ワールド2016 男子SP

ワールド2016 リザルト
2016年の世界選手権は、アメリカのボストン、TDガーデンで開催され、男子シングルのショート・プログラムは、現地時間で3月30日(水)に行われた。
ホッケーリンクなので、通常のリンクより幅が狭いとのこと。

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14番滑走のベゼギエから、上記のライストを見ていたのだが、な、なーんと、27番のデニス・テンの演技の後、急に止まってしまった。なーぜーだー!? カザフの放送局だから、カザフの選手が終わったらもうおしまいってこと!? その後パトちゃんと結弦くんが控えてたんだよ!?(泣)
…したがって、他の選手はフジとJスポーツの放送で見た。
フジの解説は本田武史さん、実況は中村光宏アナ。
Jスポーツの解説は中庭健介さん、実況は小林千鶴さん。
特に印象に残った選手の演技について、感想を書いていきます。

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●第1グループ
千鶴さんによると、全員SPで3Aを跳ぶ予定とのこと。おお〜、ついにそういう時代が来たか。

1 イワン・パブロフ(ウクライナ

  • 楽曲:Pardon

初出場の17歳。ユーロでは15位。
3Aは大丈夫だったが、3Lz+3Tで転倒。
動きにキレがあり、緩急をつけていた。ステップシークエンスでは体を大きく動かして、音楽を素敵に表現していた。
65.20。SP24位でぎりぎりフリーに進めたー。やったー!

2 ミハイル・コリヤダ(ロシア)

  • 楽曲:Nightingale Tango, John Gray

初出場の21歳。ユーロでは5位。
4T+3Tでちょっと詰まったけど着氷、3Aと3Lzはクリーン。動きにキレと勢いがあってよかった。プロトコルを見たら、スピンもステップも全てレベル4。ステップであんなにわけわかんない動きしてるのに、ちゃんとレベルも取れているとは(笑)。
ユーロのときにもコミカルでユニークなプログラムだなーと思ったけど、おもろさに磨きがかかっていた。
89.66で自己ベスト更新。
初めてのワールドでPB出すだけでもすごいけど、90点近い高得点出すなんて、ほんとすごいわー。

3 デニス・マルガリク(アルゼンチン)

  • 楽曲:お嬢さんとならず者,タンゴ

初出場の18歳。四大陸では17位。練習拠点はカナダ。ワールドに出場する初めてのアルゼンチン選手。
3A<で転倒。3Lz+3T<<、3F<も、着氷が乱れてしまったが、最初から最後まで元気よく滑っていて、よかったんじゃないかなー。音楽に合わせて体を大きく動かせていたと思う。
「ならず者」風衣装がよく似合ってたので、ウエストサイドストーリーとか、いいんじゃないかな。そのうち滑ってくれないかしら。
52.31。初出場のワールドでは、フリーには進めず。でも成長著しいので、近いうちにフリーも滑れるようになるはず。頑張って!

4 フランツ・シュトロイベル(ドイツ)

初出場の24歳。ユーロには3度出場していて、今季14位。
4Tと3Aで転倒(泣)。体の動きはキレがあって、よかったと思うんだけどなあああ。
57.19。初出場のワールドではフリーには進めず。ユーロでの演技ができれば、多分進めたのにいいい。

5 グラント・ホクスタイン(アメリカ)

  • 楽曲:ふたつの夕暮れ

初出場の25歳。四大陸では8位。
4Tで転倒。3Aは危なかったけど着氷。3Lz+2Tはまぁまぁ。でもセカンドをトリプルにしておきたかった。
スピンとステップは、いつも通りの美しさ。連続ジャンプの前のたっぷりイーグルが、音楽をよく表現していてうっとりする。
74.81。

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●第2グループ
7 ヨリク・ヘンドリックス(ベルギー)

  • 楽曲:You Raise Me Up

2年ぶり、4度目の出場。2年前は17位。今季ユーロでは9位。
ユーロで上達ぶりに衝撃を受けたSP。
ジャンプをクリーンに降りただけでなく、音楽との調和が素晴らしかった。特に「スピンうま〜〜」とほれぼれ眺めていたのだが、最後のコンビネーションスピンで、足替えのときに軸が大きくぶれてしまった…嗚呼(泣)。演技が終わった後、ヨリク悔しそう〜。
でも諦めず、最後まで続けたので、GOEでマイナスが付けられたけど、レベル4がとれた。おかげでスピンとステップは全てレベル4。
77.72。

