GPフランス杯2016 男子FS

GPフランス杯2016 リザルト
GPシリーズ第4戦の男子FSは、現地時間2016年11月12日(土)に行われた。
ライストが見られなかったので、後日、全員の演技を動画で見た。滑走順に感想を書いている。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 アルトゥール・ドミトリエフ(ロシア)

  • SP順位:11,得点:64.48
  • 楽曲:Polovetsian Dances by Alexander Borodin
  • プログラム:?
  • 動画:YouTube

ジャンプはほぼきれいに着氷していた。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
ゆ〜っくり滑っている印象を受けた。スピードが最初からあまり出ていなかったし、終盤スタミナ切れを起こしてからは、さらに顕著だった。
フリー154.22、総合218.70で、フリーはSB更新!

2 イワン・リギーニ(イタリア)

  • SP順位:10,得点:68.42
  • 楽曲:
  • プログラム:?
  • 動画:YouTube

演技の途中で右足を痛めてしまったらしく、ジャンプを一つ飛ばした。でも、そんな中、終盤のコレオは体を大きく動かして激しい曲想を表していたと思う。よく頑張った。おだいじに。
フリー117.39、総合185.81。

3 シャフィク・ベセギエ(フランス)

  • SP順位:7,得点:77.00
  • 楽曲:
    • 300 BOF by Audio Machine
    • Tears of the Sun (soundtrack) by John Williams
    • Aeternae by Globus
  • プログラム:△
  • 動画:YouTube

2本目の4Tの予定が抜けてトリプルになったのと、3Fに!が付いた以外、他の要素にはマイナスなし。連続ジャンプは2つしか入らなかった。
スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
最後までよく体は動いていたのだが、わたし、このプログラムにあまりおもしろみを感じられなくて…。
フリー148.02、総合225.02で、どちらも自己ベスト更新!

4 ブレンダン・ケリー(オーストラリア)

  • SP順位:9,得点:70.67
  • 楽曲:Pirates of the Caribbean (soundtrack) by Hans Zimmer, Klaus Badelt
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

冒頭の4Tが抜けてトリプルに。他にもジャンプにいくつかミスが出てしまった。
スピンのレベルは3、3、4。回転がゆっくりになったり、トラベリングしたりと、質が良くなかった。
ステップはレベル3。力強い曲想をよく表していた。
フリー128.73、総合199.40。

5 ミーシャ・ジーウズベキスタン

  • SP順位:8,得点:72.49
  • 楽曲:The Nutcracker by Petr I. Tchaikovski
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

4T<の転倒、3Lz+3T<以外の要素では、GOEマイナスなし。スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル3。
フリー156.57、総合229.06で、フリーはSB更新!
ポジションやラインが美しく優雅。ゆったりと丁寧な演技だった。そういう曲想だから、表現としては正しいと思うのだが、最後のコレオで力強さや激しさが出てくるまでは、やや単調な印象を受ける。

第1グループが終わった時点で、総合1位はミーシャ・ジーウズベキスタン)。

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●第2グループ
6 アダム・リッポンアメリカ)

ついに!! ついにアダムが!! 4Tをクリーンに降りた!! アルプスの少女ハイジの「クララが立った!!」ぐらいの衝撃と歓喜!! おめでとうアダム!! よかったねアダム!!(感涙)
他のジャンプも全てクリーンに着氷。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。全ての要素でジャッジが誰一人マイナスを出さない出来栄えだったが、特にスピンの素晴らしさときたらもう。うっとり見入ってしまう。
鳥っぽさが増していた。終盤のコレオは自由に天空を舞う鳥のよう。
場内スタオベ。
フリー182.28、総合267.53で、どちらも自己ベスト更新! 現時点で総合1位。

7 無良 崇人(日本)

  • SP順位:6,得点:78.38
  • 楽曲:Piano Concerto No. 2 by Sergei Rachmaninov
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

衣装がすっきりしたように思ったけど、実際は黒手袋を外しただけだった。これだけでもずいぶん印象が変わるもんだなぁ。手袋をしていないほうが、手や指の美しさが引き立って、いいと思う。
3Fにeが付いたことと3Lzの転倒以外は、全ての要素でプラス評価。スピンのレベルは3、4、3。ステップはレベル4!
4Sをトリプルにしたけど、4T2つと3A2つをクリーンに着氷できたのは大きい。特に3Aは両方とも素晴らしい出来栄えだった(GOE 2.00)。
ステップがすごく素敵になっていた。滑りこんでいけば、この先もっともっと素敵なプログラムになりそう☆
フリー170.04、総合248.42で、フリーはSB更新! 現時点で総合2位。

8 ヨリク・ヘンドリクス(ベルギー)

  • SP順位:5,得点:80.34
  • 楽曲:The Battle of Life and Death ("Gods and Demons" by Future World Music)
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

