GP中国杯2016 女子FS

GP中国杯2016 リザルト
GPシリーズ第5戦の女子FSは、現地時間2016年11月19日(土)に行われた。
今季から、GPシリーズの滑走順が、抽選で決められることになった。FSは、SPの順位が低かった順に3人ずつ抽選して滑走順が決まるらしい。

上記のライストで、全員の演技を見た。滑走順に感想を書いている。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 ヨシ・ヘルゲソン(スウェーデン

  • SP順位:12,得点:49.25
  • 楽曲:
    • Endangered Species performed by Dianne Reeves
    • Composition of Rayshaun by RayShaun Thompson
  • プログラム:○

クリーンに着氷できたジャンプがほとんどなかったのでは。スピンのレベルは4、3、3V。ステップはレベル4!
彼女にお似合いの素敵プロなんだけど…ジャンプがなぁ(ため息)。
フリー95.39、総合144.64。

2 ジークァン・ジャオ(中国)

  • SP順位:10,得点:58.20
  • 楽曲:Song of India (from "Sadko") by Nikolai Rimski-Korsakov
  • プログラム:△

<が5つのジャンプに刺さっている。素人目にも回転不足とわかるくらいだったからなぁ。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
SPでは情感を感じられるようになっていたのだが、FSではまた「淡々と滑るマン」に戻ってしまっていた。せっかく美しい旋律の音楽なのにもったいない。
ゆったりした動きが得意みたいだけど、ずっとその調子で滑っていると、単調で飽きるから、もそっと力強さやシャープさが出せるようになるといいな。
フリー90.92、総合149.12で、総合得点は自己ベスト更新!

3 シャンニン・リー(中国)

  • SP順位:11,得点:54.55
  • 楽曲:Princess Mononoke by Joe Hisaishi
  • プログラム:○

いかにも「もののけ姫」な衣装。
3Lo<の転倒をはじめ、他のジャンプにも着氷の乱れや回転不足が見られたが、成功したジャンプはきれいだった。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
今はまだジュニアっぽい滑りだけど、スパイラルやスピンのラインやポジションが美しく、のびやかな所作が素敵。これからの成長が楽しみだ。
フリー102.72、総合157.27で、どちらも自己ベスト更新!

4 コートニー・ヒックス(アメリカ)

  • SP順位:8,得点:59.86
  • 楽曲:The Hunchback of Notre Dame (soundtrack) by Alan Menken
  • プログラム:○

ブルーの衣装がきれい。
ジャンプでいくつかミスがあった。スピンのレベルは4、2、2と取りこぼしている。ステップはレベル4! ステップは、一つ一つの動きがクリアーで明確で、コレオは音楽の盛り上がりにハマった動きが爽快だった。
プログラムの完成度は増していると思うので、あとはジャンプやスピンなど、エレメンツの精度を高めていければ。
フリー103.78、総合163.64。

5 ジジュン・リ(中国)

  • SP順位:7,得点:61.32
  • 楽曲:Only For Love by Tan Dun
  • プログラム:?

213。2A+3Tよ。ステップ。3転倒。3Loオーバー。32。3回転。2Sオーバー。コレオ。スピン。スピン。
3Lz<は!が付いた上に転倒。他にも着氷の乱れやアンダーローテがあった。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。後半はやや疲れが見えたかなぁ。
このプログラム、見るのは2度目だが、今のところ何とも言えない感じ。悪くないんだけど、とりたてて素敵だなぁと感じる部分もないんだよねぇ。新たな挑戦なのかなとは思うんだけど。
フリー111.08、総合172.40。

6 カレン・チェン(アメリカ)

冒頭の3Lz+3T<はファーストの高さが素晴らしいだけに、セカンドのアンダーローテが惜しい。3Feは転倒。2A+1Lo+3Sもファーストの幅がすごい。後半、2本目の3Lz<以外は、ジャンプがきれいに決まっていた。
スピンは全てレベル4。特に最後のLSp4は超高速回転だった。ステップはレベル3。コレオのたっぷりスパイラルはほんと眼福。このプログラムの見所の一つだ。
シャープで力強い動きで音楽をよく表現していた。強い音一つ一つにビシバシはまる動きが小気味よい。
フリー121.11、総合179.39で、どちらも自己ベスト更新!

第1グループが終わった時点で、総合1位はカレン・チェン(アメリカ)。

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●第2グループ
7 エリザヴェータ・トゥクタミシェワ(ロシア)

  • SP順位:4,得点:64.88
  • 楽曲:Peer Gynt by Edvard Grieg
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季のプログラムに戻した。
黒いスケスケ衣装。右側がガウンみたいな形状になっていて、動きにくくないののかな〜と思うけど、死の御使いっぽくて、彼女に似合ってる。
ミスは、2本目の3Lzの予定がダブルになってしまったのと、3S+2Aのファーストでバランスを崩したところだけ。
スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル3。コレオでは、おどろおどろしく激しい曲想をよく表現していた。
高熱が下がったばかりというのが嘘のように動きが軽い。
フリー127.69SB、総合192.57SB! 現時点で総合1位。

8 アシュリー・ワグナーアメリカ)

<が6つのジャンプに刺さり、連続ジャンプが2つしか入らなかった。着氷も乱れもあり、3Lz<は!つき。スピンのレベルは4、2V、3Vと取りこぼし。ステップはレベル3。
テクニカルなミスは多々あったが、それでも、しみじみこの曲のよさを感じさせてくれる演技だった。
フリー117.02、総合181.38。現時点で総合2位。

