全米2017 男子FS
全米2017 リザルト
男子FSは、現地時間2017年1月22日(金)に行われた。
昨季優勝のアダム・リッポンは、怪我のため欠場。
Jスポーツの放送では、解説が岡部由起子さん、実況は赤平大アナ
選手全員の演技について、滑走順に感想を書いている。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。
- ◎:好きだ! また見たい!
- ○:よかった。
- △:う〜ん、イマイチ。
- ×:できれば変えてほしい…。
- ?:まだ何とも判断が付きかねる。
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●第1グループ
1 Sebastien Payannet セバスチャン・ペヤネット, Rocky Mountain FSC
3Aの転倒だけでなく、どのジャンプも少し着氷が乱れてしまった。スピンのレベルは2、4、3。ステップはレベル2。岡部さんから、「フリーレッグが伸びていない」との指摘があった。
コレオの振付は、なかなか素敵だったが、岡部さんが指摘していたように、こちら側に伝える力が弱いように感じた。
フリー113.49、総合170.56。
2 Shotaro Omori ショウタロウ・オオモリ, Los Angeles FSC
- SP順位:20,得点:58.81
- 楽曲:「オペラ座の怪人」より
- プログラム:○
着氷後の伸びがあまり良くなかったり、着氷がやや乱れるものもあったが、3A1本を含め、抜けも転倒もなく全てのジャンプを降りられた。スピンのレベルは3、4。CFSSpはノーバリュー。まずまずのスピンだったのに、もったいない。ステップはレベル2。岡部さんから「ターンがちょっとうまくいってない」と指摘があった。
彼が今できることをやり切った演技だった。終わった後、選手が感極まっている。
…う〜ん、何なんだろう、この物足りなさ。SP同様、振付は一所懸命やってるし、動きもきれいだし、こちらに伝わってくるものがないわけでもないんだけど。たぶん、ある程度できる選手だから、さらに上を求めちゃうんだろうなぁ。
フリー132.72、総合191.53。
3 Daniel Kulenkamp ダニエル・クーレンカンプ, Sun Valley FSC
- SP順位:17,得点:65.08
- 楽曲:フィーリング・グッド
- プログラム:○
3A<は転倒。他のジャンプにもいくつかミスがあった。スピンのレベルは4、4、3。ステップはレベル3。
曲想を表現する振付が散りばめられていたり、ジャンプを跳ぶ前にいろいろ動きが入っていたりと、なかなか素敵なプログラムだった。ただ、岡部さんが指摘していた通り、ずっと同じトーンで滑っている印象なので、ヴォーカルの変化を演じ分けたり、もそっとジャージーな感じを出したりできるようになると、さらに見ごたえのあるプログラムになるんじゃなかろうか。
フリー128.66、総合193.74。
4 Oleksiy Melnyk オレクセイ・メルニク, Washington FSC
- SP順位:19,得点:59.86
- 楽曲:Thunderball
- プログラム:○
3Aとクワドは入れない構成。3Fのオーバーターンや1Loになるミスが出た。スピンは全てレベル4が取れているのだが、質はあんまり良くなくて、そのうち2つでGOEマイナス。ステップはレベル1。振付やボディームーブメントはけっこう素敵だったんだけど。
映画「007」のテーマ曲を使用し、「俺はジェームズ・ボンド。英国のイケてるスパイだぜ☆」的振付(笑)を頑張ってこなしていた。
岡部さん曰く、「ヨーロッパ系のスケートをする選手。北米の選手の滑り方やプログラムとはちょっと違う感じがする」とのこと。
フリー124.45、総合184.31。
5 Dennis Phan デニス・ファン, Birmingham FSC
- SP順位:18,得点:60.78
- 楽曲:All Ask/Believe
- プログラム:○
彼も3Aとクワドはない構成。2Aの転倒を含め、ジャンプでいくつかミスがあり、連続ジャンプが1つしか入らなかったが、成功したジャンプの着氷姿勢がきれいで、伸びがある。スピンのレベルは3、3、1。ステップはレベル2。スタンブルがあった。
岡部さんが、「シンプルなプログラムだが、自分の世界観を作り出せていた。自分が表現したいことがよく分かっていて、スケートの楽しさを伝えてくれる選手」とほめていた。
