合っているかどうかよく分からないところもあったが、ほぼ合っていたんじゃないかと思う。3T<<で女性が転倒したため、連続ジャンプにならず。スロー3Sはこらえた。
ミスがいくつか出たが、彼らのリリカルでロマンティックムーディーな魅力が炸裂していた。スケーティングがすごく伸びるようになってない? スピードが前よりだいぶ出るようになったと思う。
杉田さんが、「身長差が35㎝近くあるので、タイミングを合わせるのが難しいと思うが、身長差が気になるところがなくなった。男性が絶えずパートナーの動きを見ながらきちっとコントロールしているのが演技の中で見られる。それがなくなったら本物ということ」と話していた。
フリー106.82、総合164.96で、自己ベスト更新。

                                                                                                                                        • -

●第3グループ
8 Haven DENNEY / Brandon FRAZIER ヘイブン・デニー / ブランドン・フレイジャーアメリカ)

  • SP順位:8,得点:63.39
  • 楽曲:Somewhere in Time (soundtrack) by John Barry
  • プログラム:△

イーグルバリエーションからの3Tw2は、すごくやわらかくきれいに決めている。3S<は女性がこらえた。2A<<で女性が転倒。FCCoSp3の回転がぴったりそろっている。PCoSp4の回転が速く、ポジションチェンジも足替えもスムーズ。終盤、音楽の盛り上がりとともに、ノーハンドの5RLi4と3Li4が続くところの流れが素晴らしい。
さわやかだけど切なく美しい音楽が、彼らにすごくよく合っている。滑りや音楽表現が素敵〜☆
フリー116.06、総合179.45。

9 Cheng PENG / Yang JIN チェン・ペン / ヤン・ジン(中国)

  • SP順位:7,得点:66.44
  • 楽曲:I Will Wait For You ("Les Parapluis de Cherbourg") by Michel Legrand
  • プログラム:◎

ミラー2Aは女性しか映さなかったが、プロトコルを見る限り男性も成功したもよう。3T+2Tは跳ぶタイミングがちょいズレたがOK。3Tw3はすばらしい。スロー3Loは、高さ、幅ともにすばらしい。FCCoSp4は最初少しズレていたが、セカンドからはバッチリ合っていた。スロー3Sもすばらしい。PCoSp4はVがついてしまったが、きれいに回っていた。
GPのときより情感と切なさと愛しさが増し増していた。須藤&オデのシェルブールはひたすら可憐だけども、こちらはダイナミックでドラマティックな感じ。それぞれに良さがあるよね。みんな違ってみんな良い。
フリー136.48、総合202.92で、どちらも自己ベスト更新。おお〜、200点超え!

10 Kirsten MOORE-TOWERS / Michael MARINARO カースティン・ムーア=タワーズ / マイケル・マリナロ(カナダ)

  • SP順位:5,得点:70.89
  • 楽曲:Un Ange Passe by Alain Lefevre
  • プログラム:○

楽曲の邦題は、「天使が通る」。
2A+1Lo+3S<のセカンドで女性が転倒。3TwBは肩に女性を抱えてしまった。スロー3Loで足をついた。PCoSp3はスムーズで美しい。3TはOK。FCCoSp4の回転が少しズレたところがあった。スロー3Sは両足着氷。
ジャンプ系のミスが目立ったが、スピードはよく出ており、表現も情感あふれていて、とっても素敵だった。
フリー121.46、総合192.35で、総合得点は自己ベスト更新。

11 Alexa SCIMECA KNIERIM / Chris KNIERIM アレクサ・シメカ・クニエリム / クリス・クニエリム(アメリカ)

3Tw3高っ。スロー3S高っ。3S+1Tは、男性がセカンドでシングルになり、着氷も乱れた。2Tは男性がダブルに、女性が手をついた。スロー3FはOK。FCCoSp4の回転がほぼ合ってる。PCoSpBVはレベルが取れず。回転は速く回れてたんだけどな。
まだ本調子じゃないんだろうな〜というのが、動きの端々から感じ取れるのだが、パートナーへの愛と信頼と労わりが伝わってきて、とても素敵な演技だった。SP同様、シメカさんの変貌ぶりに驚かされる。いい意味で肩の力が抜けて自然体でいる感じ。そしてクニエさんはさらに頼もしさが増している☆
まぁ新婚さんなので、当たり前かもしれないけど、2人ともめっちゃ幸せそう☆ 演技中も、幸せが全身からあふれ出している。演技後、みんなの前で、おでこくっつけてキスしたり、めっちゃアツアツのラブラブである(///)。
フリー124.81、総合193.91。

