JGPタリン杯2016 ペアFS

JGPタリン杯2016 リザルト
ジュニアのGPシリーズ第6戦。ペアFSは、現地時間2016年9月30日(金)に行われた。
ISUのライブ放送、

で、第3グループまで見ていたのだが、睡魔に負けて、最終グループだけ翌日に見た。
印象に残った組の演技について、滑走順に感想を書いている。
日本語表記に自信がない名前には?を付けている。また、「名字が難しすぎて無理!」と判断した場合は、ファーストネームで表記している。

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●第2グループ
4 Giulia FORESTI / Leo Luca SFORZA フォレスティ&スフォルツァ(イタリア)

  • SP順位:10,得点:44.51
  • 楽曲:The Nutcracker by Petr I. Tchaikovski

二人のジャンプが逆回転らしく、ミラーで跳ぶ、めずらしいペア。
3Sで女性が転倒。2Aで男性がステップアウト。PCoSp4でもたれ合うようになってしまった。スロー3Loは両足着氷(-1.30)。FiDsは女性の体が低いなーと思って見ていたら、ノーバリュー。FCCoSp4は回転がズレた上に距離が離れてしまった(-0.30)。
…等々、エレメンツのミスは多かったが、バレエ音楽の弾むような感じはく表現できていたと思う。コレオのスパイラルは二人のポジションが合っていて美しかった
フリー74.93、総合119.44で、総合得点は自己ベスト更新!

5 Evelyn WALSH / Trennt MICHAUD エヴリン&トレント(カナダ)

  • SP順位:9,得点:46.46
  • 楽曲:Rise Up by Andra Day

バイオを見ると、男性が昨季まで他のパートナーと滑っていたので、今季、組んだばかりと思われる。この組では今大会が初めてのJGP
スローは2本とも転倒。2本目のリフトは途中でおろしてしまい、ノーバリュー。コレオで二人が抱き合いながら滑る姿が素敵だった。FCCoSp4は回転がズレた。PCoSp4は、Vが付いてしまったが、ポジションはきれいだった。
二人でただ滑っている姿が美しく、雰囲気がある。男性のラインやポジションが美しいんだな。個々のジャンプ力はありそうなので、ペアならではのリフトやスローが上手くなれば素敵なカップルになりそう。
フリー76.37、総合122.83。

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●第3グループ
7 Yue HAN / Yongchao YANG ユエ・ハン&ヨンチャオ・ヤン(中国)

  • SP順位:7,得点:48.68
  • 楽曲:
    • One Leche (from "Puss in Boots" soundtrack) by Henry Jackman
    • Chasing Tail (from "Puss in Boots" soundtrack) by Henry Jackman
    • The Puss Suite (from "Puss in Boots" soundtrack) by Henry Jackman
    • Team Effort (from "Puss in Boots" soundtrack) by Henry Jackman
    • Diablo Rojo (from "Puss in Boots" soundtrack) by Henry Jackman

男性の衣装に黒い毛虫みたいなのがたくさん付いてる!(汗)
3Tw3高っ。さすがの中国クオリティ。3Tで女性が転倒。スローは2本とも両足着氷。
SPでは表情豊かに演じていたのだが、FSでは余裕がなくなってしまったようで、音楽がほぼBGMになってしまっていた。
3ツイストの高さがすごいし、リフトも上手なので、これからの成長が楽しみ。
フリー78.84、総合127.52。

8 Gabriella MARVALDI / Daniel VILLENEUVE マルヴァルディ&ヴィルヌーヴアメリカ)

  • SP順位:8,得点:46.85
  • 楽曲:Les Miserables by Claude-Michel Schoenberg

マルヴァルディの母親はペアの元世界王者(カナダ代表)で、父親はペアの元全米チャンピオン。両親がコーチを務める。彼女のいとこ、Justine Brasseurも、カナダ代表でペアをやっているらしい。すごい。ペア一家だ。
今大会がJGPデビュー。バイオによると、マルヴァルディは、昨季まで別のパートナーと組んでいたそうなので、おそらく今季、組んだばかりと思われる。
スローは2本とも両足着氷。2Loはよかった。コレオのスパイラルが美しかった。
最後のエレメンツがFiDs3なのだが、最高潮に盛り上がるボーカルの伸びと、ぴったり合っていて素敵だった。
フリー85.42、総合132.27。