フリー120.36、総合181.14。転倒とタイムバイオレーションで減点2。
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●第2グループ
6 Max Aaron マックス・アーロン, Broadmoor SC
- SP順位:12,得点:72.54
- 楽曲:The Lion King (soundtrack) by Elton John
- プログラム:△
4年連続表彰台に乗る彼が、フリーを第2グループで滑ることになろうとは、誰に予想できたであろうか(泣)。
衣装は変わらず、胸に大きくゴールドで、ライオンの顔がどどーんとアップで描かれている(笑)。あ、でもキラキラがちょっと増えたかも。
冒頭の4Sはダブルになってしまったが、次の4Sは成功! 4Tはトリプルに。以降、3Aを2本降りたが、最後の3Sで転倒。連続ジャンプは2つしか入らなかった。
スピンのレベルは3、2、4。ステップはレベル4。岡部さんから「少しスピードがない」との指摘が。
4Sを成功した後の歓声がすごかった。会場のお客さん、温かいなぁ(感涙)。
このプログラムが、彼の新しい面を引き出そうとしているのは分かるのだが、今のところ海のものとも山のものとも判断しかねる。シーズン半ばのこの時期にそういう印象ってことは、イマイチってことなのかも。
得意の3Sで転倒するなんて、やはり調子が悪いのだろうか。でも、すごく質の良いジャンプも跳べてるんだよね…。
岡部さんは、「全体を通してスピードがなかったのが気になった」と話していた。暴走マックスがスピードないなんて…(泣)。
フリー155.26、総合227.80。
7 Jimmy Ma ジミー・マ, SC of New York
- SP順位:15,得点:70.41
- 楽曲:ラフマニノフ作曲「ピアノ協奏曲」
- プログラム:○
両親は中国出身。8歳のころからピアノを習っていて、実績もかなりのものらしい。
SPのヒップホップからガラッとイメージを変えて、FSは王道なクラシック。
3A2本、3Lz+1Lo+3Sで転倒。他のジャンプでもいくつか着氷が乱れた。連続ジャンプが2つしか入らず。スピンのレベルは3、3。最後の要素CCoSpで、足替えの後バランスを崩してしまい、ノーバリュー。ステップはレベル4。
ジャンプで3回転倒したから、減点が1+1+2=4になってしまう…(泣)。
岡部さん曰く、「力強さを持つ選手。ラフマニノフの曲は強弱があるので、弱のところの表現を、めりはりとしてできてくると、もっと素敵なプログラムになる。コレオでは、強のところがとてもよく表現できていた」とのこと。
フリー110.66、総合181.07。
8 Scott Dyer スコット・ダイアー, All Year FSC
- SP順位:16,得点:69.90
- 楽曲:映画「ニュー・シネマ・パラダイス」より
- プログラム:○
3A>>は着氷が乱れた。3Lzがシングルに。3F>は着氷が詰まった。その他の要素は全てGOEプラス。スピンとステップは全てレベル4。ステップに入る前にちょっとよろけたが、要素に入る前で良かった。
スピンが本当に美しい。ポジションチェンジしても足替えしても、回転速度が全く落ちない。
プログラム終盤のステップ→コレオ→スピンの流れは、このプログラムのハイライトで、音楽の盛り上がりをよく表現していた。
岡部さん曰く、「自分の良さや見せ方をとても分かっている。お客さんを惹き込んでいた」とのこと。
フリー129.57、総合199.47。
9 Sean Rabbitt ショーン・ラビット, Glacier Falls FSC
- SP順位:11,得点:73.41
- 楽曲:マンボ メドレー
- プログラム:○
赤平アナによると、彼の兄の妻が日本人らしい。それで親日家になってくれたのかなぁ。
3Aの転倒以外、全ての要素がGOEプラス。スピンとステップは全てレベル4。スピンで足がピンと伸びていて、本当に美しい。岡部さんも、彼のスピンの素晴らしさをとてもほめていた。
マンボの音楽にノリに乗って、めっちゃ楽しそうに踊りまくっていた。プログラムが進むにつれ、客席がどんどんヒートアップしていって、最後は大熱狂の渦に包まれた。場内スタオベ。
キスクラで、「こんにちは、みなさん! よかったです! つよかった!」と日本語で話しかけてくれた(笑)。うん、よかったよ! つよかったよ!