第3グループが終わった時点で、総合1位は、チェン・ペン / ヤン・ジン(中国)。

                                                                                                                                        • -

●第4グループ
12 Meagan DUHAMEL / Eric RADFORD メーガン・デュハメル / エリック・ラドフォード(カナダ)

  • SP順位:3,得点:74.31
  • 楽曲:No, je ne regrette rien performed by Patricia Kaas
  • プログラム:○

3Lz+1Tは、女性がファーストで手をつき、男性がセカンドでシングルに。スロー4Sはお手つき。3Sはよかった。スロー3Lzは両足着氷。
めずらしくスローで2本ともミス。コンディションが万全ではなかったのかも。いつもほどのキレがなかったような。リフトは相変わらず素晴らしかったんだけども。
フリー137.92、総合212.23。現時点で総合1位。

13 Liubov ILYUSHECHKINA / Dylan MOSCOVITCH リュボーフ・イリュシェチキナ / ディラン・モスコビッチ(カナダ)

  • SP順位:4,得点:73.04
  • 楽曲:When You Say You Love Me by Darren Hayes perfomed by Josh Groban
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

3Tw2の流れが良い。3T+2Tは成功! 3S<は女性が回転不足だったか。FCCoSp4の回転がほぼ合っている。スロー3Lzは軸が斜めだったけど、こらえた。コレオからBoDs3までの流れは本当にすばらしい。スロー3Loで転倒。ペアスピン。ダンスリフトからの3Li4は絶品☆
終盤、息もつかせぬ要素の連続なのだが、今回はスロー3Loの転倒もあり、少しバタバタしちゃったような。まぁそれでも十分魅了されたけども。
杉田さん曰く、「後半、男性の動きがちょっと悪くなった」とのこと。確かに後半のコレオで男性が「あれ?」と思うような動きがあったりしたもんな〜。
フリー132.27、総合205.31で、SP同様、FSも自己ベスト更新。現時点で総合2位。

14 Xiaoyu YU / Hao ZHANG シャオユー・ユー / ハオ・ジャン(中国)

  • SP順位:2,得点:75.20
  • 楽曲:Cavatina, Larghetto amoroso by Emil von Sauer
  • プログラム:○

4Tw3はちょっと寄りかかっちゃったかも。2T+2Tは女性がファーストでダブルに。2Aは男性がバランスを崩しかけた。FCCoSp4は序盤ズレてたけど、途中から合わせてきた。
ツイスト以外は全てレベル4。さすがの技術力と安定感である。
ミスがいくつかあったが、雄大な音楽と、彼らの移動距離の長いスムーズなリフトが、本当にマッチしていて気持ちよかった。
杉田さん曰く、「まるっきりタイプの違う2人だが、それを感じさせないプログラムが組まれている。選手の持っているものをうまく引き出し、かつマイナス面をカバーしてくれる、良いプログラム」とのこと。
フリー128.20、総合203.40。現時点で総合3位。

15 Wenjing SUI / Cong HAN ウェンジン・スイ / コン・ハン(中国)

  • SP順位:1,得点:80.75
  • 楽曲:Bridge Over Troubled Water by Paul Simon
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

楽曲の邦題は、「明日に架ける橋」。
4Tw2はよかった。3T+2TタノはOK。3S<で女性が転倒。FCCoSp3は、入りでちょっとバランスを崩したが、持ち直した。PCoSp1Vは、レベルを取りこぼしてしまったが、独創的で美しいポジションだった。
……2人の表情がねぇ、ほんと、切なさと情感があふれてて、素敵なんですよ。ユニゾンもすばらしく、つなぎで滑ってるときのフリーレッグとか腕の角度とかぴったりそろってるの。
十代のころはテクニカル面の強さでブイブイいわせてた彼らが、今では芸術性でも世界トップの域に達したんだなぁと思うと、すごく感慨深い。
演技が終わった後、感極まったように涙ぐむスイちゃんを抱きしめるハンくんのかっこよさよ。ほんと、すてきなペアになったなぁ。すばらしいなぁ。
杉田さんも大絶賛。千鶴さんによると、彼らは「この歌詞に、自分たちが怪我から復活してくるところのストーリーに重ね合わせて、とても気持ちが込められるんだ」と話しているそうだ。
フリー144.28、総合225.03で、どちらも自己ベスト更新。総合1位に決定。

