JGPタリン杯2016 男子FS
JGPタリン杯2016 リザルト
ジュニアのGPシリーズ第6戦。男子FSは、現地時間2016年10月1日(土)に行われた。
にて、SPで印象に残った選手を中心にライブ放送を見た。その中で、特に語りたくなった選手の演技について、感想を書いている。
日本語表記に自信がない名前には?を付けている。
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●第1グループ
4 Glebs BASINS グレブス・バシンス?(ラトビア)
- SP順位:25,得点:39.29
- 楽曲:Chambermaid Swing by Parov Stelar
まぁまぁよかったのでは。にしても、音楽が完全にBGMである。でもラインやポジションがけっこうキレイなんだよね。同じフレーズの繰り返しなのだが、それぞれに違いがあるので、その違いが表現できるといいのだが、まだそこまで気持ちが回らないんだろうなー。エレメンツを行うのに必死で。
フリー93.29、総合132.58。前のJGPチェコスケートのときより総合得点が20点も低い。な、何があった(汗)。どうりでキスクラで落ち込んでるわけだ。もっとできる子なのね。
5 Harrison BAIN ハリソン・ベイン(ニュージーランド)
- SP順位:27,得点:34.97
- 楽曲:Romeo and Juliet Love Theme by Henry Mancini
スピンのポジションはきれいだし、軸も安定してるので、あとは回転が速くなれば。
スピードがほしい。そしたらジャンプも跳べるようになるんじゃないかなー。ソフトなスケーティングなので、ロミジュリの音楽は合ってると思う。
柔軟性が高く、男子選手ではめずらしい、変形ビールマンやI字ポジションのスパイラルやスピンができるのは、強みだと思うので、そこを大事に頑張ってほしい。
フリー63.24、総合98.21。
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●第2グループ
9 Yauhenii PUZANAU イェヘニー・プザナウ?(ベラルーシ)
- SP順位:23,得点:41.46
- 楽曲:Romeo and Juliet
スピードがある。音楽表現や腕と手先の使い方が素敵。
スピンのフリーレッグが伸びていて、美しい。
ステップは結弦くんのロミジュリ1号の音楽と同じ部分を使ってるんじゃないかな。振付も似てる気がする。
フリー87.94、総合129.40で、どちらもSBおよび自己ベスト更新!
前のPBは、先日行われたJGPモルドヴィア杯のスコアなのだが、総合得点が15点近くアップしている。すごい。
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●第3グループ
15 Basar OKTAR バサール・オクタール?(トルコ)
- SP順位:13,得点:53.63
- 楽曲:
- Whole Lotta Love by Led Zeppelin performed by 2 Cellos
- Shape of My Heart by Sting performed by 2 Cellos
- Whole Lotta Love by Led Zeppelin performed by 2 Cellos
ジャンプに高さがある。弦楽器の音がキーキー鳴る系の曲なので、正直辛かった。
しばらく音楽がBGMの選手が続いていたのだが、彼の場合、一所懸命演じようとしている姿勢は伝わってきた。
演技終了後、選手は喜んでガッツポーズ。
フリー99.14、総合152.77で、SP同様、FSもSBおよび自己ベスト更新!
前のPBの総合得点(今季のJGPサン・ジェルヴェ)より30点以上アップしてる!
16 スンフーン・パク?(韓国)
- SP順位:14,得点:53.47
- 楽曲:
- Una Furtiva Lagrima performed by Luciano Pavarotti
- Caruso performed by Luciano Pavarotti
テカテカ&キラキラの膨らんだ袖シャツに黒パンツの衣装。
ステップでは、音楽を表現しようと、全身を使って振付を頑張っていた。
最後のスピンは、音楽が終わって少したってからフィニッシュ。音楽とともに終われるといいのだが。
フリー92.54、総合146.01。
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●第4グループ
17 Nikolaj MAJOROV ニコライ・マヨロフ(スウェーデン)
- SP順位:12,得点:54.18
- 楽曲:
- Hungarian Dance No. 5 by Johannes Brahms
- Hungarian Rhapsody No. 2 by Franz Liszt
- Czardas by Monti
細かく音を刻むところと長く伸ばすところの繰り返しとか、いろんな音が出てくるので、それを表現するのが大変そう。でも頑張ってた。
正直、あんまりいいアレンジとは思えない。どの曲も速いテンポの部分が多いので、慌ただしい印象になっちゃうんだよなぁ。
フリー109.13、総合163.31。
19 Yuheng LI ユヘン・リー(中国)
- SP順位:10,得点:55.04
- 楽曲:The Phantom of the Opera by Andrew Lloyd Webber
高さのある良いジャンプを跳んでいたのだが、後半転倒が続いてしまった。疲れちゃったのかな?
