四大陸2016 ペアSP

四大陸2016 リザルト
2016年の四大陸選手権は、台湾の台北市(タイペイ・シティ)、台北アリーナにて、2月16日(火)から21日(日)に開催され、ペアのショート・プログラムは、現地時間で2月18日(木)、日本でも同日に行われた。

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ペン&ジャンが、ジャンの腰の怪我で欠場のため、中国からはペア2組だけ。どうしてもう1組出さなかったのかなー。中国のペアなら、他にも四大陸のミニマムスコア持ってる組、いると思うんだけどなー。
Jスポーツの実況は赤平大アナ、解説は杉田秀男さん。四大陸は出場者が多くないので、全組放送される。
試合が始まる前に、実況陣から四大陸とワールドのミニマムスコアについて説明があった。両ミニマムスコアは下記のとおり。
四大陸 SP20.00 FS36.00
ワールド SP25.00 FS43.00

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●第1グループ
1 須藤澄玲/フランシス・ブードロー・オデ(日本)

  • 楽曲:ラ・ヴィ・アン・ローズ

全日本のときより、うまくなってるような気がする!わたしの目にはクリーンな演技に見えたが、プロトコルを見ると、デススパイラルとリフトで減点されている。うーん、何がいけなかったのだろう。確かにトップの選手と比べるとぎこちない感じだったけど。
杉田先生が言ってた通り、今できることをきっちりやり切ったのではなかろうか。
TES28.61、合計52.70でSB&自己ベスト更新!すみれちゃんたちは、もともとミニマムスコア持ってるけど、この大会でもそれをクリアー。

2 マリッサ・カステリ/マーヴィン・トランアメリカ)

「え、トランたちが第1グループなの?」と意外に思ったが、昨季組んだばかりだからこのメンツの中だと、ランキングが下の方になっちゃうんだなぁ。
トリプルツイストは、ちょーっと抱えちゃったか。ソロジャンプはトランが両足着氷っぽくなってしまった。他はクリーンな出来栄え。特にスロージャンプの高さと幅、流れが素晴らしかった。サマータイムのけだるげ〜な雰囲気を出せていたと思う。
TES33.78、合計61.34。
タイム・バイオレーションとられてる〜。もったいな〜い。

3 リョム・テオク/キム・ジュシク(北朝鮮

  • 楽曲:Salute to Love

北朝鮮のペアを見るのは初めて!どんな組なのかなーと、興味津々だったのだが、普通にうまかった。GOEで減点されたけど、トリプルツイストもできるし、ソロジャンプのタイミングも合ってるし、スロージャンプもクリーンに決めてるし、他のエレメンツもきちんとこなしている。音楽表現もなかなか素敵だった。
TES29.19、合計53.83。
ワールドのミニマムスコアをクリアしてるけど、出場させてもらえるのかなぁ。バイオを見たけど、国際大会にはあまり出てないみたい。国の事情を考えると、スポーツにお金を回す余裕ないんだろうなー。

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●第2グループ
4 リュボーフィ・イリュシェチキナ/ディラン・モスコヴィッチ(カナダ)

  • 楽曲:Since I've Been Loving You

ソロジャンプで女性の転倒があったけど、他は素晴らしかった!レッド・ツェッペリンのギターの音色をみごとに表現していた。
女性がクリムキン・イーグルの体勢から背中側に片手を伸ばし、男性がその手を取ってデススパイラルに入るという、非常に難しいことをやっている。
TES33.86、合計61.97。
ぐわー、彼らもタイム・バイオレーションとられてるよ!なんてこった!

5 ヴァネッサ・グレニエ/マキシム・デシャン(カナダ)

  • 楽曲:Por una cabeza

セガン&ビロドーが欠場した代わりに彼らが出場することになった。
うーん、何だかいろいろかみ合わないうちに演技が終わってしまったような。ミスがぽろぽろ出てしまった。急に出場が決まって、調整が間に合わなかったのかも。でも、ステップは生き生きと踊れていて素敵だった。
TES25.69、合計50.07。

6 タラ・ケイン/ダニエル・オシェイアメリカ)

  • 楽曲:Take Me to Church

全米チャンピオン。
デススパイラルの出方がまずかったのと、ソロジャンプで女性が転倒した他は、流れがあってよかったと思うのだが、全米の演技を見ているので、それと比べると見劣りしてしまう。まぁあれはケイン&オシェイ史上最高の演技だったから、仕方ないんだけども。
TES31.97、合計59.72でSB。

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●第3グループ
7 アレクサ・シメカ/クリス・クニエリム(アメリカ)

