JGPタリン杯2016 アイスダンスFD

JGPタリン杯2016 リザルト
ジュニアのGPシリーズ第6戦。アイスダンスのFDは、現地時間2016年10月1日(土)に行われた。
ISUのライブ放送、

で、全組の演技を見た。その中で、特に印象に残った組の演技について、感想を書いていきます。

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●第1グループ
1 Emily ROSE BROWN / James HERNANDEZ ローズ・ブラウン&ハーナンデズ(イギリス)

  • SD順位:15,得点:39.24
  • 楽曲:Unchained Melody from "Ghost" (soundtrack) by Alex North

バイオを見るに、今大会がJGPデビュー。ニコラス・バックランドがコーチを務める。
CoSp3で二人が見つめ合っている感じが素敵。女性の手の動きも素敵だった。STw2は回転がゆっくりだけど合ってた。その後、SeSt1で女性がもたついたように見えた。ここが全要素内唯一のGOEマイナス。RoLi4はちょっと重そう。ホールドしてのDiSt1はゆっくり。SlLi3>の女性のポーズと動きがきれいだったが、時間オーバーのため、減点1。
全体的に動きがもっさりゆっくりしているが、二人の醸し出す雰囲気が素敵だった。
フリー56.81、総合96.05。

2 Jenna HERTENSTEIN / Damian BINKOWSKI ハーテンシュテイン?&ビンコウスキー(ポーランド

  • SD順位:13,得点:41.53
  • 楽曲:
    • La Valse d'Amelie (from "Amelie Poulain" soundtrack) by Yann Tiersen
    • Sur le Fil (from "Amelie Poulain" soundtrack) by Yann Tiersen
    • J'y suis jamais allée (from "Amelie Poulain" soundtrack) by Yann Tiersen

昨季、ジュニアの国内選手権2位、世界ジュニア26位。
女性の髪の結い方が凝ってる。
STw3は、セカンドで女性の回転が美しくなく、GOEで減点された。CuLi3は、男女が接触したまま見つめ合っていて、独創的だった。RoLi4で、女性が開脚しているラインがきれい。
今できることをやり切った演技だったのでは。ツイズル以外はGOEマイナスなし。独創性を感じるリフトが入っていたりと、工夫が見られた。
全体的にスピードがほしい。やや一本調子な感じなので、メリハリがつくと、さらに素敵になるんじゃないかなー。
フリー60.31、総合101.84で、SDもFDも自己ベスト更新!

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●第2グループ
5 深瀬 理香子 / 立野 在(日本)

  • SD順位:11,得点:44.30
  • 楽曲:The King and I (soundtrack) by Rodgers and Hammerstein

STw4は、息を止めて見守ったよ。大丈夫! CoSp4は、ポジションチェンジ前にちょっとぐらつくが持ち直した。SlLi4は、自然な入りと出だった。MiSt1直前に、超有名な「シャールウィーダンス! チャチャチャ☆」のフレーズを聴いたときの、「これから素敵なものが見られるよ!」というワクワク感がたまらない。RoLi4は、女性の開脚ポジションの美しさと回転の速さがすばらしい。
横浜のときよりぜったい良かった。ジャッジが誰一人マイナスをつけていない。
ステップの質は悪くなかったと思うのだが、両方レベル1なのが痛い。横浜のときは、レベル3と2がとれてたんだけどなー。他のエレメンツは全てレベル4。
それと、ホールドが時々気になる。もたついてるというかぎこちないというか。
フリー67.25、総合111.55で、FDがSBおよび自己ベスト更新!
点数が出た後、キスクラでハグする二人が超かわいい☆ 超チャーミング☆

6 Viktoria SEMENJUK / Artur GRUZDEV セメニュク&グルズデフ(エストニア

昨季、ジュニアの国内選手権優勝、世界ジュニア25位。今季、JGPモルドヴィア杯8位。
「ノリノリ→しっとり→いけいけどんどん」という構成のプログラムで、曲想の違いをよく表現していた。力強さとキレ、スピード、勢いがあり、エネルギッシュに滑っていた。
ジャッジが誰一人マイナスをつけていない、クリーンな演技だったが、ステップが両方レベル1と取りこぼしている。他のエレメンツは全てレベル4。
フリー67.52、総合114.34で、SD同様、FDもSBおよび自己ベスト更新!

