四大陸2016 男子SP

四大陸2016 リザルト
2016年の四大陸選手権は、台湾の台北市(タイペイ・シティ)、台北アリーナにて2月18日(木)から21日(日)まで開催される。
男子シングルのショート・プログラムは、現地時間で2月19日(金)、日本でも同日に行われた。

                                                                                                                                        • -

怪我や靴の調整など、様々な事情で欠場者が続出している四大陸だが、デニス・テンも怪我で棄権だし、ラキムも理由は分からないけど欠場。カザフスタンの2人がいない四大陸なんて!!(泣)
でも久々にケヴィンの演技が見られるのはめっちゃ嬉しい。怪我で昨季はまるっと全休になってしまったし、今季もGPSに出てなかったし、カナダの国内選手権は見てないので、彼の演技を見るのは本当に久しぶりなのだ。
女子SP同様、フジの地上波で放送があった選手について、滑走順に書いていきます。後でBSフジやJスポーツで放送されたら、他の選手について、追記するかもしれません。

                                                                                                                                        • -

フジの実況は中村光宏アナ、解説は本田武史さん。男子SPも、後半2グループを生放送してくれるらしい。わーい!フジテレビ、ありがとう。
●第2グループ
10 ケヴィン・レイノルズ(カナダ)

この曲、大大大好きなので、使ってくれてほんっっっと嬉しい!
実は、オンライン・リザルトで試合をチェックしていたので、実際に演技を見る前に彼のSPの結果は知っていた。
「ディダクション-4って……時間オーバー?それとも演技開始が遅れちゃった?」と、PC画面の前で青ざめていたのだが、ジャンプ3つで転倒した上に、2つ目のスピンに入る前にも転倒しちゃってたんだな…。つ、つらい…。
でも、演技全体はわるくなかったと思う。ステップシークエンスはテンポの速い音楽に遅れず、ぴったり合わせて体を大きく動かせてたし、超クールな振付を、かっこよく演じていた。
プロトコルを見たら、2つのスピンはきちんとレベル4&GOE加点をとれてるし、ステップはレベル3だけど、GOE+1.14ももらえてる。スケーティングが上達したってことだよね。
このプログラム、すごくいいから、来季も継続してくれないかなー。もっと見たいよー。
TES24.35、合計55.14。フリーではジャンプがクリーンに着氷できますように!!

                                                                                                                                        • -

●第3グループ
6分間練習中、ケヴィンのインタビューが入る。
「残念な気持ちでいっぱい。ジャンプで失敗を重ねてしまった。(日本のファンに対して)良い演技を見せられなくて申し訳ない。フリープログラムも全力で頑張る」というようなことを日本語で話していた。中国ペアのユーちゃん並みにうまい。

12 キム・ジンソ(韓国)

  • 楽曲:ベートーベンの「月光」

ジンソくんて、無良くんのお父さん、隆志コーチにも教わってたんだ!知らなかったー。今大会には無良コーチが帯同している。練習も岡山でやってるらしいし、振付も宮本さんだし、親近感湧くわー。
音楽の静と動、緩急の表し方が素敵だなーと、GPSのときから思っていた。
3Lz+3TはOK。3Aで着氷が乱れた後、1つ目のスピンがうまくいかずノーバリュー(涙)。ぎゃー、もったいない!3Loは、見た目クリーンだと思ったんだけど、プロトコルを見ると、GOEで減点されてる。直前のステップが足りないってことなのかな?
ステップシークエンスでは、激しい曲想を力強く表していたと思う。
TES32.71、合計65.13。

13 マイケル・クリスチャン・マルティネス(フィリピン)

  • 楽曲:「エグモント」序曲

衣装の着丈が長く、ふわっとするデザインなので、ジャンプやスピンをするとき、邪魔にならないのかなと思った。
3Lz+3Tの着氷が乱れ、3Aで転倒してしまったが、3LoはOK。
スピンは相変わらず見ごたえがあって、特に最後のビールマンは、女子並みの回転数&速度だった。場内も盛り上がっていた。ただ、スピンが得意な選手なので、3つともレベル4ねらいなんじゃないかと思うけど、1つレベル3のがあったのが惜しかった。
ステップシークエンス(レベル4獲得)やつなぎの動きも、ドラマティックな音楽にぴったりで、すごくかっこいい。GPSのときより、さらにうまくなってる気がする。振付のモロゾフも、グッジョブです!
TES35.18、合計69.15。

