四大陸2016 アイスダンスFD

四大陸2016 リザルト
2016年の四大陸選手権は、台湾の台北市(タイペイ・シティ)、台北アリーナにて、2月16日(火)から21日(日)に開催された。
アイスダンスのショート・ダンスは、現地時間で2月19日(金)、日本でも同日に行われた。

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Jスポーツの実況は小林千鶴さん、解説は東野章子さん。出場した全組が放送された。
四大陸とワールドのミニマムスコアは下記のとおり。
四大陸 SD19.00 FD29.00
ワールド SD29.00 FD39.00

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●第1グループ
1 シーベイ・リー/グァンヤオ・シャン(中国)

フィギュアスケートで大人気のアヴェ・マリアの調べに合わせて、しっとりと演じていた。ところどころリフトがぐらついたり、フリーレッグがそろってなかったりしたけど、SDとはまた違った雰囲気を出していてよかった。
FD64.11、総合103.75で、FDと総合で自己ベスト更新!

2 キム・レベッカ/キリル・ミノフ(韓国)

  • SD順位:13,得点:44.69
  • 楽曲:Tabacco Road,Party Rockers

冒頭の、男女絡んでの振付が、印象的でかっこよかった。
最後のコリオツイズルは、2つ目のツイズルから2人が別々の動きを始めたので驚いたが、2つ目のツイズルは音楽を表現するために自由に動いていいのだそうだ。
FD78.00、総合122.69。SB&自己ベストが86.02だから、やっぱり本調子じゃないのかも。
ワールドには彼らが派遣されるみたいなので、ワールドでは絶好調の演技を見せてほしい。

3 マチルダ・フレンド/ウィリアム・バダウィ(オーストラリア)

  • SD順位:16,得点:33.00
  • 楽曲:In the Mood,Moonlight Serenade,Boogie Woogie Bugle Boy

グレン・ミラーの有名なダンス・ナンバーに乗って、実に楽しそうに滑っていた。のびしろがたっぷりありそうなカップルだが、演技から喜びが感じられて、いいなぁと思った。
FD52.70で自己ベスト更新、総合85.70。
「ディダクション-3って何!?」と思ったら、全てのリフトで時間オーバー…ぐわー、もったいない。ここはきっちり修正して世界ジュニアに臨んでもらいたい。

4 イーイー・ジャン/ナン・ウー(中国)

SDのときより、体を大きく動かせていてよかった。「トッカータとフーガ」の激しい曲想と「G線上のアリア」の優雅な曲想の違いを出そうと頑張っていたし、実際出せていたと思うが、そこがもっと明確に表現できるようになると、プログラムがぐっと引き立つんじゃないかなー。
FD72.83で自己ベスト更新、総合114.84。

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●第2グループ
5 アナスタシア・フロモワ/ダリン・ズヌッソフ(カザフスタン

  • SD順位:10,得点:48.19
  • 楽曲:Close To You

女性がツイズルで乱れてしまった。
音楽がボーカル入りの「アルビノーニアダージョ」で、男女のボーカルがドラマティックに情感たっぷりに歌い上げているのだが、ちょーっと曲負けしちゃったかなと。体を大きく動かして表現しようと頑張ってはいたのだが。
東野さんいわく、「技術委員長が『ツイズルはトリプルアクセルに匹敵する』と言っている」。下位の選手はなかなかクリーンに決められないところといい、トップの選手はほとんどビシッと決めてくるところといい、確かにそうかも。
FD62.52、総合110.71。SDもFDもワールドのミニマムスコアには届かず。来季また頑張ろう!

6 ミン・ユラ/アレクサンダー・ガメリン(韓国)

リフトが上手だなぁ。キレがあって小気味よい滑り。勢いが最後まで衰えず、ビートルズの音楽に乗って、ノリノリに滑っていた。
FD83.19、総合138.42で、SDもFDも今大会で自己ベスト更新!
ワールドのミニマムスコアを余裕でクリアしているのだが、ワールドに出場するのはレベッカ&キリルに決まっているらしい。来季また頑張って〜。

7 イ・ホジョン/カム・カンイン・リチャード(韓国)

  • SD順位:11,得点:47.46
  • 楽曲:タンゴ・セレクション

まだジュニアなのに、タンゴらしいキビキビとした動きがよく出せていたと思う。音楽のタメのところでドヤ顔&ポーズがビシッと決まっていてかっこよかった。
世界ジュニアでの活躍が期待される。
FD80.81で自己ベスト更新、総合128.27。

8 平井絵巳/マリオン・デ・ラ・アソンション(日本)

