GPロステレコム杯2016 女子FS

GPロステレコム杯2016 リザルト
GPシリーズ第3戦の女子FSは、現地時間2016年11月5日(土)に行われた。
今季から、GPシリーズの滑走順が、抽選で決められることになった。FSは、SPの順位が低かった順に3人ずつ抽選して滑走順が決まるらしい。
ライストは見られなかったので、後日、テレ朝の放送で全員の演技を見た。滑走順に感想を書いている。
テレ朝の解説は織田信成さん、実況は清水俊輔アナ。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 アンゲリーナ・クチヴァルスカ(ラトビア

  • SP順位:11,得点:54.29
  • 楽曲:
    • O Fortuna (from "Carmina Burana") by Carl Orff
    • Ameno Dorime by Enigma/Era
    • The Mass by Era
  • プログラム:△

実況陣に指摘されていた通り、最初は勢いがあったのだが、中盤のステップでスピードが落ちて、動きが悪くなってしまった。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
昨季と比べ、調子は落としているが、GPスケアメよりは上向きになってきたもよう。
フリー96.80、総合151.09で、SB更新!

2 ロベルタ・ロデギエーロ(イタリア)

3Lz+2Tのルッツに!が。他にも着氷が乱れたり抜けたりしたジャンプがいくつかあったが、織田くんが、「彼女はしっかり回ってジャンプを降りるし、ジャンプに流れがある」と褒めていた。
スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル3。
小粋でキュートなプログラムなのだが、全体的に動きが硬いというかぎこちないんだよなぁ。でも、GPスケアメから完成度は上がってきた感じ。
フリー107.23、総合159.80。

3 村上 佳菜子(日本)

  • SP順位:10,得点:55.25
  • 楽曲:E lucevan le stelle (from "Turandot") by Giacomo Puccini
  • プログラム:○

楽曲名、「トゥーランドット」のまま直ってないなぁ(汗)。
ジャンプに3つ<<が付き、2Aが2本ともシングルになり、連続ジャンプは2つだけとなると、やはりTESは伸びず。
スピンとステップは全てレベル4。
GPスケアメのときは、プログラムにイマイチな印象を受けていたが、この演技でそれが変わった。音楽のフレーズに彼女の動きがぴったり合っており、「トスカ」の物語をドラマティックにしっかりと演じていた。
フリー95.78、総合151.03。

4 ニコル・ライチョヴァー(スロバキア

  • SP順位:8,得点:57.91
  • 楽曲:Rain In Your Black Eyes by Ezio Bosso
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

<や<<が付くジャンプや、着氷がクリーンでないジャンプもあったが、なめらかかつクリアーでキレのある動きは、見ていて気持ちよかった。
スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル3。
今季も彼女に似合う、素敵なプログラムを作ってきてくれた。
フリー109.65、総合167.56で、どちらもSB更新!

5 松田 悠良(日本)

  • SP順位:7,得点:61.57
  • 楽曲:Spanish Caravan by The Doors
  • プログラム:

な、なんじゃ、この衣装は!? 一目見るなりビビる。かーなーりー個性的なデザイン。赤やオレンジなどを基調にしたヒラヒラがたくさん付いている。タイツもよくある普通の肌色じゃなくて、赤味を帯びた肌色。「火の鳥」を滑るのかと誤解したよ(汗)。
2A+3T<+3Loは、決まると見栄えがするなぁ! 3Lzにeが、3Sに<が付いたけど、見た目ほぼノーミスの演技だった。
スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル3。
FCSp3は回転がゆっくりに。CCoSp4は、最後のビールマンで軸が少しぶれ、回転がゆっくりになってしまった。
スピードに乗って、のびのびと滑れていたと思う。
フリー116.08、総合177.65で、フリーは自己ベスト更新!

6 アナスタシア・ガルスチャン(アルメニア

  • SP順位:9,得点:55.93
  • 楽曲:The Colour of the Night by Lauren Christy
  • プログラム:△

<が4つのジャンプに刺さっている。彼女の課題は、回転不足だからなぁ。
スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル2。
ボディームーブメントは、優雅で美しく、力強さも出せていたが、スピードがなかった。
織田くん曰く、「ジャンプを4つ跳んでから、スピンを1つ入れた後、またジャンプが続けて3つ跳ぶ構成だが、もっとウェルバランスなプログラムを作るべきでは。それと、ジャンプを跳ぶ場所がリンクの真ん中に集中しているが、いろんな場所でバランスよくジャンプを跳ぶのが望ましい」とのこと。
フリー103.33、総合159.26で、どちらもSB更新!

第1グループが終わった時点で、総合1位は、松田 悠良(日本)。

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●第2グループ
7 エリザヴェート・トゥルシンバエワ(カザフスタン

  • SP順位:4,得点:64.31
  • 楽曲:Princess Mononoke by Joe Hisaishi
  • プログラム:○

着氷でバランスを崩すジャンプがいくつかあった。スピンのレベルは2、3、4。ステップはレベル3。体は最後までよく動いていた。
SPは小柄で小回りが利くところを最大限に生かしたプログラムだったが、FSは「もののけ姫」の壮大な音楽を使っているので、彼女の小ささがちょっと目立ってしまう。
フリー117.01、総合181.32で、どちらもSB更新!

8 ジジュン・リー(中国)

  • SP順位:5,得点:63.89
  • 楽曲:Only For Love by Tan Dun
  • プログラム:?