フリー154.61、総合228.02。得点を見るなり、大声で「オーマイガー!!」(笑)。
10 Tomoki Hiwatashi トモキ・ヒワタシ, DuPage FSC
- SP順位:13,得点:71.79
- 楽曲:La Strada (soundtrack) by Nino Rota
- プログラム:○
4Tで2本とも転倒。他のジャンプの着氷も乱れ、連続ジャンプが2つしか入らなかった上に、4Tと3Fと3Lzを2回ずつ跳んでしまい、2つ目の3Fがノーバリュー(泣)。スピンのレベルは3、2、2V。ステップはレベル4。
フィニッシュが音楽より少し早く終わってしまったが、JGPのときより格段に魅力的なプログラムになっていた。
岡部さんには、「落ち着かない感じの演技で、次から次へ『これやらなきゃ、あれやらなきゃ』という姿が見えてしまった。『演技をする』ということができるようになってほしい」と言われていた。確かにその通りだが、昨季と比べたら、かなり良くなったと思う。
フリー124.30、総合196.09。
11 Kevin Shum ケヴィン・シャム, SC of Boston
- SP順位:14,得点:71.77
- 楽曲:Sound of Silence by Disturbed
- プログラム:○
3Aとクワドがない構成。3Lo+2T+2Loのサードがシングルに、3Loがダブルになった。スピンのレベルは4、3、3。CCaSp4は回転がゆっくりだったからかGOEマイナス。CCoSp3は、減点されなかったが、少しトラベリングしてた。ステップはレベル4。
2Loを降りてすぐ壁にぶつかったが、大事に至らず良かった。他の選手もけっこう壁ギリギリに滑ってるから、ホッケーサイズのリンクなのかな?
ちょっと元気がなかったように感じたが、彼の落ち着いた、穏やかな雰囲気にお似合いのプログラムであった。
岡部さんが、「姿勢がきれいでないところやフリーレッグが伸びきらないところにジュニアっぽさを感じる。見せ方やディープエッジに乗って滑ることを覚えると、もっと魅力的な選手になる」と話していた。
フリー133.92、総合205.69。
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●第3グループ
12 Emmanuel Savary エマニュエル・サヴァリ, University of Delaware FSC
- SP順位:10,得点:73.75
- 楽曲:
- House of Flying Daggers (soundtrack) by Shigeru Umebayashi
- Fearless (soundtrack) by Shigeru Umebayashi
- Crouching Tiger Hidden Dragon (soundtrack) by Tan Dun
- プログラム:○
冒頭の4Sはステップアウトしたものの、2本目の4Sを2回降りられた。3Aは転倒。他にも着氷の乱れや抜けがあり、2Tを3回跳んでしまったので、最後の2Tはノーバリュー。スピンのレベルは3、2、3。ステップはレベル3。
上体の動きがはっきりしないのが気になった。何をやっているのか伝わってこないんだよな。
岡部さん曰く、「慎重に滑っていた。ステップとコレオで同じようなことをやっていたので、コレオでは違うことを表現してほしかった」とのこと。
フリー126.98、総合200.73。
13 Alexander Johnson アレクサンダー・ジョンソン, Braemar-City of Lakes FSC
- SP順位:9,得点:75.19
- 楽曲:In Your Eyes
- プログラム:○
冒頭の3A+2Tは成功したが、次の3Aがダブルに。2Aを3回跳ぶことになってしまうので、最後の2Aをあえてシングルにしたらしい。ナイスリカバリーだが、3回転で2回跳んだジャンプは3Fだけだったので、3Tを跳べば、もっと得点になったのにな〜と思った。
スピンのレベルは4、2、4。ステップはレベル4。1Aが加点Oだった以外は、全ての要素がGOEプラス。クリーンな演技だった。
相変わらず音楽を体現する力が素晴らしい。ありとあらゆる部位の筋肉を自由に動かして、音楽を表現しているように見えた。
岡部さんは、コーチからメールで、「こういう素敵な選手がいるんだよ」と、ジョンソンのことをアピールされたことがあったらしい。「残念ながら見る機会がなかったが、今回、初めて彼の演技を見た。とても魅力的な選手」と、しみじみ話していた。ですよね!? ジョンソン、とっても魅力ですよね!!(喜)
フリー158.20、総合233.39。
