全米2011 男子

今年は、全米男子のライブ放送を見られなかったのですが、先にリザルトだけ見て、正直、わが目を疑いました。今季の全米男子はアボちゃんとアダムのガチンコ対決になるだろうなと思ってたのに、2人ともトップ3に入れなかったとは…勝負の世界って、ほんと、何が起こるか分かりませんね…(深々とため息)。

icenetwork.com(リザルト)

◆ライアン・ブラッドレー

  • 総合1位(SP:1位,FS:4位)

今季、GPに出ておらず、引退しちゃったんだろうかと寂しく思っていたので、出場だけでも嬉しいサプライズでしたが、その上みごと初優勝!ということで、ベリベリハッピーサプライズでございます(笑)。11年連続、全米に出場し続けて、ようやく掴んだ全米チャンピオンのタイトル!本当におめでとう〜。ショートは4-3込みで、全てのジャンプがクリーン、そしてパフォーマンスはいつも通りバッチリ!という素晴らしいできばえでしたが、フリーはいろいろミスが出てしまいました。まぁでも、多分この全米が今季初の試合だったろうから、仕方ないと思います。ショートもフリーも、ライアンにぴったりの、コミカルで楽しいプログラムなので、東京ワールドではクワドばんばん降りて、ノリノリ〜な演技を見せてほしいです。

リチャード・ドーンブッシュ

  • 総合2位(SP:7位,FS:1位)

去年のジュニアGPFで、2位以下に大差をつけ、完全優勝を果たしていたので、今季の世界ジュニアチャンピオンの最有力候補は彼だろうなーと思ってたら、ジュニアじゃなくて、シニアのワールドに出場が決まったという。彼のファイナルの演技を見て、昨季よりずいぶん上手になったな〜とは思ってましたが、まさか全米の2位になるとは。

実際に演技を見たら、ショートではそんなに良いジャンプを跳んでなくて、むしろ「調子悪い?」と心配になるような感じだったのに、フリーではまるで別人のようにクリーンなジャンプをぽんぽん跳び、かつジャンプ以外の部分もすべてクリーン。プログラムの随所にちりばめられたホームズの小芝居も、ファイナルのときよりさらに磨きがかかっており、一つの作品として、非の打ち所のないパーフェクトなできばえでした。これは神演技を言って差し支えないでしょう。凄かった…ほんと凄かった…。

東京ワールドでは、ドイツのリーベルスくんとのホームズ対決(笑)、楽しみにしてます!

◆ロス・マイナー

  • 総合3位(SP:6位,FS:2位)

昨季はシーズン前半、着実に実績を積んで、ジュニアのGPFで3位に入り、さぁこれからってときに、怪我で全米も世界ジュニアも出場できず、気の毒だなぁ、どうしてるかなぁと気になっていました。そしたら今季はショートもフリーもわたし好みのプログラムを揃えてきてくれて、俄然ヒートアップ(笑)。「全米で良い演技をして上位に入れるよう頑張れー!!」と念じてたら、上位どころかトップ3に入っちゃうんだもんなぁ…。ドーンブッシュくんもそうですが、若い選手の成長って、こちらの予想をはるかに超え、一気にドカーンときますね。

ショートは、連続ジャンプが3-2になっちゃいましたが、滑り自体は良かったと思います。フリーでは、さらに良くなってました。ただ、ドーンブッシュくんの、俳優顔負けの小芝居を見た後だと、彼のは、どーもおとなしいんですよね。「そーゆー振付だからやってます」感がなんとなーく漂ってる(苦笑)。ここは、ドーンブッシュくんを見習って、「カサブランカ」のリックになりきり、酒あおったりピストル撃ったりしてほしいです(笑)。

ジェレミー・アボット

  • 総合4位(SP:2位,FS:6位)

去年のNHK杯の演技を見て、あまりのかっこよさ、素敵さに目をハートマークにさせながら、「今季こそはアボちゃんの年になるんじゃないかしら…今季こそはワールドメダリストになってくれるんじゃないかしら…」と期待に胸ふくらませてたんですけどね…東京でこの演技を生観戦できることを考えるだけでハッピーハッピーな気分になれたんですけどね…人生って、ほんと厳しいですね…(泣)。

ショートはジャンプでちょっと危なっかしい部分はあったものの、さほど深刻な印象は受けませんでしたが、フリーは、後半、どんどんジャンプが乱れていって、ああああああああ〜〜〜(泣)という感じでした。滑りは相変わらずのハイクオリティだったけど、やっぱ後半のジャンプがああも崩れると、プログラムの作品としての印象が冴えなくなっちゃうよなぁ(ため息)。

わたしの中には、「とっくにワールドメダリストになってておかしくないのになぜかいまだにそうでない男子選手」というカテゴリがあり(苦笑)、いま現在、そこに属する選手が3人ほどいるのですが、そのうちの1人がアボちゃんです(他は、織田くんとトマシュです)。東京ワールドではその3人のうち、1人でもいいからメダリストになってほしいと願っていたのですが、アボちゃんは出場すらできないという事実に打ちひしがれています(泣)。

全米が終わって3週間足らずで気持ちを切り替えるのは並大抵のことではないでしょうが、四大陸ではぜひ、自分の納得いく演技をしてほしいです。シーズン初戦のNHK杯では、本当に素晴らしい演技を披露してくれましたが、それを超える演技ができるよう、心から願っています。

アダム・リッポン

  • 総合5位(SP:9位,FS:3位)

アダムといえば、正確で質の高い技、憎らしいほどの安定感(←褒めてます)が強みだと思うのですが、昨季に引き続き、ショートで大きなミスが……他の試合ではめったにこんなことないのになー。全米に苦手意識、もっちゃわないといいのですが。

気持ちを切り替えるのが難しかったと思うのですが、フリーでは、2つのジャンプでミスが出てしまったものの、美しい、流麗な演技を見せてくれました。とりわけ、2度目の3Aが決まった後、動きがぐんと良くなりましたねー。やはり彼にとっては、良い意味でも悪い意味でもキーとなるジャンプなのでしょう。

四大陸では、昨季同様、ちょー笑顔で終われるといいね!頑張れや〜!