14 グラント・ホクスタイン(アメリカ)

  • 楽曲:ふたつの夕暮れ

今季、全米4位のグラント登場!ここで良い演技をし、ジャッジの高評価を得てワールドに臨みたいところ。
4T転倒、3Aの着氷乱れ、3Lz+3TはOK。
2つ目のスピンが終わって、連続ジャンプに入る前のつなぎで、イーグルが長〜く入るのだが、そこで場内からさざ波のように拍手が起こった。要素じゃない部分で人の心を打つことができるなんて、本当に素晴らしいスケーターに成長したんだなと思う。すごく嬉しい。
得意のスピンはいつも通りハイクオリティ。でも最後のスピンはちょっとトラベリングしちゃったかな。プロトコルを見ると、思ったよりGOEの加点がもらえてないんだなー。ジャンプで加点されるタイプではないそうなので、スピンではできるだけ稼いでおきたいところなんだけど、1つ、レベル3になっちゃって残念。
ステップシークエンスではレベル4獲得。音楽との調和がすばらしいと思うんだけど、ここもあんまりGOEの加点がもらえてない。スケーティングの問題なんだろうか。
TES40.39、合計75.79でSB。国際大会でも評価され始めてる気がする!NHKでも良い演技したもんね!やっぱコンスタントに結果を出すのがだいじなんだな。

15 ロス・マイナー(アメリカ)

  • 楽曲:ニューヨークの想い

今季、全米5位。全米の悔しさを晴らしてほしい。
プログラム初めは、フレーズの一つ一つ、音の強弱すべてにボディームーブメントが合っていて、本当に素晴らしかったのだが、3Fの転倒後、ちょっと氷に引っかかったみたいにバランスを崩してから、ジャンプのタイミングが合わなくなったのか、3Aがダブル、3Lzがシングルになり、連続ジャンプが入らなかったーー。ギャー!!(泣)
TES21.92、合計58.27。
PCSは37.35と、ジャッジの評価は悪くないので、フリーで巻き返してほしい…(涙)。

16 イ・ジュンヒョン(韓国)

韓国の国内選手権、2連覇したんだね。おめでとう!
音の緩急によく合った振付がいいわ〜。ジェフ、グッジョブです!
3Aで着氷乱れ、3F+3TはOK、3Loでお手付きと、ジャンプでちょいちょいミスはあったけど、音楽をよくとらえていて、惹き込まれる演技だった。
わたしとしては、エクソジェネシスといえばジェレミー・アボットの名作が忘れられないのだがジュンヒョンのプログラムもなかなか素敵。GPSのときよりだいぶ磨き上げてきたなー。見違えた。
キスクラは樋口先生と一緒。おお、いつの間に樋口先生の弟子に!?
TES35.43、合計67.35でSBを10点以上、上回ってきたとのこと。だよねー。めっちゃ良くなってたもん。

17 田中刑事(日本)

今季、全日本4位。
4Sがトリプルになり着氷が乱れたが、3Aは降りた瞬間、場内がわっと沸くほどクリーンな出来。3F+3Tでオーバーターンしてしまったが、ステップシークエンスではレベル4獲得&GOE。ま、レベルがどうとかの前に、刑事くんの色気ダダ漏れで、非常によろしかった(笑)。
大輔くんもこの曲を使っていたからか、ところどころ彼の演技がオーバーラップした。
TES37.82、合計74.82で、SB出たよ!よしよし、この調子でフリーもゴーだ!!