東野さんによると、全日本から中盤のテンポの変化が明確になるように、音楽を変更したそうなのだが、さっぱり気づかなかった…(汗)。自分の耳の鈍さが悲しい…(涙)。
NHK杯、全日本、四大陸と、見るたびに素敵になっていると感じるのだが、今回は2人の足元がちょっと不安定だったような。ちょこちょこスタンブルしてるように見えた。
FD69.97、総合117.06。うーん、5月の国際大会のFDで76.88点取れてたのになぁ…。

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●第3グループ
9 シーユエ・ワン/シンユー・リウ(中国)

中国的な音楽の中に、太鼓や鈴の音が効果的に使われていて、プログラムの編曲が好きだなと思った。
振付も音楽をよく表現していて素敵だったが、特にリフトの入りの振付がとても独創的で、ビックリした。
東野さんが指摘していたように、スピンの回転が遅くなってしまって、レベル2になってしまったのが惜しかった。ポジションはキレイだったのになぁ。
良い振付だなぁと思い、振付師をチェックしたら、クリモワ&カメレンゴ夫妻であった。道理で素敵なわけだよ。
FD79.03、総合135.57でSB。

10 エリザベット・パラディ/フランソワ・ザヴィエ・ウェレット(カナダ)

  • SD順位:6,得点:60.15
  • 楽曲:明日に架ける橋

サイモン&ガーファンクルの心地よい調べと歌声にぴったりの滑りを披露していたのだが、演技の途中で女性の衣装のホックが外れてしまった。ギャー!!…で、どうするのかなと見守っていたら、急いでホックをはめた後、レフェリーのところに行って何か話してから、なんと、演技を再開。何事もなかったかのようにリフトを始め、最後まで滑り切った。す、すごい。
東野さんの解説によると、ステップシークエンスの後にスピンをやる予定だったのができなかったので、リフトから再開して、最後コリオリフトに入る予定だったところにスピンを入れたらしい。…す、すごすぎる。2人で話し合う暇もろくになかったのに、機転を利かせてやれるなんて。パートナーシップの勝利だな。すばらしい。
東野さんもこういうケースは初めてらしい。
FD86.79、総合146.94で、SDもFDも自己ベスト更新!演技の中断でディダクション-3とられているのにPBが出るとは。今季、成長著しいことの証ですな。

11 パイパー・ギルス/ポール・ポワリエ(カナダ)

  • SD順位:5,得点:63.92
  • 楽曲:She Said,Neverland

ぐわー、また独創的なプログラムを作ってきたなー。心地よいんだけど、どこか不穏な音楽をよく表現したムーブメントだった。こういうのコンテンポラリーダンスっていうのかな?よくわからないけど、このプログラム、好きだわ〜。
東野さんいわく「インテリジェンスを感じさせるプログラム」。わたしはこのFDを見て、彼らが何シーズンか前に滑っていた、ヒッチコックの映画音楽を使ったFDを思い出したのだが、東野さんもヒッチコックのFDを、同様にインテリジェンスを感じさせるプログラムだと評していた。
FD98.27、総合162.19でSB。

12 村元哉中/クリス・リード(日本)

  • SD順位:7,得点:57.13
  • 楽曲:Pennies from Heaven,Jubilee Stomp,The Reel Chaplin,Limelight

ツイズルはちょっとひやっとしたけどレベル4でGOEもプラス。エレメンツの入りと出が自然で、シームレスな演技だった。素晴らしい!!!
哉中さんは2014年にアイスダンスに転向したばかりなのに、成長の度合いが半端ないわ〜。すごいわ〜。
FD88.70、総合145.83で、SDもFDも自己ベスト更新!

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●第4グループ
13 マディソン・ハベル/ザガリー・ダナヒュー(アメリカ)

  • SD順位:3,得点:69.35
  • 楽曲:トロンのためのアダージョ

SD同様、全米からさらに完成度を増したプログラムを見せてくれた。流れが最初から最後まで滞ることない、素晴らしい演技だった。
東野さんが言うように、「傷ついた男性が天使(女性)に救いを求める」というコンセプトが明確に伝わってくる。
FD102.93、総合172.29で、SDもFDも自己ベスト更新!現時点で総合1位!

14 マイア・シブタニ/アレックス・シブタニアメリカ)

  • SD順位:1,得点:72.86
  • 楽曲:Fix You

冒頭の動きからもう「違うな」と感じさせる演技。惹き込まれるように見入っているうちに、あっという間に終わってしまった。この滑りを表現する語彙力が全然足りなくてもどかしい。
千鶴さんによると、「新たな段階に入ったんじゃないかと思えるようになった」とのこと。わたしも心からそう思う。
FD108.76、総合181.62で、SDもFDも自己ベスト更新!現時点で総合1位!

