四大陸2017 女子FS

四大陸2017 リザルト
韓国の江陵にて開催。女子FSは、現地時間2017年2月18日(土)に行われた。
残念ながら、SP17位のキム・ナヒョン(韓国)と23位のミカエラデュトワ南アフリカ)はFSを棄権したとのこと。

上記のフジのウェブページで、女子FSの出場全選手ノーカット無料配信中。
ライストで第2グループから見て、後日、Jスポーツの放送で、全員の演技を見た。解説は中庭健介さん、実況は赤平大アナ。特に印象に残った選手の演技について、滑走順に感想を書いている。
四大陸のミニマムスコアは、SP 20.00、FS 36.00。ワールドのは、SP 27.00、FS 47.00。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。
◎:何度でも見たい。
○:よかった。好き。
△:悪くない。まずまず。
×:イマイチ。
?:何とも判断が付きかねる。

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●第1グループ
1 Maisy Hiu Ching メイシー・ヒューチン・マ(香港)

  • SP順位:19,得点:43.55
  • 楽曲:Adagio in G minor by Tomaso Albinoni

美しい人ばかりのフィギュアスケート界においても、彼女は極めて美少女だなぁ。
冒頭の3Loで転倒。2本目の3Loでも着氷が乱れ、後半の3T<+2TはGOEマイナス、2Lzの予定がシングルになってしまった。スピンは全てレベル4。ステップはレベル2。
しっとりした曲想を美しく表現していた。姿勢がきれいだし、スピンもなかなか上手だし、あとは跳べるトリプルジャンプの種類を増やしていければ。今はトゥループとループの2種類だけみたいなんだよね。
フリー81.10、総合124.65で、どちらもSB更新。

3 Chloe ING クロエ・イング(シンガポール

  • SP順位:21,得点:41.61
  • 楽曲:Nocturne in E Major Op. 9 No. 2 (Fantasie Impromptu) by Frederic Chopin

昨季、JGPコロラド16位、国内選手権優勝。今季、JGP横浜14位。練習拠点はカナダ。
転倒や回転不足、着氷の乱れなど、ジャンプのミスが続いてしまった。スピンは全てレベル4。ステップはレベル2。
音をよくとらえていたと思う。上体の動きが大きくやわらかく美しい。カナダで練習しているだけあって、姿勢やポジション、ラインがきれいで、スピンが上手い。
ジャンプが安定して降りられるようになれば、得点が伸びてくるんじゃないかな〜。今のところトリプルはループとサルコウの2種類だけのようで、トゥループはまだプログラムに入れてないんだよね〜。めずらしい。
笑顔がとっても素敵な選手☆
フリー78.57、総合120.18。

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●第2グループ
7 Alaine CHARTRAND アレーヌ・シャルトラン(カナダ)

  • SP順位:14,得点:53.64
  • 楽曲:Rome (soundtrack) by Jeff Beal
  • プログラム:○

3Fにeがつき、3Sと3Lzに<がついたが、大きなミスはなかった。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
女性らしいやわらかさと力強さ両方を出せていた。音の緩急のつけ方など、音楽表現は本当に素敵☆ SPからジャンプを立て直せてよかった〜。
フリー113.48、総合167.12。

10 Brooklee HAN ブルックリー・ハン(オーストラリア)

  • SP順位:16,得点:48.44
  • 楽曲:Por Una Cabeza by Carlos Gardel and Alfredo Le Pera
  • プログラム:△

ジャンプの着氷後、すーっと流れていかず、いくつかGOEマイナスがついたが、大きなミスはなかった。スピンのレベルは2、4、4。ステップはレベル2。
おお〜、久々に彼女がこんなにジャンプを成功させる演技を見た! 嬉しい! スピンはうまいし、ステップも素敵だし、ジャンプさえ決まればプログラムが俄然輝きを放つのよね。
フリー103.61、総合152.05で、どちらも自己ベスト更新。キスクラは大喜び☆

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●第3グループ
12 Xiangning LI シャンニン・リー(中国)

  • SP順位:11,得点:55.73
  • 楽曲:Princess Mononoke by Joe Hisaishi
  • プログラム:△

GOEで減点されたのは、3Fのステップアウトと2A+2Lo<で着氷が乱れたところだけだった。冒頭の3Fがステップアウトしてしまい、3F+3Tにできなかったが、2つ目の3Fはクリーンに着氷できたので、そこに2Tをつけておきたかった。でも、その代わり、最後のジャンプの3S+2Tにして、連続ジャンプは3つ入れられたのはよかったと思う。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
トゥジャンプに高さがある。ステップやつなぎの動きはまだジュニアっぽいんだけど、スピンのときの腕の動かし方に情感が感じられて素敵なんだよねぇ。癖のないジャンプを跳ぶし、今後が楽しみ☆
フリー109.12、総合164.85で、SP同様、FSも自己ベスト更新。