8 イ・ジュンヒョン(韓国)

3F+3Tでステップアウトしてしまったが、表現するのがなかなか難しそうな曲を、体を目いっぱい大きく使って素敵に表現していた。
中庭さんいわく、「静かな音を表現できていて、惹き込まれる演技だった。上半身や体のラインが美しいので、滑りの一歩が伸びるようになると、さらにグレードの高い選手になるのではないか」とのこと。
プロトコルを見ると、2つのスピンで減点されている。レベル4は取れてるんだけど、スピンの質が良くないってことなのかな。
70.05で自己ベスト更新。やったね!

9 フィリップ・ハリス(イギリス)

  • 楽曲:Le Desir

初出場の26歳。ユーロに2度出場していて、今季18位。ユーロで素敵だなぁと目を付けた選手(笑)。演技を見られるのを楽しみにしていた。
3Aは大丈夫、3Lzで着氷が乱れ、3F+3Tでお手つきで!も付いてしまった。
スピンのレベルが2、3、2で取りこぼしておる。もったいないぞー。
でもこの選手のボディームーブメントとか緩急の付け方とか、好きなんだよなぁ。心の琴線をポロポロ鳴らされてしまう。
68.53で自己ベスト更新。フリーに進める! やったー!

10 ハビエル・ラヤ(スペイン)

ワールドは2度目の出場で、前回出場した時(2011〜2012)は、24位。ユーロは4回出場していて昨季は14位(今季は出場せず)。
彼の演技を見るのは本当に久しぶりなので、楽しみにしていた。
3Aを降りてヤッター!!と思ったのだが、次の3F+3Tと3Lzで転倒(泣)。でも、滑りやボディームーブメントはうまくなっていてビックリした。
ベートーベンの曲の、ものすごーく独創的なアレンジから始まって、わたしは正直「はあああ?」と目をむいたが、場内は盛り上がっていた。ジャンプのミスはあったものの、観客の心をしっかりつかんだようだ。
65.06で自己ベスト更新したのにフリーには進めず。しかもSP25位でギリギリ駄目だったから、本当に惜しかった。

11 ジュリアン・ジージェイ・イー(マレーシア)

  • 楽曲:I Put a Spell On You

初出場の18歳。初めてワールドに出場したマレーシア選手。四大陸では15位。
見た目ノーミスだったのだが、3F+3Tに!が付き、GOEで減点。3Lzは「ステップからただちに」跳んでないから減点。足替えのキャメルスピンでも減点されているのだが、これはトラベリングしてたのかな?
初めてのワールドで、生き生き伸び伸び滑れていたのではなかろうか。エネルギッシュでパワフルな演技ができていたと思う。
67.60で、ちょこっとだけど自己ベスト更新。

12 デニス・ヴァシリエフス(ラトビア

  • 楽曲:踊るリッツの夜

初出場の16歳。ユーロでは12位、世界ジュニアでは8位。
減点要素と言えば、3Fの着氷でちょっとひやっとしたくらいで、あとはもうもうもう! デニスの「踊りまくるリッツの夜」であった(笑)。最後、場内が盛り上がりすぎて音が聴こえなかったのか、ラストポーズが音楽に遅れちゃったけど、他はぜ〜んぶ音楽にぴったりハマっていた。
千鶴さんが、「ヴァシリエフス選手が、コーチのウルマノフを『フィギュアスケートの神』と呼んでいる」と言ったら、中庭さんにとっても憧れの選手だったそうで、「ぼくもそう思う。子どものころ、彼の滑った曲を使いたがった」と話していた。ウルマノフさんは、リレハンメル五輪の金メダリストなんだよね。何でわたし見てなかったかなー。当時はスポーツ観戦に興味なかったんだよなー。
81.07で自己ベスト更新。世界ジュニアで更新したPBをさらに更新!
とはいえ、彼の場合、課題はフリーなのである。フリーで失速することが多いので、踏ん張ってほしい。

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●第3グループ
13 ブレンダン・ケリー(オーストラリア)

