JGP横浜2016 女子FS

JGP横浜2016 リザルト
ジュニアのGPシリーズ第3戦。女子FSは、現地時間2016年9月11日(日)に行われた。

にて、後半2グループのライブ放送を見た。その中で、特に印象に残った選手の演技について、感想を書いていきます。

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●第3グループ
14 Elisabetta LECCARDI エリザベッタ・レッカルディー(イタリア)

  • SP順位:11,得点:42.56
  • 楽曲:Je suis malade performed by Lara Fabian

昨季、ジュニアの国内選手権6位。
今大会がJGPデビュー。
SPで、その美貌に驚嘆させられた選手。足細っ。この細い足は、ジュニア女子特有だなぁ。手足が長くてスタイル抜群。
ジャンプで3Lzにeが付いたり、いくつか回転不足がとられたりしていたが、スピンはなかなか上手。
この曲、昨季ソトニコワさんも使ってたなぁ。「どういう歌詞なんだろ」と興味を持ち、調べてみた。

上記の歌詞の和訳を読んでもらえば分かると思うが、「超ド演歌」、「ザ・女の情念」といった歌である。レッカルディーさんは、「愛に苦悩する女」の振付を頑張って演じていたが、去年、ソトニコワさんによる、超ド迫力の演技を見てるのでねぇ。や、彼女なりによくやってたとは思うんだけど。
フリー85.52、総合128.08。

15 Alana TOKTAROVA KAZ アラーナ・トクタロワ(カザフスタン

  • SP順位:12,得点:42.18
  • 楽曲:
    • Romeo and Juliette by Charles Gounod
    • Romeo and Juliette Waltz by Charles Gounod

グノーのオペラ「ロメオとジュリエット」より。フィギュアスケートのプログラムで、グノーのロミジュリは珍しいなぁ。わたし、見るの初めてかも。
ジャンプで転倒や着氷の乱れがあった。プロトコルを見ると、跳べる三回転が3Tと3Sの二種類だけらしい。
所作はまだジュニアっぽいし、足首は硬そうだが、姿勢やポジションが端正で、いいなと思う。ステップから最後のスピンにかけて、女性ボーカルの声をよく表現していた。
フリー78.13、総合120.31。

16 Gabrielle NOULLET ガブリエル・ニューレー(アメリカ)

  • 順位:7,得点:51.44
  • 楽曲:The Addams Family (soundtrack) by Mark Shaiman

これまでの選手より、スピードが増したように感じた。体を大きく自在に動かせていて、姿勢や所作が本当に美しい。SP同様、つなぎのスパイラルが素敵〜☆
これでジャンプが決まればなぁ…(ため息)。クリーンに着氷できたのは3Lz1つだけ。あとはフリップもループもパンクしてシングルになるわ2Aは2本とも転倒だわ…(泣)。
ジャンプのミスで消耗したせいか、最後の要素のステップで動きが悪くなってしまった。
フリー77.32、総合128.76。

17 Andrea MONTESINOS CANTU アンドレア・モンテシノス・カントゥー(メキシコ)

  • SP順位:9,得点:45.36
  • 楽曲:Adios Nonino by Astor Piazzolla

ジャンプは、転倒や着氷の乱れがあったが、スピンはなかなか良かった。今のジュニア女子は、スピンが上手な選手、多いなー。
腕や手先の使い方が美しいのだが、曲想に合った、シャープな動きがほしい。
彼女のボディームーブメントは全体的にふんわりしているので、そういう曲の方が合ってるんじゃないかと思うが、成長のための矯正プロかもしれない。
フリー80.25、総合125.61。

18 エイミー・リン(台湾)

  • SP順位:8,得点:49.65
  • 楽曲:August's Rhapsody (from "August Rush" soundtrack) by Mark Mancina

棄権。残念なり。
第3グループが終わった時点で、総合1位はアメリカのニューレーさん。

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●第4グループ
19 本田真凜(日本)

  • SP順位:5,得点:55.47
  • 楽曲:Romeo and Juliet by Nino Rota

ピンクの衣装で花がたくさんあしらってある。素敵☆
ミスは、1A+2T+2Loで、2Aの予定がシングルになったことぐらい。他のエレメンツには全て加点がついている。マイナスを付けたジャッジが一人もいない。
すげー。なんて強いんだ。さすが世界ジュニアチャンピオン。
真凜のキラキラパワー炸裂☆で、ロミオがメロメロになること間違いなしの演技だった。美しく、愛らしく、優雅で、どこかはかなさも感じさせるジュリエット。
すでに十分素敵なプログラムだが、強いて言うなら、もっとシャープさや力強さが出せるようになると、プログラムにメリハリがついて、さらに素敵になると思う。あと、最後、スタミナ切れしたのか、急に動きが悪くなったので、そこの改善もよろしく頼みます。
フリー128.64でPB更新、総合184.11。現時点で総合1位。
結果を知って、ほっとしたように両手を胸に当てた後、涙をこぼす真凜ちゃん。…やっぱプレッシャーあったんだろうなぁ。周りから大注目されてるもんなぁ。