9 Renata OGANESIAN / Mark BARDEI オガネシアン?&バルディ?(ウクライナ

  • SP順位:6,得点:50.37
  • 楽曲:The Sands of Time (from "Prince of Persia" soundtrack) by Harry Gregson Williams

コレオのスパイラルのポジションが美しかったし、3Li4は女性のポジションがユニークだったが、ミスがたくさん出てしまい、昨季の世界ジュニアを見ている身としては、信じがたい演技だった。
う〜ん、調子悪そう。明らかに彼ら本来の動きではない。
フリー82.37、総合132.74。

10 Chelsea LIU / Brian JOHNSON リュウ&ジョンソン(アメリカ)

  • SP順位:5,得点:55.46
  • 楽曲:Beauty and the Beast (soundtrack) by Alan Menken

昨季から続行のプログラム。
2A+2Tは、二人ともクリーンに着氷したように見えたのだが、GOEマイナスなのは、跳ぶタイミングがズレたからだろうか。3Tw3は流れのままキャッチできた。3Sの予定が、男性が転倒、女性がシングルに。PCoSp4は、ポジションが安定していて美しかった。スパイラルからスロー3Tは着氷が乱れた。コレオの動きは独創性かつ情感があって素敵だった。FCCoSp4は二人の距離が離れてしまった。4Li4の出が凄い。スロー3Sはフリーレッグが氷に触れてしまった。5ALi4の女性のラインが美しい。
このプログラム、終盤のクライマックスで、リフト→スロー→リフトで畳みかける感じがすごくいいと思う。この組はリフトが素晴らしいので、スローがクリーンに決まりさえすれば、めっちゃ盛り上がるはず。
ニゾンは、試合を重ねるごとによくなっている。
フリー91.68、総合147.14。
第3グループが終わった時点で、総合1位は、リュウ&ジョンソン(アメリカ)。

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●第4グループ
11 Ekaterina ALEXANDROVSKAYA / Harley WINDSOR アレクサンドロフスカヤ&ウィンザー(オーストラリア)

  • SP順位:3,得点:56.98
  • 楽曲:W.E. (soundtrack) by Abel Korzeniowski

3Tw3、2A、3T+2T+2T、スロー3T、5RLi4、FCCoSp4まで、みごとにクリーン。ジャッジも誰一人マイナスを付けていない。スロー3Loでフリーレッグがタッチしてしまった。コレオのスパイラルがきれい。4Li4は、下ろすときにスピードが落ちたせいかGOEマイナス。BoDs3はOK。PCoSp4は、回転が速く、軸もしっかりしている。
見た目、ほぼノーミスの演技だった。男性が感極まったように両手で顔を覆う。
今のところ、音楽表現まで、さほど気が回らない感じだが、前のチェコスケートよりは、演じているのが伝わってきた。
SPに引き続き、ニコニコのキスクラ☆
フリー102.28、総合159.26で、SBおよび自己ベスト更新! 現時点で総合1位。
4週間前のチェコスケートでは、総合得点137.05だったのに、20点以上更新だよ!! すごすぎ!!

12 Ekaterina BORISOVA / Dmitry SOPOT ボリソワ&ソポト(ロシア)

  • SP順位:4,得点:56.34
  • 楽曲:Still Loving You by The Scorpions

ソロジャンプで、2つともミスがあり、FCSp1で女性が転倒し、ノーバリュー。でも、スロージャンプは2つともクリーンに着氷できたし、片手で女性の太ももを持って、くるくる回るリフトはすごかった。それから、コレオでユニークなポジションで両手つなぎして滑るのも、独創的で目を見張ったし、PCoSp4の軸がまっすぐできれい。…等々、素晴らしいところもたくさんあった。
フリー93.91、総合150.25。現時点で総合2位。

13 Alina USTIMKINA / Nikita VOLODIN ウスティムキナ&ボロディン(ロシア)

  • SP順位:2,得点:57.31
  • 楽曲:Aria by Balansescu Quartet

3T+1Tで女性が手を付き、コンボにならなかったことを除けば、GOEマイナスなし。
スロージャンプを2つともクリーンに着氷し、3Tw3も良い出来。リフトはどちらもポジションが美しく、独創的な動きが見られた。その上、スピードもあり、滑りも良い。
…とまぁ、素晴らしい点はいくつも挙げられるのだが、非常に残念なことに、プログラムがビミョ〜(汗)。静かできれいな音楽がずーっと続いていくのだが、ハイライトがないんだよなー。最後も「え、これで終わり?」みたいな尻切れトンボ的エンデイングだし。静かなら静かなりにじわじわ盛り上がりがあればいいのだが、それもない。
フリー99.64、総合156.95で、SP同様、自己ベスト更新! 現時点で総合2位。