  • 楽曲:Blue Drag,Boilemaker Jazz Band

2年連続出場で、去年は20位。四大陸では19位。
今季はなかなかジャンプが決まらず、心配してたんだけど、今大会では4Tで着氷が乱れ、お手つきしたものの、3Aと3Lz+3Tはクリーンに降りた!
あとはジャズのリズムにのって、オシャレな振付を素敵にこなしていたのだが、最後のスピンでトラベリングして大きく軸がズレたーー(泣)。ぐわー、もったいないよー。レベル4は取れたけど、GOEで減点されちゃった。
でも、ステップやつなぎの動きが本当に音楽をよく表現していてすばらしかった。四大陸のときとは全然違っていた。
中庭さんが、「背筋がきっちりして、姿勢がいいので、滑っている姿が美しい」とほめていた。
71.04で自己ベスト更新。

14 シャフィク・ベゼギエ(フランス)

  • 楽曲:Una mattina, Black Mozart Intro

3年連続出場で、去年は18位。国内選手権初優勝! ユーロは右足首の怪我のため出場できず。
4T+3T、3Aをクリーンに降りて(ちょっとスムーズさに欠けたけど)、「いいよいいよー」と思ってたら、3Lzの予定がダブルに…ああ、ノーバリュー(泣)。
彼は毎年似たような音楽を使っていて、こういうジャンル、何ていうのかな、メタリックな音楽というか、マトリックスの音楽みたいな感じと言えば伝わるだろうか。わたし、こういう曲好きだし、他の選手はあまり使わないし、彼に似合ってるとは思うんだけど、たまには他のジャンルに挑戦してもいいんじゃないかなーとも思う。
体を大きく、自在に動かせるようになっていて、ステップは見ごたえがあった。うまくなっていて嬉しい。
69.23。

15 イヴァン・リギーニ(イタリア)

  • 楽曲:You raise me up

3年連続出場で、去年は25位でフリーに進めなかった。ユーロでは6位。
このSPはもともとEX用に彼が振り付けたのだが、SPにできそうだと思い、フースコーチと協力して作り上げたらしい。
千鶴さんによると、大会直前にコーチのパシケビッチさんが亡くなったとのこと。
すっっっばらしかった。単に「ジャンプを全てクリーンに降りた」以上の演技だった。演技が進むにつれて観客のボルテージがどんどん上がっていき、選手の動きもどんどんスケールアップしていって、途中から泣けてきた。「これぞフィギュアスケート!!」という、エモーシャルな演技だった。
81.17で、SBは出なかったけど、間違いなく今季最高のパフォーマンス!! 感動した!!

16 アレクセイ・ビチェンコ(イスラエル

  • 楽曲:All Alone

5年連続出場で、去年は13位。ユーロでは2位で、イスラエル選手として初めてのメダリストに!
動きのキレはすごくよかったのだが、4Tで転倒(泣)。でも、次のジャンプでちゃんとコンボにできたのでほっとした。
ちょーっと力みすぎだったかなぁ? ステップは緩急をつけてかっこよかったんだけども。
69.86…ユーロで出したSB(かつPB)の84.09より14点も低い(泣)。

17 マイケル・クリスチャン・マルティネス(フィリピン)

  • 楽曲:「エグモント」序曲

2年連続出場で、去年は21位。四大陸では9位。
スピンとステップは相変わらず素敵だったが、全体的にジャンプが不調のようだった。
「キスクラにサモヒンのお父さんがいる!」と驚いたが、バイオを見たら、コーチ欄に彼の名前があった。今まで気づかなかったぜ。
66.98。「この出来だとフリーに通過できないかも」と心配してたけど、SP23位で大丈夫だった。

18 ハン・ヤン(中国)

  • 楽曲:Sing Sing Sing

3年連続出場で、去年は10位。四大陸では3位。
「すっげースピード出てない?」と思って見てたら、爆走のまま4Tに入って転倒。3Aでステップアウト、そして3Lzの予定がまさかのすっぽ抜けシングル……ギャー!!ショートでもっともやってはいけないミスの一つをーー!!(泣)
ステップは超かっこよかったのに…。でもまさか、ショート落ちってことはないよね?ないよね?と思ってたら…
62.56で、SP26位…アンギャーーー!!!(ムンクの叫び)
そ、そんな…ハン・ヤンがフリーにいけないなんて…(茫然自失)

