GPロステレコム杯2016 男子FS

GPロステレコム杯2016 リザルト
GPシリーズ第3戦の男子FSは、現地時間2016年11月5日(土)に行われた。
ライストが見られなかったので、後日、テレ朝の放送で、全員の演技を見た。滑走順に感想を書いている。
テレ朝の解説は佐野稔さん、実況は角澤照治アナ。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 アレクサンドル・マヨロフ(スウェーデン

  • SP順位:11,得点:67.80
  • 楽曲:
  • Man With the Golden Arm (soundtrack) by Elmer Bernstein
  • From Russia With Love (James Bond soundtrack) by Elmer Bernstein
  • Peter Gunn Theme by Blues Brothers
  • プログラム:?

ステップで、何かよろよろしてて、変だなぁと思って見てたら、なんと、鼻血が出てきてしまったらしい。それでも頑張って最後まで滑り抜いた。
スピンのレベルは2、1V、2。ステップはレベル3。
途中から鼻血をこらえながらの演技になったので、残念ながら、どんなプログラムかは把握できず。次に演技が見られるのはユーロかー。怪我明けで大変そうだけど、焦らずじっくり調整してくれ。
フリー124.34、総合192.14。

2 田中 刑事(日本)

  • SP順位:10,得点:69.13
  • 楽曲:Federico Fellini Movies Soundtrack Medley by Nino Rota
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

冒頭の4Sはお手つき&ステップアウト、次の4Sは抜けてトリプルに。でもその後、2本の3Aをクリーンに着氷できたのは大きかった。できれば連続ジャンプを3つきっちり入れたかったなぁ。後半のジャンプに2Tを付けようと思えば付けられたように思うのだが。もったいなかった。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
ステップやコレオでは、彼の持ち味である歯切れのよさが存分に表れており、躍動感あふれる演技だった。
フリー155.78、総合224.91で、どちらもSB更新!

3 デニス・ヴァシリエフス(ラトビア

  • SP順位:12,得点:62.40
  • 楽曲:The Four Seasons by Antonio Vivaldi, recomposed by Max Richter
  • プログラム:○

後半のジャンプに抜けが出たり、連続ジャンプが2つしか入らなかったりしたが、3Aを2本、クリーンに着氷できた。夏に怪我をしたことを考えると、本当によく頑張ったのではなかろうか。
周防ピンのレベルは3、3、4。ステップはレベル4!
ステップはコレオ、スピンは相変わらず素敵☆ 特にステップでは、佐野さんが、「フリーレッグの動きがとてもよかった」と褒めていた。
フリー141.37、総合203.77。

4 アルトゥール・ドミトリエフ(ロシア)

  • SP順位:7,得点:76.06
  • 楽曲:Polovetsian Dances by Alexander Borodin
  • プログラム:?

クリーンな着氷のジャンプが少なく、連続ジャンプが2つしか入らなかった。全体的に、もっとスピードがほしいし、動きにキレとシャープさがほしい。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
動きに精彩を欠いていたので、プログラムの全貌はよくわからなかった。
フリー145.46、総合221.52で、どちらもSB更新!

5 ゴルデイ・ゴルシコフ(ロシア)

  • SP順位:9,得点:73.37
  • 楽曲:
  • プログラム:○

煉瓦模様が描いてある衣装。
クワドなしのジャンプ構成。なぜか3Loと3A、3Lzを2本ずつ跳んでしまったので、最後の3Loがノーバリューに(泣)。ジャンプをほぼクリーンに降りていただけに、もったいなかったわ〜。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
スピンが上手な選手だなぁ。音楽表現も素敵だった。
フリー150.14、総合223.51で、自己ベスト更新!

6 マックス・アーロン(アメリカ)

  • SP順位:8,順位:73.64
  • 楽曲:The Lion King (soundtrack) by Elton John
  • プログラム:?

