四大陸2016 女子FS

四大陸2016 リザルト
2016年の四大陸選手権は、台湾の台北市(タイペイ・シティ)、台北アリーナにて2月18日(木)から21日(日)まで開催される。
女子シングルのフリー・スケーティングは、現地時間で2月20日(土)、日本でも同日に行われた。
フジの実況は西岡孝洋アナ、解説は荒川静香さん。今日も後半2グループを生放送。どうしたフジ!!ありがとうフジ!!(笑)
フジの地上波で生放送された選手+αの演技について、感想を書いていきます。
楽曲名は、フジの選手紹介とISUのバイオグラフィーを参考に記しています。

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Jスポーツの解説は、杉田秀男さんで、実況は小林千鶴さん。
四大陸とワールドのミニマムスコアは下記の通り。
四大陸 SP20.00 FS36.00
ワールド SP27.00 FS47.00

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●第2グループ
杉田先生いわく、オーストラリアのリンク事情は悪くなく、日本よりいいんじゃないかとのこと。ただし、「指導者の問題が悩みの種」という言い方をしていたが、つまり指導力のあるコーチが少ないという意味だろうか。

6 ブルックリー・ハン(オーストラリア)

  • SP順位:14,得点:52.80
  • 楽曲:Lark Ascending

アメリカ生まれのアメリカ育ち。練習拠点もアメリカ。お父さんがオーストラリア人。国内選手権2位。
ジャンプに回転不足や転倒等のミスが続いてしまった。スピンは上手だし、ボディームーブメントもほんとに素敵なんだけどなぁ。
杉田先生によると、「ステップの体の使い方や動きはいいが、ジャンプの前に一呼吸あり、構えてしまう。そのため動きが止まってミスが出ている」。
FS82.95、総合135.75。
フリーのTESが41.31点で、ワールドのミニマムスコア47点に届かず。

7 ケイラニ・クレイン(オーストラリア)

オーストラリアのジュニア&シニアのWチャンピオン。国内のジュニアで4連覇、シニアで2連覇している。四大陸2年連続出場で、去年は12位。
ルッツやフリップでeや!を付けられているが、他のジャンプにGOEマイナスなし。
スピンは軸がまっすぐでポジションもきれいだし、回転も速かったし、ドラマティックな音楽をよく表現していた。これは将来が楽しみな選手!
FS157.82、総合108.80で、どちらも自己ベスト更新!
TES58.98なので、ワールドのミニマムを余裕でクリアー。

8 ヴェロニク・マレー(カナダ)

3年連続出場で、初出場は13位、その次は14位。怪我で欠場したゲイブリエル・デールマンに代わっての出場。
体の動かし方が、もっと大きいといいのになぁと感じた。特に腕をもっと上下左右、立体的に動かせるようになると、ステップやコリオがぐっと引き立つと思う。
ジャンプで少しミスが出てしまったが、大崩れすることなく、演技をまとめることができたのでは。
FS104.10、総合155.98で、フリーは自己ベスト更新!
代替出場だったのに、PB出せたなんて、頑張ったね!

9 エイミー・リン(台湾)

女性ボーカルの声の伸びを、ボディームーブメントでよく表現していたと思う。気持ちのいい滑りだった。
演技が終わった後、ガッツポーズ2連発!今自分ができることをやりきった演技だったのでは。
アメリカ所属なので当たり前だけど、基本がきちんと身についているところとか、姿勢やフリーレッグがきれいなところとか、まるっきりアメリカ選手。
これは台湾期待の星ですな。将来有望な選手なので、先が楽しみ〜。
FS107.73、総合155.61で、どちらも自己ベスト更新!
FSのTES57.61で、ワールドのミニマムはクリアしてるんだけど、SPは今大会ではクリアできてないんだよね。他の大会でクリアできてれば、シニアのワールドにも出られるのだが。
世界ジュニアは出場が決まっているので、上位に入って演技が放送されるといいな。

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●第3グループ
11 グレイシー・ゴールド(アメリカ)