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●第4グループ
19 ミハル・ブレジナチェコ

  • 楽曲:The Way You Look Tonight

6度目の出場で、去年は15位。ユーロでは10位。
いつものミハルだった(泣)。3Aでフリーレッグがタッチ。4Sは転倒。回転が足りなかったかもと思ったが、プロトコルを見たら大丈夫だった。3F+3Tでは間にオーバーターンが入ってしまった。
ジャンプ以外は素敵だったんだけどね…(ため息)。
79.29。バイオを見たら、SPのPBは、2012年、FSと総合のPBは2013年で、ここ数年自己ベスト更新がないんだね…。ここしばらくの頭打ち感を思うと、根本的に何か大改造しないとトップには行けないんじゃなかろうか。

20 ミーシャ・ジーウズベキスタン

6年連続出場で、去年は6位。四大陸には怪我のため出場できず。彼自身が振付。
本調子ではなさそうだが、コンディションがよくないなりに、きちっとまとめてきた。ステップは相変わらずめっちゃ素敵☆ 音楽との調和が本当に素晴らしい。中庭さんも指摘していたように、彼には独特の美しさがある。うっとりしちゃう。
スピンとステップは全てレベル4。
77.43でSB。

21 ナム・ニューエン(カナダ)

  • 楽曲:映画「キリング・フィールド」より

3年連続出場で、去年は5位。千鶴さんによると、国内選手権は4位だったが、枠取りのため、リアム・フィルスの代わりに出場することが、今大会の2週間前に決まったらしい。
4Tは転倒、3Aはシングルに。3Lz+3Tは何とか。ジャンプがいつもより低い気がする。
シリアスな曲を一所懸命演じていたと思うが、この音楽、彼には合わないんじゃないかなぁ。もっと明るい曲のほうがいいと思う。さらなる成長のために、あえて挑戦したのかもしれないけど…。
中庭さんいわく、「身長が伸びたので、ジャンプに大きく影響が出ているのだろう」とのこと。
61.61でSP27位…。まものが躍動してる…(泣)。

22 アダム・リッポンアメリカ)

  • 楽曲:リブ・フォーエバ

4度目の出場で、去年は8位。
母国開催のワールドに、全米チャンピオンとして挑むアダム。「どうか良い演技ができますように」と、ドキドキハラハラしながら見守っていた。
いつもより全体の動きがちょい硬かったような気がした。
両手上げ3Lzは高さがあってよかったが、ステップが直前まで入っていなかったように思い、プロトコルを確認したら、やっぱGOEであんまり加点もらえてなかった。
とはいえ、とにかく全部ジャンプをクリーンに着氷できてよかった。アダムも終わった後、ほっとした顔してた。場内から大歓声&スタオベ。
85.72で自己ベスト更新! 良い点が出た! わ〜い☆

23 ボーヤン・ジン(中国)

  • 楽曲:タンゴ・アモーレ

初出場の18歳。四大陸では2位。国内選手権3連覇中。
緊張してたかなぁ。あくまで本人比の話だけど、ジャンプが四大陸のときほど輝いてなかった。とはいえ、4Lz+3Tの間にオーバーターンが入った以外は、全ての要素が加点をもらえる出来栄えだと思ったのだが、後半の4Tでも減点されていた。あれ、着氷はクリーンだったと思うんだけど。ステップが直前まで入っていなかったか。
個人的にはヌメヌメ〜な方向に表現を深めてほしかったのだが、パキパキッとした方向に深まっていた。でもま、それはそれでかっこよかった。PCSを上げるために頑張ってきたのが伝わってきた。そのうち胸ときめかせてくれそう。
クワド大好き中庭さんが、彼のジャンプの凄さを興奮気味に語っているのにニマニマしちゃう(笑)。
89.86。

24 マックス・アーロン(アメリカ)

4Sでお手付き。他のジャンプは大丈夫。スピンがもっと早く回れるといいのだが。
このプログラムで音楽が一番盛り上がるステップのところで、ちょっとバランスを崩す場面もあったが、抑揚がついて、タメが出せるようになっていた。
全体的にちょっと慎重な感じで、いつもの暴走マックスじゃなかったが、心を込めて丁寧に演じていたと思う。
プロトコルを見たら、スピンのレベルが1、4、4、ステップがレベル2。ううむ、レベルの取りこぼしがもったいない。四大陸でも取りこぼしてたんだよなー。
81.28。