アーミン・マーバヌーザデー

  • 総合6位(SP:8位,FS:5位)

今季、ずいぶんうまくなったなぁと感心していたので、全米で力を出し切れるといいなーと思ってました。ショートで3Lzがダウングレードされちゃったのが残念でしたが、フリーはノーミス!素晴らしかったです。ただ惜しむらくは滑走順が少しツイてなかったというか。アダムの良い演技→ドーンブッシュの神演技ときてアーミンくんだったので、ちょっと見劣りしちゃったかな。彼は彼ですごく良かったんですけどねー。でもその頑張りが報われて、四大陸への派遣が決まりました!憧れの真央ちゃんと同じ大会に出られることになって良かったね!(笑)

ブランドン・ムロズ

  • 総合7位(SP:3位,FS:9位)

ムロズくんは、ショート3位と良い位置で折り返したんですが、フリーで力を出し切れず…(泣)。直前にアボちゃんが失速してしまって、優勝の二文字がちらついちゃったのかなぁ。

ムロズくんは、エレメンツの質があまり良くないみたいで、GOEでプラスの得点がさほど取れないんですよねー。PCSもなかなか伸びないし。ここ2シーズンほど、ずーっと山を越えられないでいる印象なんだよなー。でも、彼は「運命」でわたしをときめかせた選手なので、いつかきっと乗り越えられるはずと信じています。

キーガン・メッシング

  • 総合8位(SP:4位,FS:8位)

4Tと3A×2を降りた上にほぼクリーンな演技で、本人も大喜びだったんですが、得点が発表になったとき、思ったより出なかったみたいで、ちょっと不満そうでした。わたしももそっと出るかなーと思ってたんで、プロトコル確認したんですが、3-3が入らなかったんですね、そういえば。あとはスピンとステップのレベルをとりこぼしちゃったせいか。でも、他の選手のも見たんですけど、レベル判定厳しかったみたいで、レベル4を取れてる選手が少ない印象を受けました。

彼はこれまでガサガサしてる印象が強かったんですよね。「ガサガサしてるって何だよ」って突っ込まれると説明しづらいんですが…。去年のジュニアGPFでも、「やっぱガサガサしてるなー」と感じたんですが、全米ではそれがだいぶ薄らいでました。あとは動きにタメというか抑揚がつくようになると、もっと上にいけるんじゃないでしょうか。まずは世界ジュニア頑張ってー。

◆ジェイソン・ブラウン

  • 総合9位(SP:11位,FS:7位)

ショートでは、勢いがあって良い選手だなーと思ったものの、ところどころ、ジュニアっぽい印象だったので、「コーチがちょー美人だ!!」とか、余計なところに注目してたんですが(苦笑)、フリーでは一気に心奪われました。ジャンプが…スピンが…ステップが…じゃなくて、一つの作品としてすごく素敵なんですよねー。キラキラ輝いてました。解説の杉田さんも「技術も表現も申し分ない」と大絶賛。3Aがまだ、プログラムに入らないようですが、入るようになったら、得点もさらにどかーんと上がってくるでしょう。世界ジュニアでどんな演技を見せてくれるのか、非常に楽しみです。


他は箇条書きにて。

  • ジュニアのGPFで、「あらかわいい男の子☆」と目を付けていた(笑)ジョシュア・ファリスくん。ショート13位と悪くない位置に付けたので、よしよしと思っていたら、フリーでまさかの大失速。全てのジャンプでミスしてしまい、転倒3回…。演技終了後、目に涙が。初めての全米シニアでこれはショックだよなぁ…そりゃー泣いちゃうよ。ポジションやラインがキレイで、これからの成長が楽しみな選手なので、この経験を糧にしてほしい!頑張って!!
  • グラント・ホクスタインくんは、フリーでのジャンプのミスが痛かったー。調子が悪かったのか、ショートにもフリーにも3Aが入ってなかったので、他のジャンプを全部クリーンに降りないと、スコアが伸びないんだよね…。でも、わたしは今回の全米の演技を見て、彼のスケートがかなり好きになりました。彼って、顔立ちはいかにもアメリカンな感じだけど(笑)、演技自体は正統派王子タイプだと思う。クラシックのリリカルな表現がうまいんだよなぁ。それとスピンがすごく上手で、情感あふれるスピンができる選手なので、わたしの「ステファンの後継者候補リスト」に(勝手に)入れてます(笑)。
  • 全米男子のフリーは、「第3グループの途中から、若手による渾身の演技&ガッツポーズが続いたが、その一方、ショートのトップ3の選手が、程度の差こそあれ、揃って崩れ、それでも何とか踏みとどまったベテラン選手が優勝!」という、ものすごくスリリングでドラマティックな試合だった。わたしがこんなにアボちゃんの「ライフイズビューティフル」を愛していなかったら(泣)、なんでこんな面白い試合をライブ放送で見てなかったんだろうと、深く後悔したと思う。