中国によくいる淡々と滑る系の選手だが、ドラマティックな曲なので、もそっとパッションを感じさせてほしい。
フリー105.97、総合161.01。
20 Irakli MAYSURADZE イラクリ・マイスラゼ(ジョージア)
- SP順位:7,得点:63.86
- 楽曲:Con te partiro by Francesco Sartori, performed by Gregory Lemarchal
やわらかい、ゆったりした動きと同時に、力強さやシャープさも併せ持った演技だった。
スピンが得意な選手ではないし、スケーティングに伸びがあるタイプでもないが、このプログラムはその両方の力が必要だと思う。…苦手分野の強化に取り組ませようという意図なのだろうか(汗)。
とはいえ、終盤、最高潮に男性ボーカルが盛り上がるところで、苦手のスピン2連続は、いくらなんでもちょっと…。正直、もっと彼の良さが生きる構成のプログラムにしたらいいんじゃないかと思うが、確かにモルドヴィア杯のときよりは良くなってるしなぁ。
最後のスピン2つ、頑張ろう。ここの出来でプログラムの印象がかなり変わってくるよ。
フリー118.32、総合182.18で、どちらもSBおよび自己ベスト更新! サングラスのロッカー風コーチが喜んでる。
21 Aleksandr SELEVKO アレクサンドル・セレフコ(エストニア)
- SP順位:8,得点:62.89
- 楽曲:Je suis malade by Serge Lama
男性ボーカルの「恋の病」。力強いのだが、力を抜くところは抜ける。だからメリハリがついて、さらに印象的になるんだな。
ステップに、多種多様な動きが入っていて見ごたえがある。
エレメンツに入る前と終わった後に、病んでいる様子の振付があるのだが、前の方はちゃんと病んでる感じが出ていたのだが、終わった後は、ただ突っ立っているように見えたので、もそっと何か振付を入れたほうがいいのではないか。
終わった後、力強くガッツポーズ!
フリー122.04、総合184.93で、SP同様、FSも自己ベスト更新! ニコニコのキスクラ。
22 Camden PULKINEN カムデン・プルキネン(アメリカ)
- SP順位:9,得点:60.44
- 楽曲:Sarabande Suite (Aeternae) by Globus
印象的な振付が盛り込まれたステップでは、体を大きく動かして力強く演じていた。立体的なボディムーブメントのできる選手なので、将来が楽しみ。
フリー111.25、総合171.69。
第4グループが終わって、総合1位は、アレクサンドル・セレフコ(エストニア)。
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●第5グループ
23 ピョートル・グメンニク(ロシア)
- SP順位:6,得点:68.27
- 楽曲:Selection from Cirque du Soleil
3Sでバランスを崩した以外は、GOEマイナスなし。
スピンのレベルは4、2、3。2番目のスピンでバランスを崩した。
ステップはレベル3.流れるようによどみなく滑っていた。
このプログラム、小芝居入りで、すごく個性的な振付なのだが、いまいち何を意味しているのか分からない。最後、何かをつまみ上げて終わるんだけど。
フリー129.55、総合197.82で、総合は自己ベスト更新! 現時点で総合1位。
24 島田 高志郎(日本)
- SP順位:4,得点:70.48
- 楽曲:
- O Verona (Romeo and Juliet soundtrack)
- Kissing You (Romeo and Juliet soundtrack)
- O Verona (Romeo and Juliet soundtrack)
4S<<転倒と3Feで減点された以外は、全てのエレメンツでGOEプラス。
スピンは全てレベル4。StSq3に、ジュリエットを求めるような振付が入っていて素敵〜☆
ジュリエットに恋い焦がれる熱情と切なさがよく伝わってきた。そして、悲劇が待ち受けていることを感じさせるはかなさも。これぞ王道のロミオ。
前半のしっとりと、後半の激しい部分の演じ分けができていた。今はその二本調子な感じなのだが、彼ならもっといろいろ演じ分けられると思うので、期待したい。
フリー132.81、総合203.29で、SP同様、FSもSBおよび自己ベスト更新! 現時点で総合1位。
3Aなしで200点超えは凄い。
25 Graham NEWBERRY グレアム・ニューベリー(イギリス)
- SP順位:5,得点: 68.85
- 楽曲:Last Samurai (soundtrack) by Hans Zimmer
ジャンプのミスが続いてしまった。スピンのレベルは4、4、3。2本目のスピンは、最後のポジションの回転がゆっくりになり、GOEマイナス。
ポージングがかっこいい。動きにキレとバネがある。ただ、ずっと力が入っているように見えるので、抜けるところもあると、メリハリがついていいのではなかろうか。
フリー111.48、総合180.33で、総合は自己ベスト更新! 現時点で総合5位。
26 アレクサンドル・サマリン(ロシア)
- SP順位:2,得点:73.36
- 楽曲:Maybe I Maybe You by Scorpions
4Tが1つ、3A2つの高難度ジャンプ構成プロを、クリーンに演じきった。
前半のジャンプはとても素晴らしかった。後半のジャンプは流れをやや欠いたものの、「ぜったい減点されるものか!」という強い意志を感じた。そのかいあって、全てのエレメンツでGOEマイナスなし。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
終わったとたん、うずくまる。やりきった顔。
たいへん良い演技だったが、前半、ジャンプを跳ぶだけという感じなのが気になる。構えも長いし。余裕が出てきたら、もっと振付を増やしてほしい。
フリー160.93、総合234.29で、どちらもSBおよび自己ベスト更新! 現時点で総合1位。
27 ロマン・サドフスキー(カナダ)
- SP順位:3,得点:71.96
- 楽曲:Romeo and Juliet (Plunket and Maclean soundtrack) by Craig Armstrong
4Sは、GOE 2.00!! 1本目の3A<は転倒したが、2本目は成功!! 3Loでバランスを崩したのと、3Feで減点されたが、他のエレメンツでは全てGOEプラス。
スピンとステップで、全てレベル4獲得!