3Aの転倒や2Lz、3Fのオーバーターンなど、ミスはあったが、曲想の変化をみごとに表現していて、とても素敵な演技だった。
スピンは全てレベル4。回転が速く、軸がぶれず、ポジションが美しい。ステップはレベル3。
フリー150.13、総合230.47で、総合得点はSB更新! 現時点で総合3位。

9 ネイサン・チェン(アメリカ)

  • SP順位:2,得点:92.85
  • 楽曲:Polovtsian Dances (from "Prince Igor") by Alexander Borodin
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

彼が挑んだジャンプ構成を確認してみよう。
4Lz+3T 4F 4S 4T 4T 2A 3F+3T-2Lo 3Lz
…ネイサンて、3A苦手だったのか。SPも意図的に2Aを跳んだんだな。まぁ3Aがなくても、すごい高難度ジャンプ構成である。クワド4種類を5回跳ぶって。3回転より4回転が多い。多分4Tのどちらかに2Tを付ける予定だったんだと思う。
4Sと4Tの転倒、2度目の4Tはお手つき、後半ジャンプの着氷は乱れたが、冒頭の4Lzと4Fは、素晴らしい出来栄えだった。
スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル3。コレオとステップは、彼の体が音楽を奏でているかのよう。
5クワドやって2回転倒しているのに、最後までスタミナ切れしないのがすごい。今季が本格的シニア参戦のシーズンなのに、ものすごい体力の持ち主だ。
一つ気になったのは、プログラムのウェルバランスが良くないんじゃないかなーということ。ジャンプ4連発→コレオ→ジャンプ4連発→スピン→ステップ→スピン2連発と、ジャンプの配置が固まってるんだよね。
フリー171.95、総合264.80で、どちらも自己ベスト更新! 現時点で総合2位。

10 デニス・テンカザフスタン

軸が曲がったり、ちょっとバランスを崩すようなジャンプがいくつかあったけど、GOEで減点されるほどではなかった。ちょこちょこ怪我の影響を感じるぎこちなさはあったが(あくまで本人比の話ね)、彼がシーズン初戦でこんなにまとめた演技をするのは初めて見るかも。
スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル4!
彼が「トスカ」を滑るとなれば、そりゃ素敵に決まってると思っていたが、その予想通りの演技だった。近いうちにわたしの予想なんぞはるかに超える演技を披露してほしい。
フリー180.26、269.26。現時点で総合2位。

11 ハビエル・フェルナンデス(スペイン)

ハビが挑んだジャンプ構成は下記の通り。
4T 4S+2T 3A+2T 4S 3A 3Lz 2F+1Lo+3S 3Lo
GPロステレ同様、セカンドに3Tを付けられず、残念。単発の3Aで転倒、3Fがダブルになってしまったが、3つのクワドはしっかり決めた。
スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル3。
終盤、明らかに疲れてるんだなーというのが伝わってきたが、それでも危なげなく勝つ演技ができるのがトップオブトップの証。
フリー188.81、総合285.38。総合1位に決定。

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◆総合順位
男子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Javier FERNANDEZ ESP 285.38 1 1
  2. Denis TEN KAZ 269.26 3 3
  3. Adam RIPPON USA 267.53 4 2
  4. Nathan CHEN USA 264.80 2 4
  5. Takahito MURA JPN 248.42 6 5
  6. Jorik HENDRICKX BEL 230.47 5 8
  7. Misha GE UZB 229.06 8 6
  8. Chafik BESSEGHIER FRA 225.02 7 9
  9. Artur DMITRIEV RUS 218.70 11 7
  10. Brendan KERRY AUS 199.40 9 10
  11. Ivan RIGHINI ITA 185.81 10 11
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◆総評
優勝のハビは、1位&1位でファイナル進出確定、おめでとう! ファイナルでもまた超絶かっこいい演技を見せてください。期待してます☆
総合2位のデニスは、初のGP表彰台…だよね? おめでとう! オリンピックやワールドのメダル獲得後に、GPの初表彰台という稀有なケース(笑)。SPはトンデモ編曲のネタプロ、FSは王道中の王道プロという、すばらしい振り幅のデカさ(笑)。怪我はもう大丈夫なのかな?
3位のアダムは、何年も挑み続けていたクワドに初成功!! ずっと苦手だった3Aも安定して決まるようになったし、彼の長年の努力が報われつつあって、本当にうれしい。
4位のネイサンは、ジュニアのころから総合的に優れたスケーターだったが、そこに今季から4Lzと4Fが加わり、まさに、「鬼に金棒」である。ここ数シーズン、怪我のためにフルに試合に出られていないので、とにもかくにも体には気をつけて。今季こそはシーズン最後まで活躍する姿が見たい。
5位の無良くんは、捻挫からまだ全快していないだろうに、素晴らしいFSの演技を見せてくれた。早く怪我が治り、全日本に向けて、万全の状態で練習できますように。

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GPファイナル確定者
今大会の結果を受けて、ファイナル進出が確定した選手は、下記の通り。

これまで4回出場し、ここ2年連続2位。今季こそ、優勝なるか。