7 Irina GALIYANOVA / Tommy TANG ガリヤノワ&タン(カナダ)

  • SD順位:12,得点:42.90
  • 楽曲:

今大会がJGPデビュー。
CiSt2、なめらか。CuLi4はシンプルだけど美しい。CoSp4はよかった。MiSt2もオーケー。STw4は回転が速かった。一番の盛り上がりでRoLi4。
独創性を感じる振付は特にないのだが、クリーンな演技で、ジャッジが誰一人マイナスをつけていない。
フリー66.61、総合109.51。

8 Emilia KALEHANAVA / Uladzislau PALKHOUSKI カレハノワ&パルホウスキー(ベラルーシ

  • SD順位:10,得点:44.36
  • 楽曲:
    • Good, Bad, Angry by Vasili Bylnizkii
    • No Pop in the Oak by Vasili Bylnizkii
    • The Day Fingers Pickers Took Over the World by Vasili Bylnizkii
    • Riding Alone by Vasili Bylnizkii

昨季、ユースオリンピック6位。今季、JGPサン・ジェルヴェ10位。
RoLi4で、女性が上向きのポジションがきれいだった。CoSp4の回転が速い。CuLi4で、女性が足を4の字にしてるんだけど、あれ、あんまり美しく感じられないんだよな。難しいことやってるのは分かるけど。曲想が明るく、ラテンぽくなって、DiSt2。曲想の違いを表現していたけど、GOEマイナス。STw4はミラーで、回転が合っていた。
ステップのレベルは1、2。他のエレメンツは全てレベル4。
フリー64.27、総合108.63で、どちらもSB更新!

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●第3グループ
9 Darya POPOVA / Volodymyr BYELIKOV ポポワ&ベリコフ(ウクライナ

  • SD順位:7,得点:50.23
  • 楽曲:
    • Code Name Vivaldi
    • Adagio by Tomasino Albinoni
    • Storm by Antonio Vivaldi performed by Vanessa Mae

Stw3で男性がブレードをつかみ損ねたが、回転は合っていた。SlLi4は、音楽に動きが合っている。Sp4の回転が速い。
後半グループになると、ホールドのもたつきがなくなるので、ホールドが全然気にならなくなるなぁ。エレメンツの入りと出が自然で、流れに乗って、なめらかに滑っていた。
フリー68.39、総合118.62で、総合が自己ベスト更新!

10 Ria SCHWENDINGER / Valentin WUNDERLICH リア&ヴァレンティン(ドイツ)

  • SD順位:8,得点:47.79
  • 楽曲:Addams Family (soundtrack)

登場の仕方で、「これは面白そうなプログラム!」と思ったところで、テッドさんのコメントから「アダムズファミリー」と知り、期待が高まる。
ミラーのSTw3は、回転の速度がすごい。MiSt1はコミカルで優雅。CoSp4の回転速度が速く、ポジションも独創的。CuLi4で女性の腕がパタパタとおもしろい動き。RoLi4も回転が速くていいよー。CiSt1は弾むように楽しそうに滑っていた。ChLi1もコミカルで独創的。
このプログラム、おもしろいわー。好きだわー。
フリー68.87、総合116.66で、どちらとも自己ベスト更新!