  • 楽曲:Nothing Else Matters

今年の全米で2位。昨年の全米チャンピオン。
ソロジャンプの着氷でクニエさんが乱れたけど、転倒や抜けじゃなくてよかった。スロージャンプではシメカさんが両足着氷に。最後のペアスピンでは、バランスを崩しかけたけど、すぐに立て直し、レベル4&GOE加点を得ている。さすが。
やはりアメリカの組なので、全米による消耗が残っているのか、キレッキレの絶好調ではなかったけど、ロックな音楽に乗って、クールな演技を見せてくれた。
TES36.79、合計67.61。

8 ウェンジン・スイ/コン・ハン(中国)

  • 楽曲:Spanish Romance

ジュニアのころから見守ってきたスイちゃんだが、最近ではすっかり「美しいおねえさん」ぶりが板についてきた。怪我でファイナルに出られなかったので、今季の演技を見るのはこれが初めて。待ち遠しかったよ〜。
…かっこいいんですけど!めっちゃくっちゃかっこいいんですけど!!
杉田先生も言ってたように、「技術内容と音楽とプログラムが全て一緒になっている。非常に完成度の高いプログラム」。ぐっはー、いつの間にこんなにかっこよくなっていたのだ!!昨季ワールドで銀メダルを取ったときより、また一段とレベルアップしてる!!すご〜い!!すばらし〜い!!杉田先生も大絶賛である。
TES42.93、合計78.51でSB&自己ベスト更新!80点近い高得点出た!

9 メーガン・デュハメル/エリック・ラドフォード(カナダ)

  • 楽曲:Your Song

ミスと言えば、ソロジャンプでメーガンさんが手を付いたくらいなのだが、普段の彼らと比べると、元気がなかった。
事前にメーガンさんの体調がすぐれないとは聞いていたのだが、演技が終わった後の彼女は明らかに具合悪そう。キスクラでブランケットを羽織っている。顔色も悪いし、寒いんだろうな。
TES37.36、合計71.90。

10 シャオユー・ユー/ウェン・ジン(中国)

  • 楽曲:Yulunga

ソロジャンプでユーちゃんが転倒。他はクリーンな演技だったのだが、何か物足りないというか…うーん、いつもだったらこう、何かもっと…いいはずなのにな。うまく表した言葉が見つからず、もどかしく思っていたら、杉田先生が代わりに言い表してくれた。
「非常に慎重に滑っていた。中国ペアは、思い切りのいい、スピーディーな演技に特徴があるが、この演技はおとなしく滑っているなーという感じだった」
TES35.85、合計64.99。
またタイム・バイオレーションとられた!これで3組目だよ!?

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ショートが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、TSS、TES、PCSの順に記されています。

  1. Wenjing SUI / Cong HAN CHN 78.51 42.93 35.58
  2. Meagan DUHAMEL / Eric RADFORD CAN 71.90 37.36 34.54
  3. Alexa SCIMECA / Chris KNIERIM USA 67.61 36.79 30.82
  4. Xiaoyu YU / Yang JIN CHN 64.99 35.85 31.14
  5. Lubov ILIUSHECHKINA / Dylan MOSCOVITCH CAN 61.97 33.86 30.11
  6. Marissa CASTELLI / Mervin TRAN USA 61.34 33.78 28.56
  7. Tarah KAYNE / Daniel O SHEA USA 59.72 31.97 28.75
  8. Tae Ok RYOM / Ju Sik KIM PRK 53.83 29.19 24.64
  9. Sumire SUTO / Francis BOUDREAU AUDET JPN 52.70 28.61 24.09
  10. Vanessa GRENIER / Maxime DESCHAMPS CAN 50.07 25.69 25.38
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ショート1位はスイ&ハン。いやー、素晴らしかった!!作品としての完成度が抜きんでている。
2位のデュハメル&ラドフォードは、女性の体調が心配だ。ワールドが来月に控えているし、無理しないでほしい。
3位のシメカ&クニエリムは、全米の悔しさをぶつけてきたねー、いいねー。
わたしは、全米で彼らが2連覇するものだとばかり思ってたので、全米の結果には驚かされた。ミスはあったけど、けして悪い演技ではなかったのだが、タラさんたちが良すぎた。四大陸でその悔しさを少しでも晴らせれば。
対照的に、全米チャンピオンのケイン&オシェアは、精彩を欠いた演技で7位に。国際大会での実績は、シメカさんたちが上なので、ワールドに向け、四大陸で評価を上げておきたかったところだが、全米であれだけの演技をすれば、いささか燃え尽きちゃうのも無理はない。
9位の須藤&オデは、実力がきちんと発揮できてよかった。
全体的に、アメリカとカナダの組は万全でない印象を受ける。他のカテゴリでもそうなんだけど、やはり国内選手権の疲れが残っているのだろう。代表権を得るために、全力を尽くして戦わなきゃならないから、早々に回復はできないんだよなぁ。