NHK杯2016 女子SP

NHK杯2016 リザルト
GPシリーズ第6戦の女子SPは、現地時間2016年11月25日(金)に行われた。
現地で全組の演技を生観戦した。滑走順に感想を書いている。
NHKの放送では、解説が荒川静香さん、実況は鳥海貴樹アナ。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 アレーヌ・シャルトラン(カナダ)

  • 楽曲:Sway perfromed by Pussycat Dolls
  • プログラム:○

昨季、国内選手権優勝、四大陸11位、ワールド17位。今季、GPスケカナ5位。
3Lzの着氷で乱れる。3Lo+2Tと2AはOK。スピンのレベルは2、4、4。ステップはレベル4。
ジャンプにミスはあったが、演技自体はとても素敵だった。動きにキレがあり、曲想をよく表現している。クリーンな演技が見たいなぁ。国内選手権ではぜひ!
58.72。

2 アンナ・ポゴリラヤ(ロシア)

  • 楽曲:Scent of a Woman (soundtrack - Smoku remix)
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、国内選手権3位、ユーロ3位、ワールド3位。今季、GPロステレ優勝。
3Lz+3T<は見た目クリーンだったのだが。3Loと2Aは問題なし。スピンのレベルは4、4、2。3本目のLSp2は、最後のビールマンでバランスを崩しかけ、回転がゆっくりになってしまった。ステップはレベル4。
初見で度肝を抜かれたステップのズンドコビートだが、これだけすばらしい演技を見せられると、自然に感じられるようになってきた。そんな自分が恐ろしい(苦笑)。
71.56。

3 マリア・ソツコワ(ロシア)

  • 楽曲:Butterflies Are Free by Alfred Schnittke
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、JGPファイナル2位、ジュニアの国内選手権2位、世界ジュニア2位。今季、GPフランス2位。
3Lz+3T、3F、2Aと、ジャンプは全てクリーンに着氷。スピンは全てレベル4。ステップはレベル3。
ジャンプは高さがあるし、スピンやステップも質が良いし、ボディームーブメントも優雅で美しいのだが、感情の表出がいまひとつ。
69.96で、自己ベスト更新!

4 ニコル・ライチョヴァー(スロバキア

  • 楽曲:Love Story (soundtrack) by Francis Lai
  • プログラム:○

昨季、国内選手権優勝、ユーロ12位、ワールド13位。今季、GPロステレ7位。
2T+3T<はファーストの回転が抜けてしまったが、2つとも着氷は流れていた。3Lzの着氷が詰まった。2AはOK。スピンのレベルは4、3、3。ステップはレベル3。
ジャンプのミスがいくつかあったが、とても素敵な演技だった。
53.43。

5 宮原 知子(日本)

昨季、GPファイナル2位、全日本優勝、四大陸優勝、ワールド5位。今季、GPスケカナ3位。
ティアラすてき〜☆ お姫様みたい☆
2Aは振付の一部のように。3Lz<はめずらしく転倒。3Lo+2Tは危なげなく。スピンとステップは全てレベル4。
現地で見ていたときは、気づかなかったが、ステップでスタンブルしてたんだな〜。そこでちょうど曲想が変わるところだったので、スタンブルがなければもっとその違いを明確に表現できていたかも。
ミスはあったものの、体の動きは大きく、やわらかくなめらか。表情豊かに演じられていた。
64.20。

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●第2グループ
6 カレン・チェン(アメリカ)

昨季、全米8位、四大陸12位。今季、GP中国杯7位。二週連続お疲れ様です。
衣装の色が青から白に。
3Lz+3T<の着氷に流れはあったのだが。1Loはノーバリュー(泣)。2AはOK。スピンのレベルは4、3、4。軸がぶれず、回転が速く、ポジションが美しい。ステップはレベル3。
音のとらえ方が素敵な選手だな〜と改めて思った。今更ながらではあるが、最初と最後、手と腕で同じ鳥のポーズをとっていることに気づく。見所のスパイラルは相変わらず素晴らしかった。
58.76でSB更新!