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●第5グループ
25 宇野昌磨(日本)

  • 楽曲:Legends

初出場の18歳。GPFで3位。四大陸では4位。全日本2位。昨季の世界ジュニアのチャンピオン。
まものが徘徊しているので、ライストで見ていたときは、めっちゃ緊張していた。
コンボが3F+2Tになり着氷が乱れ、最後のスピンでトラベリングした以外は、申し分のない出来栄え。でも、やはり昌磨くんは悔しそう。
90.74。思ったより高い得点が出た!
プロトコルを確認したら、スピンとステップは全てレベル4で、コンボ以外はGOEの加点もかなりもらえてるんだな。おみごと。

26 ハビエル・フェルナンデス(スペイン)

  • 楽曲:マラゲーニャ

GPF2位。ユーロ4連覇中。昨季の世界チャンピオン。
最初のポーズをとる様からすでにかっこいい。
4Sの転倒で「ギャー!!」となった以外は、ただただうっとりと眺めるだけでございました。かっっこよかっったよーーーう!!!
スピンがほんと上手になったなぁ。ポジション変えてもジャンプしても全然軸がぶれなくなった。数年前は苦手なイメージだったのに。
作品としての完成度がすばらしい。ため息をつくばかりでございます。
98.52。

27 デニス・テンカザフスタン

  • 楽曲:ミサ・タンゴ

昨季のワールド3位で、2013年は2位。ソチ五輪銅メダリスト。
4Tでお手付き&両足着氷、3Aは軽々と成功、3Lz+2Tで転倒…嗚呼(泣)。
スピンが素晴らしい。ハビうまーと思った後に、彼のスピンを見て、さらにうまーとうならせられる出来栄え。でも、中庭さんいわく、本来の彼ならもっと速く回れるとのこと。
確かに本調子じゃなさそう。いつもの彼ならいくらジャンプが失敗しても、うっとり魔法にかけられるのに、今回はそれがなかった。
本田さんは、「全体的にいつもよりスピードがない」、中庭さんは「動きにキレがない」と指摘していた。千鶴さんによると、腰と股関節の怪我が伝えられているらしい。
78.55。

28 パトリック・チャン(カナダ)

国内選手権優勝。四大陸優勝。ソチ五輪銀メダリスト。2011年から2013年にかけて、ワールド3連覇を達成。
3Aの転倒はあったが、スピンとステップは全てレベル4。今季一番いいSPだったのではなかろうか。
脳から気持ちよくなる何とかっていう物質がドパドパ出てくるんじゃないかと思うくらい、気持ちよくしてくれるプログラムだわ〜〜。ああもう幸せ…ほんと幸せ…(恍惚)。
このプログラム、大大大好きなのだが、ノーミスの演技は一度も見られなかったんで、来季も継続してもらえないかなー。
中庭さんが演技中も後も、言葉を尽くして彼のスケーティングの素晴らしさを語っている。パトちゃんの滑りが大好きなんだね。わかるよ、わたしもだよ。
94.84でSB。

29 羽生結弦(日本)

5年連続出場で、去年は2位(一昨年は優勝)。GPF優勝。全日本優勝。ソチ五輪金メダリスト。
全てのエレメンツが研ぎ澄まされていて、怖いくらいだった。今季のベストパフォーマンスだと思う。
中庭さんは特にスピンをほめていた。「レベルを取るためにポジションを固定しながら指先や腕など、レベルに関係しない部分を表現に使っている。他にそんな選手はいない」とのこと。
プロトコルを見ると、GOEで1が1つしかない。2と3ばっかり。3Aとステップシークエンスは全てのジャッジが3を付けている。すげー。
これはわたしの勝手な憶測にすぎないんだけど、このパーフェクトな演技は、彼が自分を追い込んで追い込んでギリギリ限界まで張り詰めて行っているものなんじゃないかな。演技が終わった後、鬼気迫る顔で思わず吠えちゃうくらい。
110.56。
ツイッターで多くの人が指摘してたけど、110点超えでSBじゃないってどーゆーことなんですかね?(笑)

30 マキシム・コフトゥン(ロシア)

