ユーロ2016 アイスダンス

2016年のヨーロッパ選手権は、スロバキアブラチスラバ、オンドレイ・ネペラ・アリーナにて開催された。
アイスダンスのSDは、現地で1月28日(木)、FDは30日(土)に行われた。
総合順位の上から、特に印象に残った組の感想を書いていきます。
Jスポーツの実況は小林千鶴さん、解説は東野章子さん。
リザルト

1位 Gabriella PAPADAKIS / Guillaume CIZERON(フランス)

  • 総合得点:182.71,SP:2位,FS:1位
  • 使用曲(SD:Charms, Composition,FD:Rain In Your Black Eyes, Build a Home)

今季、女性の脳震盪で、GPSに出られず、初の国際大会がユーロだったパパダキス&シゼロン。
SDはとにかく何から何までかっこよくて、ぼへーっと眺めるしかなかった。二人の距離がとても近くて、「二人で一つ」という一体感がすごい。
FDは、重力を感じさせない演技だった。ゆらゆら〜っとしたムーブメントで、曖昧模糊とした幻想の中にいるみたい。
彼らの演技を単に美しいというのではとても言葉が足りないのだが、わたしの貧相な語彙力ではとても表現しきれないのがもどかしい。あまりにも独特でユニークなので、「これ…何なんだろう?」と思わず見入ってしまう。
とにかく音楽との一体感、相手との一体感がすごすぎる。

2位 Anna CAPPELLINI / Luca LANOTTE(イタリア)

  • 総合得点:178.01,SD:1位,FD:3位
  • 使用曲(SD:The Merry Widow,FD:La Dolce Vita)

昨年イタリアのペアの選手、ホタレクと結婚したアンナちゃんとルカ。
SDは、作品としてほぼ完成に近いものを見せてくれたのではないだろうか。
FDは、軽快で小気味よい音楽を存分に表現していた。
…くらいしか書けない自分の文章力のなさに泣ける。とにかくどちらも素晴らしかったんだよ〜〜!!
このカップルは、いくつになってもかわいらしいのだが、それでいてベテランならではの強さと凄みを併せ持つところが本当にかっこいいと思う。そしてこの二人も、「二人で一つ」という一体感がすごい。何というか、すごいと思わせないくらい自然なのがすごい。

3位 Ekaterina BOBROVA / Dmitri SOLOVIEV(ロシア)

組んで15年目というボブロワ&ソロビエフ。怪我で昨季は全休だった。
SDは、欲望渦巻く舞踏会という感じ。全身から不穏な空気を醸し出していた。
FDは、アイスダンスの演技を見ているというより、男女の愛の物語を見ているという感じだった。「アンナ・カレーニナ」は不倫のお話なので、苦悩や不安がずーっとある中で、男と女が愛を語り合ったりすれ違ったりしているのが、ずしーんと伝わってきた。
ボブロワさんとソロビエフさんは、本当に素敵な大人のカップルになったなぁ。ハラショー&スパシーバ!!

4位 Victoria SINITSINA / Nikita KATSALAPOV(ロシア)

  • 総合得点:172.65,SD:4位,FD:4位
  • 使用曲(SD:白鳥の湖,FD:Io Ci Saro)

シニツィナ&カツラポフのSDは、滑りが大きくてスピードもあって、素晴らしかったのだが、やはりまだ2シーズン目だからか、時折フリーレッグがぴたっと合わないのが少し気になった。トップのカップルは「ちょっとどうかしてる」と思えるくらい合わせてくるので(苦笑)。まぁでもその辺は時間が解決してくれる問題だろう。
FDも、ドラマティックな音楽に合わせて大きく体が動かせていてよかった。昨季の「男性が一人で暴走」感は薄れてきたように思う(笑)。どんどん息が合ってきたみたい。

5位 Alexandra STEPANOVA / Ivan BUKIN(ロシア)

  • 総合得点:165.55,SD:5位,FD:5位
  • 使用曲(SD:スタントマン,FD:ラフマニノフ・リベンジ)

ステパノワ&ブキンは、どのプログラムでも、女性の美脚をこれでもかとアピールする振付で、「自分たちの強みを分かってるな!」と感心させられる(笑)。もちろん美しいのは足だけじゃなくて、上半身の動きも美しく、大きく上げたフリーレッグもぴたっと合ってて素晴らしかった。
SDは楽しいプログラムで、見ててあっという間に終わってしまった。
FDは、ロマンティックで優雅な雰囲気と力強さを併せ持ったプログラムを、よどみなく演じきっていた。

6位 Penny COOMES / Nicholas BUCKLAND(イギリス)

  • 総合得点:162.75,SD:8位,FD:6位
  • 使用曲(SD:Die Fledermaus,FD:Exogenesis Part 1, Hurricanes and Butterflies)