7 ダビン・チョイ(韓国)

  • 楽曲:Historia de un amor by Perez Prado
  • プログラム:○

昨季、国内選手権2位、四大陸8位、ワールド14位。今季、GPスケカナ7位。
3Lz<+3T<<はファーストの軸が曲がったが、頑張ってセカンドにトリプルを付けた。3Fは見た目クリーンだったのだが、GOEマイナス。ステップからただちに跳んでいないと見なされたのか、ステップが足りないと判断されたか。2AはOK。
スピンのレベルは3、3、4。ステップはレベル3。
鳥海アナの言うとおり、はつらつとした演技だった。いや〜、ダビンちゃんは、昨季までの「淡々と滑るマン」から完全に脱却したね! 非常に喜ばしい☆
51.06。

8 松田 悠良(日本)

昨季、JGP Logrono 2015 3位、全日本12位。今季、GPロステレ6位。
このプログラムを3シーズン続けて滑っている。鳥海アナによると、悠良さんは「この曲が本当に好き」らしい。
2Aは軽々と。3Lo<+3Loと3F<はクリーンな着氷に見えたのだが。スピンは全てレベル4。2番目のFC4が最後のポジションでちょいトラベリング。ステップはレベル3。
のびやかに堂々と滑っていた。
60.98。

9 樋口 新葉(日本)

  • 楽曲:La Califfa by Ennio Morricone
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、全日本ジュニア優勝、世界ジュニア3位。今季、GPフランス3位。
2AはOK。3Lzはステップアウト。3F+2Tはクリーンな着氷だったが3Fに!が付いた。スピンとステップは全てレベル4。
ビュンビュンかっ飛ばしのわかば様にしては、スピードが控えめだったかなぁ。でも、GPフランスで「ジュニアっぽいなぁ」と感じた部分がきれいさっぱりなくなっていた。
62.58。

10 ミライ・ナガスアメリカ)

昨季、全米4位、四大陸2位、ワールド10位。GPスケカナ9位。
3F+3T<はセカンドでちょいエッジがぐらついたものの、着氷に流れがあった。3Fに!が付いた。3Loと2AはOK。スピンのレベルは3、3、4。ステップはレベル3。
昨季さんざん「シャープさがもそっと…メリハリがもそっと…」と思い続けてきたが、今季はその両方とも出てきた気がする。
63.49。

11 エリザヴェート・トゥルシンバエワ(カザフスタン

  • 楽曲:I Got Rhythm by Nikki Yanofski
  • プログラム:○

昨季、世界ジュニア5位、ユール五輪3位、ワールド12位。今季、GPロステレ5位。
3Lz+3Tの予定が1Lzになってしまったので、次に3S+3Tを跳んできた。ナイスリカバー☆ でも、セカンドの着氷が少し乱れた。2AはOK。スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル2。小気味よいリズミカルなステップだった。
55.66。

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◆SP順位
SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、TSSの順に記されている。

  1. Anna POGORILAYA RUS 71.56
  2. Maria SOTSKOVA RUS 69.96
  3. Satoko MIYAHARA JPN 64.20
  4. Mirai NAGASU USA 63.49
  5. Wakaba HIGUCHI JPN 62.58
  6. Yura MATSUDA JPN 60.98
  7. Karen CHEN USA 58.76
  8. Alaine CHARTRAND CAN 58.72
  9. Elizabet TURSYNBAEVA KAZ 55.66
  10. Nicole RAJICOVA SVK 53.43
  11. Dabin CHOI KOR 51.06
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◆総評
生観戦して実感するのは、トップの選手であればあるほど、氷の全面を大きく使って滑っているということ。テレビでは分かりにくい部分だが、じかに見ると、よく分かる。
さて、SP1位はポゴさん。さすがの存在感で、75点を超えるんじゃないかと思ったが、ジャンプのアンダーローテやスピンのレベル取りこぼしがあり、思ったほど得点が伸びず。でも、文句なしにトップの演技だった。
2位はソツコワさん。GP2大会連続でクリーンな演技ができるってすごい。作品としても順調に仕上がってるなぁ。
3位は宮原さん。めずらしく3Lzで転倒。6分間練習ではきれいに決めてたんだけどなぁ。荒川さんによると、「焦って跳んでしまったように見えた」とのこと。後のインタビューで、本人も「跳び急いでしまった」と話していた。ファイナルがかかっているし、緊張していたのかも。
転倒があり、連続ジャンプが3+2だったにも関わらず、64.20というのは悪くない。FSでの巻き返しを期待したい。
4位はミライちゃん。ジャンプの調子が良さそうなので、FSも楽しみだ。
5位はわかば様。わたしは彼女の暴走スケーティング(笑)に魅了された人間なので、今回のコントロールされた滑りは、正直ちょっと物足りなく感じたのだが、シニアのレディスケーターになるにあたり、必要な過程なのだと思う。
6位は悠良さん。今季の彼女は自信に満ちていて、安心して見ていられる。良い練習が積めてるんだろうなぁ。
全体的にミスが多く、ちょっとしょんぼりな女子SPであった。FSはクリーンな演技がたくさん見られるといいな!