4Sの着氷が乱れたのと、3A+2Tでシェイキーな着氷だった以外は、全ての要素でGOEプラスなのだが、正直、体調が悪いか怪我でもしているのかと、心配になる演技だった。彼にしては動きにキレがなく、スピードもあまり出ていなかった。
スピンは全てレベル3。ステップはレベル2。独創的な振付がたくさん見られたので、おもしろいプログラムになりそうな気配はするのだが。
フリー161.94、総合235.58で、どちらもSB更新!
第1グループが終わった時点で、総合1位はマックス・アーロン(アメリカ)。

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●第2グループ
7 エラッジ・バルデ(カナダ)

  • 楽曲:Blood Diamond (soundtrack) by James Newton Howard
  • プログラム:○
  • SP順位:6,得点:76.36

4T<と3A<で、GOEの減点があったが、他の要素はマイナスなし。3Loがダブルになってしまったのが惜しかった。
スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル2。
演技が終わった後、バルデが笑顔で「イエス!」 うん、この演技は、イエス!だ。しみじみ、いい演技だなぁと思った。特にコレオのスパイラルは、音楽のフレーズにマッチしていて、心打たれた。
「ふしぎ系の音楽だなぁ。ジャングルっぽい音楽というかアフリカっぽい」と思って聴いていたのだが、映画「ブラッド・ダイヤモンド」のサントラだったのか。
フリー149.09、総合225.45で、SB更新! 現時点で総合2位。

8 アレクセイ・ビチェンコ(イスラエル

  • SP順位:4,得点:86.81
  • 楽曲:Pagliacci by Ruggero Leoncavallo
  • プログラム:○

4T+3Tと4T、後半の3Aはクリーンに着氷。特に2本目の4Tは、すっっばらしかった! 2本目の3Aでステップアウトした後2Tを付けたが、連続ジャンプと認められず、2Tはノーバリュー。でもジャンプのGOEマイナスはそこだけ。
スピンのレベルは4、2、2。スピンでマイナスを出したジャッジがいるが、プラスも出されているので、GOEは加点されている。
ステップはレベル2。男性ヴォーカルが朗々と歌っているのを、あっさり滑っていたような。ここはもそっと表現してほしい。
楽曲は、過激「道化師」。泣き声とともに、泣く振付が入っているのだが、これは妻の浮気を知って泣くシーンなのか、それとも妻を殺した後、泣くシーンなのか。
グラントの「道化師」は、大輔くんの演技がオーバーラップしたが、ビチェンコさんのときには、ほとんど思い出さなかった。
フリー168.71、総合255.52で、SP同様、FDも自己ベスト更新! 現時点で総合1位。

あ、客席にトゥクタミちゃんが来てる。

9 シャフィク・ベセギエ(フランス)

  • SP順位:5,得点:80.68
  • 楽曲:
    • 300 BOF by Audio Machine
    • Tears of the Sun (soundtrack) by John Williams
    • Aeternae by Globus
  • プログラム:△

冒頭の4Tが抜けて、3T+3Tに。次の4Tはクリーンに着氷。1本目の3Aは手を付いてしまったが、2本目の3A+2T+2LoはOK。3Lzの予定がダブルに。3Feは、わたしの目から見ても分かるくらい、思い切りアウトサイドだった(苦笑)。
スピンのレベルは4、3、3。ステップはレベル3。
全身を大きく使って、キビキビと動けていたが、これまでと同じようなジャンルの選曲だし、振付も似たような感じで、新鮮味に欠けるんだよなぁ。
フリー143.30、総合223.98。現時点で総合5位。

10 ミハイル・コリヤダ(ロシア)

  • SP順位:3,得点:90.28
  • 楽曲:
    • La reve de la fiancee (from "La fiancee aux yeux de bois") by Jean Marc Zelwer
    • A la lune (from "La Nouba" - Cirque du Soleil)
  • プログラム:○

4Tでオーバーターンしたが、なぜかGOEプラス。3Lzの転倒があり、他にもいくつかジャンプの着氷に乱れや抜けがあり、連続ジャンプが2つしか入らなかった。
スピンのレベルは4、2、3。ステップはレベル2。
佐野さんが、「たいへんな体力を必要とするプログラムで、非常に緻密に作られている。それをよく演じていた」と褒めていた。
ジャンプのミスはあったものの、動作の一つ一つがシャープでクリアーで、とっても素敵な演技だった。
フリー155.02、総合245.30で、どちらもSB更新! 現時点で総合2位。
ビチェンコさんが!! 初めてGP表彰台に!!