<が付いたジャンプが2つあり、ルッツがダブルになってしまったが、見た目はほぼノーミスの演技だった。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル2。
一つ一つ丁寧にエレメンツを行っているように見えたが、スピードが出ておらず、動きにシャープさが欠けていた。
織田くん曰く、「膝や足首が柔らかく使えるようになると、ステップでレベルが取れるし、スピードが出るようになる」とのこと。
フリー117.94、総合181.83。

9 コートニー・ヒックス(アメリカ)

  • SP順位:6,得点:63.68
  • 楽曲:The Hunchback of Notre Dame (soundtrack) by Alan Menken
  • プログラム:○

3F+2Tでオーバーしたのと、3Lo+1Tでセカンドが抜けたところでGOEマイナス。それ以外は全ての要素で加点されていた。
スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル3。
織田くんが彼女のジャンプの高さを褒めていた。確かに、見ていて爽快なジャンプだよなぁ。
難解なSPとは一変して、分かりやすく盛り上がれるプログラムだった。躍動感と力強さがあり、いい演技だったと思う。
フリー119.30、総合182.98で、フリーは自己ベスト更新! 現時点で総合1位。

10 ユリア・リプニツカヤ(ロシア)

  • SP順位:3,得点:69.25
  • 楽曲:Kill Bill (soundtrack)
  • プログラム:?

演技の途中で足を痛めてしまい、演技中断を経て、再開したものの、棄権した方がいいんじゃないかと思うほど、辛そうだった。
フリー78.88、総合148.46。現時点で総合10位。

11 エレーナ・ラジオノワ(ロシア)

  • SP順位:2,得点:71.93
  • 楽曲:Turandot by Giacomo Puccini
  • プログラム:○

昨季に引き続き、ジャンプに苦戦しているようで、3Loの転倒があり、加点がたくさんもらえるようなジャンプが跳べなかった。スピンも、彼女にしては不安定で、あまり質が高くなかった。
スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル2。
音楽表現やボディームーブメントは素晴らしいし、曲想をよく表現していた。プログラムも、ロシア名物トンデモ編曲ではなく、わりとまともで安心した(笑)。
フリー123.67、総合195.60。現時点で総合1位。

12 アンナ・ポゴリラヤ(ロシア)

  • SP順位:1,得点:73.93
  • 楽曲:
    • Modigliani Suite by Guy Farley
    • Le Di a la Caza Alcance by Estrella Morente
    • Memorial Requiem by Michael Nyman
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

ピンクとグレーが入り混じった、彼女にしか着こせない前衛的なデザインの衣装。でも彼女が着てると映えるんだよねぇ☆
3Fにeが付いたが、見た目ノーミスの演技だった。スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル4!
プログラムの中にエレメンツが溶けこんでいる。音楽との一体感も申し分なく、。流れるようなスケ―ティングが美しい。
フリー141.28、総合215.21で、フリーはSB、総合得点は自己ベスト更新! 総合1位に決定。

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◆総合順位
女子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Anna POGORILAYA RUS 215.21 1 1
  2. Elena RADIONOVA RUS 195.60 2 2
  3. Courtney HICKS USA 182.98 6 3
  4. Zijun LI CHN 181.83 5 4
  5. Elizabet TURSYNBAEVA KAZ 181.32 4 5
  6. Yura MATSUDA JPN 177.65 7 6
  7. Nicole RAJICOVA SVK 167.56 8 7
  8. Roberta RODEGHIERO ITA 159.80 12 8
  9. Anastasia GALUSTYAN ARM 159.26 9 9
  10. Angelina KUCHVALSKA LAT 151.09 11 10
  11. Kanako MURAKAMI JPN 151.03 10 11
  12. Julia LIPNITSKAIA RUS 148.13 3 12
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◆総評
優勝したポゴさんは、強く、美しかった。彼女は浮き沈みの激しいタイプなので、試合ではいつも両手を握りしめて「今日は大丈夫…?」と祈るような気持ちで見ちゃうんだけど、もう大丈夫って思っていい? でもこないだのフィンランディア杯では、FSで崩れてたしな…。ま、とにかく優勝おめでとう☆ FSにはズンドコビートが入ってなくて、ほっとしたよ!(泣笑)
総合2位はラジオノワさん。ジャンプの調子が悪くたって何だって、演技をまとめてGP表彰台に上がれるところが彼女の凄さ。成長した体のコントロールに苦しんでいるようだけど、どうか踏ん張ってほしい。
3位は逆転表彰台のコートニー。ジャンプの高さ、エッジエラーや回転不足がとられないところは、大きな強みなので、あとは安定感かなー。表現面は年々素敵に成長しているので、安定して良い演技ができれば、PCSの評価も高まると思う。
4位のジジュンは、FSにおけるスタミナ問題がまだ解決されていないもよう。徐々に改善してはいるのだが。
5位のトゥルちゃんは、SPで得意なものを、FSではさらなる成長のための矯正プロを用意していて、バランスが取れていて、いいなと思う。
6位の悠良さんは、初めてのGPで、堂々と演技していて、素晴らしいデビュー戦だった。
7位のニコルは、動きがシャープでクリアーで、見ていてほんと気持ちのいい選手。SPもFSも素敵なプログラムなので、どんなふうに進化していくのか楽しみだ。
11位の佳菜子ちゃんは、ジャンプの不調の原因が不明というのが気がかりだ。音楽表現やスケーティングはすばらしいだけにもどかしい。
12位のリプさんは、とにもかくにもおだいじに。一刻も早く回復して、国内選手権には万全の状態で臨めますように。
今大会に出場した中で、GP2戦目がNHK杯という選手がけっこういるんだよね。悠良さんにトゥルちゃん、ポゴさん、ニコル。特にポゴさんは、われらが日本のエース、宮原さんと優勝争いをくり広げることになりそう。ワクワクするわ〜。