                                                                                                                                        • -

●第4グループ
昌磨くんが、3日前にジャンプ構成を変えることにしたらしい。VBはちょっと下がるけど、3Aと4Tの順番を交換して、冒頭に4T、後半に3Aを跳ぶ予定。選手本人の希望によるもので、「4回転に集中して、演技の完成度を高めたいから」とのこと。
6分間の練習中、刑事くんのインタビューが映った。ケヴィンのもそうだったけど、6分間練習を放送しながら、別枠小窓を設けて、そこでインタビューを流していた。これだと、練習する選手もインタビューも見られていいよね。
6分間練習が終わって、バックヤードにはける途中、昌磨くんと無良くんがグータッチしていた。仲が良くて微笑ましいですな。

18 ハン・ヤン(中国)

  • 楽曲:Sing Sing Sing

ジャンプ、ノーミスきたーーー!!!よ・う・や・く・キター!!!世界中のフィギュアスケートファンがどれだけ待ち望んだことか。あああーーーよかったよーーううう!!!
ジャンプが決まればあとはノリノリ〜に、キレッキレ&のびのび〜るスケーティングでコミカル意味不明プロ(笑)を滑り切った。眼福であった。
TES47.92、合計89.57でSB。
90点台は出るだろうと思っていたので、「あれ、何か取りこぼしてる?」と、プロトコルを確認したら、3つ目のスピンがノーバリュー…ぐっわー、もったいない!!他のスピンもステップもレベル4とれてるのに!!

19 宇野昌磨(日本)

  • 楽曲:Legends

全日本2年連続2位。
4Tの着氷は流れなかったけど、3Aと3F+3Tはクリーン。
ボディームーブメントにキレがあるだけじゃなく、どんどん洗練されてきたように感じる。スピンとステップは全てレベル4&GOE加点。
TES50.06、合計92.99でSB。
とうとう90点超え。でもなんだかとっくの昔に超えてたような気がしてた(笑)。

20 マックス・アーロン(アメリカ)

今季、全米2位。
4Sでお手付き、3Lzで転倒したために連続ジャンプが入らないという大きなミスが出た上に、最後のスピンも乱れたが、音楽表現は今季いちばんよかったんじゃないだろうか。いつもどこか物足りなさを感じていたのだが、今回はあまりそれを感じなかった。
しかし、プロトコルを見ると、スピンが3つ全部レベル2というのは…いくら何でも取りこぼしすぎである。このクラスの選手がスピンでミスするなんてめずらしいし、もしかして、体調よくないのかなぁ。でも、体の動き自体は悪くないと思うんだけどなぁ。
TES32.48、合計69.48。

21 無良崇彦(日本)

今季、全日本3位。
ステップシークエンスから最後にかけての盛り上がりは、今季最高だったんじゃないだろうか。超絶かっこよかった!!
プロトコルを見ながら、各要素を一つ一つチェックしていくと、4Tと3AはOK。特に3Aの加点がやばい。+2.14ですよ!?でも4Tで減点しているジャッジがいる。着氷の流れは悪くなかったと思うので、直前のステップが足りないということだろうか。3Lz+3T<も、見た目はクリーンに見えたんだけどなぁ。
でも、スピンとステップは、全てレベル4!!スピンの取りこぼしの多い無良くんが!!すっごーい!!
ただし、残念ながら、2番目のスピンでは、足を換えた後、バランス崩しかけてトラベリングしたので、GOEで減点されている。結弦くんや昌磨くん、草太くんは、当たり前みたいにレベル4&GOE加点をそろえてくるので、スピンで後れをとっていては、国内の過酷な戦いを勝ち抜けないのである。レベル4とれたのは素晴らしいけど、やっぱスピンのミスはもったいなかった。
TES46.94、合計89.08でSB。90点台に乗らなかったかー。惜しい。

22 ボーヤン・ジン(中国)

  • 楽曲:タンゴ・アモーレ

GPSのときより、かっっっこよくなってた!!!キビキビだけじゃなくて、ヌメヌメ〜っとしてきた!!
4Lz+3T、3A、4Tという超難しいジャンプ構成をみごとにやり抜き、後半の4Tを降りたときは、場内からおおおおーーーっという地の底から湧き上がるような歓声が起こった。
しかもジャンプだけじゃなくて、スピンとステップで全てレベル4&GOE加点をとってるんだよね。すごいわー。
TES58.41、合計98.45でSB。とうとうPCSも40点台に乗った!!