13 樋口 新葉(日本)

  • SP順位:10,得点:58.83
  • 楽曲:Sheherazade by Nikolai Rimski-Korsakov
  • プログラム:△

2つの3Lz+3Tはクリーンに着氷したが、2S、2A<<の両足着氷、1Fと、ジャンプにミスがいくつか出た。スピンとステップは全てレベル4。
やっぱ元気なかったな〜。足の怪我で練習があまりできず、ジャンプの調子も上がらず、自信がもてなかったらしい。その不安が演技にも現れていた。
キスクラでわかば様が泣いてる…。
フリー113.22、総合172.05。

14 Karen CHEN カレン・チェン(アメリカ)

  • SP順位:12,得点:55.60
  • 楽曲:Tango Jalousie by Jacob Gade
  • プログラム:○

ジャンプの着氷がいくつが出てしまい、連続ジャンプが1つしか入らなかった。スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル3。
スピードはすごく出ているように見えたし、体の動きにキレがあり、よく動いていた。スパイラルとスピンは相変わらず素晴らしい。
中庭さん曰く、「ジャンプの回転の始まり具合がいつもバラバラ。回転の始まりが遅いと、着氷が余裕がなくなり、ミスが出てしまうことが多い。ジャンプの始まり具合やタイミングをパチッと合わせる技術力があれば、もっと安定した成績が残せるのではないか」とのこと。
フリー111.22、総合166.82。

15 Mariah BELL マライア・ベル(アメリカ)

  • SP順位:7,得点:61.21
  • 楽曲:East of Eden by Lee Holdridge
  • プログラム:○

3F+1Lo+3Sで転倒したほか、フリップにもルッツにも!がつき、着氷が乱れたジャンプがいくつか出た。スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル3。
曲想の表現は素晴らしいんだけど、もっとできるって分かってるからなぁ…。赤平アナによると、「初めてのチャンピオンシップで緊張している」とコメントしていたそうなので、やはり硬くなってしまったか。
フリー115.89、総合177.10。

16 本郷 理華(日本)

  • SP順位:9,得点:59.16
  • 楽曲:Riverdance by Bill Whelan
  • プログラム:△

3Lzにeがついた上に転倒。その他、回転不足や抜けが見られた。スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル3。
全日本で「彼女はもうこのプログラムを卒業したんだな」という印象を受けたが、今回の演技を見てその印象がさらに強まった。昨季は本当に激ハマりだったけど、今はもう合わなくなっていると思う。背中のラインや上半身の使い方がきれいじゃなく見えて、気になってしまう。SPではもう全然気にならなくなったのに。
フリー108.26、総合167.42。

17 Zijun LI ジジュン・リー(中国)

  • SP順位:8,得点:60.37
  • 楽曲:Only For Love by Tan Dun
  • プログラム:△

3F+3F<の着氷で少しバランスを崩したほか、着氷の乱れがいくつか見られた。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
6分間練習でちょっと様子がヘンだったので、どこか痛めてしまったのかも。演技が終わった後、すごく辛そうだった。
後半ガクッと体力が落ちるようなことはなかったと思うが、終始同じトーンで滑っていて、ちょっと単調な印象を受けた。
中庭さんが、「3Lzのエッジエラーがあったのに、今回はきれいなアウトエッジで踏み切っていた」と驚いていた。おお〜、エッジの修正に成功したのか。すばらしい。
キスクラでジジュンが激しく泣いてる…。
フリー116.68、総合177.05。

第3グループが終わった時点で、総合1位は、マライア・ベル(アメリカ)。

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●第4グループ
18 Mirai NAGASU ミライ・ナガスアメリカ)

  • SP順位:5,得点:62.91
  • 楽曲:The Winner Takes It All performed by Sarah Dawn Finer
  • プログラム:

背中に×のテーピング。痛めてるのかな?
3F3Tこら。3Lz。3S。ステップ。何か物足りない。スピード?スピン。2A3T2T。2Aは幅があった。3Lo2T.3Lo。スピン。2A。コレオ。スピード加速。スパイラル。スピン。
ミライちゃんの「イエス!!イエース!!」&ガッツポーズが見られた☆ 場内スタオベ。
ジャンプは全てクリーンに着氷。全てのエレメンツがGOEプラス評価。スピンは全てレベル4。スステップはレベル3。何かちょっと物足りない。スピードかな?
前半やわらかく、瑞々しい女性ヴォーカルの歌声に寄り添うかのように演じていたが、終盤のヴォーカルの盛り上がりに合わせ、コレオでギュイーンと力強くスピードアップする様は、めっちゃかっこよかった。このプログラム、ずっとどうなんだろうと思ってきたけど、最後の最後で真の姿を見せてもらった気がする。
フリー132.04、総合194.95で、どちらも自己ベスト更新。現時点で総合1位。キスクラでザクライセック先生と共に驚愕&歓喜☆ こういうミライちゃんがずっと見たかったんだよ!! 嬉しいよ!!

19 三原 舞依(日本)

  • SP順位:4,得点:66.51
  • 楽曲:Cinderella by Patrick Doyle
  • プログラム:○

全てのジャンプをクリーンに着氷し、全要素がGOEプラス。スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル3。
…全日本に続いてSPもFSもノーミス。すごすぎである。
よく滑っていたと思う。スピードに乗って、流れのあるジャンプをぽんぽん降りていた。
中庭さんが、「プログラムの初めから終わりまで、流れるようだった。効率のいいジャンプと効率のいいスケーティングが、この流れを生み出している。何一つ問題が見当たらない。『(偶然)降りれちゃった』みたいなジャンプはなく、自分から下りたジャンプばかり。練習をよくするので、スタミナもあり、疲れたように見えない」とほめちぎっていた。
フリー134.34、総合200.85で、どちらも自己ベスト更新。現時点で総合1位。いよいよ200点超え!! 三原さんの喜び方がほんと愛らしい☆ 笑顔がキラキラしてる☆

20 Dabin CHOI ダビン・チェ(韓国)

  • SP順位:6,得点:61.62
  • 楽曲:Doctor Zhivago (soundtrack)
  • プログラム:△

着氷の乱れや回転不足のジャンプもあったが、成功したジャンプは流れの中で跳べていた。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
スピードに乗って、流れのあるジャンプが跳べていたし、体がよく動いていた。身のこなしとか、もうすっかりシニアのスケーターになったなぁ。
母国開催の四大陸で、SP同様、FSも良い演技がでいてよかったね!
フリー120.79、総合182.41で、SP同様、FSも自己ベスト更新。現時点で総合3位。

21 Kaetlyn OSMOND ケイトリン・オズモンド(カナダ)

  • SP順位:2,得点:68.21
  • 楽曲:
    • Mimi Tells Her Story (from "La Boheme - The Ballet") by G. Puccini, arranged by K. Hocking
    • Sono Andati (from "La Boheme") by Giacomo Puccini
  • プログラム:○

すっごいスピードからの3F+3Tを決め、すばらしい滑り出しだったが、3Lzの転倒、3Loのステップアウト、3Fと3Sで転倒、1Aと、ジャンプのミスが続いてしまった。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
これまでの選手とは、スピードやスケーティング、動きが格段に違う。大きな滑りとでも言おうか。
ただ、今回はジャンプのミスが多く出てしまい、このプログラムの白眉であるステップ→コレオが十分に表現しきれなかった気がする。
リンクから上がるところでオズモンドさんが泣きそうになってる…。つらい…(泣)。
フリー115.96、総合184.17。現時点で総合3位。

22 Gabrielle DALEMAN ガブリエル・デールマン(カナダ)

3T+3Tは、+2を出したジャッジが一人いるだけで、他は全員+3。後半の1Loと2Aの着氷の乱れが悔やまれる。スピンのレベルは4、3、4。2番目のLSp3でトラベリングしてしまい、GOEマイナス。ステップはレベル4。
スピードビュンビュンで滑っていたのだが、終盤ちょっと落ちたかな? でも、ステップでは盛り返し、キレよく演じていた。
中庭さん曰く、「ジャンプの入り口で工夫が見られる。ステップでは上半身だけでなく足元もしっかり踏めている。スケーティングもブレーキがかからずに滑らせられるようになっている」とのこと。
フリー128.66、総合196.91で、どちらも自己ベスト更新。現時点で総合2位。自己ベスト更新したけど、ギャビーは浮かない顔。優勝を狙える位置だったもんなぁ。

23 Elizabet TURSYNBAEVA エリザベート・トゥルシンバエワ(カザフスタン

  • SP順位:3,得点:66.87
  • 楽曲:Princess Mononoke by Joe Hisaishi
  • プログラム:

3Lzタノと3Fタノで転倒。他にも着氷の乱れや回転の抜けがいくつか見られた。スピンのレベルは4、3、3。ステップはレベル2。
音楽に少し遅れてフィニッシュ。
GPのころは、「小柄な彼女にこんな雄大な曲を滑らせるなんて、矯正プロなのかな?」と思っていたのだが、今では滑りこなし、モノにしつつある。彼女の演技を見て、「もののけ姫っていい音楽いっぱいあったんだな」とつくづく思ったもの。スピードもよく出ていた。
フリー109.78、総合176.65。総合8位に決定。落胆のキスクラ。や、でも、素敵な演技だったよ!

