JGPファイナル2016 男子FS

JGPファイナル2016 リザルト
男子FSは、現地時間2016年12月10日(土)に行われた。

上記のライストで全員の演技を見た。滑走順に感想を書いている。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:好きだ! また見たい!
  • ○:よかった。
  • △:う〜ん、イマイチ。
  • ×:できれば変えてほしい…。
  • ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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1 ジュンファン・チャ(韓国)

2本目の3Fで転倒してしまい、連続ジャンプにできず、連続ジャンプが2つしか入らなかった。彼の良い時のジャンプではなかったが、転倒した3F以外は、GOEでプラスをもらえるジャンプを跳んでいた。特に4Sは、とても質がよかった。
スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル3。
朗々と歌い上げる男性ヴォーカルに、寄り添うようかのような演技で、心打たれた。
フリー153.70、総合225.55。現時点で総合1位。

2 アレクセイ・クラスノジョン(アメリカ)

  • SP順位:5,得点:71.48
  • 楽曲:
    • 50 Rodeo - Four Dance Episodes: III. Saturday Night Waltz by Copland Aaron
    • 51 Rodeo - Four Dance Episodes: IV. Hoedown by Copland Aaron
  • プログラム:○

4Lo<は片足で立ったけど、明らかに回転が足りてなかった。3Lz+3Lo<と3F+2T+2Lo<も、アンダーローテが取られた。スピンのレベルは3、4V、3。ステップはレベル2。氷のしぶきが上がるジャンプが目立ったものの、こらえていたのだが、ステップで転倒。嗚呼(泣)。
後半は疲れたらしく、動きが悪くなっていた。
SPを見るに、表現力のある選手だと思うんだけど、FSはエレメンツをこなすのに精いっぱいな感じになっちゃうんだよなぁ。彼の明るいキャラクターを生かした、素敵なプログラムだと思うので、表現の方も頑張ってほしい。
フリー137.37、総合208.85。現時点で総合2位。

3 イリヤ・スキルダ(ロシア)

  • SP順位:6,得点:68.31
  • 楽曲:Once Upon a Time in America by Ennio Morricone
  • プログラム:○

3Lzの軸が曲がったがこらえたのと、3Lz+3Tのルッツで!が取られた以外は、全要素でGOEマイナスなし。減点されるほどではないが、ちょっとこらえるジャンプが多かった。
スピンのレベルは3、4、4。彼にしてはスピンの回転がゆっくりだったような。「レベルはとれてると思うけど、加点があまりもらえなさそう」と見ていたが、ほぼ当たっていた。
ステップはレベル3。体を大きく動かして曲想を表現していた。
ジャンプやスピンを見るに、本調子ではなさそうだが、その分、一つ一つの振付を丁寧にやっていたんじゃないかな。小芝居が上手になっていた。
フリー138.80、総合207.11。現時点で総合3位。

4 アレクサンドル・サマリン(ロシア)

  • SP順位:2,得点:81.08
  • 楽曲:Maybe I Maybe You by Scorpions
  • プログラム:△

白スケのシャツに、白い包帯をぐるぐる巻きにしたような衣装。
冒頭の4T+2TはOK。次の4Tはお手つき。3A+3Tはよかった。3Lz+1Lo<<+3Sで、ちょいマイナス。2本目の3Aで転倒。得点源の5つのジャンプで成功したり失敗したりだった。その後の3つのジャンプはクリーンに着氷。
スピンのレベルは4、4、2V。ステップはレベル3。
緊張してたのかなぁ。ステップでは音楽を表現しようという意思を感じたけど、他は、淡々とエレメンツをこなしているように感じられた。
フリー155.44、総合236.52で、総合得点は自己ベスト更新! 現時点で総合1位。

5 ロマン・サヴォシン(ロシア)

  • SP順位:3,得点:72.98
  • 楽曲:Smuga Cienia by Wojciech Kilar
  • プログラム:○

冒頭の4T<と1本目の2Aで着氷が乱れ、4T<+2Tでファーストでバランスを崩した以外、GOEマイナスはなし。スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル3。全身を大きく使って激しい曲想をよく表現していた。
最後まで力を振り絞って演じていた。
フリー139.41、総合212.39。現時点で総合3位。

6 ドミトリー・アリエフ(ロシア)

「仮面な男」のプログラム、ベタでおもしろかったのに、変更しちゃったんだよね。残念。
2本目の3Aで手をついたのと、膝くるくる3F<<で転倒した以外、GOEの減点はなし。スピンは全てレベル3。ステップはレベル4。
滑り出しですぐそのスケーティングの素晴らしさに魅了される。ステップは口ぽかーんと開けてうっとりと見入るばかりであった。
新しいフリーのプログラムは、リリカルな男性ヴォーカルの曲で、彼の滑りにマッチしていた。すばらしかった。
フリー158.70、総合240.07で、SP同様、FSも自己ベスト更新! 二人のコーチがめっちゃ喜んでアリエフをハグハグしてる〜。アリエフが泣いてる〜。強面のコーチ(たぶん、バイオのコーチ欄に名前がある、Evgeni Rukavicin さん)も泣いてる〜。見てるこっちももらい泣きだよ〜(感涙)。

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◆総合順位
男子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Dmitri ALIEV RUS 240.07 1 1
  2. Alexander SAMARIN RUS 236.52 2 2
  3. Jun Hwan CHA KOR 225.55 4 3
  4. Roman SAVOSIN RUS 212.39 3 4
  5. Alexei KRASNOZHON USA 208.85 5 6
  6. Ilia SKIRDA RUS 207.11 6 5
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◆総評
優勝はアリエフ!! おめでとう!! 正直、優勝が決まって、彼があんなに感極まるとは思わず、驚いたのだが、今大会のSPで1位になり、わたしが「大丈夫かな…? 昨季の世界ジュニアや今季のJGPリュブリャナ杯みたいに、フリーで失速しないよね…?」と不安になったように、選手本人もプレッシャーを感じていたのかもしれない。
JGP2戦では、4Tと3Aを2本ずつ跳ぶジャンプ構成だったが、今大会では4Tを1本、3Aを2本と、クワドを1つ減らしてきた。今は「クワドをガンガン跳ぼうぜ!」という風潮が強いが、彼の優れたスケーティングスキルを生かすために、クワドの数を減らすというのは、戦略としてアリだと思う。
総合2位はサマリン。彼のフリーは、ジャンプを決めてこそ生きるプログラムなので、ジャンプにミスが出ると厳しいんだよなぁ。PCSでは、アリエフはもちろん、ジュンファンにも負けちゃったし…。
3位はジュンファン。本大会ではジャンプが本調子ではなく、上位2人に差をつけられてしまったが、JGP横浜で出した自己ベストが239.47であることを考えると、世界ジュニアにおける、有力な優勝候補の一人であることに間違いない。
ところで、JGPファイナルでロシア男子が優勝するのって、久々なんじゃないかと思って調べてみたら、2012-2013シーズンに、コフトゥンが優勝してたんだな。4年ぶりなので、思ったより間が空いてなかった。じゃあ世界ジュニアでロシア男子が優勝したのは、直近でいつだろうと調べてみたら、なんと、2004年のアンドレイ・グリアゼフ優勝までさかのぼる。12年前か。うわ〜、長いこと優勝してないんだな〜。
さて、今季の世界ジュニアはどんな結果になるだろう。久々に、ロシア男子の優勝なるか。