四大陸2016 アイスダンスSD

四大陸2016 リザルト
2016年の四大陸選手権は、台湾の台北市(タイペイ・シティ)、台北アリーナにて、2月16日(火)から21日(日)に開催された。
アイスダンスのショート・ダンスは、現地時間で2月18日(木)、日本でも同日に行われた。

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Jスポーツの実況は小林千鶴さん、解説は東野章子さん。出場した全組が放送された。
韓国から3組も出場してる!日本からも3組出場できる日が早く来るといいな。
男女シングルやペアでは、アメリカ&カナダのトップ3がそろわなかったが、アイスダンスはそろって出場。イエーイ☆
試合が始まる前に、実況陣から四大陸とワールドのミニマムスコアについて説明があった。ミニマムスコアは下記のとおり。
四大陸 SD19.00 FD29.00
ワールド SD29.00 FD39.00

●第1グループ
1 マチルダ・フレンド/ウィリアム・バダウィ(オーストラリア)

  • 楽曲:Beethoven's Five Secrets

今大会がシニアの国際大会デビューで、ジュニアと掛け持ち。んまあ、大変ですな。アイスダンスはジュニアとシニアでSDの課題が違うから、滑りこみがどうしても不足してしまうんだよね。
初々しくてさわやかなカップル。一つ一つの要素を丁寧に演じていたと思う。スピードはあんまり出てなかったかな。ツイズルは移動距離が短く、スピンみたいになってしまった。
東野さんによると、イギリス出身のコーチ、ジョン先生が、今、オーストラリアの強化に取り組んでいるらしい。前はスペインで活動していて、近年スペインの素敵な選手が育ってきているのは、彼のおかげだとか。
TES17.76、合計33.00。ワールドのミニマムスコア29.00に届かず。

2 イーイー・ジャン/ナン・ウー(中国)

  • 楽曲:Waltz by Cristina Elisa,Love by Patrick Doyle

中国の3番手で、組んで10年になるカップル。四大陸は2年ぶりの出場で、前に出たときは8位だった。
ツイズルが終わった後、2人がぶつかってしまい、女性が転倒。全体的に動きが少し小さかったような。楽しい音楽なので、もそっと生き生き滑れるとよかったかなー。慎重になっているのか、ちょっとおとなしめだった。
TES23.30、合計42.01。ワールドのミニマムスコア29.00に届かず。

3 アナスタシア・フロモワ/ダリン・ズヌッソフ(カザフスタン

  • 楽曲:And the Waltz Goes On,Ribellione

この組では初出場だが、男性の方は別のパートナーと組んで、2度出場している。今季組んだばかりとのこと。
ストレートラインリフトで女性の足が180度開いた姿勢がとても美しかった。2人ともロシア出身で、コーチもロシア人、練習拠点もロシアなので、当然ながらロシア的雰囲気モリモリのカップルである。
TES26.82、合計48.19。ワールドのミニマムスコア29.00に届かず。合計で50点以上出さないと、ミニマムスコアは取れなさそうだなー。

4 シーベイ・リー/グァンヤオ・シャン(中国)

  • 楽曲:La Vie en Rose

国内選手権4位の組。シーズン前半はジュニアGPに出場しており、ジュニアと掛け持ち。
バイオに「ラ・ヴィ・アン・ローズ」と書いてあるが、違う楽曲を使っていた。
ジュニアと掛け持ちで、あまり滑り込めなかったと思うが、明るく軽快な音楽をよく表現していたんじゃないかな。こう、ちょっとしたポーズの取り方とか、男女ともに素敵だった。
千鶴さんによると、中国の国内選手権1位のカップルは、その大会を最後に引退したらしい。その国内選手権には14組出場していたとのこと。アイスダンスカップルが14組もいていいなー。うらやましい。
TES21.19、合計39.64。ワールドのミニマムスコア29.00に届かず。
千鶴さんによると、四大陸に出場できている組は、世界ジュニアのミニマムスコアはクリアしているので、そちらには出られるだろうとのこと。では、彼らもオーストラリアのフレンド&バダウィも、世界ジュニアには出場できるのね。演技が見られるといいな。でも世界ジュニアは上位の選手しか放送してくれないんだよねぇ。

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●第2グループ
5 イ・ホジョン/カム・カンイン・リチャード(韓国)

  • 楽曲:La Traviata

ジュニアと掛け持ちで初出場の組。東野さんいわく、「とても上手になっていて驚いた」。
フリーレッグが大きく動かせていてよかった。これがぴたっと合うようになってくると、もっと見栄えがよくなると思う。
昨季世界ジュニアで19位、今季ジュニアのGPSで4位と7位。これは将来有望そうですな。
TES24.97、合計47.46。ワールドのミニマムスコア29.00に届かず。でも世界ジュニアには出るよね?放送されるといいな。

6 ミン・ユラ/アレクサンダー・ガメリン(韓国)

  • 楽曲:Carrousel,Balade au boit d'une echelle

組んでまだ7か月の初出場の組。
曲想の違いをきちんと表現していたと思う。キレのある動きで、これまでのカップルとはレベルが違うなーという感じ。
TES31.03、合計55.23。おお〜、今大会初のワールド・ミニマムスコア獲得!