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◆総合順位
女子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Mai MIHARA JPN 200.85 4 1
  2. Gabrielle DALEMAN CAN 196.91 1 3
  3. Mirai NAGASU USA 194.95 5 2
  4. Kaetlyn OSMOND CAN 184.17 2 6
  5. Dabin CHOI KOR 182.41 6 4
  6. Mariah BELL USA 177.10 7 7
  7. Zijun LI CHN 177.05 8 5
  8. Elizabet TURSYNBAEVA KAZ 176.65 3 11
  9. Wakaba HIGUCHI JPN 172.05 10 9
  10. Rika HONGO JPN 167.42 9 13
  11. Alaine CHARTRAND CAN 167.12 14 8
  12. Karen CHEN USA 166.82 12 10
  13. Xiangning LI CHN 164.85 11 12
  14. Brooklee HAN AUS 152.05 16 14
  15. Ziquan ZHAO CHN 147.37 15 15
  16. Kailani CRAINE AUS 136.91 13 17
  17. Amy LIN TPE 125.02 18 19
  18. Maisy Hiu Ching MA HKG 124.65 19 18
  19. Suh Hyun SON KOR 122.35 22 16
  20. Chloe ING SGP 120.18 21 20
  21. Shuran YU SGP 118.40 20 21

WD Nahyun KIM KOR (SP 17位)
WD Michaela DU TOIT RSA (SP 23位)

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◆総評
三原さんが初優勝!!! 本当におめでとう〜☆ SPではPCSで6点台を出していたジャッジがいたが、FSでは全員7点台。8点台を出しているジャッジも複数いる。三原さんもトップスケーターの仲間入りですな☆
総合2位はギャビー。初表彰台おめでとう☆ でも、優勝の可能性も十分あっただけに、悔しい気持ちもあるんじゃなかろうか。すっばらしいスケーティングとジャンプをもっているが、なかなかクリーンな演技ができずにいるもどかしさがある。今季のFSはお気に入りのプログラムなので、クリーンな演技がぜひとも見たい。
3位のミライちゃんは、全盛期の輝きを取り戻したかのような演技だった。ジャンプの質が日に日に高まっているような気がする。…ただなぁ、ここ2年、この四大陸で良い演技&表彰台が続いているが、肝心の全米でベストパフォーマンスができないと、ワールドやオリンピックの代表には選ばれないわけで。彼女から「平昌オリンピックに行きたい」という並々ならぬ思いが伝わってくるだけに、来季こそは全米で最高の演技を見せてほしい。
4位はオズモンドさん…。今季安定していたので、これほど大崩れする彼女は久々に見た(泣)。でもま、ここでいい厄落としができたと思って、気持ちを新たにワールドに向かってほしい。彼女が実力を発揮できれば、ワールド表彰台も大いにあり得るんだから。
5位はダビンちゃん。他の韓国勢は、ナヒョンちゃんがFSを棄権、19位のソンさんが思うような演技ができない中、彼女が自己ベスト更新の演技ができて、地元のお客さんも大喜びであった。GPのころより、表現も深まり、プログラムがブラッシュアップされていたと思う。
6位のベルと12位のカレンは、全米で最高のパフォーマンス→四大陸でイマイチという、「アメリカ選手あるある」な結果になってしまった…(ため息)。この経験を生かして、次のワールドではぜひとも良い演技を見せてほしい。
8位のトゥルちゃんは、SP3位からFS11位に順位を落としてしまったが、FSのPCSは、60点近く出ていて、けっこう評価されてるんだよね。表現や滑りはよかったもんな。
9位のわかば様と10位の理華ちゃんは、納得いく演技ができず、残念だった。中庭さんが、「人は勝負に負けたとき、どういう行動をするかで、その人間の価値が決まる。この負けをどう生かすかは彼女たち次第」という言葉を贈っていた。うん、そうだよね。彼女たちならきっとこの負けを生かしてさらに飛躍してくれるだろう。