                                                                                                                                        • -

◆総合順位
FSが終わって、総合順位は下記のとおり。左から総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Wenjing SUI / Cong HAN CHN 225.03 1 1
  2. Meagan DUHAMEL / Eric RADFORD CAN 212.23 3 2
  3. Liubov ILYUSHECHKINA / Dylan MOSCOVITCH CAN 205.31 4 4
  4. Xiaoyu YU / Hao ZHANG CHN 203.40 2 5
  5. Cheng PENG / Yang JIN CHN 202.92 7 3
  6. Alexa SCIMECA KNIERIM / Chris KNIERIM USA 193.91 6 6
  7. Kirsten MOORE-TOWERS / Michael MARINARO CAN 192.35 5 7
  8. Haven DENNEY / Brandon FRAZIER USA 179.45 8 8
  9. Ashley CAIN / Timothy LEDUC USA 168.87 9 10
  10. Sumire SUTO / Francis BOUDREAU-AUDET JPN 164.96 10 9
  11. Ekaterina ALEXANDROVSKAYA / Harley WINDSOR AUS 154.10 11 11
  12. Su Yeon KIM / Hyungtae KIM KOR 140.68 13 12
  13. Miu SUZAKI / Ryuichi KIHARA JPN 130.85 12 14
  14. Minji JI / Themistocles LEFTHERIS KOR 129.19 14 13
  15. Kyueun KIM / Alex Kang Chan KAM KOR 118.91 15 15
                                                                                                                                        • -

◆総評
優勝はスイ&ハン。女性が2度の手術を経た復帰戦で、自己ベスト更新で二連覇。4度目の優勝らしい。すごい。すばらしい。FSは今回すでに高得点が出ているが、転倒あり、レベルの取りこぼしありで、伸びしろがまだまだあるんだよね。しかも今回はスロークワドを回避してるし。全部決めたらどれだけの高得点が出るんだろう。ワールドで歴代最高得点更新あるかも!!
総合2位はデュハメル&ラドフォード。本調子じゃなさそうとはいえ、PCSでスイ&ハンに6点以上差をつけられちゃったんだよね〜。しかも3位のイリュシェチキナ&モスコビッチにはPCSがほぼ同じところまで追い上げられてきた。ワールドではスカッとクリーンな演技が見られるといいのだが。
3位のイリュシェチキナ&モスコビッチは、チャンピオンシップ初表彰台ですな☆ おめでとう!! ずっと好きで応援していた組なので、とっても嬉しい!! 今季はSPもFSもお気に入りなので、ワールドではぜひクリーンな演技を☆
4位はユー&ジャン。FSで順位を落としてしまったが、クワドツイストに挑戦した結果なので、ワールドに向けて、いい経験になったのではなかろうか。
5位はペン&ジン。FSの「シェルブールの雨傘」は、本当に素晴らしい演技だった。感動した。ワールドにはGPファイナルでも四大陸でも上位だったユー&ジャンが選ばれるのかな? ペン&ジンもよかっただけに残念だ。
6位はクニエリム夫妻。彼らの愛と信頼の絆をこれでもかと見せつけられてしまったわ(笑)。全米に出場できなかったけど、アメリカのペアの中では最上位。現時点では、やはり彼らがアメリカのトップの組であることを証明した。まだ完全には復調していないようだが、ワールドでは本調子の彼らを見られますように。
7位はムーア=タワーズ&マリナロ。SPもFSも素敵なプログラムなので、これで見納めかと思うと残念だ。とはいえ、彼らもどしどし力をつけてるし、カナダのトップ勢4組による国内の競争も過酷さを増すばかりですな。どの組もお気に入りなだけに、来季のカナダ選手権を思うと、今から胃が痛いわ〜(涙)。
10位は須藤&オデ。今季は、試合を経るごとにうまくなってるんじゃなかろうか。ワールドでオリンピックの出場権が取れるといいなぁと思うんだけど、ワールドで彼らより上にくるであろう組をあげてみると、極力少なく見積もっても、
ロシア3、カナダ3、中国2、アメリカ2、イタリア2、ドイツ1、フランス1、チェコ1
となるわけだが、これでもう15位まで埋まってしまう。最高でも16位が上限かなと。16位以内に入れれば、オリンピックの枠は取れるんだろうか。
13位の海羽&龍一は、得意なソロジャンプでミスが出てしまい、海羽ちゃんは涙涙であった。今季、見違えるほどうまくなっているので、ここでの経験を糧に、さらに強くなっていってほしい。