  • SP順位:9,得点:57.26
  • 楽曲:火の鳥

体が重いような。ジャンプがいつもより低く感じた。体調がすぐれなかったのかもしれない。でも調子が悪いなりにベストを尽くせたのではなかろうか。演技が終わった後、今日は笑顔が見られてよかった。鳥風のお辞儀がかわいい☆
冒頭の3Lzが単発になり、その後2A+2T+2Tを跳んだので、「もう2T跳んじゃダメだぞ〜ダメだぞ〜」と念じていたが、彼女はちゃんと3Lz+1Tにしていた。グレイシーは計算できる子!
でも、連続ジャンプが2個しか入らなかったのが残念。オリンピックに向けて、連続ジャンプの組み合わせ、他のもできるようにした方がいいんじゃないかしら?2Tを2Loに換えるとか、思い切って、1Lo入れた3連続を組み入れるとか。
フリー121.13、合計178.39。

12 アレーヌ・シャルトラン(カナダ)

ほぼすべてのジャンプの着氷がクリーンに決まらず、何かしら減点されていた。ボディームーブメントは音楽をよく表していて素敵だったんだけどなぁ。
彼女の連続ジャンプは3Lz+3T、2A+1Lo+3S、2A+2Loと、連続ジャンプがノーバリューにならないよう対策がバッチリとられていて、感心する。
ワールドではポリーナさんと「風と共に去りぬ」対決ですな。どちらも良いプログラムなので、仕上がりが楽しみだ。
フリー106.02、合計165.73。

13 チェ・ダビン(韓国)

2A+3T<でバランスを崩した以外は、加点がもらえるジャンプを跳んでいた。3Lz+3Tを安定して降りてるし、今回判定が厳しかったエッジエラーもとられていない。
スケーティングやボディームーブメントはまだジュニアっぽいけど、シーズン前半よりうまくなっていると思う。平昌オリンピックに向けて、韓国期待の星ですな。
フリー116.92、合計173.71でSB。

14 カレン・チェン(アメリカ)

おお、「レ・ミゼラブル」が続く。
ジャンプで2度の転倒、他に着氷も乱れたが、滑りにスピードがあったし、ジャンプ以外の部分は素晴らしかった。彼女のスパイラルはやっぱり盛り上がるわー。
成長期でジャンプが不安定になってるんだと思うけど、とても良いものをたくさん持っている、魅力的な選手なので、怪我に気をつけて、焦らずスケートを続けていってほしい。
フリー107.97、合計161.52。

15 キム・ナヒョン(韓国)

回転不足なく3Lo+3Loがクリーンに決まったの、初めて見たかも!
3F+2Lo+2Loをプログラムに入れているし、ループがすごく得意みたい。とはいえ、プログラムに3Lz+3Tを組み込んでいるから、セカンドに3Loも3Tもつけられるという強みがある。彼女も韓国期待の星の一人ですな。
まだジュニアっぽいけど、ステップシークエンスの体の動かし方に、キラっと光るものを感じた。リレハンメルユース五輪でヨナちゃんが言ってた通り、韓国の若い選手がどんどこ育ってきてるんだなー。
フリー112.30、合計170.70でSB。

16 ケイトリン・オズモンド(カナダ)

  • SP順位:11,得点:56.14
  • 楽曲:ダンサリン ほか

ぐっはー、かっっっこいいーーー!!!つなぎのボディームーブメントからもうすっかり魅了された。惚れる。十代の若い選手が続いていたので(20歳のオズモンドさんも十分若いけど)、大人の滑りを堪能したわー。満たされたわー。
特にわたしのツボにハマったのは、レイバックスピンが終わるか終わらないかあたりで曲想が変わるんだけど、そこでフリーレッグを音に合わせて床を踏み鳴らすみたいに動かしているところ!かっちょえ〜〜☆☆☆
軸が曲がってるジャンプがいくつかあったけど、身体能力と技術と根性でちゃんと降りていた。すごい。
プログラム前半で2Tを2回跳んでいたので、3回跳んだらどうしようと心配していたが、彼女は後半、3S+1T+2Loにしていた。オズモンドさんも計算できる子!
怪我を克服し、さらに素晴らしいスケーターになって、競技の世界に帰ってきてくれた。ありがとうケイトリン!
フリー119.49、合計175.63。

●第4グループ
現時点でトップはグレイシー
17 長洲未来アメリカ)