20 イェリム・キム(韓国)

  • SP順位:6,得点:52.34
  • 楽曲:If I Leave (from "The Last Empress" soundtrack) by Sumi Jo

ジャンプは、ノーミスに見えたのだが、実際は3Lzが2本とも!が付き、3F+3T<はアンダーローテが取られ、得点源のジャンプで減点されてしまったんだな。コンボも2つしか入らず、もったいなかった。
でも、スピンとステップは全てレベル4。
女性がドラマティックに切々と歌い上げる中、風の音や刀で斬り合う音など、効果音がたびたび入るのだが、一体全体どういうコンセプトのプログラムなんだろう。
…で、調べてみた。韓国ドラマ「明成皇后」で使われている歌らしい。選手の衣装を見るに、明成皇后その人を演じてるのかなぁ? 明成皇后は、作中、殺されるみたいだし、歌詞の内容も悲しくて重そう。
淡々と滑る系のイェリムさんに、こういう悲しく重い話の主人公を演じさせるのは、やはり表現力強化のための矯正プロなのだろうか。今はまだちょっとBGMっぽい。
フリー113.55、SB総合165.89で、フリーも総合もSBかつ自己ベスト更新! 現時点で総合2位。

21 ソフィヤ・サモドゥロワ(ロシア)

  • SP順位:4,得点:60.76
  • 楽曲:Rossini Medley

おお、彼女は、プログラムに3Lzと3Fを2本ずつ入れてるんだな。これだけ女子がポンポン3+3を跳びまくる時代になっても、なかなか見られない、難しい構成。
FSではエラーを取られなかったけど、後半の3Lzで両足着氷になってしまった。でも、他の要素はGOEで減点されてないし、2A+1Lo+3Sの幅と流れとスピードはすばらしかった。
フリー119.93。総合180.69。現時点で総合2位。

22 アリサ・フェディチキナ(ロシア)

  • SP順位:3,得点:61.13
  • 楽曲:Singin' In the Rain (soundtrack) by Nacio Herb Brown

出てくるなり、絶句。黒の衣装に、透明ビニール製のセーラー風の襟とオーバースカートが付いている。…ざ、斬新ですな(汗)。
そして、選手のキス顔から始まる、斬新なオープニング(///)。キスした後、手で叩くみたいな所作が入るのだが、あれはキスの相手を叩いてるの?(笑)。彼女の良さを生かした、楽しく愛らしい小芝居プロ。「雨に唄えば」も小芝居プロも大好きなわたしにとっては、ハッピーハッピーな組み合わせ☆
ルッツがパンクしてシングルになったのと、3Lz+1Lo+3Sでバランスを崩したところ以外、要素の減点はなかったが、加点は少なめ。コンボも2つしか入らなかった。
フリー104.12、総合165.25。現時点で総合4位。

23 山下真瑚(日本)

冒頭の3Lz+3T<<は、ファーストのルッツが高くて「おお〜!!」となった。それ以外は、全ての要素がGOEで加点をもらっている。3Fに!が付いたけど、質が良かったようでGOEはプラス。スピードに乗って、流れのあるジャンプを跳んでいた。
表情を作り、頑張って演じてたけど、演技が終わった後の、晴れやかな笑顔が一番いい顔してた。上半身の使い方がちょっと硬いかな。背中がまだ十分使えてない感じ。
フリー117.57、総合182.43。現時点で総合2位。

24 坂本花織(日本)

  • SP順位:1,得点:65.66
  • 楽曲:The Color Purple: Main Theme by Quincy Jones

先生から、「あなたは強いです」と送り出される。
花織ちゃんの表情がいつもより硬いような気がして、「緊張してるのかな?」と心配になり、こちらの緊張も高まる。
冒頭の3F+3Tの高さと幅とスピードがヤバい。次の3Lzは!が付いたが、質がいいからか減点されず(むしろちょい加点が付いた)。続けておっきなジャンプを次々と跳んでいたが、後半の3Lo<がステップアウト。その後ステップに入る前につまづいたかも。疲れてきたのか、ステップで体の動きが悪くなってしまったように感じた。ここは、やわらかい曲想なので、もっとやわらかく体を使えるようになるといいのだが。ステップの終わりの方で、またちょっとバランスを崩したように見えた。でも、次の2Aと最後のスピンはきちんと決めて、フィニッシュ。
素晴らしい演技だったので、喜ぶかと思ったのに、すごく辛そうでビックリした。具合でも悪いのだろうかと心配になったが、どうやら力を使い果たして疲労困憊だったみたい。
フリー122.15、総合187.81で、SP同様、FSもSBかつ自己ベスト更新!
総合1位で決定。
結果が出るなり、花織ちゃんと先生が「おお〜!!」と歓声を上げる。それから感極まったように顔を両手で覆う花織ちゃん。こちらももらい泣き(感涙)。