7 村元哉中/クリス・リード(日本)

  • 楽曲:Waltz: Wiener Cafe,Olympiamarsch,UNO March

全日本チャンピオン!全日本チャンピオン!
スピードが出ていて、シャープかつなめらかに踊れていた。ファンのひいき目じゃなく、ユニゾンもどんどん合ってきて、上手になってきているんじゃなかろうか。マーチのキビキビした感じと、ワルツの軽快で優雅な感じがよく出ていて素敵だった。
TES31.09、合計57.13。自己ベスト更新!

8 エリザベット・パラディ/フランソワ・ザヴィエ・ウェレット(カナダ)

  • 楽曲:Lost,Kill

カナダの国内選手権3位で初出場の組。
おそらく以前見ているはずなのだが、わたしのザルな脳みそには記憶に残っておらず、初めて見るような気分で見た。
うまい。さすがカナダのトップ3に入るだけのことはある。流れがスムーズで、体を大きく動かして、モダンな音楽を表現していた。
TES31.95、合計60.15で自己ベスト更新!

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●第3グループ
9 平井絵巳/マリオン・デ・ラ・アソンション(日本)

  • 楽曲:Terzo Fuochista,Everything Is Illuminated

4年連続出場で全日本2位の組。
ツイズルで絵巳さんがつまづいてしまったー!!
東野さんも言ってたけど、フランスと日本の融合というか、今までにない、新しい雰囲気を醸し出していて、素敵なカップルだと思う。衣装もオシャレだし。
TES24.03、合計47.09。ワールドのミニマムスコア29.00に届かず。

10 キム・レベッカ/キリル・ミノフ(韓国)

  • 楽曲:Waltz, Foxtrot

バイオに課題のリズムしか書かれてない!そんな組初めて!
韓国の国内選手権2連覇。女性はリトアニア生まれのロシア育ちという、とってもグローバルな選手。男性はロシア出身で、練習拠点もロシア。昨年、四大陸初出場で9位。
悪くなかったけど、特に印象に残るところもなく、淡々と進んでいったのだが、最後のエレメンツ、パーシャルステップの最後で2人とも転倒!!ギャー!!
わたしは正直どこがいけなかったのか分からないが、2回目のパターンダンスでも減点されているところを見ると、本調子じゃないのかもしれない。
TES23.61、合計44.69。自己ベストより10点も低い…(泣)。

11 マディソン・ハベル/ザガリー・ダナヒュー(アメリカ)

  • 楽曲:ハレルヤ

全米3位で今季躍進中。組んで5年目。
アメリカの選手はみな全米で死力を尽くして戦うので、四大陸ではどうしても調子を落としてしまいがちである。特にワールドに出場が決まっている選手に多く見られる傾向なのだが、この組はなんとさらに上げてきた!!すごーい!!
音楽との一体感、パートナーとの一体感、プログラムの流れにエレメンツが溶け込んでる感、全てが素晴らしかった。これまでの組とは格の違いを感じた。
TES35.71、合計69.35で自己ベスト更新!もう少しで70点超えだよ!!

12 シーユエ・ワン/シンユー・リウ(中国)

中国カップルのトップと思われる組。四大陸に3年連続出場で、昨年は7位。昨年のワールドでは19位。
女性が162cm、男性が189cmと身長差があるカップルなので、時々ちょっと合わせるのが大変そうに見えるが、まぁ大体においては気にならなかった。
音楽の特徴をよくとらえていたと思う。体を大きくなめらかに動かして演じていた。リフトの入りと出の、よっこらしょ感がなくなると、もっと素敵なプログラムになるんじゃないかな。
TES30.43、合計56.49で自己ベスト更新!