11 宇野 昌磨(日本)

  • SP順位:1,得点:98.59
  • 楽曲:
    • Buenos Aires Hora Cero by Astor Piazzolla
    • Barada para un loco by Astor Piazzolla
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

予定のジャンプ構成を書き出してみよう。
4F 4T 3Lo(ここから後半)3A+3T 4T+2T 3Lz 3A+1Lo+3F 3S
実際は、前半3つのジャンプはクリーンな着氷だったものの、後半の3Aで着氷が乱れ、3Tが付けられず。4Tは転倒。3Lzは!が付いた。3A+1Lo+3Fは素晴らしい。3SもOK。
GPアメリカに引き続き、連続ジャンプが1つしか入らず。3Lzと3Sを連続ジャンプにできるとよかったのだが。
スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル3。
ジャンプのミスはあったけど、「そんなんどうでもよくってよ☆」と言いたくなるほど、素晴らしい演技だった。特にステップは、彼のブレードから音楽が流れてるんじゃないかと思えるほど。
フリー186.48、総合285.07で、総合得点は自己ベスト更新! 現時点で総合1位。

12 ハビエル・フェルナンデス(スペイン)

世界チャンピオンのジャンプ構成(予定)も書き出してみよう。
4T 4S+3T 3A+2T(ここから後半)4S 3A 3Lz 3F+1Lo+3S 3Lo
実際は、2本目の4Sがシェイキーな着氷になったので、多分3Tの予定なのを2Tに変えてクリーンな着氷に。他は予定通りにきれいに降りていた。
スピンのレベルは4、4、2。ステップはレベル3。
余裕たっぷりに軽々と楽しそうに演じており、これぞトップオブトップの滑りといった貫禄があった。
前半のコレオで、指を鳴らす振付が入っているのだが、そこがめっちゃかっこいい。ま、演技すべてがかっこいいんだけどね。SP同様、語彙に乏しいせいで「かっこいい」としか言いようがないのだが、どれくらいかっこいいかというと、どこかの山頂から出せる限りの大声で、
「ハビ、かっこいいーーーー!!!!」
と叫びたいくらいかっこよかった(笑)。
フリー201.43、総合292.98。総合1位に決定。

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◆総合順位
男子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Javier FERNANDEZ ESP 292.98 2 1
  2. Shoma UNO JPN 285.07 1 2
  3. Alexei BYCHENKO ISR 255.52 4 3
  4. Mikhail KOLYADA RUS 245.30 3 6
  5. Max AARON USA 235.58 8 4
  6. Elladj BALDE CAN 225.45 6 8
  7. Keiji TANAKA JPN 224.91 10 5
  8. Chafik BESSEGHIER FRA 223.98 5 10
  9. Gordei GORSHKOV RUS 223.51 9 7
  10. Artur DMITRIEV RUS 221.52 7 9
  11. Deniss VASILJEVS LAT 203.77 12 11
  12. Alexander MAJOROV SWE 192.14 11 12
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◆総評
優勝はハビ。GP初戦のFSでもう200点出してきた。凄すぎ! かっこよすぎ! ジャンプを見るに、「まだまだこれから調子を上げていくぜ!」という過程にあると思うのだが、さほどクリーンに跳べなくても、その場ですぐ加点の取れる着氷に修正できるんだよね。
総合2位は昌磨くん。ファイナル進出おめでとう☆ 今、ゆづ&ハビの二強に、もっとも近くまで迫っている選手だと思う。
3位はビチェンコさん。28歳にして、初のGP表彰台! おめでとう〜☆ FSではPB更新したけど、連続ジャンプは2つまで、レベルの取りこぼしも多かったし、まだまだ伸びしろがたっぷりあるんだよね。次のNHK杯も、表彰台目指して頑張れ〜☆
4位のコリヤダくんは、初のGP表彰台のチャンスだったんだけどな〜、惜しかった。次のNHK杯で、リベンジ頑張って☆
6位のバルデくんは、いつの間にか、味わい深い、大人の滑りができるようになっていて驚いた。次はいつ演技が見られるだろう。Jスポーツで、カナダの国内選手権、放送してくれるといいのだが。
7位の刑事くんは、SPでもFSでも四回転が決まらず、悔しそうだったけど、3Aは安定して降りていたし、演技自体はとっても素敵だった。次のNHK杯が楽しみである。
12位のヴァシリエフスくんは、今季からGP初参戦だし、新コーチがステファンだしで、個人的に大注目☆の選手だったのだが、怪我明けでジャンプがまた本調子でないようだ。次のNHK杯では調子が上がってるといいなぁ。

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GPファイナル確定者
今大会の結果を受けて、ファイナル進出が確定した選手は、下記の通り。

  • 宇野 昌磨(日本)
    • GP スケアメ 優勝
    • GP ロステレ 2位

ファイナル進出は、昨季に引き続き2回目。昨季は3位だった。