14 Jordan Moeller ジョーダン・モーラー, Northern Ice SC
- SP順位:8,得点:76.24
- 楽曲:ロミオとジュリエット
- プログラム:○
3Aを冒頭に1つ、後半に1つ、クリーンに着氷。3Loでステップアウトし、3T+2Tはこらえたが、他のジャンプはほぼきれいに降りていた。スピンのレベルは3、3、2。ステップはレベル3。コレオで、スピードを出して滑っていて気持ちよかった。
岡部さんが指摘していた通り、ジャンプの前の待ちが長いのが気になった。でもま、まずは着氷することが大事だしね。
2年ぶりの全米で良い演技ができて、選手もコリ先生&ロヒーンも嬉しそう。
フリー149.61、総合225.85。
15 Timothy Dolensky ティモシー・ドレンスキー, Atlanta FSC
- SP順位:6,得点:78.86
- 楽曲:Sometimes I Dream by Mario Frangoulis
- プログラム:○
冒頭のジャンプが1Aに。次の3Aは着氷が乱れた。(多分)後半の3A+2Tはファーストが両足着氷。他のジャンプはほぼクリーンに着氷。スピンのレベルは4、3、4。ステップはレベル4。
体幹が強く、柔軟性も高いんだろうなぁとうかがわせるほど、体を大きく使って曲想を表現していた。
岡部さん曰く「いつものキレのあるスピンではなかった。音楽のトーンが平らなので、彼には違った選曲が良かったかも」とのこと。確かになぁ。もっと抑揚のある、ドラマティックな曲想の方が合いそう。
フリー140.90、総合228.76。
16 Andrew Torgashev アンドリュー・トルガシェフ, Panthers FSC
- SP順位:7,得点:77.82
- 楽曲:Bohemian Rhapsody by Queen
- プログラム:○
3Aは着氷が乱れたが、4Tはクリーンに着氷。3Lz+2Tと2A+1Lo<<+2Sでも着氷が乱れた。スピンのレベルは4、2、3。ステップはレベル4。
演技が終わった後、力強くガッツポーズ。
勢いとスピードがすごい。SP同様、「よくもまぁこんなに大きく体が動かして、バランスを崩さないもんだ」と感心させられた。
岡部さんが、「ふわっと高く跳ぶことができるので、着氷が流れていくようになると、GOEが多くもらえるだろう。これからが楽しみな選手」とのこと。
フリー147.53、総合225.35。
第3グループが終わって、総合1位はアレクサンダー・ジョンソン。
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●第4グループ
6分間練習中、岡部さんが、2010年9月、軽井沢でJGPが行われて、ジェイソンが出場したとき(総合6位)の思い出を話してくれた。当時から、滑ること、踊ることが上手で、岡部さんに印象強く残っていたそうだ。「とても上手だから頑張ってね」と声をかけたらしい。…確かに、ジュニア時代から音楽表現はずば抜けてたもんなぁ。
17 Jason Brown ジェイソン・ブラウン, Skokie Valley SC
- SP順位:4,得点:79.23
- 楽曲:The Scent of Love (from "The Piano") by Michael Nyman
- プログラム:◎
2つの3Aをクリーンに着氷。最後のジャンプ、3Lz+1Lo+3Sが、2Lzになった後、足をついてしまったので、2Sがノーバリューになったほかは、全ての要素がGOEプラス。スピンのレベルが4、3、4。ステップはレベル4。
場内スタオベ。
傷ついた心を優しく慰撫してくれるような滑りだった。それでいて、とても強い意思も感じた。ものすごく優しいのに、ものすごく強い。自分に打ち克った演技だった。
ジェイソン、よくやった…よく頑張ったよ…!!(感涙)
フリー175.00、総合254.23。
18 Grant Hochstein グラント・ホックスタイン, SC of New York
- SP順位:5,得点:79.10
- 楽曲:Pagliacci by Ruggero Leoncavallo
- プログラム:○
冒頭の4Tはステップアウトし、2本目の3Aはお手つき。それ以外は、全ての要素がGOEプラス。スピンのレベルは3、4、4。ステップはレベル4。
すごい気迫を感じた。「道化師」の世界観をみごとに表現していたと思う。
…がしかし、だがしかし。4Tと3A、3Lzを2回ずつ跳んだので、2本目の3Lzがノーバリュー(泣)。しかも、事前の申告からしてそういう構成になってるんですよ。んもう!! コーチ気づいて!!