やわらかでしなやかでエフォートレスな動きが、本当に美しい。
3Aようやく着氷!! サドくんも嬉しそう。
フリー149.25、総合221.21で、どちらもSBおよび自己ベスト更新! 総合2位。
28 ヴィンセント・ジョウ(アメリカ)
- SP順位:1,得点:78.10
- 楽曲:Johnny Staccato by Elmer Bernstein(バイオには左記のように記載されているが、「カサブランカ」に変更したもよう)
4Sを跳ぼうとして、すっぽ抜け転倒からのジャンプのミス連発……辛い(泣)。
スピンのレベルは3、4、3。ステップはレベル4! なめらかさと余韻を感じさせ、とっても素敵なステップだった。
フリー135.82、総合213.92。総合3位に決定。
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◆総合順位
男子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。
- Alexander SAMARIN RUS 234.29 2 1
- Roman SADOVSKY CAN 221.21 3 2
- Vincent ZHOU USA 213.92 1 3
- Koshiro SHIMADA JPN 203.29 4 4
- Petr GUMENNIK RUS 197.82 6 5
- Aleksandr SELEVKO EST 184.93 8 6
- Irakli MAYSURADZE GEO 182.18 7 7
- Graham NEWBERRY GBR 180.33 5 8
- Camden PULKINEN USA 171.69 9 9
- Nikolaj MAJOROV SWE 163.31 12 10
- Yuheng LI CHN 161.01 10 12
- Adam SIAO HIM FA FRA 158.97 16 11
- Samuel TURCOTTE CAN 158.82 11 13
- Basar OKTAR TUR 152.77 13 14
- Sunghoon PARK KOR 146.01 14 17
- Artur PANIKHIN KAZ 141.47 20 15
- Jegor ZELENJAK EST 134.77 21 19
- Yan TKALICH UKR 134.53 19 21
- Ton CONSUL ESP 133.78 15 22
- Glebs BASINS LAT 132.58 25 16
- Matthew SAMUELS RSA 131.83 22 18
- Daniel TSION DEN 130.65 17 24
- Yauhenii PUZANAU BLR 129.40 23 20
- Mihhail SELEVKO EST 128.58 18 25
- Micah TANG TPE 122.54 24 23
- Samuel MCALLISTER IRL 104.00 26 26
- Harrison BAIN NZL 98.21 27 28
- Giuseppe TRIULCIO AUS 96.45 28 27
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◆総評
優勝のサマリンは、二連勝でファイナル確定。今季の彼からは、並々ならぬ強い意思を感じる。
2位のサドくんは、残念ながら5位&2位なので、ファイナルは無理そうだが、世界ジュニアでさらに素敵な演技を見せてほしい。3Aさえ安定すれば、表彰台を狙えるはず。
3位のヴィンスは……個人的に、非常に残念な結果だった。2位&3位で、ファイナルは絶望的。「今季はファイナルで優勝できるんじゃない!?」とワクワクしていただけに……嗚呼(泣)。
ジュニア男子の中で、世界トップの実力があるのは確かなので、全米でまた素晴らしい演技をして、世界ジュニア代表に選ばれるよう頑張ってください。
4位の高志郎くんは、さらにパワーアップした姿を見せてくれて、本当に心からほっとしたし、嬉しかった〜! 次の大きな試合は全日本ジュニアかな? ぜひぜひ表彰台に上がって、全日本に派遣されてほしい! 彼のロミオがまた見たい!
今大会では素敵な選手と数多く出会えたが、中でも、グラハム・ニューベリー(イギリス)、アレクサンドル・セレフコ(エストニア)、イェヘニー・プザナウ(ベラルーシ)は、特にお気に入りとなった。これからずっと追っかけていくぞ〜(笑)
ところで、全米の常連だったラザーノさんが、台湾のミカ・タン選手のコーチとして帯同していた。元気な姿が見られて嬉しかった。
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◆JGPファイナル確定者
さて、今大会の結果を受けて、JGPファイナル進出が確定した選手は、下記の通り。
- アレクサンドル・サマリン(ロシア)
- 第4戦 モルドヴィア杯 優勝
- 第6戦 タリン杯 優勝
ファイナルは初出場だが、今のところ、唯一の連勝でファイナルを確定。さて、初優勝なるか。