23 パトリック・チャン(カナダ)

4Tはお手付き、3Aは両足着氷っぽかった。3Lz+2Tはセカンドジャンプがトリプルにならず。
スケーティングの質の高さは別格ですな。音楽という名の川をスイスイス〜イと泳ぐ魚のよう。自由自在に滑っていて、見ていて、すごく気持ちよかった。
プロトコルを見たら、なんと、2つ目のスピンがレベル1。めっずらしい〜。
TES41.15、合計86.22でSB。
演技が終わった後、パトちゃんの、同時通訳によるインタビューが。
「この一週間、氷の状態が良くなくて、自分の滑りにも納得がいかなかった。氷にきちんと乗りたいんだけど、氷とまったく波長が合わず、コントロールとバランスが取れなかった。毎日氷の状況が違うので、フラストレーションが高まっていたが、この状況の中では良い滑りができたのではないかと思う。前にタイトルを取ったこともあるし、今は順位を気にしていない。最終グループで滑れてうれしい」というようなことを話していた。
…そっかー。他の選手に、普段は見られないミスがあったのは、氷に原因があったからなのかもしれないなー。
しかし、パトちゃんのこの発言を受け、友野くんと本田兄妹が、ツイッターで、「滑りに納得いかない!?」「彼のスケート靴にロケットがついてるんだ」「彼にはリンクの広さが足りない」とかつぶやいてて笑ってしまった。

                                                                                                                                        • -

ショートが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、TSS、TES、PCSの順に記されています。

  1. Boyang JIN CHN 98.45 58.41 40.04
  2. Shoma UNO JPN 92.99 50.06 42.93
  3. Han YAN CHN 89.57 47.92 41.65
  4. Takahito MURA JPN 89.08 46.94 42.14
  5. Patrick CHAN CAN 86.22 41.15 45.07
  6. Grant HOCHSTEIN USA 75.79 40.39 36.40
  7. Keiji TANAKA JPN 74.82 37.82 37.00
  8. Max AARON USA 69.48 32.48 38.00
  9. Michael Christian MARTINEZ PHI 69.15 35.18
  10. June Hyoung LEE KOR 67.35 35.43
  11. Nan SONG CHN 66.04 34.98 31.06
  12. Jin Seo KIM KOR 65.13 32.71 32.42
  13. Andrew DODDS AUS 61.88 30.56 31.32
  14. Liam FIRUS CAN 61.81 29.10 33.71
  15. Julian Zhi Jie YEE MAS 59.70 32.23 29.47
  16. Se Jong BYUN KOR 58.30 29.34 28.96
  17. Ross MINER USA 58.27 21.92 37.35
  18. Denis MARGALIK ARG 57.71 28.53 29.18
  19. Brendan KERRY AUS 55.83 26.44 30.39
  20. Kevin REYNOLDS CAN 55.14 24.35 34.79
  21. Leslie IP HKG 54.81 30.34 24.47
  22. Chih-I TSAO TPE 51.83 23.57 29.26
  23. Harry Hau Yin LEE HKG 42.54 20.14 22.40
                                                                                                                                        • -

グラントが最終グループ入り!!やったー!!
ボーヤンが絶好調みたいなので、このまま四大陸チャンピオンになる可能性も大いにあるが、昌磨くんのフリー「トゥーランドット」の威力も凄まじいので、勝負の行方はまだ分からない。
表彰台争いということになると、上の2人のほかに、ハン・ヤン、無良くん、パトちゃんも入れて、上位5名の勝負になるか。
アーロンやマイナー、ケヴィンなど、ショートで納得いく演技のできなかった選手の皆さんにも頑張ってほしい。ナン・ソンの演技、地上波で久々に見られるかも。
放送と言えば、これには今までフジに批判的だったフィギュアスケートファンから絶賛の嵐が(笑)。あまりの素晴らしい放送に、嬉しすぎて不安になる人たちまで(爆)。
後半2グループを生放送、変な煽りVTRなし、6分間練習も流す、インタビュアーの質問内容もまとも、ケヴィンとパトちゃんのインタビューあり…等々、確かに100点満点の放送だった。ありがとう、フジテレビ。これからもよろしくお願いします。