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●第4グループ
13 マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ(アメリカ)

  • 楽曲:More,Unchained Melody

音楽と調和した素晴らしい滑りだったのだが、ツイズルでベイツさんがブーツから手が外れてしまってレベルを落としてしまった。でも体の動きはキレキレで大きく動かせていてよかった。
TES31.57、合計67.05。彼らにしてはテクニカル低っ。プロトコルを見たら、ツイズルだけでなく、パターンもパーシャルもレベルを取りこぼしちゃったんだな。

14 パイパー・ギルス/ポール・ポワリエ(カナダ)

  • 楽曲:Lucky in the Sky with Diamonds,German Dance No. 6,Air pour les sauvages

今季初めて見たのだが、衣装の色使いが前衛的というか奇抜というか…オシャレとダサいのスレスレなとこいってる感じ(笑)。
またすっごく独創的で個性的で、わっけわかんないプログラムを作ってきたなー(笑)。2人の距離がすごく近いなぁと感じた。ホールドを組んだまま全く同じ足を動かすところが好き。
東野さんは、このプログラムがたいそうお気に召しているようだが、これはジャッジの好き嫌いが分かれそう〜。
TES31.71、合計63.92。うーん、彼らもテクニカルが低い。ステップでレベルを取りこぼしているんだな。

15 マイア・シブタニ/アレックス・シブタニアメリカ)

全米チャンピオン!全米チャンピオン!
全米ですっっばらしい演技を見せてくれたので、四大陸はちょっと落ちちゃうかなと思っていたのだが、同じように気迫のこもった演技を見せてくれた。
ツイズルはトップの選手になるとみんなぴたっとそろえて回転も速いのだが、彼らのツイズルはその中にあっても際立ってるなーと思う。
TES37.20、合計72.86で自己ベスト更新!全てレベル4だって!すげー!!

16 ケイトリン・ウィーバー/アンドリュー・ポジェ(カナダ)

  • 楽曲:The Blue Danube,Annenpolka

カナダ選手権で2連覇、GPファイナルでも2連覇。
千鶴さんも東野さんも言ってたように、まさにワルツの王道のプログラム。衣装もタキシードと薄ピンクのゴージャスなドレスで、乙女が憧れるワルツそのもの。
スケートもよく滑ってるし、音楽との調和も素晴らしいし、ひたすらうっとりと眺めるのみであった。
TES35.36、合計72.42。

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SDが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、TSS、TES、PCSの順に記されている。

  1. Maia SHIBUTANI / Alex SHIBUTANI USA 72.86 37.20 35.66
  2. Kaitlyn WEAVER / Andrew POJE CAN 72.42 35.36 37.06
  3. Madison HUBBELL / Zachary DONOHUE USA 69.36 35.71 33.65
  4. Madison CHOCK / Evan BATES USA 67.05 31.57 35.48
  5. Piper GILLES / Paul POIRIER CAN 63.92 31.73 32.19
  6. Elisabeth PARADIS / Francois-Xavier OUELLETTE CAN 60.15 31.95 28.20
  7. Kana MURAMOTO / Chris REED JPN 57.13 31.09 26.04
  8. Shiyue WANG / Xinyu LIU CHN 56.49 30.43 26.06
  9. Yura MIN / Alexander GAMELIN KOR 55.23 31.03 24.20
  10. Anastasia KHROMOVA / Daryn ZHUNUSSOV KAZ 48.19 26.82 21.37
  11. Ho Jung LEE / Richard Kang In KAM KOR 47.46 24.97 22.49
  12. Emi HIRAI / Marien DE LA ASUNCION JPN 47.09 24.03 23.06
  13. Rebeka KIM / Kirill MINOV KOR 44.69 23.61 23.08
  14. Yiyi ZHANG / Nan WU CHN 42.01 23.30 19.71
  15. Xibei LI / Guangyao XIANG CHN 39.64 21.19 18.45
  16. Matilda FRIEND / William BADAOUI AUS 33.00 17.76 15.24
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シブタニ組が、SDトップ!!これまで国際大会ではチョック&ベイツより評価が下だったと思うのだが、今大会はPCS僅差で上に来ている。今季、コンスタントに結果を出してきた成果が表れているんだろうなぁ。千鶴さんによると「全米チャンピオンになれて、すごく楽になった」らしい。今は楽しく滑れているそうなので、何よりだ。
2位のウィーバー&ポジェは、FDの結果を知っているだけに複雑な気持ちになるが、SDに関しては素晴らしかったし、王道のワルツを堪能させてもらった。
3位のハベル&ダナヒューは、今季最高の演技(By 東野さん)で、SD3位で折り返し。やったね!
4位のチョック&ベイツも良い演技だったのだが、レベルの取りこぼしがねぇ。間違いなくレベル4を取る力はあるんだから、ワールドに向けて、修正してほしい。
7位の村元&リードは中国カップルを僅差でかわし、SDはアジア勢でトップ!!!イエーイ☆☆☆ 見るたびにうまくなってるわ〜。すごいわ〜。
12位の絵巳&マリオンは、今季、なかなか結果が出せず。SBが今季初めの大会だもんなー。やはり、マリオンがシーズン途中で怪我をしてしまったのが影響しているのだろうか。