ジャンプは全てクリーンに着氷したように見えたのだが、これまで見た目ノーミスでも得点が出てガッカリ〜というのをくり返してきたので、得点が発表されるまで安心できなかった。選手本人もそうなのかも。演技が終わった後、喜びを爆発させるでもなく、「まあまあかな」というような顔だった。でもファンのひいき目じゃなく、ジャンプに高さが出て、軸がまっすぐで回転が速くなったような気がする。
プロトコルを見たら、3Lzにeマークはつけられたけど、回転不足なし!よかったー。
わたしはこのプログラムで一番好きなのがステップシークエンスなのだが、荒川さんも言ってたように、直前のスピンが長くなって、ステップに入るのが遅くなり、最初の振付がおざなりになってしまったような印象を受けた。
クリーンな演技を見て思うことは、プログラムにハイライトがほしいということ。やわらかい女性らしい動きはできているので、バンクーバーのころみたいな、シャープな動きも出せるようになると、メリハリが出て、さらに素敵な演技になるんじゃないだろうか。
ああでも、今はジャンプが回転不足なく、安定して降りられるようになったことを寿ぎたい。
フリー127.80、合計193.86でSB。6年ぶりに自己ベスト更新!
現時点で総合1位。未来ちゃんもコーチもめっちゃ喜んでる〜。わたしも嬉しいよ〜。よく頑張ったね、未来ちゃん!

18 村上佳菜子(日本)

  • SP順位:2,得点:68.51
  • 楽曲:映画「SAYURI」より

ジャンプでいくつかミスはあったが、お囃子ステップは、やっぱワクワクするし、つなぎのボディームーブメントやコリオシークエンスの所作はほんと魅力的で美しかった。
彼女にしかできない滑りというものを確立しつつあるので、あとはジャンプ!演技後のインタビューを読んでも感じることだけど、ジャンプに不安を感じていることが演技に影を落としているんだよなー。ジャンプの修正は大変だろうけど、焦らずじっくり取り組んでほしい。
フリー106.61、合計175.12。現時点で総合4位。

19 本郷理華(日本)

  • SP順位:4,得点:64.27
  • 楽曲:リバーダンス

冒頭の3F+3Tのセカンドジャンプで転倒してしまったが、その後、気持ちを切り替えて、よく頑張ったと思う。スピード感があって、気持ちのいい滑りだった。
ただ、腕の動きが雑に見えるところが気になる。ここが洗練されると、もっともっと素敵になると思うので、ワールドに期待したい。
コリオシークエンスでは場内も沸いていた。転倒したのを忘れてしまうような盛り上がりだった。
フリー117.51、合計181.78。現時点で総合2位。

20 ジジュン・リ(中国)

  • SP順位:6,得点:60.04
  • 楽曲:映画「アーティスト」より

途中までは、流れがあって、ジャンプもクリーンに降りていて、すごくよかったと思うのだが、3Sで転倒した後、ステップシークエンスでガクッと動きが落ちてしまった。
うーん、彼女のスタミナ問題は、何が原因なんだろう。今大会だけのことなら、「事前に風邪をひいてしまったから」で片づけられるのだが、彼女の場合、ここ数シーズン、ずっとこんな感じなんだよなー。怪我か病気が続いていて、練習が積めていないのだろうか。
フリー107.84、合計167.88でSB。現時点で総合8位。

21 宮原知子(日本)

  • SP順位:1,得点:72.48
  • 楽曲:ため息

ああ…なんて美しい。もうこのフレーズ、何度も言っているような気がするけど、まさに「ため息」のもれるような演技。細部まで心配りされたエレガントな滑りであった。場内スタオベ。
西岡アナいわく、「新世代のミス・パーフェクト」。うん、ほんとそうね。
とはいえ、彼女も長年ジャンプの回転不足で苦しんできたので、心配性の私は、得点が出るまでは安心しきれなかったのだが、後でプロトコルを見たら回転不足なし!eマークもなし!
あと、ツイッターでも話題に上がっていたが、逆回転スピンで減点-1を付けているジャッジがいる!どこがいけないのか分からないなぁ。他のジャッジは+1〜2の加点を付けているのに。
今季、毎試合ほぼノーミスというだけでなく、試合を経るごとに表現が深まり、研ぎ澄まされている。何という偉業だろうか。すごすぎるよ、さっとん!!
フリー142.43、合計214.91でSB&自己ベスト更新きたー!!現時点で総合1位!!