フリー169.21、総合248.31。現時点で総合2位。
19 Ross Miner ロス・マイナー, SC of Boston
- SP順位:2,得点:88.67
- 楽曲:
- プログラム:○
冒頭の4S<をクリーンに着氷できたものの、1つ目の3Aがシングルになり、2本目の3Aは転倒。他のジャンプにも抜けがあり、連続ジャンプが2つしか入らなかった。スピンとステップは全てレベル4。
昨季の全米同様、フリーでジャンプのミスが目立ってしまったが、よく滑っていたし、体も大きく動けていて、スピンやステップ、コレオなどで、彼の良さを見せることはできたと思う。
フリー151.67、総合240.34。現時点で総合3位…(泣)。
20 Nathan Chen ネイサン・チェン, Salt Lake Figure Skating
- SP順位:1,得点:106.39
- 楽曲:Polovtsian Dances (from "Prince Igor") by Alexander Borodin
- プログラム:○
今回彼が飛んじゃジャンプ構成は下記の通り。
4Lz+3T 4F 4T+2T+2Lo 4T(次から後半)3A 4S 3Lz 3F+3T
申告では4クワドとなっていたが、本番は5クワドを跳んできた。そしてクワドは全て成功。3F+3Tで着氷が乱れ、少し減点されたが、他の要素は全てGOEプラス。
スピンのレベルは3、4、2V。ステップはレベル4。さすがに終盤のステップでは動きがやや鈍くなっていた。まーねー、そりゃ疲れるわ、5クワド跳べば(笑)。
実況陣は、「5クワドは予想外だった」とビックリしていたが、2位以下と大きく差が開いているし、ジャンプの調子も良さそうだから、わたしは挑戦してくるかもな〜と思っていた。
5クワドの成功はもちろんめでたいが、わたしとしては、冒頭の振付がぬめぬめ〜っとして印象的になっていたこと、そして何より、最後の編曲が変わって、ヘンな繰り返しがなくなっていたことが、本当に本当に本当に嬉しかった。
フリー212.08、総合318.47。現時点で総合1位。ようこそ300点チームへ!!(笑)
21 Vincent Zhou ヴィンセント・ジョウ, SC of San Francisco
- SP順位:3,得点:87.85
- 楽曲:映画「カサブランカ」より
- プログラム:○
JGPのときからプログラムを変更。
冒頭の3Lzは着氷が乱れ、後半の3Aはすぐ足をついてしまったが、それ以外の要素は全てGOEプラス。スピンとステップは全てレベル4。
事前の申告通り、4Sと3A、3Lzを2回ずつ跳んで、2本目の3Lzがノーバリュー。これで3種類の3回転以上のジャンプ跳ぶ選手、3人目…(ため息)。
まぁそれはさておき、4Sと3Aを2本ずつ入れる構成のプログラムをほぼクリーンに滑り切れたのはすごい。
フリー175.18、総合263.03。総合2位に決定。大喜びのキスクラ。こんなに喜んでるヴィンス、初めて見るわ〜。よかったね!!
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◆総合順位
男子シングルの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、所属名、SP順位、FS順位、得点の順に記されている。
- Nathan Chen, Salt Lake Figure Skating 1 1 318.47
- Vincent Zhou, SC of San Francisco 3 2 263.03
- Jason Brown, Skokie Valley SC 4 3 254.23
- Grant Hochstein, SC of New York 5 4 248.31
- Ross Miner, SC of Boston 2 8 240.34
- Alexander Johnson, Braemar-City of Lakes FSC 9 5 233.39
- Timothy Dolensky, Atlanta FSC 6 9 228.76
- Sean Rabbitt, Glacier Falls FSC 11 7 228.02
- Max Aaron, Broadmoor SC 12 6 227.80
- Jordan Moeller, Northern Ice SC 8 10 225.85
- Andrew Torgashev, Panthers FSC 7 11 225.35
- Kevin Shum, SC of Boston 14 12 205.69
- Emmanuel Savary, University of Delaware FSC 10 16 200.73
- Scott Dyer, All Year FSC 16 14 199.47
- Tomoki Hiwatashi, DuPage FSC 13 18 196.09
- Daniel Kulenkamp, Sun Valley FSC 17 15 193.74
- Shotaro Omori, Los Angeles FSC 20 13 191.53