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◆総合順位
女子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Kaori SAKAMOTO JPN 187.81 1 2
  2. Marin HONDA JPN 184.11 5 1
  3. Mako YAMASHITA JPN 182.43 2 4
  4. Sofia SAMODUROVA RUS 180.69 4 3
  5. Ye Lim KIM KOR 165.89 6 5
  6. Alisa FEDICHKINA RUS 165.25 3 6
  7. Gabrielle NOULLET USA 128.76 7 12
  8. Elisabetta LECCARDI ITA 128.08 11 7
  9. Andrea MONTESINOS CANTU MEX 125.61 9 9
  10. Emily BAUSBACK CAN 122.16 13 8
  11. Alana TOKTAROVA KAZ 120.31 12 11
  12. Anita ÖSTLUND SWE 119.13 14 10
  13. Oksana ARTYOMENKO SUI 112.09 10 14
  14. Chloe ING SIN 111.92 15 13
  15. Promsan RATTANADILOK NA PHUKET THA 88.75 16 17
  16. Aleksandra SLAHOVA LAT 87.57 17 15
  17. Madeleine LIDHOLM TORGERSEN NOR 80.75 20 16
  18. Brooke TAMEPO NZL 79.89 19 18
  19. Anastassiya KHVAN KAZ 77.37 18 19
  20. Amirah Azfariena AZHARI MAS 63.75 23 20
  21. Bianca Arianne VINARAO PHI 60.94 22 21
  22. Ananya Murthy THIRUVALLAM IND 15.54 24 22

WD Amy LIN TPE (SP順位:8)
WD Katie PASFIELD AUS (SP順位:21)
WD Rafaela RAHARDJA INA

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◆総評
日本選手の表彰台独占!! 素晴らしい!! 本当におめでとう!!
まず、何と言っても、花織ちゃんがJGP初優勝ですよ!! もう嬉しくて嬉しくて!! 先生の言うとおり、「あなたは強いです」!!
これで、ファイナル進出を決めたと思ったのだが、まだ確定ではないらしい。でもほぼ確実だよね☆
2位の真凜ちゃんも強かった。美しかった。FSは2位の花織ちゃんに6点差をつけて1位。世界ジュニアチャンピオンとしての意地を感じたよ。ファイナル進出を目指して、次戦も頑張って!
それにしても、彼女の魅力の凄まじさよ…。リンクの中でも外でもあのキラキラパワーに当てられまくりである。キスクラで、濱田先生が彼女の涙を拭ってあげたとき、わたしはマジで「濱田先生になりたい!!」と思いました(///)。
3位の真瑚ちゃんは、JGP初戦で表彰台! すばらしい〜☆ まだ表現は薄い感じだけど、まだ13歳なんだし、これからどんどん深まっていくだろう。
4位のサモさんは、FS3位と追い上げたのだが、表彰台ならず。他のスーパージュニアなロシア選手とは、一風違った個性の持ち主なので、自分のカラーを大事にしていってほしい。
5位のイェリムさんは、ジャンプやスピンなどの技術力が高いし、レベルもきっちり取れる選手なので、あとはもそっと情感を醸し出せるようになればなぁ…。ま、まだ13歳だしね。
6位のフェデさんは、けして悪くない演技だったのだが、SPもFSも、いまいちPCSが伸びず。どちらも真瑚ちゃんより下なのは、けっこうショックだった。
JGPの女子は第3戦を終え、さらに「ロシアVS日本」の度合いが深まってきてますな。次はロシア開催なので、おそろしあたちの逆襲が待ってそう〜(笑)。ロシアの表彰台独占も十分あり得るけど、日本から出場する、岩元さんと白岩さんにもぜひぜひ頑張っていただきたい。

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さて、最後にウォーカープラスの記事を紹介したい。JGPに出場する選手について書かれている。

前編に真瑚ちゃん、中編に白岩さん、後編に紀平さんと岩元さんの記事が掲載されている。これを読んで、白岩さんと岩元さんの怪我が気がかりではあるが、彼女たちの演技を見るのがさらに楽しみになった。