22 パク・ソヨン(韓国)

ロミオとジュリエット」は、いろんな作曲家のいろんな編曲で、いろんな選手が毎年滑っているが、ソヨンさんのロミジュリは、美しいメロディーが印象的なアレンジ。それを優雅にやわらかく演じていた。ジャンプの転倒や着氷の乱れがあったが、eマークはなし。クリーンに降りたジャンプはとても質が良かったと思う。特に1回目の2A+3Tの幅はすごかった。
さて、理華ちゃんより上にくるかどうか。
フリーで116.43、合計178.92でSB、総合4位。
おおー、理華ちゃんも表彰台に上がれた!よかったー。未来ちゃんは銀メダルおめでとう!宮原さんはチャンピオンシップ初優勝おめでとう!!

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●優勝者インタビュー&表彰式
ツイッターで「かわいい」と噂になっていた、宮原さんの優勝インタビュー。Jスポで見たら、ほんっっっとかわええ☆ 「台湾で何か食べましたか?」という質問に対し、ちょっとはにかんで、「I ate 小籠包」ですよ!!かわいいかわいいかわいい!!
表彰台で、宮原さんと理華ちゃんが2人して君が代を歌っているのに、じーんときた。ワールドでも君が代が聴けるといいなぁ。

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女子シングルの結果は下記のとおり。左から総合順位、名前、国名、総合得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Satoko MIYAHARA JPN 214.91 1 1
  2. Mirai NAGASU USA 193.86 3 2
  3. Rika HONGO JPN 181.78 4 5
  4. So Youn PARK KOR 178.92 5 7
  5. Gracie GOLD USA 178.39 9 3
  6. Kaetlyn OSMOND CAN 175.63 11 4
  7. Kanako MURAKAMI JPN 175.12 2 13
  8. Da Bin CHOI KOR 173.71 10 6
  9. Na Hyun KIM KOR 170.70 8 8
  10. Zijun LI CHN 167.88 6 11
  11. Alaine CHARTRAND CAN 165.73 7 14
  12. Karen CHEN USA 161.52 12 10
  13. Kailani CRAINE AUS 157.82 16 9
  14. Veronik MALLET CAN 155.98 15 15
  15. Amy LIN TPE 155.61 17 12
  16. Ziquan ZHAO CHN 147.79 13 16
  17. Brooklee HAN AUS 135.75 14 17
  18. Michaela DU TOIT RSA 121.12 19 18
  19. Lu ZHENG CHN 118.73 18 20
  20. Maisy Hiu Ching MA HKG 115.10 20 19
  21. Katie PASFIELD AUS 95.78 22 21
  22. Thita LAMSAM THA 89.56 21 22
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宮原さんは、堂々の優勝候補としてワールドに臨むことに。違う大会だから、単純に比較はできないけど、ユーロのメドさんが総合得点215.45だから、良い勝負ができるのではなかろうか。
未来ちゃんは、バンクーバー五輪のときの自己ベストを更新して銀メダル獲得だよ!!万歳三唱!!西岡アナによると、「もう一度オリンピックに出たい」とのことなので、夢の実現目指して頑張ってほしい。熱烈応援!!
理華ちゃんは、納得いく演技ではなかったようだけど、それでも踏みとどまり、四大陸の表彰台に上がったというのは、ワールドに向けて大切な経験になったと思う。ワールドでは最高の「キダム」と「リバーダンス」が見られるよう期待してます!!
韓国女子は、4位のソヨンさんを頭に、3人ともSB出して10位以内。平昌オリンピックに向けて、強化が着実に進んでいることを感じさせた。ヨナちゃんも喜んでるんじゃないかな。
今大会で実力を発揮できなかったグレイシーとアレーヌは、いい厄落としができたと思って、次に進んでほしい。ワールドではクリーンな演技、期待してます。
それから忘れてならないのが6位のオズモンドさん。フリーの演技で彼女の虜になってしまったよ!!ほんと、かっこいい大人の滑りだった。来季が楽しみでならない。怪我に気をつけて、練習頑張ってください!