NHK杯2016 男子SP

NHK杯2016 リザルト
シリーズ第6戦の男子SPは、現地時間2016年11月25日(金)に行われた。
今季から、GPシリーズの滑走順が、抽選で決められることになった。
現地で全員の演技を生観戦した。滑走順に感想を書いている。
NHKの放送では、解説が本田武史さん、実況が船岡久嗣アナ。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 ミハイル・コリヤダ(ロシア)

  • 楽曲:
    • Nightingale Tango
    • John Gray by Matvei Blanter
  • プログラム:○

昨季、国内選手権2位、ユーロ5位、ワールド4位。今季、GPロステレ4位。
昨季から継続のプログラム。
4Tの予定が途中で開いて3Tに。3Aはすばらしい。3Lz+2Tは、セカンドを3Tにすると、ノーバリューになってしまうので、ちゃんとダブルにした。コリヤダは計算のできる子!
スピンは全てレベル4。3本目のCCoSp4は、最後のビールマンで回転速度が全く落ちないのがすごい。ステップはレベル3。4Tが抜けた以外は、素晴らしい演技だった。
コリヤダくんの表情は、キスクラでも暗いまま。みごとにノー笑顔である。
78.18。

2 デニス・ヴァシリエフス(ラトビア

  • 楽曲:Voodoo Child by Stevie Ray Vaughan
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、国内選手権優勝、ユーロ12位、ユース五輪2位、世界ジュニア8位、ワールド14位。今季GPロステレ11位。
3Aは構えが長かったが、着氷はクリーン。3Lz+2Tはセカンドをトリプルにできず。3F<は着氷に流れがあったのだが。
スピンは全てレベル4。3本目のFSSp4の最後のポジションが独創的で回転が凄く速い。ステップはレベル3。全身を使って音楽を表現していた。
前のGPロステレより大分調子が良さそう。プログラムも順調にブラッシュアップされている。正直、わたしにとって、この楽曲は、心地よい音楽ではないのだが、これだけみごとに曲想を演じられると、魅了されないわけにはいかない。
70.50でSB更新!

3 ネイサン・チェン(アメリカ)

  • 楽曲:Le Corsaire by Adolphe Adam
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、JGPファイナル優勝、全米3位。今季、GPフランス4位。
めっちゃ丈の短い、へんてこりんなチョッキ衣装から、黒のステキ衣装にチェンジ。ネタ衣装じゃなくなって、ちょっとさみしい(笑)。
4Lzで転倒。4F+3TはOK。3Aは両手をついた。スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル3。ステップで、前のGPフランスほど軽やかさは出せなかったかな〜。ま、それでも十分素敵だったが。
4Fにも3Tつけられるんだ。すごいわ〜。
87.94。

4 田中 刑事(日本)

  • 楽曲:Spring in Buenos Aires by Astor Piazzolla
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

昨季、全日本4位、四大陸6位。今季、GPロステレ7位。
昨季から継続のプログラム。
4Sはステップアウト。3Aと3F+3TはOK。スピンのレベルは4、3、4。最後のCCoSp4はトラベリングするんじゃないかとヒヤヒヤしたが、何とかまとめてGOEプラス評価に。ステップはレベル3。動きのキレと緩急がすばらしかった。腕のしなやかな動きが素敵☆
田中刑事史上、最高にエモーショナルな演技だったのではないか。生で見られて幸せ〜☆ もちろんスタオベしたよ!
80.49で、自己ベスト更新! 80点の大台に乗った! イエ〜イ☆

5 ジェイソン・ブラウン(アメリカ)

  • 楽曲:Writing's on the Wall (James Bond - Spectre) by Sam Smith
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

昨季、GPスケアメ3位。今季、GPスケアメ2位。
4T<<は両足着氷。3Aは着氷の流れが良くなかった。3Lz+2Tはセカンドの途中で開いてしまった。スピンのレベルは4、3、3V。ステップはレベル3。
ジャンプのミスが複数出てしまったが、音楽表現は相変わらず素晴らしい。180度以上開くバレエジャンプに拍手が起こっていた。
74.33。

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●第2グループ
6 アレクセイ・ビチェンコ(イスラエル

  • 楽曲:Chambermaid Swing by Parov Stelar
  • プログラム:○

昨季、ユーロ2位、ワールド13位。今季、GPロステレ3位。
3Aはクリーンに着氷。4Tはお手つき。3F+2Tはセカンドが抜けてダブルに。スピンのレベルは2、2、3。1本目のCCoSp2でトラベリング。ステップはレベル2。キビキビ動けていてよかったけど、ちょっと忙しない感じがしたかなぁ。
彼の明るい健康的なスケーティングが、このプログラムでよく生かされている。
75.13。