15 ケイトリン・ウィーバー/アンドリュー・ポジェ(カナダ)

  • SD順位:2,得点:72.42
  • 楽曲:On the Nature of Daylight,This Bitter Earth,Run

わたしの目にも、ツイズルやスピン、リフトで、「あれ…?なんか失敗した?」と感じる部分があった。プロトコルを見たら、やっぱりレベルが取れてない…。彼らがわたしのような素人にも分かるミスをしてしまうなんて!!
FD101.43、総合173.85。現時点で総合2位。
FDのSBを出したGPファイナルでは109.91点取ってたのに、8点も低い…(泣)。

16 マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ(アメリカ)

動きが大きくて力強い演技だった。すごく壮大でドラマティックな音楽だけど、音楽に負けてないのはもちろん、みごとに体現していた。最後の、2人が横並びに駆けていくような振付、好きだなぁ。フィナーレの音楽にぴったりだと思う。
FD107.59で自己ベスト更新、総合174.64でSB。総合2位。

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FDが終わって、結果は下記のとおり。左から総合順位、名前、国名、総合得点、SD順位、FD順位の順に記されている。

  1. Maia SHIBUTANI / Alex SHIBUTANI USA 181.62 1 1
  2. Madison CHOCK / Evan BATES USA 174.64 4 2
  3. Kaitlyn WEAVER / Andrew POJE CAN 173.85 2 4
  4. Madison HUBBELL / Zachary DONOHUE USA 172.29 3 3
  5. Piper GILLES / Paul POIRIER CAN 162.19 5 5
  6. Elisabeth PARADIS / Francois-Xavier OUELLETTE CAN 146.94 6 7
  7. Kana MURAMOTO / Chris REED JPN 145.83 7 6
  8. Yura MIN / Alexander GAMELIN KOR 138.42 9 8
  9. Shiyue WANG / Xinyu LIU CHN 135.57 8 10
  10. Ho Jung LEE / Richard Kang In KAM KOR 128.27 11 9
  11. Rebeka KIM / Kirill MINOV KOR 122.69 13 11
  12. Emi HIRAI / Marien DE LA ASUNCION JPN 117.06 12 13
  13. Yiyi ZHANG / Nan WU CHN 114.84 14 12
  14. Anastasia KHROMOVA / Daryn ZHUNUSSOV KAZ 110.71 10 15
  15. Xibei LI / Guangyao XIANG CHN 103.75 15 14
  16. Matilda FRIEND / William BADAOUI AUS 85.70 16 16
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1位のシブタニ組は、総合得点181.62だった。同じ大会なので単純に比較できないが、ユーロ優勝のパパダキス&シゼロンは182.71点だったので、ガチで良い勝負ができそう。母国開催のワールドで堂々の優勝候補だね!イエーイ☆
2位のチョック&ベイツは、SDで出遅れちゃったけど、FDのベスト更新で総合2位!こちらも母国開催のワールドに向けて、どんどこ上げてくるだろうし、優勝候補と言っていい位置にいると思う。
3位のウィーバー&ポジェは、残念だった(泣)。オンリザで結果を知ったときは、ガックリ落ち込み、彼らへの愛を再確認したよ。ワールドでは今度こそ優勝してほしいのだが。ベストな演技ができますように!
4位のハベル&ダナヒューは、シブタニ組同様、新しい段階に入ったんじゃなかろうか。今季の躍進ぶりは目を見張るものがある。母国開催のワールドで、その成果が出せるといいな。
6位のパラディ&ウェレットは、衣装のハプニングに負けず、素晴らしいパートナーシップ&演技を見せてくれた。ワールドでの活躍が楽しみだ。
7位の村元&リードは、アジア勢でトップ!すばらしい〜。ワールドへの準備が着々と進んでいるようで何よりだ。ワールドではSDを通過するのはもちろん、アジア勢のトップ目指して頑張ってほしい。
9位のワン&リウの演技を見るのは1年ぶりで、目を見張るほどうまくなったと思うのだが、今大会のFDで79.03点、PBは86.99なので、もっとスコアは上げられるはず。今季のFDがすっかりお気に入りになったので、ワールドでも見られるといいな。
12位の絵巳&マリオンは、今季、マリオンの怪我のためか、NHK杯以降、なかなか実力が発揮できず、残念だった。東野さんが言ってたように、「東洋と西洋のコラボ」を体現したカップルで、彼らにしかない、素敵な雰囲気を持っているので、怪我をしっかり治して、来季また新しい演技を見せてほしい。
韓国では平昌に向けて、アイスダンスカップルが順調に育ってきてますね〜。うらやましいわ〜。アジアの組が強くなるのは大歓迎☆ 日本も一緒に強くなっていきたい。
アイスダンスアメリカとカナダが圧倒的に強いため、アジア勢はなかなか表彰台に近づけないのだが、平昌、北京と、冬のオリンピックのアジア開催が続くのは、アジア勢の強化に追い風だと思う。北京オリンピックまでに、アジアのカップルが四大陸の表彰台に上がれるといいな。