GPスケートアメリカ2016 ペアFS

GPスケートアメリカ2016 リザルト
GPシリーズ第1戦のペアFSは、現地時間2016年10月22日(土)に行われた。
今季から、GPシリーズの滑走順が、抽選で決められることになった。FSは、SPの順位が低かった順に3人ずつ抽選して滑走順が決まるらしい。

上記のライストで、全組の演技を見た。滑走順に感想を書いている。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 マリッサ・キャステリ / マーヴィン・トランアメリカ)

  • SP順位:7,得点:61.17
  • 楽曲:Journey Medley
  • プログラム:○

ソロやスローなど、ジャンプ系のミスが目立ったが、スピードは出ていたし、つなぎに工夫があり、リフトに独創性が見られた。コレオのリフトがアイスダンスのリフトみたいでかっこよかった。
フリー110.78、総合171.95で、FSはSB更新!

2 タラ・ケイン / ダニエル・オシェイアメリカ)

  • SP順位:8,得点:57.93
  • 楽曲:
    • Son of India by Nikolai Rimski-Korsakov
    • Marche Slave by Petr I. Tchaikovski
  • プログラム:○

二人とも衣装が鎧姿でかっこいい。
ジャンプ系でミスが出たが、つなぎがモリモリ入っていて独創的だし、曲想に合っていて素敵な演技だった。
フリー115.57、総合173.50で、どちらもSB更新!

3 クリスティーナ・アスタホワ / アレクセイ・ロゴノフ(ロシア)

  • SP順位:5,得点:64.34
  • 楽曲:
    • The Storm by Balazs Havas
    • Le Bien qui fait mal (from "Mozart L'Opera Rock")
  • プログラム:?

ジャンプにも他の要素にもミスが出てしまっただけでなく、全体的に精彩に欠けた演技だった。プログラムについては、まだどうこう言えない感じ。SPは素敵だったんだけどなぁ…。
フリー110.18、総合174.52で、総合得点はSB更新!

4 ヴァレンティナ・マルケイ / オンドレイ・ホタレク(イタリア)

3TwBはきちんと抱えて下ろせなかった。ソロジャンプは3Lzと3S+3Tのシークエンスの予定だったが、どちらも回転が抜けてしまった。でも、高難度ジャンプ構成への挑戦は買いたい。PCoSp4は途中で回転がゆっくりになってしまった。リフトでは、女性が指先まできちんと神経の行き届いた演技ができている。
音楽は007とミッション・インポッシブル。どちらも名曲だけど、昨季のFSに引き続き、有名な曲の有名なフレーズをつないだ編曲で、ちょっと安易すぎやしないだろうか。というわけで、プログラムの評価は、今のところ保留。
フリー107.20、総合169.69。

第1グループが終わって、トップは、クリスティーナ・アスタホワ / アレクセイ・ロゴノフ(ロシア)。

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●第2グループ
5 ジュリアン・セガン / シャルリ・ビロドー(カナダ)

  • SP順位:3,得点:66.49
  • 楽曲:
    • Cinema Paradiso (soundtrack) by Ennio Morricone
    • Cinema Paradiso performed by Monica Mancini
  • プログラム:◎

3Tw4は、ちょっと抱えちゃって、GOE 0.00。FCCoSp4の回転はぴったり合っていたが、出が合わなかったため、-1をつけているジャッジが二人いた(GOE 0.17)。ミスらしいミスはこれくらいで、他の要素は誰一人マイナスをつけていない。
2つのリフトはどちらとも曲想に合った動きをしており、美しく優しい。PCoSp4の回転が速く、ポジションチェンジがフレーズに合っている。
ソロジャンプもスロージャンプも全てクリーンに着氷。すごすぎる!!
滑りもユニゾンも良くて、ジュニアのころから目を付けていたが、こんなにロマンティックな空気を醸し出せるようになるとは!! 男女とも髭つけてカウボーイEXとか滑ってた組と同一人物とは思えない!!(笑)
胸がきゅんきゅんしたわ〜。パン&トンが引退した今、ペアでムーディーな愛の物語を滑れる組は貴重!!
フリー130.82、総合197.31。現時点で総合1位。