7 日野 龍樹(日本)

  • 楽曲:Artsakh by Ara Gevorkian
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、全日本8位。
3Lz+3Tと3AはOK。3Loは「ステップからただちに」跳んでいなかったので、GOEマイナス。スピンのレベルは2、4、4。ステップはレベル3。
一つ一つのエレメンツを、心を込めて丁寧に行っていた。エキゾチックな曲想をよく表現できていたと思う。
72.50。

8 エラッジ・バルデ(カナダ)

  • 楽曲:The Sound of Silence by Disturbed
  • プログラム:○

昨季、国内選手権7位。今季、GPロステレ6位。
3Fはクリーンに着氷。3Aはこらえた。3Lz+3TはOK。スピンのレベルが4、2、42番目のCSSp2がちょいトラベリングし、回転が不安定に。ステップはレベル3。
味わい深い大人の滑りを堪能した。…にしても、現地で聴くと、この曲、ほんと全然「サイレンス」じゃなかった(苦笑)。ステップのところでシャウトしてるもんな〜。
76.29。

9 羽生 結弦(日本)

  • 楽曲:Let's Go Crazy by Prince
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、GPファイナル優勝、全日本優勝、ワールド2位。今季、GPスケカナ2位。
衣装が白から薄紫へ。デザインは特に変わってないんじゃなかろうか。
4Loは軸が曲がってステップアウト。4S+3Tと3Aはすばらしい。特に3Aは、一人のジャッジを除いて全員が+3(GOE 3.00)。すごい。
スピンとステップは全てレベル4。もともと得意なスピンがさらにうまくなったな〜と感じる。ステップ終盤のギターの長い音の表現にぴったりの動きができていた。
ロックスターのパフォーマンスを見てるみたいで、すっごく楽しかった。
103.89でSB更新!

10 グラント・ホックスタイン(アメリカ)

  • 楽曲:Due Tramonti by Ludovico Einaudi
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、全米4位、四大陸8位、ワールド10位。今季、GPスケカナ11位。
昨季のプログラムに戻してきた。え〜、あの「ラプソディー・イン・ブルー」、好きだったのに〜。
4Tは転倒。3Aはこらえた。3Lz+2Tは間にオーバーターン。ルッツに!が。スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル2。
ジャンプの不調が続いているようだ。でも、彼の演技を見ていると、しみじみ胸打たれる。やっぱ好きだわ〜。
68.31。

11 ナム・ニューエン(カナダ)

  • 楽曲:Love Me or Leave Me by Sammy Davis Jr.
  • プログラム:○

昨季、国内選手権4位、ワールド27位。今季、GPスケアメ6位。
4S+3Tと3Aはまぁまぁ。3Lzで転倒。スピンのレベルは2、4、3。ステップはレベル3。ジャンプに高さがなく、慎重に跳んでいる感じ。ジャンプは本調子じゃなさそう。
75.33。

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◆SP順位
SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、得点の順に記されている。

  1. Yuzuru HANYU JPN 103.89
  2. Nathan CHEN USA 87.94
  3. Keiji TANAKA JPN 80.49
  4. Mikhail KOLYADA RUS 78.18
  5. Elladj BALDE CAN 76.29
  6. Nam NGUYEN CAN 75.33
  7. Alexei BYCHENKO ISR 75.13
  8. Jason BROWN USA 74.33
  9. Ryuju HINO JPN 72.50
  10. Deniss VASILJEVS LAT 70.50
  11. Grant HOCHSTEIN USA 68.31
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◆総評
SP1位は事前の予想通り結弦くん。4Loのミスはあったが、「そりゃ100点超えしますよね」という、すばらしい演技だった。プログラムとしてだいぶ仕上がってきた感じ。
2位はネイサン。「4Lzで転倒したら4Fに3Tをつければいいじゃない?」とばかりに4F+3Tを成功させていた。100点超えは時間の問題ですな。
3位は刑事くん! 心技体がばっちりかみ合った演技だった。クワド以外のジャンプは失敗しそうにない。PCSはまだ40点台に乗らないか〜。はよ乗れ乗れ〜☆ ところで、あのステップにGOE±0のジャッジが二人もいるんですよ? 信じられます?
4位はコリヤダくん。今季はちょっとジャンプが不安定な印象。加点モリモリのジャンプも跳んでるんだけどね〜。他は申し分ない出来栄えなんだけど。
8位のジェイソンは、ジャンプが不調みたい。GPスケアメでは好調だったんだけどなぁ。調整がうまくいってないのかしら。ボディームーブメントは、眼福の一語に尽きる。
9位は龍樹くん。クリーンな演技だったけど、ジャンプでちょい減点されたりスピンのレベル取りこぼしがあったりしたのが惜しかった。