14 Amina ATAKHANOVA / Ilia SPIRIDONOV アタハノワ&スピリドノフ(ロシア)

  • SP順位:1,得点:64.79
  • 楽曲:Singin' in the Rain by Gene Kelly

ソロジャンプで転倒とステップアウト、スローは2つとも転倒、リフトは2つともミス…と、ミスの連続(呆然)。
演技が終わって、女性が泣きそう。男性が慰めるように抱きしめる。
序盤は幸せでウキウキ弾む感じがよく出せていたのだが、ミスが重なるにつれ、どこかに消えてしまった。いつもの「安心して見ていられる」感がなかった。
フリー83.01、総合147.80。総合4位に決定。
なんてことだー!! 大番狂わせだー!!

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◆FS順位
FSが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、TSS、TES、PCSの順に記されている。

  1. Ekaterina ALEXANDROVSKAYA / Harley WINDSOR AUS 159.26 3 1
  2. Alina USTIMKINA / Nikita VOLODIN RUS 156.95 2 2
  3. Ekaterina BORISOVA / Dmitry SOPOT RUS 150.25 4 3
  4. Amina ATAKHANOVA / Ilia SPIRIDONOV RUS 147.80 1 7
  5. Chelsea LIU / Brian JOHNSON USA 147.14 5 4
  6. Renata OGANESIAN / Mark BARDEI UKR 132.74 6 8
  7. Gabriella MARVALDI / Daniel VILLENEUVE USA 132.27 8 5
  8. Yue HAN / Yongchao YANG CHN 127.52 7 10
  9. Hannah DAWSON / Christian REEKIE CAN 126.07 12 6
  10. Vanessa CHEN / Eric HARTLEY USA 124.09 11 9
  11. Evelyn WALSH / Trennt MICHAUD CAN 122.83 9 11
  12. Giulia FORESTI / Leo Luca SFORZA ITA 119.44 10 12
  13. Talisa THOMALLA / Robert KUNKEL GER 105.59 13 13
  14. Dorota BRODA / Pedro BETEGON MARTIN ESP 99.59 14 14
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◆総評
アレ&ウィンが、オーストラリアの選手史上初のJGPシリーズの優勝&ISU主催大会での優勝という、輝かしい記録を作った。おめでとう!!!(歓喜
四大陸に出るよね? 世界ジュニアだけじゃなく、シニアのほうのワールドにも出るかな? ミニマムスコアが昨季と変わってなければ、もう獲得できている。ぜひとも今季、ワールドに出て、平昌を目指してほしい!
2位のウス&ボロは、文句なしに力のあるペアだが、残念ながら、第7戦には派遣されないようだ。ファイナルに出場できないのは残念だが、国内選手権に向け、じっくり練習に取り組める、良い機会だととらえて頑張ってほしい。
3位のボリ&ソポは、復調の途上にいるようで、よかったよかった。FSの演技の後、選手たちはしょんぼりしていたが、モルドヴィア杯のときの、「何も言いようがない、微妙な演技」よりは、断然よかったよ! 安心したよ!
4位のアタ&スピは、まさかまさかのフリー大失速であった。SPを見て、優勝間違いなしだと思ったのに、FS7位だよ…信じられない…。
まぁでも、2位&4位なので、第7戦でよほどの大大大波乱がない限り、ファイナル出場は大丈夫…かな? ボリ&ソポ(3位&3位)にも、同じことが言えそう。
5位のリュウ&ジョンは、3位&5位なので、ファイナル進出は難しそうだが、世界ジュニアでまた演技が見られるよう、期待している。JGPを見る限り、彼らが国内ジュニアではトップの組と思われるが、ジュニアでは、いきなり力が伸びる組もいるので、油断ならない。
心配なのは、6位のオガ&バルである。率直に言って、昨季より下手になっている。どうしたんだろう…。病気? 怪我? パートナーシップに問題が? それとも連盟からサポートしてもらえてないの? …等々、不安は募るが、今はとにかく復調を願うよりほかない。世界ジュニアで元気な演技が見られますように。