  • 楽曲:I Can't Dance

4年連続出場で、去年は7位。国内選手権優勝。ユーロ3位。
動き自体はキレがあったし、よく音をとらえていたのだが、ジャンプが4S+3Tの後に4Tを跳ぶ予定が3Tを跳んでしまったため、3Tの重複で、2番目に跳んだ3Tがノーバリューに…。ショートでもっともやってはいけないミスのうち、ハン・ヤンとは違う方のやつをやってしまった…嗚呼(泣)。
でも、ユーロで岡部さんに言われていた「感情の表出が今一つ」については、改善されてきたと思う。
78.46。

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SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、クオリファイ、名前、国名、TSS、TES、PCSの順に記されている。
1 Q Yuzuru HANYU JPN 110.56 61.52 49.04
2 Q Javier FERNANDEZ ESP 98.52 53.06 46.46
3 Q Patrick CHAN CAN 94.84 48.63 47.21
4 Q Shoma UNO JPN 90.74 47.17 43.57
5 Q Boyang JIN CHN 89.86 52.08 37.78
6 Q Mikhail KOLYADA RUS 89.66 51.06 38.60
7 Q Adam RIPPON USA 85.72 43.96 41.76
8 Q Max AARON USA 81.28 42.96 38.32
9 Q Ivan RIGHINI ITA 81.17 42.64 38.53
10 Q Deniss VASILJEVS LAT 81.07 42.70 38.37
11 Q Michal BREZINA CZE 79.29 41.26 39.03
12 Q Denis TEN KAZ 78.55 38.44 41.11
13 Q Maxim KOVTUN RUS 78.46 38.35
14 Q Jorik HENDRICKX BEL 77.72 41.22 36.50
15 Q Misha GE UZB 77.43 39.96 37.47
16 Q Grant HOCHSTEIN USA 74.81 38.62 37.19
17 Q Brendan KERRY AUS 71.04 38.87 32.17
18 Q June Hyoung LEE KOR 70.05 37.99 32.06
19 Q Alexei BYCHENKO ISR 69.86 35.40 35.46
20 Q Chafik BESSEGHIER FRA 69.23 36.81 32.42
21 Q Phillip HARRIS GBR 68.53 34.59 33.94
22 Q Julian Zhi Jie YEE MAS 67.60 35.56 32.04
23 Q Michael Christian MARTINEZ PHI 66.98 33.55 33.43
24 Q Ivan PAVLOV UKR 65.20 36.20 30.00
25 Javier RAYA ESP 65.06 35.34 31.72
26 Han YAN CHN 62.56 27.65 35.91
27 Nam NGUYEN CAN 61.61 29.80 32.81
28 Franz STREUBEL GER 57.19 30.20 28.99
29 Denis MARGALIK ARG 52.31 24.09 29.22
30 Slavik HAYRAPETYAN ARM 49.36 23.40 25.96

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◆総評
最初に言いたいことは、ボストンのお客さんはマーベラス!!ということ。良い演技にすごく盛り上がってくれるし、ミスしたときは、温かい拍手で励ましてくれるし、最高のオーディエンスだ。
さて、男子SPが終わって、FSの最終グループは、世界王者3名、初出場の新星3名という、めっちゃエキサイティングなメンバー構成となった。
男子シングルのレベルがすっごく上がってるんだなーということをまざまざと実感させられた。65点でも、フリーに進めないんだもんなー。
もっとも衝撃的だったのは、ハン・ヤンがフリーに進めなかったこと。2010年のワールドで、織田くんが、全部のジャンプがシングルになっちゃって、ショート落ちした時以来のショックだ…。これで中国男子の3枠は不可能に。今季はチャンスだと思ってたのになあああああ(泣)。
リアルタイムで見てた時は、「日本男子は大丈夫か」と、本気で怖くなったよ。結果的には杞憂だったけど。
次にショックだったのは、ナム・ニューエンがフリーに進めなかったこと。カナダのスケ連が、来季のワールド出場枠のために、リアムの派遣を取りやめて、彼を出場させたらしいんだけど、うまくいかなかった場合のしんどさが半端ないので、変に画策しない方がいいと思うんだよなー。代替で出ることになった選手もプレッシャーで良い演技ができないことが多いし。
SP後のインタビューで、ナムが今後の目標を聞かれ、「先のことを考える気分ではない。今はただ頭の中が真っ白になっている」と答える姿を見て、たまらない気持ちになった。