6 ヴァネッサ・ジェームス / モルガン・シプレ(フランス)

  • SP順位:4,得点:65.78
  • 楽曲:Sound of Silence by Disturbed and Maxime Rodriguez
  • プログラム:○

3Tとスロー2本で転倒。素敵なところもあったんだけど、3回も転倒しちゃうとなぁ…。
二人とも悲しそう…。スロー4S、ナイスチャレンジだったよ。
静かな音楽が淡々と続くので、ハイライトを出すのが難しそうだが、これを滑りこなせるようになったら、ペアとして一段上のレベルに行けるのではなかろうか。頑張ってほしい。
フリー108.87、総合174.65。現時点で総合2位。
こら、シプレ! 女性を置いて先にキスクラからいなくなるのはダメだぞ!

7 ヘイヴン・デニー / ブランドン・フレイジャーアメリカ)

  • SP順位:2,得点:67.29
  • 楽曲:Somewhere in Time (soundtrack) by John Barry
  • プログラム:○

3S+2T<<と1Aでミスが出たが、他の要素は全てGOEプラス。
コレオの動きがとっても素敵だった。リフトは3つともなめらかでダイナミックで美しい。ペアスピンでの、女性のちょっとした所作が美しい。
満足いく演技に、ニッコニコのキスクラ。
フリー125.36、総合192.65で、どちらもSB更新! 現時点で総合2位。

8 エフゲーニャ・タラソワ / ウラジミール・モロゾフ(ロシア)

  • SP順位:1,得点:75.24
  • 楽曲:Music by John Miles
  • プログラム:○

冒頭の4Tw2は、高さがあったが、下ろしてすぐ女性が転倒。この転倒でリズムが狂ってしまったのか、他にもミスがぽろぽろと。クリーンなエレメンツも、彼らにしては質がさほど高くなかった。
SP同様、FSでも新しいことに挑戦しているので、ちょっと何かがかみ合わないと、こういうことになってしまうんだなー。でも、クワドツイスト、ナイストライだったよ。次も頑張って☆
フリー110.70、総合185.94。総合3位に決定。おお…表彰台に乗れてよかった…。

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◆総合順位
FSが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Julianne SEGUIN / Charlie BILODEAU CAN 197.31 3 1
  2. Haven DENNEY / Brandon FRAZIER USA 192.65 2 2
  3. Evgenia TARASOVA / Vladimir MOROZOV RUS 185.94 1 5
  4. Vanessa JAMES / Morgan CIPRES FRA 174.65 4 7
  5. Kristina ASTAKHOVA / Alexei ROGONOV RUS 174.52 5 6
  6. Tarah KAYNE / Danny O'SHEA USA 173.50 8 3
  7. Marissa CASTELLI / Mervin TRAN USA 171.95 7 4
  8. Valentina MARCHEI / Ondrej HOTAREK ITA 169.69 6 8
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◆総評
SPとFSで、順位にけっこう変動があったなぁ…。
セガン&ビロドーは、トリプルまでの構成だが、完成度の高さで勝負し、みごと優勝を決めた。GP初優勝、おめでとう。シニアに上がって、まだ2年目のシーズンなのにすごいわ〜。
総合2位のデニーフレイジャーは、SPでもFSでも、安定した演技を見せてくれた。二年ぶりに彼らの演技を見たが、怪我をしたのに、さらにパワーアップして戻ってきてくれた。嬉しい☆
3位のタラソワ&モロゾフは、SPで抜きん出た演技を見せていたので、優勝は間違いないだろうと思っていたら…嗚呼(泣)。勝負の世界は何が起こるか分からない。でも、彼らの実力を考えれば、ファイナル進出の可能性は十分あるので、2戦目に期待したい。
4位のジェームス&シプレは、昨季もその上達ぶりに目を見張ったものだが、今季はさらにうまくなっていると思う。ただ、昨季もそうだったのだが、彼らは本番になかなか実力を出し切れないんだよなぁ…。もどかしいぜ…。