9 本郷 理華(日本)

  • SP順位:6,得点:63.63
  • 楽曲:Lawrence of Arabia (soundtrack) by Maurice Jarre
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

SPでもそうだったけど、最近、とみに彼女の美しさに磨きがかかってないですか? じーっと見入ってしまう。<が2つ、<<が1つ。3Lzに!が付いた。スピンのレベルは3、4、4。回転がもそっと速くなるといいな。加点が0か1だけなんだよね。ステップはレベル3。
スピードは出ていたと思う。ステップやコレオで体を大きく動かしていて、音楽にも合ってるんだけど、何かもうちょっとどうかすると、ぐんと印象が深まりそうな気がする。
フリー118.12、総合181.75で、どちらもSB更新! 現時点で総合2位。

10 エレーナ・ラジオノワ(ロシア)

こらえるジャンプもいくつかあったが、「ぜったい抜けない! 転ばない!」という強い意思を感じた。スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル3。ステップは緩急をつけて自由自在に動けていた。
音楽表現ではどんどん素晴らしくなっている。これでジャンプの質が高まれば、得点もさらに伸びてくるだろう。
フリー135.15SB、総合205.90SB。現時点で総合1位。

11 ケイトリン・オズモンド(カナダ)

  • SP順位:1,得点:72.20
  • 楽曲:
    • Mimi Tells Her Story (from "La Boheme - The Ballet") by G. Puccini, arranged by K. Hocking
    • Sono Andati (from "La Boheme") by Giacomo Puccini
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

3Lo<の転倒あり、他にも着氷の乱れたジャンプがいくつかあった。軸が曲がってもクリーンに着氷できる能力はすごい。
スピンのレベルは4、2、4。ステップはレベル3。ステップでは音やリズムに動きが全部合っていた。
コレオでは、スパイラルやバレエジャンプ、イーグルを巧みに配置しているのだが、彼女ならもっと…もっとなんかこう…人の心にずど〜んと響かせられるんじゃなかろうか。
フリー123.80、総合196.00。現時点で総合2位。

12 三原 舞依(日本)

  • SP順位:3,得点:68.48
  • 楽曲:Cinderella by Patrick Doyle
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

前半のジャンプはとても良かったのだが、1Lzのミス以降、ジャンプの着氷が乱れてしまい、連続ジャンプが2つしか入らなかった。スピンとステップは全てレベル4! ステップでは、はつらつとした動きで、さわやかで愛らしいシンデレラを素敵に演じていた。
ジャンプのミスが出てからは、表情も動きも硬くなってしまい、乙女チックララバイ☆な雰囲気が薄れてしまったのが惜しまれる。前半の勢いのまま、最後まで駆け抜けられるといいのだが。
フリー122.44、総合190.92でSB更新! 総合4位に決定。結果を見て、落ちこむ三原さん。

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◆総合順位
女子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Elena RADIONOVA RUS 205.90 2 1
  2. Kaetlyn OSMOND CAN 196.00 1 3
  3. Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 192.57 4 2
  4. Mai MIHARA JPN 190.92 3 4
  5. Rika HONGO JPN 181.75 6 6
  6. Ashley WAGNER USA 181.38 5 7
  7. Karen CHEN USA 179.39 9 5
  8. Zijun LI CHN 172.40 7 8
  9. Courtney HICKS USA 163.64 8 9
  10. Xiangning LI CHN 157.27 11 10
  11. Ziquan ZHAO CHN 149.12 10 12
  12. Joshi HELGESSON SWE 144.64 12 11
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◆総評
最後のスピンでことごとく天井カメラが発動するの、めっちゃストレスだわ〜。大事な締めのスピンなのに…(泣)。
優勝はラジオノワさん。2位&1位でファイナル進出確定! おめでとう☆ ジャンプが本調子じゃないながら、今自分にできる最高の演技を見せてくれた。
2位はオズモンドさん。2位&2位でファイナル進出確定! 初出場、おめでとう〜☆ FSでもそっとジャンプが安定すれば、ロシア女子のトップとも対等に戦えるようになるんじゃないかな。
3位はトゥクタミちゃん。FSを「ペールギュント」に戻して正解だったようだ。生き生きしていた。
4位は三原さん。いや〜、GPファイナル進出の可能性があっただけに、悔しさもひとしおだろう。でも仕方ない。今大会は、おねえさんたちが強かった。この経験を糧に、全日本ではぜひノーミスの演技を!
5位は理華ちゃん。今季、ジャンプの回転不足を取られることが多くなったのは、ジャンプの修正が必要な時期が来てしまったからなんだろうか。彼女が国内で頭角を現したとき、すでに成長期は終わっているようだったので、難しい時期はもう過ぎたのかなと思っていたのだが。
6位はアシュリー。ファイナル進出が、かなり厳しくなってしまい、残念だ。でも、全米まで時間がしっかり残されているので、ぜひとも立て直してほしい。

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GPファイナル確定者
今大会の結果を受けて、ファイナル進出が確定した選手は、下記の通り。

今季で、4年連続4回目の出場になる。最高順位は2014-15シーズンの2位。昨季は3位。

  • ケイトリン・オズモンド(カナダ)

初出場。