- Oleksiy Melnyk, Washington FSC 19 17 184.31
- Dennis Phan, Birmingham FSC 18 19 181.14
- Jimmy Ma, SC of New York 15 21 181.07
- Sebastien Payannet, Rocky Mountain FSC 21 20 170.56
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◆総評
ネイサンが、FSも総合得点も全米記録を更新して初優勝!! おめでとう!! 5クワド成功に、世界中のフィギュアスケートファンが大騒ぎであった。わたしは4つ目のクワドを降りた時点で半笑いだったのだが、5つ目の4Sを跳んだのを見た瞬間、声を上げて笑ってしまった。人間、とんでもなくすごいものを目にすると、思わず笑ってしまうものなのよね(笑)。
SPで2クワド、FSで5クワド込みのプログラムを、ほぼクリーンにやり切ったにもかかわらず、結弦くんの歴代最高得点(SP 110.95、FS 219.48、総合330.43)には及ばないんだな〜。改めて、結弦くんの偉大さを実感した(ちなみに、ネイサンは、SP 106.39、FS 212.08、総合318.47)。
今回のネイサンのフリーは、4Tと3Tを2回ずつ跳ぶので、どこかで回転が抜けたらザヤりそうと心配になったのだが、わたし、彼がジャンプ抜けたの見たことないや。それに頭良さそうだから、抜けても冷静に対処できそう。
総合2位はヴィンス。初表彰台おめでとう!! JGPファイナルを逃したときは、まさか全米で4Sと3Aを2本ずつ入れたプログラムを滑り切り、2位になるとは想像できなかった。若い選手の成長って、ほんとすごいわ〜。
ところで、「冒頭の3Lzは、4Lzを跳ぶつもりだったのでは」という意見を耳にしたが、だったらミスしたときに、ノーバリューにならないように対策を練っておかなくちゃ。そうでないと、僅差の戦いでやらかすことになってしまうんですよ…。そういう場面、これまで何度も見てきてるから、もう二度と見たくないんですよ…(泣)
3位はジェイソン。PCSは92.48でトップ。この全米フリーでもっとも心打たれた演技だった。彼の生き様を見せてもらった気がする。こんな素晴らしい演技を見せてくれて、本当にありがとう。
4位はグラント。演技自体はたいそう素晴らしかったのだが、事前の申告通り、4Tと3A、3Lzを2回ずつ跳んで、3Lz1つがノーバリューという…(泣)。まぁその3Lzの代わりに跳ぶとしたら3Tか2Aなので、ジェイソンの上に来られたかどうかはビミョ〜なんだけどさぁ…(ため息)。
5位はマイナー。昨季と同じような展開になってしまって辛い(泣)。でも、彼が素敵なスケーターであることに変わりないので、来季また魅力的なプログラムを見せてほしい。
6位はジョンソン。彼の演技を初めて見た岡部さんが、「素敵ですね」と繰り返しほめていたのが我が事のように嬉しかった。来季、GPスケアメに派遣されないかなぁ。もっとたくさんの人に、彼のことを知ってもらいたい。
8位はラビットくん。フリーで会心の演技ができた彼が本当に幸せそうで、選手のこういう姿を見られるのも、フィギュアスケート観戦の醍醐味だなぁと改めて思った。
9位のマックスは、SP12位からFS6位と追い上げ、総合で一けた順位に上がれてほっとした。…今季はどこかかみ合わないまま、全米まで来てしまった感じだったなぁ。彼の不調の原因について、情報が入ってこないから、余計に心配が募る。
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◆出場者
usfigureskatingのお知らせによると、下記の通り派遣されるらしい。
- 四大陸:
- ジェイソン・ブラウン
- ネイサン・チェン
- グラント・ホクスタイン
- ワールド:
- ジェイソン・ブラウン
- ネイサン・チェン
四大陸にもワールドにもヴィンスが行くものとばかり思っていたので、この選考には驚いた。まぁワールドはオリンピックの枠取りがかかっているので、シニアの大会での実績を持つ、ネイサンとジェイソンに任せたいというのは分かるけど、四大陸にはヴィンスを派遣するものと思っていた。アメリカのスケ連としては、是が非でもヴィンスに世界ジュニアのタイトルを取らせたいということなんだろうか。
ま、グラントが四大陸に派遣されるのは嬉しい限りだが、ジェイソンは、怪我の状態が心配である。四大陸まで間がないのに、出場して大丈夫なんだろうか。
- 世界ジュニア:
- アレックス・クラスノジョン
- アンドリュー・トルガシェフ
- ヴィンセント・ジョウ
全米ジュニア優勝者のクラスノが選出されて、ほっとした。アメリカは、ジュニアのチャンピオンになっても選ばれないことがあるのでヒヤヒヤしてたんだよね〜。よかったよかった。
それにしても、まさしく「アメリカが放つ最強の三本の矢」って感じのメンバーですな。強い。
今季は、世界ジュニアの表彰台を巡って、アメリカとロシア、韓国とのガチンコ勝負が繰り広げられることになるんだろうな。そこに日本も食い込んでいけるといいのだが。