11 Hannah WHITLEY / Elliott GRAHAM ホワイトリー&グラハム(カナダ)

  • SD順位:5,得点:50.68
  • 楽曲:
    • Ringa Ringa (from "Slumdog Millionaire" soundtrack) by A.R. Rahman
    • Tum He Ho (from "Ashiqui" soundtrack) by Arjit Singh
    • Sil Sila Ye Chahat Ka by Pyarelals Son Monty

ポリウッドっぽい振付がモリモリある、個性的で楽しいプログラムを、クリーンに演じていた。
ステップは両方レベル2。他は全てレベル4。ジャッジは誰一人マイナスをつけていない。
フリー74.70、総合124.38。

12 Sarah Marine ROUFFANCHE / Geoffrey BRISSAUD サラ・マリーヌ&ジョフリー(フランス)

  • SD順位:6,得点:50.44
  • 楽曲:
    • Beethoven's Last Night by Tranissiberian Orchestra
    • Chopin Nocturne performed by David Garrett
    • Toccata performed by David Garrett
    • Beethoven Scherzo performed by David Garrett

しっとりした音楽が中盤すぎまで続くのだが、最後に音楽が劇的に盛り上がるところで、きっちり動きを変化させ、音楽にハマっていてかっこよかった。
ステップのレベルは2、1。CuLi3、CoSp3と、レベルの取りこぼしがもったいない。彼らより下位の組も、大抵ステップ以外は、レベル4をそろえてるのに。
フリー73.20、総合123.64で、SD同様、FDもSB更新!
第3グループが終わった時点で、総合1位は、ホワイトリー&グラハム(カナダ)

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●第4グループ
13 Julia WAGRET / Mathieu COUYRAS ジュリア&マチュー(フランス)

  • SD順位:3,得点:52.49
  • 楽曲:
    • Under Pressure by Queen
    • How Can I Go On by Freddy Mercury, Montserrat Caballe
    • One Vision by Queen

ハードレザーとキラキラと黒レースの女性の衣装がセクシーでかっこいい。
あっという間に終わってしまった。すごいスピード感。特に、SlLi4のポジションチェンジの滑らかさが印象に残った。
ステップのレベルは2、1。他のエレメンツは全てレベル4。GOEも全てプラスだが、DiSt1で、-1をつけているジャッジが一人いる。何がダメだったんだろう?
フリー74.78、総合127.27で、SD同様、FDもSBおよび自己ベスト更新! 現時点で総合1位。男性が喜んでボルトポーズ連発(笑)。

14 Chloe LEWIS / Logan BYE ルイス&バイ(アメリカ)

  • SD順位:4,得点:51.04
  • 楽曲:
    • Rhapsody in Blue by Georges Gershwin
    • Embraceable You performed by Judy Garland
    • I've Got Rhythm performed by Judy Garland

初見のときは驚かされたが、2度目で慣れたのか、この次々違う曲に変わる、慌ただしい編曲が、自然に感じられるようになってきた。(笑)。
それぞれの曲想にばっちり合った動きができている。各要素のできばえも素晴らしい。
ステップは両方レベル2。他のエレメンツは全てレベル4。ジャッジが誰一人マイナスをつけておらず、0も3つだけ。
フリー81.09、総合132.13で、SD同様、FDもSB更新! 現時点で総合1位。

15 Anastasia SKOPTCOVA / Kirill ALESHIN スコプツォワ&アリョーシン(ロシア)

  • SD順位:2,得点:62.53
  • 楽曲:O Mar E Tu (Dueto com George Dalaras) by Dulce Pontes

CoSp4は、回転速く、ポジション美しい。SlLi4で、女性が男性の体の周りを背中側から一周する。Stw4のセカンドで、女性の回転にひやっとしたけど大丈夫。CiSt2はなめらか。RoLi4で、なんかすごいことやってる。MiSt2は、パーカッションがかっこいい。もっとチャキチャキ動いた方が曲想に合ってるんじゃないかなーと思った。ChLi1は、足を絡めてくるくる回るところが、ちょっと重たげ。
エレメンツの入りと出が自然で、プログラムの流れに溶け込んでいる。ボディームーブメントが非常にクリアーでなめらかだった。
ジャッジが誰一人マイナスをつけていない。0は2つだけ。
フリー85.92、総合148.45。現時点で総合1位。