クームズ&バックランドはシーズン途中でSDを変え、「ワルツが課題なら一大会に一組は見たい」という王道のプログラムを見せてくれた。やっぱヨハン・シュトラウスのワルツはアガるわ〜〜。東野さんも言ってたけど、この二人によくお似合いのSDだと思う。
FDは、昨季から持ち越しのプログラム。昨季は病気やら何やらで大変だったので、このFDもちゃんと見られたのは今大会が初めてだったが、彼らの個性をよく表していると思う。神秘的な音楽を素敵に表現していた。

7位 Charlene GUIGNARD / Marco FABBRI(イタリア)

イタリア2番手のカップル、ギニャール&ファブリ。正直、アイスダンスのことはよく分からないけど、今季、かなり上手になったような気がする。
SDは、女性がぴょんぴょん跳び上がる振付が入っていて、すごく躍動感のあるプログラム。
FDのシンドラーのリストはカテゴリ問わず、いろんな選手あるいは組が滑ってきた曲だが、あらためてその美しさを実感させられた。演技を見て、使っている音楽の良さを再発見させてくれるというのは、演技そのものが素晴らしいからなんだよね。

8位 Federica TESTA / Lukas CSOLLEY(スロバキア

  • 総合得点:158.05,SD:9位,FD:8位
  • 使用曲(SD:アダムス・ファミリー,FD:Passeggiata In Paese, Kutlama, Ma l'amore no, Orgia)

地元のテスタ&チェーレー。場内は、彼らを大歓声と拍手で迎えていた。女性はイタリアのミラノ生まれ。
SDは、音楽の使い方がなかなか個性的でよかった。二人の動きがぴったり合ってて気持ちいい。千鶴さんによると、シーズン途中で音楽を変えてきたらしい。
FDは、4曲つなげたプログラムなのだが、ところどころ小芝居が入っていて、どうやら「いろいろあった末に最後は男が女を撃って終わる」という物語を演じているらしい。…これは!!ペシャラ&ブルザの「音楽つぎはぎ&独自の物語」プロを継ぐ者たちということか!?(目がきら〜ん☆)
ツイズルのとき、手の動きと回転で、音楽を非常にうまく表現していて感心した。トップのカップルでも、ツイズルでここまでできる組って、そうそうないもの。将来がとても楽しみだ。

9位 Laurence FOURNIER BEAUDRY / Nikolaj SORENSEN(デンマーク

  • 総合得点:152.79,SD:10位,FD:9位
  • 使用曲(SD:Never Tear Us Apart by INXS,March by Karl vn de Kerckhove,FD:Woman)

ボードリー&ソレンセンは、女性はカナダ出身で、男性はデンマークコペンハーゲンの出身。2014年の夏に、ボードリーさんが脳震盪を起こし、昨年11月末に転倒して再び症状が出てしまい、大変だったらしい。
千鶴さんによると、オフアイスでもカップルとのこと。
SDでは、モダンなアレンジの音楽を素敵に表現していて、かっこよかったし、ユニゾンもよかった。
FDもモダンな感じだったなー。始まりのステイショナリーリフトは個性的で見ごたえがあった。新たなエレメンツに入るとき、「始まるよー」という準備動作がほとんどなく、切れ目のない演技で、よかった。

10位 Isabella TOBIAS / Ilia TKACHENKO(イスラエル

  • 総合得点:151.67,SD:7位,FD:12位
  • 使用曲(SD:シンデレラ,FD:韃靼人の踊り)

SDは、容姿から衣装から、絵に描いたようなおとぎ話の王子様とお姫様といった風情で、乙女心をめっちゃ満たしてくれるドリームなプログラムであった(笑)。
FDのほうも、音楽にぴったりの衣装でかっこよかった。「おお、さすが!」というところと「ああっ、大丈夫?」というところが混在していた。特にツイズルとカーブリストのミスは、わたしのような素人が見ても明らかにミスだと分かる出来だった。千鶴さんによると、現パートナーとの初めてのチャンピオンシップということで、緊張していたらしい。
東野さんも言ってたけど、それぞれ他のパートナーとキャリアを積んで、基本はできてる二人だから、組んだばかりとは思えない安定感がある。トビアスさんもトカチェンコさんも、パートナーを何度か変えてるけど、なかなか素敵なカップルだと思うので、長く続けられるといいな。

Misato KOMATSUBARA / Andrea FABBRI(イタリア)

  • SD:21位
  • 使用曲(SD:椿姫)

小松原さん&ファブリは、FDにギリギリ通過できず(泣)。でも、今回ようやく演技を見ることができて嬉しかった〜。動きは悪くなかったと思うのだが、ところどころ音楽と合ってないような気がした。というか音楽の聞こえ方が変で気持ち悪かった。伸びたテープの音みたい。あれは会場でもそう聞こえてるのかなぁ。それとも放送の問題なんだろうか。