16 Alla LOBODA / Pavel DROZD ロボダ&ドロースト(ロシア)

  • SD順位:1,得点:65.54
  • 楽曲:Malaguena by Ernest Lecuona

男女が向き合い、腰を曲げて頭のてっぺんをくっつけたポーズから始まるのだが、男性が指先で女性の体を突くような振付をするんだよね。これって闘牛プロなのかな。最後、女性は男性の足元に倒れるんだけど、闘牛同士が争って、最後、負けた方の牛が(女性)が倒れたという解釈でいいのだろうか。
Stw4の回転とキレがやばい。特にファースト。CoSp4、速っ。ポジションも独創的で美しい。リフトは両方曲想にバッチリ。DiSt2は、激しいんだけどまったく粗さを感じない。
ステップのレベルは3、2。他は全てレベル4。ジャッジは誰一人マイナスも0もつけておらず、ダンススピンには+3をつけたジャッジが二人いた。今大会FDで+3の評価を受けたのはこの組だけ。
貫禄の滑りだった。
フリー91.47、総合157.01。総合1位に決定。

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◆総合順位
アイスダンスの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SD順位、FD順位の順に記されている。

  1. Alla LOBODA / Pavel DROZD RUS 157.01 1 1
  2. Anastasia SKOPTCOVA / Kirill ALESHIN RUS 148.45 2 2
  3. Chloe LEWIS / Logan BYE USA 132.13 4 3
  4. Julia WAGRET / Mathieu COUYRAS FRA 127.27 3 4
  5. Hannah WHITLEY / Elliott GRAHAM CAN 125.38 5 5
  6. Sarah Marine ROUFFANCHE / Geoffrey BRISSAUD FRA 123.64 6 6
  7. Darya POPOVA / Volodymyr BYELIKOV UKR 118.62 7 8
  8. Ria SCHWENDINGER / Valentin WUNDERLICH GER 116.66 8 7
  9. Viktoria SEMENJUK / Artur GRUZDEV EST 14.34 9 9
  10. Rikako FUKASE / Aru TATENO JPN 111.55 11 10
  11. Irina GALIYANOVA / Tommy TANG CAN 109.51 12 11
  12. Emilia KALEHANAVA / Uladzislau PALKHOUSKI BLR 108.63 10 12
  13. Jenna HERTENSTEIN / Damian BINKOWSKI POL 101.84 13 13
  14. Katerina BUNINA / German FROLOV EST 96.36 14 15
  15. Emily ROSE BROWN / James HERNANDEZ GBR 96.05 15 14
  16. Anastasia OZEROVA / Nicholas MCCREARY AUS 78.96 16 16
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◆総評
ロボ&ドロは、他を寄せ付けない、圧勝だった。二連勝でファイナルを確定。
2位のスコ&アリョも、3位以下とは大きく差をつけた演技だった。3位&2位なので、ファイナル進出は難しそうだが、世界で一、二を争う過酷な国内選考が待っているので、それに向けて頑張ってほしい。
混戦の3位争いを制したのは、SD4位から逆転のルイス&バイ。順調にプログラムがブラッシュアップされているようで嬉しい。
10位の深瀬&立野は、一つ一つの試合を糧にしている印象を受ける。次に演技が見られるのは世界ジュニアかー。…長いなー。全日本ジュニアの演技、フルで放送してくれないかなー。
ステップの判定が厳しく、ロボ&ドロが1つレベル3を取った以外、1か2しかいなかった。そのためか、1戦目よりよかったと感じた演技でも、SBをなかなか更新できず。トップ2のロボ&ドロとスコ&アリョさえ出なかったもんなー。

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JGPファイナル確定者
さて、今大会の結果を受けて、JGPファイナル進出が確定した選手は、下記の通り。

  • ロボダ&ドロースト(ロシア)
    • 第4戦 モルドヴィア杯 優勝
    • 第6戦 タリン杯 優勝

昨季、JGPファイナル2位。さて、初優勝なるか。